刀幻郷 〜俺と神様の和風異世界英雄譚〜

八風ゆず

文字の大きさ
4 / 4

山仕掛けの試練

しおりを挟む
「秋葉の試練は合格じゃ」  

大稲荷は再び目を細め笑う。
その瞬間、グワァッ!っと景色が急変し、幻核へと戻る。

「めでたいが、早速第二の試練じゃ。ついてこい」

そして、大稲荷は振り返り進む。
俺達は顔を合わせ、頷きついて行く。
強風が吹き荒れ、緑色の葉が飛び狂う。

そして、気付いた先は夏のような強い日差し、冷たい風。緑の木の葉、色とりどりの花々が咲き乱れる光景を目にした。
山々が連なり、俺達はその少し地形が広い山の中に居た。

「さ、次はここ。幻核から東の山仕掛けの試練じゃ。人間は妖気の制御がまだ慣れておらぬ。狐は気を抜くと妖気の流れが乱れる。砂蜘蛛を倒しに行く前に、色々と慣れんといけんのぉ。さ、これを完全に避けきれるまでやるのじゃ。妖気による空間感知じゃな」

大稲荷はパッ……っと消える。

「え!?ど、どこ」

俺は辺りを見渡す。
狐の少女もビックリした様子で見渡す。
すると、天から聞こえてくるような声で聞こえてくる。

「安心せぃ。さっきみたいな事にはならぬよう、しっかり見守っていてやるわぃ……」

木の葉が風に揺られ音を鳴らす。
そして、俺は進む。

「一体なにをやるんだ……?」

「さぁ……」

ただただ、俺は山道を歩く。
それは狐の少女も同じだ。
その時……。
ザクッ!っと、竹槍が俺の脇の下から出てくる。

「……ッ!?」

俺は並の人間の速度では出来ない速度で腕を動かし避ける。
狐の少女も「キャッ!」っと、足の下から出てきた竹槍を避ける。

「は、はぁ!?竹槍……っていうか今の腕の動きなんだ!?」

すると、天から「クックック」っと大稲荷の笑い声が聞こえてくる。

「それが妖気の流れじゃ。まぁ、空間感知できるほどまだ慣れきっては居ないが、若干制御は効くようになったじゃないか」

無自覚だけど……。

「無自覚でもよく制御できとる」

俺が心の中でいった言葉と大稲荷が言った言葉が一致し、声が被る。
……エスパーかよ!

「え、怖」
俺は小さく呟く。

「ほれ、さっさといかんと試練は終わらんぞ」

今は目には見えないが、頭の中で顔で「行け行け」っとやっている大稲荷の姿が想像できた。

「はぁ……早く元の世界に戻りた……」

俺が再び歩き出した時、木のボタンのような物を踏み、足元で「カチッ」っと音が聞こえた。
そして、俺は左を見た。

「ぶへぇ!」

紐で吊るされた大きな丸太が俺を吹っ飛ばした。

「ハッ!人間のお方!」

狐の少女が俺を追いかけようとすると、同じように木のボタンのような物を踏み、二個目の丸太が狐の少女を吹っ飛ばした。

「ぶへぇ!」

大稲荷は「やれやれ」と言葉を溢した。
そして、顔を横に振る。

目が覚めるとそこは最初の場所だった。
狐の少女もそこにいた。

「最初っからかよ……はぁ全くめんどくさいな~」

俺はそう言いながら背伸びをする。

「言ったろう?全て避けきれるまで終われぬとな」
大稲荷様の声が聞こえる。
「というか、お主ら初っ端の初っ端でこんなじゃあ、とが思い知れる……」
大稲荷が大きなため息を付く。

「す、すいません」
俺は流れ的に謝る。

「なぁに、謝らんでもよいわぃ。さ、はようやらぬと日がくれるぞ」

俺はハッとなり走る。
たしか……ココだ!
そして俺は竹槍がさっきあった場所を避ける。
普通の人間の速度だ。

だが、何も出てこなかった。

「……!?」

その時、全身に薄い電流が伝う感覚に見舞われる。
そして俺は体を瞬時に反らせる。
それは並の人間では出来ないような速さで。

すると竹槍がグサグサグサグサッ!っと四本出てくる。
も、もしかしてこれ……一回やり直すたびに仕掛けがランダムになるのか!?
すると、また同じ感覚に見舞われる。

次は、丸太……ッ!

そして俺は右肩に必死に意識する。するとフワッっとした感覚が腕に伝い、意識した肩の方向に回りながら吹っ飛ぶ。  

周りが早すぎて見えない……そうだ!目にやれば……。

目に次は集中させると、さっきまで凄まじい速度で飛び、見えなかった景色が見えるようになり、スローモーションに見えた。
飛んでゆく丸太が見えた。
そして、再びやっている丸太も見えた。
俺は足に集中させ、体制を整え、低い体勢で地面を滑る。
丸太は俺の背中の3ミリ上を通る。
丸太の仕掛けにはどうにか耐えきり、地面を蹴って着地する。
大稲荷はそれを見てみて「ほほぉ……?」っと薄く笑う。
俺は膝から崩れ落ち安心し大きな息を吹く。

天晴天晴あっぱれあっぱれ!クックック……いやぁ、身体能力強化と空間感知を同時に習得するとは……全く驚いたもんじゃ!」

はぁ……疲れた……。
でも、なんかコツは掴めた気がする。
空間感知は意識さずにできるようになった。後は体の複数部位の強化!よーし、頑張るぞぉー!

俺は左腕を天高く上げる。
その時、丸い木が地面から突き出てくる。

「うわぁッ!」

大稲荷は驚き目を大きく開け、「やれやれ」と目をつむり顔を横に振る。

再び俺は覚ます。
いやはや、このリセット方式はよくわからない。
自分でも気づくと意識失ってるから、よくわらないな。
大稲荷様の幻想世界だから、操作してるのかもしれない。

気づくと、狐の少女は俺がさっき居た所で座っていた。

「おいそこの下は……」

その時、狐の少女は後ろに飛ばされる。

「あーあ」

すると、横に何の前触れも無く狐の少女が現れる。
それは神隠しから抜け出したような。

「はぁッ!くぅ~……あともう少しだったのにぃ~!あ、人間のお方!」

狐の少女は目を開き俺の顔を見て話す。

「私、やっと妖気の使い方に慣れてきたんです!人間のお方はどうです?」

「はい、俺も慣れました。多分空間感知はもう出来ます」

「そうですか!それじゃあ、一緒に行きましょう!」

狐の少女は俺の腕を掴み仕掛けの下へ走る。
俺は掴まれるがままに進む。
そして、狐の少女が腕を離したと思えば凄い速度で進む。
俺は少し笑い言う。

「よし、俺も行くか!」

体全体に妖気を流せ、あらかじめ空間感知を発動させる。
そして、飛ぶ。
仕掛けが普通の速度で動くのに対して俺は高速で駆ける。
難無く竹槍と丸太を避ける。
木を蹴り地面を蹴る。そして、下から丸い木が飛び出てくるのを利用し、木より高く飛び立つ。気づけば、俺は笑っていた。
そして森の中に飛び降りる。

こっからは初見……、でも、空間感知が出来るようになった今の俺は行ける……!
目の前から木でできた手裏剣が15枚飛んでいる。
小刻みに動き全て避ける。そして全て手の裏で手裏剣の軌道を変えて後ろからやってくる同じ数の手裏剣とぶつける。
そして山頂が見えた頃、目の前に竹で出来た檻状の物が現れる。
俺は指先に妖気の糸を作り出し、ヒラヒラ~っと檻状の物の前に投げる。そして、手を握り込み妖気を硬くする。
ガラガラガラガラっと、サイコロ状に竹で出来た檻状の物を壊す。
そして俺は前に飛び回り着地する。
狐の少女もほとんど同時に山頂に着地する。

そして……。

「クックック。お主らようこの短期間でここまで成長したものじゃ。まぁ、ざっと和界わかいの時間で言うと2日間じゃなぁ」

大稲荷様が目の前に煙を纏いながら現れる。
それより、俺達は衝撃的な事に声を上げる。

「「え!?2日間!?」」

「まぁそれはそうじゃ。ここは私が創り出した『幻想世界』。時間軸がずれるのは仕方がないのでな」

まぁ、可笑しくはない。
でも、2日間あの山仕掛けの試練をやっていた事になるのか。

「さ、流石に2日間って……大袈裟じゃないですか?」

狐の少女が大稲荷に言う。

「いや、本当じゃ。幻核は和界の時間軸と同じじゃが、試練の間は時間軸がそれぞれ違う」

つまり、◯神と◯の部屋逆バージョンってことか。
まぁ、でも妖気の使い方に慣れたのはデカい!これで狐の少女も、神様になれる力が増したろう!
すると、大稲荷が俺達に背を向ける。

「さて、次の試練じゃ。次は……冬断ふゆたちの試練じゃ」
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜

平明神
ファンタジー
 ユーゴ・タカトー。  それは、女神の「推し」になった男。  見た目ギャルな女神ユーラウリアの色仕掛けに負け、何度も異世界を救ってきた彼に新たに下った女神のお願いは、転生や転移した者達を探すこと。  彼が出会っていく者たちは、アニメやラノベの主人公を張れるほど強くて魅力的。だけど、みんなチート的な能力や武器を持つ濃いキャラで、なかなか一筋縄ではいかない者ばかり。  彼らと仲間になって同盟を組んだユーゴは、やがて彼らと共に様々な異世界を巻き込む大きな事件に関わっていく。  その過程で、彼はリーダーシップを発揮し、新たな力を開花させていくのだった!  女神から貰ったバラエティー豊かなチート能力とチートアイテムを駆使するユーゴは、どこへ行ってもみんなの度肝を抜きまくる!  さらに、彼にはもともと特殊な能力があるようで……?  英雄、聖女、魔王、人魚、侍、巫女、お嬢様、変身ヒーロー、巨大ロボット、歌姫、メイド、追放、ざまあ───  なんでもありの異世界アベンジャーズ!  女神の使徒と異世界チートな英雄たちとの絆が紡ぐ、運命の物語、ここに開幕! ※不定期更新。最低週1回は投稿出来るように頑張ります。 ※感想やお気に入り登録をして頂けますと、作者のモチベーションがあがり、エタることなくもっと面白い話が作れます。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

処理中です...