僕がスカートを履く理由

タッピー♂

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第四章:スカートの中の自分

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学園祭が近づいてきた。

桜陽学園の学園祭は、毎年テーマ性のある催しが多く、特に**生徒会主催の「自由服装ランウェイショー」**は、校内でも注目を集めている。

今年のテーマは「わたしらしい制服」。

男子も女子も、制服の形にとらわれず、自分なりにアレンジした服でステージを歩く。
スカート+ネクタイ、ジャケットにブーツ、ボーイッシュなショートパンツ制服――なんでもアリ。

そして、生徒会副会長・朝比奈優から、蒼真に声がかかる。

「出てみない? 蒼真君」

「……俺が?」

「うん。“君自身が選んだ制服”を、ちゃんと見せてほしいんだ。あの日、勇気を出してスカートを履いた君なら、絶対できると思う」


一度は断ろうとした蒼真だったが、レンが静かに背中を押した。

「もし君が出るなら、僕も出ようかな。……ほら、“似合うよ”って、言いたい人がいるからさ」

「……やめろよ、それ」

照れくさそうに笑って、蒼真は小さくうなずいた。


ランウェイ本番当日。

控室の鏡の前で、蒼真は仕上げたセーラー服姿を見つめていた。

いつもより少しだけ丈の短いスカート。足元は黒いハイソックスとローファー。
胸元には、自分で選んだ淡い青のリボン。

(これが“俺らしさ”かどうかは、分からない。でも――)

(“俺が選んだ俺”なんだ)

ステージに立つと、照明の眩しさに目を細めながらも、蒼真は一歩ずつランウェイを歩いた。

客席から、どよめき。そして拍手。

誰も笑っていなかった。
誰も驚いていなかった。
そこにいたのは、ただ自分らしさをまとったひとりの生徒だった。

マイクを握り、蒼真はゆっくりと語る。

> 「最初は、この制服を着るのが怖かった。
でも、今は違う。“似合う”かどうかじゃなくて、“これが僕だ”って言いたいから着てます。
たかがスカート、されどスカート――
俺は、これを選んだ自分に誇りを持ってます」



拍手が、嵐のように巻き起こる。


ステージ裏で、レンが拍手していた。
すぐそばにいた朝比奈先輩が、そっと目元を拭っていたのは、誰にも気づかれていない。

そのあと、レンがぽつりとつぶやく。

「……ねえ、蒼真。もしさ、俺が本気で君のこと好きになったら、迷惑?」

蒼真は驚きつつも、すぐには否定しなかった。

ほんの数秒、胸の奥に波紋が広がって、蒼真はふっと笑う。

「いや……うん。ちょっと、考えさせて」

その日、スカートの裾が軽やかに揺れていた。
それはもう、“恥ずかしいもの”じゃなかった。
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