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9■眩い太陽☆焼けつく素肌と人魚の誘惑 SIDE:希(了)
6.アノ、山田家
しおりを挟む終業式の後、シュウと順平と、少し教室に残って話した。
「すごいじゃん、希、ライバル撃退したんだ?」
「それも、あの伝説の人をね」
「で? じゃあ夏は久慈先輩と過ごすの?」
「うん、そう。空也先輩か珠希の別荘に行くってことになってるんだ。ふたりは?」
「俺は家族で旅行のはずだったんだけど。なんか親父がここんとこ仕事忙しくてさ。最悪実家帰ってもどっこも行けないかも」
シュウは残念そうに言う。
「順平は、また実んとこか?」
「うん、その予定」
「実の家に行くの?」
「別荘。昔から毎年そうさせてもらってんだ。うち夏休みって言っても両親仕事忙しかったし、かまってもらえなかったからさ」
「そうなんだ。じゃあ、夏休みもずっと実と一緒にいれるんだ? よかったね」
「うん、まあ。そうだな」
順平は端切れ悪くそう言う。
「どうしたの? 嬉しくないの?」
「噂によると、実はたしか彼氏と別れたばっかりだろ?」
シュウが言う。そうなんだ。実って彼氏いたんだ。
「まあ…そうなんだけど。あいつ最近元気ないしさ。それも心配なんだけど、部屋でもずっと一緒だったのに、夏休みまで一緒で、いいかげんうざいかも、とか考えててさ」
順平は考え込むように言う。
相手のことを思って、行動できなかったり、考えすぎてややこしくなっちゃうのは、僕にもよくわかる。
でも僕は、水沢さんのおかげで分かったこともある。
「順平。素直が一番だよ。思ってること、ちゃんと言わないと伝わらないし、伝え方を間違ってもだめなんだ。だから、なるべく心で思ってることに忠実に、本音で言わなきゃいけないいんだよ? じゃないと、自分でもなにしたいのか分からなくなっちゃうから」
そう言うと、順平もシュウも目をぱちくりして僕を見ていた。
あれ? なんか変なこと言ったかな?
そう思っていると、一度にふたつの手がのびてきて、僕の髪の毛は一瞬でぐちゃぐちゃに掻き回された。
「すげえ。見ろよ順平この目覚ましい成長を。やっぱさ、彼氏がいるとこうも逞しくなるんだよなあ」
シュウは目を細めて僕を見る。
なんだか、ばかにされてるのか誉められてるのかわかんないけど、まあいいや、褒め言葉として受け取っておこう。
***
「のんのんッ」
教室を出て、ろうかを歩いていると、声をかけられて、僕はびくっとした。
「お、おじさんっ?」
振り向くと、息を切らせた伯父さんが立っていた。
慌てて周りを確認。
僕らの他には誰もいない。
「え、あ、伯父さん!?」
隣でシュウと順平が固まってる。
「あ、矢野君に舟木君。いつも希と仲良くしてくれてありがとう、で、のんのん。よかった間に合って。あのさ、昨日紫堂君とあゆあゆに会ったんだけど。大切なもの渡すの忘れちゃってて。はいコレ。ふたりのパスポート。作っておいたから」
伯父さんは僕らが驚いているのを気にするでもなくまくしたてる。
「う、うん」
「でさ、まだ聞いてないかもしれないけど。うちの島のコテージ、使っていいからね。紫堂君とあゆあゆはうんって言ってたから、きっとそうなると思うけど。飛行機の手配もしておいたし、いつでも出発できるから。あ、よかったら友達だって連れてっていいし」
伯父さんッ、島とか持ってんの!!??
「ごめん、じゃあ急ぐからね、気をつけて楽しんで来て」
そう言うと伯父さんは僕をぎゅうぎゅうと力いっぱい抱き締めて、早足で去って行った。
残ったのは、手の中にあるふたつのパスポート。
それと、僕を驚愕のまなざしで見ている、ふた組の目……。
おじさんに、口止めとかしてなかったもんね……。
僕らに話しかけないで、とか。そういうこと言ってた訳でもないし。
しょうがないか。
「あ、のー。希くん。山田くんっていうのは、あの、山田くんだったんだ?」
シュウがまだ目をまんまるにしたまま、僕には分からないことを言う。
「え?」
「ああ、なんか。そうみたいだ。なあ、おじさんって言ってたけど。希って理事長と親戚なの?」
「あ……えと。誰にも言わないでよ? ふたりとも。順平、実にも言っちゃだめだよ?」
「ああ」
僕はもう観念して、伯父さんが父さんの弟だってこととか、僕とアユはずっと庶民育ちで、入学前まで自分の家の財政状況を知らなかった、っていうことを全部話した。
このふたりなら、大丈夫だって思ったから。
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