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30.マリーナの本心
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「クラヴィス、貴方は……」
私の言葉にクラヴィスは少しだけ悲しそうに笑った。
「王女としての役目を果たしている君からすれば、愚かな話だと思うが聞いてくれるか?」
私とクラヴィスはテーブルを挟んで、向かい合うように椅子に座った。
そして、クラヴィスは少しだけ緊張した様子で話し始める。
それでも、何故身分を偽り、ユーキス国に来たかを話すクラヴィスはどこかもう昔話のように自分のことを話していて。
最後にこう仰って、微笑むのだ。
「しかし、もう逃げないよ。マリーナを見ていて、私も逃げたくないと思えた」
きっとそれはクラヴィスの本心で。
隠しごとを明かしたクラヴィスは、どこか表情が晴れやかになっていた。
「マリーナ、先ほど述べた通り、私は君に婚約を申し込んだ。きっと出会ってすぐに私は君に惹かれていたんだと思う」
クラヴィスの言葉に喉の奥の方がぐっと苦しくなるような、どこか泣きたくなるような不思議な感覚がする。
息が苦しく感じるのに、心が喜んでいるのが分かる感覚。
それはきっと私の気持ちを表していて。
目の前に座るクラヴィスから目が離せない。
「マリーナ?」
言いたいことは沢山あるはずなのに、何故かすぐに言葉が出てこなくて。
そんな私にクラヴィスは気にせずいつも通りの挨拶をするような声色で、「また会いにくるよ」と笑った。
王宮の自室に戻った私をリーリルが慌てた様子で訪ねてくる。
その後、すぐにリーリルの後を追うようにクロルも部屋に訪れた。
「お嬢様! 婚約を申し込まれたと……!」
リーリルの言葉に私は小さく頷いた。
頷くだけの返事をした私の顔をリーリルが心配そうに覗き込んでいる。
「お嬢様、乗り気ではないのですか……?」
リーリルの言葉に私は慌てて首を振った。
「違うの。それでも、どこか不安で……」
私の言葉にリーリルは何故か少しだけ安心したように微笑んだ。
「大丈夫ですよ、お嬢様。お嬢様がご自身の気持ちに素直になって下さることが私たちの一番の望みなのです」
すると、クロルがリーリルの言葉に付け加えるように話し始める。
「マリーナ様、クラヴィス様に婚約を申し込まれた時、どう思いましたか?」
「様々な考えが浮かぶより前です。一番始めに思い浮かんだ感情はなんですか?」
クロルの言葉がきっと全てなのだと思った。
そんな私の表情を見たクロルの表情が少しだけ柔らかくなったのが分かった。
「きっともう大丈夫ですね」
クロルの言葉に私は胸の辺りがジーンと温かくなった。
あとは、きっとクラヴィスに想いを伝えるだけだ。
私の言葉にクラヴィスは少しだけ悲しそうに笑った。
「王女としての役目を果たしている君からすれば、愚かな話だと思うが聞いてくれるか?」
私とクラヴィスはテーブルを挟んで、向かい合うように椅子に座った。
そして、クラヴィスは少しだけ緊張した様子で話し始める。
それでも、何故身分を偽り、ユーキス国に来たかを話すクラヴィスはどこかもう昔話のように自分のことを話していて。
最後にこう仰って、微笑むのだ。
「しかし、もう逃げないよ。マリーナを見ていて、私も逃げたくないと思えた」
きっとそれはクラヴィスの本心で。
隠しごとを明かしたクラヴィスは、どこか表情が晴れやかになっていた。
「マリーナ、先ほど述べた通り、私は君に婚約を申し込んだ。きっと出会ってすぐに私は君に惹かれていたんだと思う」
クラヴィスの言葉に喉の奥の方がぐっと苦しくなるような、どこか泣きたくなるような不思議な感覚がする。
息が苦しく感じるのに、心が喜んでいるのが分かる感覚。
それはきっと私の気持ちを表していて。
目の前に座るクラヴィスから目が離せない。
「マリーナ?」
言いたいことは沢山あるはずなのに、何故かすぐに言葉が出てこなくて。
そんな私にクラヴィスは気にせずいつも通りの挨拶をするような声色で、「また会いにくるよ」と笑った。
王宮の自室に戻った私をリーリルが慌てた様子で訪ねてくる。
その後、すぐにリーリルの後を追うようにクロルも部屋に訪れた。
「お嬢様! 婚約を申し込まれたと……!」
リーリルの言葉に私は小さく頷いた。
頷くだけの返事をした私の顔をリーリルが心配そうに覗き込んでいる。
「お嬢様、乗り気ではないのですか……?」
リーリルの言葉に私は慌てて首を振った。
「違うの。それでも、どこか不安で……」
私の言葉にリーリルは何故か少しだけ安心したように微笑んだ。
「大丈夫ですよ、お嬢様。お嬢様がご自身の気持ちに素直になって下さることが私たちの一番の望みなのです」
すると、クロルがリーリルの言葉に付け加えるように話し始める。
「マリーナ様、クラヴィス様に婚約を申し込まれた時、どう思いましたか?」
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クロルの言葉がきっと全てなのだと思った。
そんな私の表情を見たクロルの表情が少しだけ柔らかくなったのが分かった。
「きっともう大丈夫ですね」
クロルの言葉に私は胸の辺りがジーンと温かくなった。
あとは、きっとクラヴィスに想いを伝えるだけだ。
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