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【9話】 崩れる
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気が付くと、私は保健室のベッドの上にいた。誰かが運んでくれたかな。頭はさっきよりマシになったのか起き上がれるくらいになった。すると、隣には快人が座って窓の外を眺めていた。
あぁ、快人が運んで来てくれたんだ。
「かい…」
お礼を言おうと声をかけようとしたが、ただならぬ雰囲気を纏っているのを感じた。窓の外に誰がいるのかは見えなかったけど鋭い眼光で睨んでいて、何とも形容し難い表情だった。私に向けられているわけじゃないのにとても怖くて、泣いてしまった。
「うぅ…っ」
それに気が付いたのか、振り向く快人。
「お前…なんでまた泣いてんだよ?」
「こわ…かったから…、何で怒ってるの…?」
ひっく、としゃくりあげる。本当最近泣いてばっかりだなぁ。意味も分からず泣いてる私に呆れてるよ。
「お前にじゃねぇ。とりあえずさっさと泣き止め」
「っ」
頬に手を添えて、親指で流れる涙を拭い取ってくれる。男性らしく硬い手なんだけど…包み込んでくれてるみたいで優しい。
「体調は」
「大丈夫、さっきより全然マシだよ。ごめんね、私のせいで…」
迷惑ばっかりかけてる。でもこんな激しい頭痛今までなかったのに…、熱中症になっちゃったのかな?
「違う!お前のせいじゃ…」
ハッと、言いかけて言葉を飲み込んだ。
どうしたのかな、快人らしくない。
「…とにかく、お前女子共の言う事は無視しろ」
「ど、どうして?」
本当にどうしちゃったの?普段なら体が限界になるまで働かせるような事言うのに。
「命令」
言い様のない圧力を感じて私はコクンと頷いてしまった。そうやって流されるからいけないのに。
もしかして私が倒れたのって手伝いしてたからって思ってる?
「あ、クラスの女子達のせいじゃないよ?考え事してて…」
快人の…って、そんなの言ったら私がずっと快人の事考えてたって言ってるようなものじゃない…!
「な、何でもない!」
「隠すな」
あ……嘘ついてるってバレてる。いつも快人にはお見通しなんだよね。でも、言ったら変に思われる。本当に言ってもいいの…?
私が言うのを躊躇っていると、
「お前はさ…幼稚園の頃の事、覚えてる?」
「え?えっと、だいぶ前だから覚えてないとこもあると思うけど……?」
急になんで、幼稚園の頃の話に?
「じゃあいい」
そういう快人の表情は悲しそうに見えた。やっぱりさっきからおかしい。何か、我慢してるのかも…?聞いてみる?でも私も隠してる事あるし、聞いたところではぐらかされそう。散々嫌な事されたのに、なんだかんだ気にかけてしまう。それはたまに優しさを見せてくれるから…─?
「…ねぇ」
と、聞いてみようとした直後、ガラガラッとドアが開いた。
入ってきたのは宮原君だった。急いできたのか、それとも暑さなのか、汗が滲んでいる。
「岬さん…倒れたって聞いたけど…大丈夫?」
「うん、大丈夫だよ、わざわざありがとう」
「あぁ、佐川君がいたんだね、じゃあ心配なさそうだ」
そう言う宮原君の声色は少し怒気が含まれていた。
快人は珍しく黙ってはいるものの、背後から物凄い無言の圧力を感じた。
そう告げると、宮原君は静かに出ていった。
「じゃあ俺も行くから…」
ガタン、と椅子を引き帰ろうとする。なんか、このまま行かせるのはよくない気がして引き止める。
「ちょ、ちょっと待って!」
「何」
「なんか…悩んでる事ない!?」
い、言えた…!!これなら話してくれるかも、と期待するが予想とは大きく外れ、
「─……お前の事以外にねぇよ」
ボソッと呟いたその声は私には聞こえなくて、首を傾げる。
「そんな事より自分の体気遣えよ。また倒れたら…迷惑」
「ごめん…」
私だってどうしてこんな頭痛が起きたのか分からない。否定も肯定も出来ず、謝る事しか出来ない。いつの間にか快人は保健室からいなくなっていた。
そして私はその日、激しい頭痛と高熱に見舞われた。
あぁ、快人が運んで来てくれたんだ。
「かい…」
お礼を言おうと声をかけようとしたが、ただならぬ雰囲気を纏っているのを感じた。窓の外に誰がいるのかは見えなかったけど鋭い眼光で睨んでいて、何とも形容し難い表情だった。私に向けられているわけじゃないのにとても怖くて、泣いてしまった。
「うぅ…っ」
それに気が付いたのか、振り向く快人。
「お前…なんでまた泣いてんだよ?」
「こわ…かったから…、何で怒ってるの…?」
ひっく、としゃくりあげる。本当最近泣いてばっかりだなぁ。意味も分からず泣いてる私に呆れてるよ。
「お前にじゃねぇ。とりあえずさっさと泣き止め」
「っ」
頬に手を添えて、親指で流れる涙を拭い取ってくれる。男性らしく硬い手なんだけど…包み込んでくれてるみたいで優しい。
「体調は」
「大丈夫、さっきより全然マシだよ。ごめんね、私のせいで…」
迷惑ばっかりかけてる。でもこんな激しい頭痛今までなかったのに…、熱中症になっちゃったのかな?
「違う!お前のせいじゃ…」
ハッと、言いかけて言葉を飲み込んだ。
どうしたのかな、快人らしくない。
「…とにかく、お前女子共の言う事は無視しろ」
「ど、どうして?」
本当にどうしちゃったの?普段なら体が限界になるまで働かせるような事言うのに。
「命令」
言い様のない圧力を感じて私はコクンと頷いてしまった。そうやって流されるからいけないのに。
もしかして私が倒れたのって手伝いしてたからって思ってる?
「あ、クラスの女子達のせいじゃないよ?考え事してて…」
快人の…って、そんなの言ったら私がずっと快人の事考えてたって言ってるようなものじゃない…!
「な、何でもない!」
「隠すな」
あ……嘘ついてるってバレてる。いつも快人にはお見通しなんだよね。でも、言ったら変に思われる。本当に言ってもいいの…?
私が言うのを躊躇っていると、
「お前はさ…幼稚園の頃の事、覚えてる?」
「え?えっと、だいぶ前だから覚えてないとこもあると思うけど……?」
急になんで、幼稚園の頃の話に?
「じゃあいい」
そういう快人の表情は悲しそうに見えた。やっぱりさっきからおかしい。何か、我慢してるのかも…?聞いてみる?でも私も隠してる事あるし、聞いたところではぐらかされそう。散々嫌な事されたのに、なんだかんだ気にかけてしまう。それはたまに優しさを見せてくれるから…─?
「…ねぇ」
と、聞いてみようとした直後、ガラガラッとドアが開いた。
入ってきたのは宮原君だった。急いできたのか、それとも暑さなのか、汗が滲んでいる。
「岬さん…倒れたって聞いたけど…大丈夫?」
「うん、大丈夫だよ、わざわざありがとう」
「あぁ、佐川君がいたんだね、じゃあ心配なさそうだ」
そう言う宮原君の声色は少し怒気が含まれていた。
快人は珍しく黙ってはいるものの、背後から物凄い無言の圧力を感じた。
そう告げると、宮原君は静かに出ていった。
「じゃあ俺も行くから…」
ガタン、と椅子を引き帰ろうとする。なんか、このまま行かせるのはよくない気がして引き止める。
「ちょ、ちょっと待って!」
「何」
「なんか…悩んでる事ない!?」
い、言えた…!!これなら話してくれるかも、と期待するが予想とは大きく外れ、
「─……お前の事以外にねぇよ」
ボソッと呟いたその声は私には聞こえなくて、首を傾げる。
「そんな事より自分の体気遣えよ。また倒れたら…迷惑」
「ごめん…」
私だってどうしてこんな頭痛が起きたのか分からない。否定も肯定も出来ず、謝る事しか出来ない。いつの間にか快人は保健室からいなくなっていた。
そして私はその日、激しい頭痛と高熱に見舞われた。
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