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11■きらめき☆楽園バースデー SIDE:希(了)
10.珠希の計画
しおりを挟む「綺麗……」
珠希が懐中電灯を消しても、十分に歩けるくらいに明るかった。
「すごい」
僕はほとんど言葉を失って、しっとりと塗れた光る岩壁に手を滑らせた。
珠希は迷いのない足取りで青い光の中を奥へと進んで行く。前にも来たことがあるのかな。
いつのまにか、恐さよりもわくわく感の方が高まっていた僕は、珠希の腕に絡み付きながら、踊るような足取りで進んでいた。
「ここで曲がるよ」
珠希はそう言って微笑む。
「プールみたい」
思わず僕はそう囁いていた。アユが言ってた。途中で、青くて光る水が湧いてるって。
それがここなのかな? でも、アユが言ってたよりもずいぶん広く感じる。
「さあ、行こう」
そう言うと、珠希は着ていたノースリーブを脱いで足下に落とすと、眼鏡を水着のポケットに入れて、ざぶざぶと水の中に入って行く。
「さ、おいで」
珠希は僕のパーカーのジッパーをゆっくりと引き降ろすと、僕の肩からそれを落とした。今から泳ぐだけなのに、珠希にそういうふうにされると、妙に心臓がどきどきしてしまう。
「エッチなことは、また後で」
僕の考えが透けて見えたように、珠希は笑う。
「そッんなっ」
「冗談だよ。ほらおいで」
僕は珠希に手を引かれて、青いプールに足を入れた。水は思ったほど冷たくはなかった。ふたりで水を蹴りながら進んで行くと、だんだんと深さを増して、それは胸にまで達した。珠希はそれでも進み続けて、さっき服を脱いだ所とは反対側の岩壁の前に立った。
振り返ってみると、懐中電灯や服が、ずいぶん小さく見えた。
足元に水流があって、少し足を押しながされるような感じがする。
「珠希、どこに行くの?」
珠希はめがねを入れたのと反対のポッケからゴーグルをふたつ出した。
「用意して来たの?」
「そ、しっかり目開いて見てて」
「え? うん?」
ってことは、潜るってことなのかな? そう思いながら、僕はゴーグルを着けた。
これから何が起こるのか分からないっていうのに、不思議と恐怖心は湧いてこない。
きっと、珠希と一緒だからだ。
「せーので息いっぱい吸って」
珠希は楽しそうに笑いながら言う。宝石みたいにきらきら輝く青い光が、その顔にちらちらと散って、子供みたいなくしゃくしゃの笑顔に華を添える。珠希、すっごく楽しそう。
深く考える間もなく、珠希のせーのって声が聞こえたから。
僕はなにも考えずに言われた通りにした。瞬間、すごい力で水の中に引っ張り込まれる。僕は目をぎゅっと瞑って、ただ息を止めていた。
でも、すぐに不思議な感覚に目を開いた。
珠希が僕の手を握って誘導してくれてるけど、それだけじゃない。
水流に乗って、勝手に体が進んで行く。
目の前には、岩で出来たアーチ、というよりも光る石の壁に開いたトンネルを僕らはくぐり抜けていた。
すごい、綺麗、すごおい!!
珠希が足をゆらゆらと動かしているのに気がついて、僕も軽くバタアシをした。
ふたりの力で、もっと早く進む。
「ぷはッ……す、すごかった! 珠希! 綺麗だった!」
もう息が限界だと思った瞬間、トンネルは終わって、珠希にひっぱり上げられた。
「気に入った?」
ゴーグルを外すと、すぐににっこにこ笑顔の珠希の顔が飛び込んで来た。
「うん、最高! すっごい綺麗、」
僕の興奮した声が洞くつの中をうわんうわんと反響した。
「さ、こっち」
珠希は水の中を歩き始める。すぐ近くから波音が聞こえてくるのに気がついた。
「あ、出口」
「さ、希、真夜中のピクニックだよ」
洞くつを抜けると、開けた岩場に出た。すぐ目の前には海が広がっている。
くるっと見回すと、すぐに珠希の言った意味が分かった。
岩場の一ケ所にシートが敷いてある。
「え? え? なにこれっ、うそ、すごい、」
僕が驚いていると、ふんわりとしたバスタオルで体を包まれた。
珠希が大きな瓶に入ったキャンドルにマッチで火を点すと、ぼうっと辺りが照らされた。僕はただ突っ立って、その不思議な光景に見とれていた。
「おいで」
手を引かれて、シートに座った珠希に覆い被さるように倒れ込む。
「わ、希大胆」
「えっ、ちがっ珠希が引っ張るから」
珠希はくすくす笑う。
「はい、マンゴー」
珠希が近くにあったバスケットを引き寄せて開くと、中から果物とかお菓子、それにワインまで出て来た。
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