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14 愛人になれだって?
しおりを挟む「私のものになれ、正輝」
正輝に口づけを落としながら海棠は繰り返した。
「・・・何考えてんだ、あんた?
もう、俺は刑事でもなくなるし、俺を囲う意味もないだろ」
呆れたように正輝は問い返す。
「お前個人が気に入っただけだ。それに、この身体は私無しでいられるのか?」
「~~~~~」
海棠の言葉に正輝の耳が羞恥に染まる。
今も海棠が耳元で囁くのに身体が反応してしまっている。
「とにかく、この部屋で暮せ。もう引っ越しの手配は済んでいる」
「はあ?
おまえ、何言ってやがる。なんで俺がここに住まなきゃならないんだ」
思わずガバリと身体を起こして、正輝は男に食って掛かる。
「解かっているのか? お前・・・散々無茶な手入れして裏の連中に恨み飼っているだろうが。
刑事を辞めれば、そいつ等がお前に牙を剥くぞ」
「それがどうした? んなこと恐れて刑事やってたと思うのか?」
「以前のお前ならそこまで心配していない。今は・・・この程度の力も振り払えないだろう?」
海棠は言いながら正輝の腕をく軽く握ってきた。
条件反射で正輝はその手を振り払おうとするが、敵わない。
「解ったか? 今のお前は体力が落ちている上に・・・複数の男に囲まれたら、抵抗しきれないだろ」
沢渡組の一件は正輝にトラウマを植え付けた。
海棠のたった一言にすら思い出して嘔吐する。複数の男に囲まれたら、もっとひどい状態になるだろう。
海棠の台詞で正輝の顔色が変わった。
吐き気がこみ上げ、青ざめて口元に手を翳す。
「だから、私の愛人になれ」
「はぁぁ?」
何がどうしてそうなるのか。思わず正輝は嘔吐感も忘れて素っ頓狂な声を上げた。
「ここで私に可愛がられていろ」
「なんで俺がお前の愛人にならなきゃならねぇんだ!
それに、同情もいらね・・・んん」
キャンキャンと吠えたててくる正輝をベッドに押し倒し、海棠はその唇を塞いだ。
口づけを施されながら身体を撫でさすられ、乳首を弄ばれると正輝はこの男に教えられた官能を引きずり出される。
「んっ、ちょっ・・・まっ、・・・んんん」
まだ話は終わってないと男を引き離そうとするが、男は構わず愛撫を続けた。
首筋を舐められ甘噛みされ、強く吸い付けられる。
「ん・・・ぁっ」
肝心な場所は触れられていないのに下半身に熱が籠り、知らず知らず男に腰を擦り付けてしまう。
「正輝・・・どうして欲しい?」
獲物を追い詰めたような目で男は正輝の目を覗き込んできた。
不覚にもその目にドキリとさせられて、視線を逸らしながら極まり悪げに請う。
「うぅ・・・後ろ、触って・・くれ」
さっきから身体の奥が疼いて堪らない。
「前は触らなくていいのか?」
「っ! ・・・いいから」
忸怩たる思いで告げる。
ほしい・・・
正輝は消え入りそうな声で男に強請った。
理性が残っている状態での催促はかなり恥ずかしい。
だが、今更だ。どうせ男を飲み込まなければ躰の火照りは収まらないのだ。
正輝は開き直る。
羞恥に顔を染めながらも、正輝はうつ伏せになって片手で尻を割り開いて見せた。
「ここに・・・あんたの・・・挿れて・・くれ」
その扇情的な姿に海棠の気配が獰猛さを増す。
「ったく、そんな姿。私以外に見せるなよ」
そう言って正輝に覆いかぶさりながらも、いきなり突っ込むことはしなかった。
すんなりと入った指で後孔を寛げ、潤滑剤の瓶の中身を正輝の内に注ぎこみながら肉襞を拡げてゆく。
「んん・・・ん、もう、いい・・から、はやく・・・」
指で押し広げられる感覚に堪らず、正輝がせがむ。
海棠は正輝の要望に応えて自身の熱を後孔に押し当てると、一気に奥まで貫いた。
「あ、あぁぁぁぁっ」
その衝撃でイッてしまった正輝は背中を逸らせ、上体をベッドに沈み込ませた。
「挿れただけでイッたのか?」
正輝に埋め込んだ楔が絡みつくどころかキュウキュウに締め上げられている状態から、男はそれに気が付いた。
「んあぁぁ、ぁ・・・いま、動いたら・・・」
イッたばかりの敏感な内側を抉るように動かれ、正輝は息も絶え絶えに訴える。
「気持ちいいんだろう?」
「ん、ふ・・・、あぁ・・・いい、んぁっ・・・ぁぁ」
ベッドシーツを握りしめながら、正輝は男に与えられる快楽を享受する。
ぎゅうぎゅうと自分で締め付けている為に、男の熱と硬さと大きさがまざまざと感じ取れる。
男の先端がググッと膨れる瞬間まで感知する。
ああ、くる・・・
「はぁぁぁ~」
躰の奥に注がれている感じが堪らない。
男は余韻に浸っている正輝を更に後ろからがつがつと突き入れてきた。
「んぁっ、ぁ、ぁ、激しっ・・・あ」
激しく揺さぶられながら、正輝は再び昇りつめる。
「あ・・・中に、奥に・・・出して・・」
もう一度男の熱い飛沫を感じたくて強請ってしまう。
「ふぁ、あぁぁぁ・・・」
男の熱の迸りを感じると同時に自分も欲望を放ち、正輝は再びベッドに沈んだ。
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あの気にくわない課長に辞表を叩きつけて、相川の親っさんに挨拶も済ませてきた。
「愛人なんて冗談じゃない」
正輝は自分のアパートに戻ってきていた。
そして部屋の鍵が開いていることに疑問を持ちながらドアをあけると・・・
そこは何もない空き家となっていた。
そして脳内にリフレインされるあのセリフ『もう引っ越しの手配は済んでいる』
「あの野郎!」
昨日の今日だというのに、なんて手回しの早い・・・。
あ~あ、今日からどこに泊まるよ。
学生時代に両親は亡くなり、親しく付き合う親戚もいない。
相川の親っさんのところに邪魔するのは悪いし、あまり親しい同僚はいない。
学生時代の友人たちとも疎遠になっており、こういう時に厄介になれる知り合いがいない。
あの男のマンションに舞い戻るのは論外だし。
元カノの美紀に連絡を取ろうかと思ったが、今更とも思い止めた。
何処かで飲みたい気分になった俺は偶に行くバーに行った。
「おや、随分と懐かしい。ちょっとお痩せになりましたか」
カウンターに座ると、バーのマスターが声をかけてきた。
「ちょっとヘマをしてな。暫く入院してた」
正輝は肩をすくめながら返す。
「いいんですか? 飲んでも」
「別に内臓が悪いわけじゃない」
マスターは俺がいつも飲んでいたものを覚えてくれていたらしい。
注文も聞かずにそっと目の前にグラスを置いてきた。
「隣いいですか?」
暫く一人で飲んでいると、声を掛けられた。
背の高い、なかなか整った顔立ちの男だ。
他にも空いている席はあるのに、なんでわざわざ俺の隣に?
などと考えながらも、特に断る理由もなくOKする。
話し上手な男で、聞き役となった俺に不快感を与えてこない。
が、段々と距離が近くなってきて、手を握られた。
「今晩一緒にどうです?」
耳元で囁かれてぞわっと鳥肌が立った。
慌てて自分の手を引っ込める。
「いや、俺はノンケだから・・・」
既に何人もの男に抱かれてはいるが、元々そっちの趣味はない。
海棠に抱かれているのも、今更抵抗するだけ無駄だからだ。
自分から好き好んで男に抱かれたいとは思わない。
例え女を抱けないとしても、知らない男と一夜を共にするほど尻軽ではない。
「駄目ですよ島田さん。彼ノンケなんだから。今まで言い寄った男は全滅でした」
マスターが助け舟を出してくれた。
刑事という職業柄、鍛えた体はそっちの世界の人間には魅力的なのか、何度か声をかけられたことはある。
だが今まですべて断っていた。
強引な人間も刑事だと知れば、そそくさと逃げていく。
「えぇ? いや、僕これでも見る目あるつもりですよ。君、男と経験あるでしょう」
そう言われて俺はぎょっとする。
なんで判るんだ?
「そう言えば・・・痩せただけじゃなく随分雰囲気が変わりましたね」
「この腰のライン、すごく色っぽいんだけど」
「いや、マジで俺ダメだから。他あたってくれ」
腰を撫でてくる手つきに嫌悪感がせりあがり、男の手を引き離す。
「私のモノに手を出さないでくれないか」
不意に掛けられた声にドキリとする。
海棠・・・なんでここに。
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なろうでは14話で最終回だったのを、長いので分割しました。
こっちでは次回15話で完結とします。
その後、番外編を少々。
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