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1■学園生活スタート☆ぼくたち山田兄弟 SIDE:希(了)
10.生徒会長・紫堂空也(しどうくうや)
しおりを挟む10.生徒会長・紫堂空也(しどうくうや)
「やっぱ、すんごい豪華なメニューとか、ある??」
「さあ、どうだろう。あるかな。メニューはたくさんあるし、けっこう美味しいから、きっと気に入ると思うよ」
その珠希先輩の答えにアユは上機嫌。もうスキップしそうに浮かれている。
「お、珠希じゃん、ちびっこ連れて」
後ろから声がして、振り返ると、珠希先輩と同じくらい背が高くて、さらさらの金髪で綺麗な顔をした人が立っていた。
「アッ! 悪魔!」
突然アユがそう言って、僕の前に立ちはだかった。僕の手をぐっと握っている。
「アユ、あの人、だれ?」
僕が小声でそう聞くのと同時に、珠希先輩の声がした。
「空也、またおイタしたね? この子に」
珠希先輩の友達らしい。先輩は呆れたような声でそう言った。
アユは徐々に移動して、珠希先輩の背中に隠れる。
「おいおい酷いな天使ちゃん、ってか堕天使? だいたいさっきのはお前が勝手に人のもの食うからだろ?」
「だからって、あんなっ」
あんな、って、何?
アユ、あの人になにされたの?
またもや、僕の頭の中は、?で埋め尽くされてしまった。
「よろしく、希、歩。学園でわからないことがあったらなんでも俺に相談しな」
そう言って生徒会長の空也先輩は微笑む。
アユが言ってた悪魔、っていうのは空也先輩のことみたいだけど。そんなに悪い人には見えないのにな。
それに、珠希先輩の友達みたいだし。
僕はアユの隣に並んで、珠希先輩の後ろから空也先輩を観察してみる。
ちらっと見てみると、アユはまだ怒ってるみたいな顔で空也先輩をジッと見ていた。
ほんとに……なにがあったんだろう。
「あゆ、どうしたの? 空也先輩いい人じゃない」
そう言っても、アユはなにも答えずに押し黙っている。
「食事? 俺も一緒にいっていい?」
空也先輩はそんなアユのことは気にしてないみたいで、僕らに笑いかけながらそう言った。
やっぱり、悪い人じゃなさそう。
「もちろんです!」
「歩は?」
空也先輩がアユの顔を覗き込む。
「…やだ」
アユは下を向いたまま、ぼそっとそう呟いた。
***
結局、アユは食い気に負けて空也先輩と一緒に行くことを承諾した。
食堂っていってもやっぱり豪華で。
今まで家族で食事に行ったどのレストランよりも綺麗だった。天井からはシャンデリアとかぶらさがってるし。
それでも、今日一日でゴージャスな物には多少目が慣れたから、もうちょっとやそっとじゃ驚かないもんね。
『キャー!!』
『ちょっと、あいつ誰?』
アユが言ったとおり、生徒はみんな食堂に集まっていたらしい。
で、この叫び声……。
なんなの、これ?
ここ、男子高だよね。うん。
見渡す限り男子しかいないし。でも、かん高い声とか、裏声みたいな声が飛び交ってる。
みんな珠希先輩と空也先輩のことを好きみたい。なんていうか、アイドルっていうかヒーローたいな存在なんだろうか。
たしかに、ふたりともすっごくかっこいいし。生徒会長と寮長だし。
それは分かるんだけど。その中には明らかに僕やアユに対する中傷が含まれていて。
僕はびっくりして思わず足を止めた。
僕みたいな庶民が、珠希先輩と一緒にいちゃいけないっていうことなんだ。
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