白樫学園記

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9■眩い太陽☆焼けつく素肌と人魚の誘惑 SIDE:希(了)

5.特別なふたり

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 ほわほわと妄想の世界にうつろいかけていると、突然珠希の声がして、アユも僕も思わず大声をあげていた。
「やだなぁ、二人とも。そんなにびっくりしなくても」
 僕は昨日珠希を思いながら自分でしたことを一気に思い出した。それに今僕、珠希の体を想像しようとしてたし……。
 僕は恥ずかしくなってもじもじしながら、席についた。
 アユはさっきと同じように椅子の上にしゃがんでいる。
 そんなに、痛いんだ……。
 珠希がそんなアユを変に思ってなにか聞かないか、心配していると、空也先輩が入って来た。
 アユ、顔が赤いよ……。
 なんだか僕にはふたりが今まで以上に特別な関係になったように見えて、どきどきした。
 失敗したにせよ、そういうこと、しようとしたんだし。

 ふと隣にいる珠希を見たら、珠希も僕をじっと見ていて、思わず飛び上がりそうになった。
 珠希は微笑むだけ。
 なのに、また僕は赤くなって視線を落とした。

「希、この前言ってた本、見つかったから部屋に取りに来てくれない」
 食事を終えた後、珠希がそう言ったけど、『この前言ってた本』っていうのが何のことなのか思い出せなかった。
 僕は一瞬ぽけっとしてしまったけど、珠希はすでに立ち上がっている。
「さあ行こうか」
 そう言って僕の手を握った。不思議に思って見上げた僕に、珠希は目配せした。
 ああ、そういうことか。

「さ、とりあえず本なんてないけど、僕の部屋に来る?」
 珠希はそう言って笑う。
 珠希も気付いてたんだ。なんだかアユと空也先輩がぎくしゃくしてるの。

「あのふたりじっくり話したほうがいいよ」
 珠希はソファに座ると、苦笑した。珠希は、どこからどこまで空也先輩から聞いてるんだろう。分からないけど、少しは知ってるんだと思った。
 だから、アユが変な座り方しててもなにも聞かなかったんだ。
「珠希、空也先輩、アユに怒ってるのかな?」
「へ? 空也が? どうして」
「だって……できなかった、って聞いたから。それで怒ってるのかなって」
「ああ。それはないと思うな。まあ怒ってるのかもしれないけど、だとしたらそれは歩くんにじゃなくって、空也自身にだよ」
 珠希がそう言ったけど、その意味をちっとも理解できなかった。

 珠希が腕を伸ばして、僕の頭を撫でる。
「なにを聞いたか知らないけど。希まで不安になることないからね」
 珠希は僕の顔を覗き込んでそう言った。
「え」
「絶対痛くしたりしないから。大丈夫だよ。だってね、僕、反対の経験は豊富なんだよ? だから、痛みもよく分かってる。空也だってそうだし、だからきっとあのふたりもすぐに上手くいくよ」
 僕はしばらく思考が停止して、珠希が言った意味を咀嚼していた……。
 えっと、えっと、そうか。珠希前はネコだったから、痛いのも分かってるっていうことだね、だから痛くしないって、え? 今空也先輩もそうだって言ったッ? じゃあ、空也先輩もネコ?
 僕は頭から湯気はしゅーっと出そうなくらい真っ赤になった。
「希赤いよ。かわいい」
 そう言って、珠希はくすくす笑う。僕は恥ずかしくて顔を被った。その笑い声があんまり楽しそうだから、僕はふと思った。
「珠希、僕が赤くなるの見て面白がってる?」
 僕がそう言うと、珠希はなにも答えず、ただにっこりした。
 やっぱりそうなんだ!
「珠希ぃ? もうっ」
「ごめん、だって希かわいいから。もっとかわいい顔見たいと思って。大丈夫だよ、突然押し倒して襲ったりとか絶対しないから」
 そう言って珠希は僕の頬にちゅっとキスした。
「ほんと?」
「ほんとだよ。ゆっくりでいい、って言ったでしょ?」
 珠希は僕を抱き寄せて、髪の毛をいじりながら、話す。
 エッチのことはよく分からないけど、こういうふうに触られるのは好きだな。
「昨日だって、かわいい希の顔思い出して自分でしたし、当分は我慢できるよ、僕」
「たまきぃッ!!??」
 そのとんでもない発言を聞いて、僕はがばっと体を起こした。
 珠希は僕を見て笑いながら、しれっと「でもほんとのことだよ?」って付け足した。

 なんか、珠希が変ッ!


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