ドSな幼馴染の分かりにくい愛情表現

めるてぃ

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【3話】 交流会

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あれから快人とは話してない。そして、あの隠し事を問い詰められる事もなく1週間を終えた。

今日はいよいよ交流会。学校から最寄りの駅前で待ち合わせしようという事で、私は張り切って30分前に来ていた。すると、誰かの人影が見える。同じクラスの…えっと、誰だろう。ポニーテールにオーバーオールの格好をしている。身長は、160はありそう。話しかけた方がいいのか、どうしようかとコソコソしていると

「あっ、咲ちゃん?」

と、唐突に名前を呼ばれた。こんな人混みの中にいたのによく分かったな…と驚いた。

「そうです!は、初めまして!」

「あはは、そんな緊張しなくていいよ~
私は同じクラスの神沢凛!よろしくね!」

神沢凛…名前を聞いて思い出した。既に陸上部に所属してた子だ。それに、気さくな性格って感じだし、目もぱっちりしていて可愛い。

「よろしく…!」

「ふふっ」

「?どうしたの?」

「いや、嬉しくって。私咲ちゃんと話してみたいなぁって思ってたの」

私と…?そんな事初めて言われたから何だかこそばゆい。

「うん!可愛いし自己紹介聞いてる時、本当に女の子!!って感じで…話しかけたかったんだけど、さが…」

さが?どうしたんだろう。途中で切れられると気になってしまう。

「あっ!今のは気にしないで!本当話せて嬉しいよ!」

「こ、こちらこそ、嬉しいな」

何だか神沢さんが眩しい…同学年の子と話すの小学生以来かも。
女子トークを交わしていると、男子達も来たのか、足音が向かってくる。

「お、2人とも早いね!ごめん、遅くなっちゃって」

「お前が便に乗り遅れるからだろう」

「悪いって。買い物してたからさ~」

慌てて駆け付けてきたのは宮原君。それと…

「あの人は、須藤真一だよ」

「ありがとう、神沢さん」

神沢さんが耳打ちしてコソッと教えてくれた。須藤君は宮原君よりも身長が高くてストレートヘアに眼鏡をかけていた。とてもじゃないけどオーラというか、纏う雰囲気が私達とは違っていた。
未だに全員の名前を把握しきれていない私。それも仕方がない。私と他の人との交流を妨げたあいつのせいだから。

「もう、他人行儀だよ~、凛って呼んでよ」

少しからかい口調で肘でつついてくる。

「分かった…り、凛ちゃん!」

「もう!可愛いなぁ」

スリスリと頬をくっつけてくる。何だかこうして見ると猫みたい。私は可愛くないのに…お世辞かな?

「じゃあ皆揃った事だし、目的地に行こうか!」

私達はバスに乗り、動物園に行く事にした。男子も女子も楽しめる、という事で一致したそうだ。動物園なんて幼稚園ぶり。家族で外出する事はあっても、ショッピングモール等にしか行かないからワクワクしている。

ハムスター等の可愛い動物とのふれあいや、迫力のあるゾウやライオンのショー等、見どころ満載であっという間に時間が過ぎていった。
最後は癒やされるパンダを見に行った。

「このパンダ…ジャイアントパンダ、かな?」

「そうだ。このパンダはメスだな。草食動物で、体重は約70~120kg、体長は1.2m~1.9m…」

と、スラスラ、解説文を読むかのようにジャイアントパンダの説明をする須藤君。流石は博識…。なんでも大学は難関大学を目指しているらしい。もう将来の事を考えているなんて凄いな。3人で感嘆の溜息を漏らすと、いつの間にか隣にいた宮原君が、

「岬さん、楽しかった?」

「うん!皆優しくて、面白くて…楽しかったよ!」

「そっか、それは良かった!」

心底嬉しそうに微笑む宮原君。もしかしたら孤立していた私の為に誘ってくれたのかもしれない。宮原君ならそういう事しそう。とても嬉しい。思わず笑みが溢れる。

「あ、あと…」

「?」

何やらゴソゴソと鞄の中をあさり始めた宮原君。その中から出てきたのは金で縁取られた四葉のストラップだった。丁寧に可愛いラッピングまでしてある。

「これ、今日の記念に良ければ貰ってほしいな」

「可愛い…こんなに高そうなの、いいの?」

今日私は皆にしてあげた事など何もなく、むしろされた方でこっちが感謝しなければならないのに。貰うのはちょっと戸惑う。

「勿論!」

「じゃあ…ありがとう」

「!!」

嬉しすぎてニコニコしていると、宮原君がその場で微動だにせず固まっている。どうしたんだろう、耳が少し赤いし、具合悪いのかな…?

「宮原く…」

「よし、時間も時間だし、皆そろそろ帰ろうか!」

聞くタイミングを逃してしまった。あれから、特に体調悪そうな訳でもなかったし、心配する程の事じゃなかったのかも。軽い足取りで帰路につくと、まさかの家の鍵が閉まっていた。お父さんはいつも仕事が遅いからいないかもしれないけど、お母さん、いないのかな?とりあえずスマホを開いてみると、お母さんからLineが来ていた。

『帰ってきたら、そのまま快人君のお家まで来て~!』

か、快人…?どうして、快人の家にお母さんが…?私達は幼馴染という事もあり、お互いの家族は仲が良い。とはいえ、嫌な予感がする。メッセージには続きがあった。恐る恐るスマホの画面をスクロールすると、

『今日は泊まらせていただこうと思うの!快人君も一人じゃ寂しいだろうしたまには良いかなって!』

嘘、でしょ…!?お母さんも快人も、何考えてるの!?
私は先程とは打って変わり、重い足取りで快人の家に向かっていった─
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