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3.シュウの企み
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「あれ? もうごはん食べちゃったの? 一緒に食堂行こうと思ったのに」
「よう、実。ごめん、俺テイクアウトしてきた。一緒に食う?」
「シュウ、ううん、いいよ僕ヒロと食堂で食べるから」
「ふうん、そう。より戻したの?」
シュウは、俺が聞けそうもない、ってか、知りたくもないようなことをさらっと言う。
「ああ、うん。そうなんだ。お互い誤解が解けて」
ミノはほんとに幸せそうに、はにかんだように言う。
胸が、ずきん、を通り越して電気ドリルでぐりぐりやられてるみたいに痛む。
「そっか、よかったな」
俺はふたりの会話に一言も口を挟まず、ただエビチリを口に運んでいた。
「あ、でね、ジュン。ヒロも一緒に別荘行くことにしたから、いいよね?」
「え、あ……う」
俺は、あんまりな出来事に、ほんとになにも言えなかった。
ミノは不思議そうな顔で俺を見ている。
「おい順平、そんな急いで食うからムセてんじゃん。なあ実、それ、俺も行っちゃだめ?」
シュウはそう言いながら、俺の背中をばしばし殴った。驚いた俺はそのせいで咳でむせた。
「え? シュウいつもヨーロッパじゃなかったっけ?」
「そうだったんだけど。今年親父の仕事すごい忙しくて。どこも行けそうにないんだ。だから」
「僕はぜんぜんかまわないよ?」
「それにさー、ヒロ先輩来るなら、順平独り寝ってのも、かわいそうじゃん?」
そう言ってシュウが冗談ぽく笑うと、ミノも笑った。
「出発は明後日だよ。じゃあね、食堂行って来る」
そう言って、ミノは出て行った。
「おまえ、何考えてんだよ。一緒に行くって…」
「嫌か? 俺が行くの」
そんなふうに普通に聞かれたら……。
「べつに、嫌とかじゃねえけど」
面白いことが大好きで、すぐに首を突っ込みたがるシュウだ。なにかよからぬことを考えているんだと思ったんだけど。
「さっき言ったのはまんざら嘘でもねえよ。お前耐えられんの? 実とヒロ先輩に目の前でいちゃつかれて」
確かにそれには、耐えられそうにない。
「俺行きたくない」
「なに言ってんだよ。今まで何年あの別荘で夏過ごしたんだよ? いきなり今年行かないとか言ったら、バレバレじゃん。実に上手に嘘、つけんのか?」
シュウが言うのは……もっともだ。
絶対に、うまい嘘なんてつける訳ない。俺は首を振った。
「ちょっとちょっと」
シュウが俺を手招きする。俺は椅子から移動してシュウが座っているソファに座った。
その途端、すごい力で腕を引かれて、俺はシュウの体に倒れ込んだ。
シュウは俺と同じくらいのデカさだし、力だって大して変わらない。
「ってえ、なにすんだよッ」
「しっ、黙って」
「はあ?」
シュウは俺を背中から抱きかかえるようにして、耳もとで話す。
なにか考えがあるのかと思って、とりあえず俺は身を固くしてそこでおとなしくなった。
「なんだよ」
「うあ、かわいげない。今まで俺がこういうふうにして、そんな口きいた子いないよ? みんなニャンニャン言い出すから」
そう言って耳もとで笑うシュウの声に落ち着かない気持ちになって、背筋がぞわっとした。
「はあ? なんだよそれ。ってかもういいから放せ、離れろ」
「やだね」
「じゃあなんだよ? 用件は」
「はあ。ほんとかわいくない。ほら、俺が胸貸してやるって言ってんだよ。泣いていいぞ、ほらほら」
そう言ってシュウは後ろから俺の頬を指でつついて来る。
どこまでもふざけた奴だ。
「んー、撫で心地がいまいち。ジョリジョリ」
そう言いながらシュウは俺の頭を手のひらで撫でる。
「あたりまえだ、そういうふうにされるシステムになってない!」
俺は断固としてそれを拒否して、腕をくぐって出ると、隣に座り直した。
なんだよ、調子狂うな。
「なあ? 俺が誘惑してやろうか。ヒロ先輩」
「はあ?? おまえ何言ってんの?」
「だって、ミノを取り戻したいんだろ?」
「それは……そういうのは、違う」
だって。そんなことしたらミノが泣くことになる。それはだめに決まってる。
それに今も過去も。ミノが俺のものだったことは一度もない。
「ってかお前タチじゃん。ヒロ先輩に突っ込まれるぞ?」
「ああーそうなるかー、だよねーやっぱ、まあ。ヒロ先輩かっこいいし。アリかも」
シュウは少し考えたようなそぶりの後、そう言った。
「マジで?」
「ぷっ。マジな訳ないじゃん。やだよあんな人俺の好みじゃないよ、ただ、実との関係こじらせる程度にはできるよ。ってか、あの人嫉妬すごいみたいだから。逆に実とちょっと仲良くしたら楽勝」
「いや、それもダメだっ」
シュウならほんとにやりかねないから。俺は強い口調で言い切った。
「よう、実。ごめん、俺テイクアウトしてきた。一緒に食う?」
「シュウ、ううん、いいよ僕ヒロと食堂で食べるから」
「ふうん、そう。より戻したの?」
シュウは、俺が聞けそうもない、ってか、知りたくもないようなことをさらっと言う。
「ああ、うん。そうなんだ。お互い誤解が解けて」
ミノはほんとに幸せそうに、はにかんだように言う。
胸が、ずきん、を通り越して電気ドリルでぐりぐりやられてるみたいに痛む。
「そっか、よかったな」
俺はふたりの会話に一言も口を挟まず、ただエビチリを口に運んでいた。
「あ、でね、ジュン。ヒロも一緒に別荘行くことにしたから、いいよね?」
「え、あ……う」
俺は、あんまりな出来事に、ほんとになにも言えなかった。
ミノは不思議そうな顔で俺を見ている。
「おい順平、そんな急いで食うからムセてんじゃん。なあ実、それ、俺も行っちゃだめ?」
シュウはそう言いながら、俺の背中をばしばし殴った。驚いた俺はそのせいで咳でむせた。
「え? シュウいつもヨーロッパじゃなかったっけ?」
「そうだったんだけど。今年親父の仕事すごい忙しくて。どこも行けそうにないんだ。だから」
「僕はぜんぜんかまわないよ?」
「それにさー、ヒロ先輩来るなら、順平独り寝ってのも、かわいそうじゃん?」
そう言ってシュウが冗談ぽく笑うと、ミノも笑った。
「出発は明後日だよ。じゃあね、食堂行って来る」
そう言って、ミノは出て行った。
「おまえ、何考えてんだよ。一緒に行くって…」
「嫌か? 俺が行くの」
そんなふうに普通に聞かれたら……。
「べつに、嫌とかじゃねえけど」
面白いことが大好きで、すぐに首を突っ込みたがるシュウだ。なにかよからぬことを考えているんだと思ったんだけど。
「さっき言ったのはまんざら嘘でもねえよ。お前耐えられんの? 実とヒロ先輩に目の前でいちゃつかれて」
確かにそれには、耐えられそうにない。
「俺行きたくない」
「なに言ってんだよ。今まで何年あの別荘で夏過ごしたんだよ? いきなり今年行かないとか言ったら、バレバレじゃん。実に上手に嘘、つけんのか?」
シュウが言うのは……もっともだ。
絶対に、うまい嘘なんてつける訳ない。俺は首を振った。
「ちょっとちょっと」
シュウが俺を手招きする。俺は椅子から移動してシュウが座っているソファに座った。
その途端、すごい力で腕を引かれて、俺はシュウの体に倒れ込んだ。
シュウは俺と同じくらいのデカさだし、力だって大して変わらない。
「ってえ、なにすんだよッ」
「しっ、黙って」
「はあ?」
シュウは俺を背中から抱きかかえるようにして、耳もとで話す。
なにか考えがあるのかと思って、とりあえず俺は身を固くしてそこでおとなしくなった。
「なんだよ」
「うあ、かわいげない。今まで俺がこういうふうにして、そんな口きいた子いないよ? みんなニャンニャン言い出すから」
そう言って耳もとで笑うシュウの声に落ち着かない気持ちになって、背筋がぞわっとした。
「はあ? なんだよそれ。ってかもういいから放せ、離れろ」
「やだね」
「じゃあなんだよ? 用件は」
「はあ。ほんとかわいくない。ほら、俺が胸貸してやるって言ってんだよ。泣いていいぞ、ほらほら」
そう言ってシュウは後ろから俺の頬を指でつついて来る。
どこまでもふざけた奴だ。
「んー、撫で心地がいまいち。ジョリジョリ」
そう言いながらシュウは俺の頭を手のひらで撫でる。
「あたりまえだ、そういうふうにされるシステムになってない!」
俺は断固としてそれを拒否して、腕をくぐって出ると、隣に座り直した。
なんだよ、調子狂うな。
「なあ? 俺が誘惑してやろうか。ヒロ先輩」
「はあ?? おまえ何言ってんの?」
「だって、ミノを取り戻したいんだろ?」
「それは……そういうのは、違う」
だって。そんなことしたらミノが泣くことになる。それはだめに決まってる。
それに今も過去も。ミノが俺のものだったことは一度もない。
「ってかお前タチじゃん。ヒロ先輩に突っ込まれるぞ?」
「ああーそうなるかー、だよねーやっぱ、まあ。ヒロ先輩かっこいいし。アリかも」
シュウは少し考えたようなそぶりの後、そう言った。
「マジで?」
「ぷっ。マジな訳ないじゃん。やだよあんな人俺の好みじゃないよ、ただ、実との関係こじらせる程度にはできるよ。ってか、あの人嫉妬すごいみたいだから。逆に実とちょっと仲良くしたら楽勝」
「いや、それもダメだっ」
シュウならほんとにやりかねないから。俺は強い口調で言い切った。
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