檻から抜け出せない

かえねこ

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1 ドジって囚われた

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 気が付くと、あられもない姿で縛られた自分の姿が目に入った。
 身に纏うものは何一つなく、両手は頭上で縛られ、両足は大きく広げられてそれぞれ別方向に括り付けられている。

 自分の置かれた状況が呑み込めず、正輝は自分の記憶をたどった。

 確か……薬物の取引現場を取り押さえ、ひと段落ついたあと、現場近くで怪しい男を見かけて追いかけた。
 男の後を追い、路地裏へ足を踏み入れた途端に顔にスプレーを噴射され、咄嗟に息を止めたが間に合わずに少し吸い込んでしまった。
 思わず動きを止めた隙に鳩尾に衝撃を受けて意識を失ったのだった。

 相棒に一言も告げず、男を一人で追跡したのは失態だった。
 溜息を一つついて、あたりを見渡す。

 四方の壁はコンクリートが剥き出しで、窓の一つも見当たらない。
 自分から見える扉が一つあり、そこに鉄格子の嵌まった窓があるのみ。
 頭上方向の壁は一望できず、扉があるかどうか確認できない。
 天井近くに通風孔らしいものはあるが、人が通り抜けられる程の大きさはない。
 どのみち、素っ裸で四肢を拘束されている状態では逃げようがない。

 扉が開き男が一人入ってきた。
 30代後半といったところか。長身で一見細身に見えるが、肩幅はしっかりある。
 肩より長めのストレートヘアをさらりと後ろへ流している。
 スッキリとした鼻筋の通った整った顔立ちをしているが、その切れ長の眼の眼光は猛禽類のように鋭い。

「気が付いたようだな」
 口元に軽い笑みを浮かべ、男は低い声をかけてきた。

「あんたは・・・?」

「海棠零司といえばわかるか?」

 海棠…しばらく考えて、関東一圓で幅を利かせている指定暴力団、黄龍会の会長が確かそんな名前だった筈…。

「黄龍会のトップがなんでオレを・・・?」

 裏社会の総元締であるはずの男が、なぜ一介の刑事を拉致監禁し、更にはわざわざ顔を見せているのか。

「霧島正輝・・・最近は随分と内の傘下のシマ内を嗅ぎまわっているようだな」
「・・・それが俺の仕事だ」

 麻薬とまではいかないが、最近は合法違法を問わずいろんな薬物が飛び交っていて、若者が事件を起こすことが多い。
 二年前、高校時代の親友が違法ドラッグ中毒となり、錯乱したまま自宅のベランダから転落死した。
 正輝が刑事になってからはたまにメールのやり取りをする程度で、会うことは滅多になかった為、彼が薬物中毒になっていることに気づきもしなかった。

 やるせなかった・・・。
 なんで気づいてやれなかったのか。

 そのことをきっかけに正輝は薬物に関する情報を特に集めるようになった。
 ドラッグは摘発しても次々と新しいものが出回り、はっきり言って鼬ごっこだ。
 だが少しでも薬物被害を減らしたかったのだ。

 先ほど取り押さえた取引現場の一方が黄龍会末端の沢渡組の関係者だったか・・・。

「下から目障りだとうるさくてね」
「んで、俺を脅しにかかろうって? あんた自ら?」

 目障りなだけなら、傘下の組織に銘じて俺をリンチでもすればいい。
 わざわざトップが出張ることじゃない。

「脅すだけなら、やりたい連中が山ほどいたがな・・・」
 そこで言葉を切ると、海棠は正輝の顎に手をかけて正輝の眼を覗き込んだ。

「俺が躾けるからともらい受けた」
 そう言って、軽く口付けるといったん離し、今度は深く口付けた。

「・・・つっ!」

 途端に海棠は顔をしかめて彼から離れた。口元から血が滲んでいる。
 正輝に舌を噛まれたのだ。

「気色悪いこと、してんじゃねー」
 顔を横に向けてペッペッと唾を吐きながら、正輝は言った。

「フッ 粋がっていられるのも今のうちだ」
 口元の血を拭うと、海棠は正輝の腰を撫で上げ、首筋に舌を這わせた。

「・・・っ、・・・よせっ」
 嫌悪感に正輝は身を捩る。

「あんた、変態趣味か?」
「どちらもいけるが、男のほうが興味深いのは確かだな。特に気の強い男は屈服させたくなる」

 下からの報告を受けてから、何枚か隠し撮りした正輝の写真を見たが、どれも鋭い目でなにかを睨みつけているようだった。他の表情をしている写真が一枚もなかったのだ。
 鋭い眼光で射貫く目が、快楽で蕩けるさまを見たくなった。

 海棠は彼の身体を隅々までゆっくりと口づけていく。
「くっ」
 愛撫が下半身に及ぶと、若い男の芯がピクンと跳ね、無意識に背中が反り返る。
 それをみた男は彼のものをそっと舐め上げ、袋を玩び始めた。

「うっ・・・く」
 正輝は唇をかみ締め、熱が集まりだした下半身の刺激に耐えた。

「・・・やめ・・・ろ」
 熱いものを舌で絡めとられ、根元を扱かれると嫌でも官能が刺激される。

「う・・・んん・・・」
「いい声だ」

 鼻にかかった甘い声がもれ、羞恥に身体が染まった。
 男の生理とはいえ、男に嬲られて感じる自分が厭わしい。

 やがて男の唾液とガマン汁に濡れたくちゅくちゅという音が聞こえてきた。
「・・・んく・・・う・・・」
 熱いものが身体の奥からこみ上げてくるのをやり過そうと頭を振る。

「達きたいか?」
 男の言葉に正輝は首を振って否定する。男に達かされるのは矜持が許さない。

「そうか」
 男は不意に正輝の肉桂を離すと、後ろの蕾に濡れた指先を這わせた。

「ヒッ! ・・・やめっ」

 男に犯されるなど御免だが、四肢を拘束されていては逃れようがない。

 しばらく臀部を撫で擦り、蕾の周りを丹念になぞられると、奇妙な感覚に正輝の腰が揺れた。

 海棠は舌で蕾を舐め解すと、舌先を捻じ込んだ。

「うぅっ」
 鈍い痛みとおぞましさに正輝は顔を顰めた。

 男は唾で蕾を濡らすと、指を入れてみた。

「・・・っつう!」
 正輝の身体が跳ねた。僅かに指先が刺さっただけで背中を鋭い痛みが駆け上がったのだ。

「きついな。ゆっくり息を吐いてごらん。そのほうが楽だよ」

 そう言われても、指を押し出そうとかえって力が入る。

 いっこうに力を抜こうとしない正輝を見て、海棠は傍らの台の上から小瓶を取り上げる。
 ジェル状のものを指ですくい取り、それを正輝のアナルに塗り込めた。
 男はジェルを塗りこみながら硬い蕾の中にゆっくりと指を潜り込ませていった。

「!」
 異物が入り込んだ途端、正輝は息が詰まった。

 海棠はそんな正輝の反応を見ながら、ゆるゆると何度もジェルを奥まで塗りこめていく。

「・・・く・・・う、抜・・・けよ」
 異物が身体の内部を蹂躙する感覚に嫌悪感がせりあがる。

 やがてくちゅくちゅとジェルをかき回す音が聞こえてくるころには、じわじわと身体の内から熱い疼きが生まれてきた。

「ん・・・あっ!」
 いきなり電流が流れたような感覚を覚えた。

「ここがいいのか?」

「ぁっ!」
 正輝はビクンビクンと魚のように身体を跳ねさせた。
「ん・・・ん・・・あっ」
 自分の身体じゃないみたいだ。熱くて身体の奥が痺れている。

 立ち上がり始めた正輝のものを見て、海棠は指を引き抜くと、ゆっくりと腰を蕾に当てた。

「や、やめっ・・・」
 男から逃れようと正輝は身体を捻るが、自由にならならない身では儘ならない。

「力を抜くんだ」
 男は正輝の腰を抱え込むと、ゆっくりと尖端を潜り込ませた。

「うっくぅぅ・・・」
 灼熱の痛みと圧迫感に正輝は呻いた。

「ゆっくり息を吐け」
 きつくて先に進めない海棠は正輝に囁くが、正輝はそれどころではない。

 仕方なく男は一旦正輝から離れると、萎えた正輝のものを咥えた。

「ぁっ・・・ぅ・・・」
 男の巧みな口淫に正輝の腰が揺れる。

 そこへ男は再び蕾を指で愛撫した。

「ん・・・ふぅ・・・ぅ・・ぁ・・あ、あっ・・あっ・・あぁっ!」
 前と後ろを同時に攻められ、正輝はとうとうってしまった。

 荒い息を吐いて放心しているところへ、海棠は自身を正輝の中心に突き入れた。

「ひぁっ、あぁっ!」
 身体の力が抜けている隙を突かれ、奥まで侵入を許してしまう。圧迫感とともに内側から張り裂けそうな痛みが走った。
「う、くう・・・」
 男の熱が中から伝わり、嫌悪感が増す。
 全身から冷や汗が溢れ出た。

「抜・・・け」
 正輝の抗議を無視し、海棠は舌と手で正輝の身体を愛撫する。

「う・・・んっ」
 じんじんと軋む痛みに耐えているうちに、男の手管にぴくぴくと身体が反応し始めた。
 正輝の身体から力が抜け始めるのを見計らい、男は腰を動かした。

「あっ・・・く」
 鈍い痛みが走り、正輝は呻く。

 男は角度を変えながら何度も正輝を突き上げた。

「ぁっ」
 途端にぞくぞくっとした感覚に襲われ、正輝は仰け反った。

「ここか?」

「ぁっ・・ん・・・はっ・・ぁっ」
 堪えきれない喘ぎが正輝の口から漏れた。

 尖端から雫があふれ出したのを見て、海棠は正輝を握り込むと、先割れに雫を塗り込むように擦り付けた。

「ひっ、やめっ」
 途切れがちに制止するが、男は勿論聞き届けない。

「あ、はぁ・・・あっ・・あっぁっ」

 今にも達きそうになったところで、根元を握り締められた。
「・・・ぁ?」

「もう少し我慢するんだ」
 男はそういうと、いっそう激しく突き上げた。

「う、あ、あ・・あ、あぁっ!」
 男の熱い飛沫を身体の奥に感じるのと同時に尖端が開放された。
 欲情が一気に吐き出され、正輝の意識は白濁した。

 もう何度達ったか判らない。
 何度も気を失いかけたが、その度に身体の奥を掻き毟られ、気絶することも許されない。
 いつの間にか手の拘束も解かれていたが、もはやそれは気休めにもならない。
 身体中が軋み、自分では身動きすらとれない。
 永遠とも思える行為に声は掠れ、まるで糸の切れた人形のように、海棠のなすがままだった。
 一時は快楽に我を忘れたが、もう何も感じなかった。
 ただ、身体だけが熱を持って熱かった。

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