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第8話 手作りおにぎり
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じゃんけんで負けた聡が皿洗いをすることに。泡の山に手を突っこんで食器や調理器具を洗う彼を横目に、私は京さんと話をしていた。年は離れているけれど、女子同士なので繋がるものはある。
京さんは聡の超能力を知っていた。怖がるでも面白がるでもなく、「それが聡なんだ」と言って笑っていた。
「でもさー、あたしが食べたいもの分かるってのはいいんだけど、恥ずかしいんだよね実際。それに、だから? って感じ」
「超能力って、もっと壮大なイメージがあったんだけど、聡の場合はなんかかわいいよね」
「好物とか作ってもらった? というか、しーちゃんの好物ってどんなの」
「私は、今日聡にも指摘されて改めて思ったけど、すっぱい系で味が濃いのが好きみたい。中華とか、揚げ物もレモンかけて食べる」
「あたしもあたしも! よく動くから、お肉をソースでガッツリ食べたい」
いつも教室で騒がしい女子たちのことを馬鹿にできない。私はすっかり京のテンションに巻きこまれて、手を叩いたり高い声で笑ったりする。ずっと以前から友達だったと錯覚してしまいそうなほどだ。女子っぽいなあ、と思いながら、それでも自分が美人と並んでいることが少し恥ずかしくなったりする。
旅の土産話を聴いていると、ふと棚に飾られた写真立てに目がいった。中央ではしゃぐ小さいころの聡と京。その後ろで微笑むひと組の夫婦と男性。
「これね、あたしとさーくんの家族なの」
京が写真立てを手にして言う。「さーくんのお母さんは、このときもういないけどね」
「こんなに小さいのに……」
「もっと小さいとき、さーくんが小学校入ったくらいかな、そのときにね。さーくんの超能力が出てきたのと同時。知らなかった?」
私は首を横に振った。重たい話になりそうだった。あまり深くは追求しないでおこうと、それ以上は話をつづけなかった。棚の左上の壁に飾られた表彰状を見て、「子どもかるた大会四位だって、凄い」と笑った。
そのとき、食器を洗い終わった聡が渋い顔で戻ってきた。
「京姉、ちゃんと家には顔出した?」
「当たり前じゃん」子どものようにぶすくれる京。「鞄置いてすぐ飛んできたよ。でもどうせお父さんもお母さんもまだ仕事なんだから、さーくんちでごはん食べてもいいじゃん」
「いや、ごはん食べるぶんにはいいんだけどさ。そうか、おじさんもおばさんも、まだいなかったのか。出迎えにも来ないなんて、もう完全に娘の出帰国とか慣れっこなんだな」
苦い顔をする聡。私は京を見て「荷物だけ置いて、真っ先にここ来たの?」と訊いた。
「うん、海外にずっといるとね、ごはんとお味噌汁が超食べたくなるんだ。普段そんなに意識しないけど、いざ何週間も食べないと、ああ白いごはんが食べたいなあって思うようになる。西洋のお米、タイ産とかリゾットライスがメインだしね。あれもおいしいんだけど、日本人としてはふわっとして熱いごはんのがやっぱり好き」
「だから京姉がどっかから帰って来る日のごはんは、絶対白米と味噌汁なんだ」聡が言った。
毎日食べているのであまり考えないし、外国のお米がどんな味かも分からないけど、実際に外国を長く旅するとそうなるのかと素直に驚いた。祖国の味、日本人が好きなお米。実感がないからその言葉の重みは分からない。
聡は「四季」と言って私のすぐ傍まで来た。歩いている途中、さりげなく棚の上の写真立てをきちんと定位置に戻す。
「牛乳プリン、もう固まってるよ」
「あ、そうだ忘れてた」
「牛乳プリンって、あれ?」京がはしゃぐ。「みかん入れてる?」
「あるよ。京姉のぶんも作ってるから。四季がくれたわらび餅もある」
「やっふーい!」
かん高い声をあげて冷蔵庫にダッシュする京。子どもみたい、と思いながらその背中を見ていると、聡が私にしか聴こえないぐらいのちいさな声で言った。
「あまり気を使わないで」
「え?」
「写真、見たでしょ。京姉にどこまで聴いたか知らないけど、引きずってるわけでもなし、小説やドラマみたいなものじゃなし、家庭の複雑な事情扱いされたくないから」
私はうん、とうなずいた。「本当に?」と念を押されて首を二度縦に振る。
安易に触れるには物見遊山じみた感情の割合が多すぎて、ためらわれた。
京が牛乳プリンとわらび餅を出してテーブルに並べながら、「早く食べようよ!」と叫んだ。私と聡はそれぞれ席につき、この夜二度目の「いただきます」を言った。
* * *
家に帰ると、中華麺で満たされたおなかからベッドにダイブした。しあわせだ。熱々のごはんも、大塚家の味噌汁も、ぜんぶがおいしかった。今回は半分近く、作るのを手伝えたことも嬉しかった。自分で作ると一層おいしい。大事に大事に食べたくなる。
お風呂に入っているあいだも、スマホをいじりながらごろごろしていても、おなかのふわふわした幸福感はやまなかった。
指折り数えて手順をおさらいする。醤油と酢とコチュジャンと、あとなんだっけ……ちゃんと紙に書いてもらわないと。
夏が終わるまでにまた作りたい。あれをお母さんにも食べてもらいたい。一晩中、ずっとそんなことを考えていた。
朝起きて最初にスマホをひらくと、夜中のうちに一通のメールが届いていた。
『通算百通お祈り達成www』
ひとり暮らしをしている兄からだった。現在大学四年生で、就職活動の真っ最中。軽い文面とは真逆に、相当ショックを受けていることが分かる。「お祈り」の意味が最初は分からなかったが、今では聴き飽きて普通の中学生よりもそこに内包された意味を知っている。
ようは「今後のご活躍をお祈り申し上げます」と締めくくられる不採用通知だ。
祈るぐらいなら活躍できる場をくれ、と、日本独特の妙な言い回しを嫌う兄。別に彼は頭が悪いわけではない。むしろ普通の人とは違う考え方をしすぎて、だから敬遠されるか同じ異質の人に歓迎されるかのどちらかしかないのだ。私もあんなふうに就活で苦労するのかな、と思えばゾッとしないでもない。
こういうとき、それこそ料理を作って待ってあげたりするのがセオリーなのだろうが、レタスをちぎるのが今できる最大限のスキルだと分かって提案はあっけなく崩れる。まあ、こういうのは少しずつでいいんだ、とひらきなおり、そこで思いついた。
私は誰もいない台所に入った。母はまだ眠っている。彼女を起こさないように米を二合ぶんとぎ、炊飯器のスイッチを入れる。炊きあがるのを待つあいだにスマホをひらき、聡にLINEする。
『今日のお昼休みは、手ぶらで待っててください』
返事は七時半前に来た。
『服は着ていってもいいですか』
思わず吹きだしそうになったので必死でこらえる。あんなふうに、教室では男友達の前でしか笑わず、無表情なことが多い聡が冗談を言ったので、新鮮だった。
私はそのままスマホでレシピを検索する。
できることからやればいい、とはよく言うけれど、無理さえしなければギリギリできそうなことからやってもいいはずだ。
* * *
こういうのはパターン化しやすいのか、と冷静に考える。机の引き出しにゴミ、なんてわりと最初のころに何度かあった。いろんなバリエーションを駆使して駆け巡ったあげく、一周して戻ってくるのがたぶんここ。いじめをつづけるのも結構体力や頭を使うのだと思った。
私は何も考えずに教室のゴミ箱を持ってきて、机をかたむけて中のゴミをふるい落とした。こうなることが分かっているので、私は普段、机に置き勉をしない。他になくなっているものはないかと中を整理していると、女子たちの話し声がやっぱり聴こえてきた。五人ほどで束になっている、佳山と彼女の友人たち。
はいはい、ご苦労。お疲れ様。大変だね。
こういう気丈な態度が駄目なんだと分かっているけれど、彼女たちの幼稚さが目についてしまい、どうにも弱気になるどころか、何やってんの君たち……という気持ちになってしまう。
聡という味方を得たことで、自分がどんどん、違う方向に気丈になっている気がする。
やがてチャイム寸前に聡が登校してきた。
「おはよっす」「聡ギリギリだべ」「春眠暁を覚えず?」「もう秋だって」
仲良しの男子に囲まれて苦笑する聡に、女子の視線が集中する。やっぱり、顔はそれなりにいいからかな、あの人。私はぼんやりそんなことを考えて、すぐに彼から視線をそらした。
四時間目が終わり、お昼休みのチャイムがなる。騒がしくなった教室のどさくさにまぎれて、聡は私の机の前に立った。
「今日はどうしたの」
なんだなんだ、と思うが早いかクラスの女子の視線が一気に終結した。教室で互いに話しかけることはほぼなかったし、佳山たちを逆上させないよう、あえてそうしていた。だが聡は大まじめな目で私を見おろしている。
帰っていいですか、と言いたくなるのをこらえて、私は「いや」と言った。
「ちょっと、あんまり深くない事情が」
「深くないんだ」聡はいつもの、だけど教室で見るにはレアな笑みを浮かべた。
「分かった、行こうか。まずは職員室」
「え、でも」
「いいから」
背中を叩かれて仕方なく、ランチトートを持って立ちあがる。そのまま連れだって教室を出ると、背後で話し声が復活した。四季が、聡が、あの四季が、あの聡が……。だが聡が涼しい顔をしているあたり、彼も私に似て、他人からの評価や目を気にしないのかも知れない。案外。
職員室で鍵をもらい、初めてふたり並んで美術準備室に入った。聡は確かに丸腰だった。まだ元気な太陽の日差しが、火事になりそうなほど窓側をじりじり焦がしている。
「服は着てきました」
「当たり前です」私は笑った。
「でも、あんなふうにして、よかったのかな」
「何が」
「佳山さんは私が聡と話してることが気にいらないだろうからって、余計な火種を広げないために教室で話しかけないようにしようって最初に言い出したのは、聡だよ」
「ああ、そうか、ごめん」聡は今思い出したように言った。「でも、あれなら大丈夫だと思う。俺が自発的に話しかけたんだから、四季が俺に近付いたっていう感じにはならないはず。もしつっこまれたら、俺が佳山さんを説得するよ」
「ややこしいのに、なんでそこまで」
「いや、手ぶらでって四季が言うから、珍しいなって気になってさ」
私は「そうそれ」と言い、ランチトートの中身を机に並べた。
今朝、ごはんを炊いて作ったそれは、おにぎりだった。ただごはんを手でにぎればいいのだと勝手に思っていたがどうやって具を入れればいいのかが分からず、ネットで調べた。
梅干しと、おかかのふりかけと、海苔を巻いた塩むすび。それぞれふたつずつ、計六つ。
ラップで個別につつんであるそれを聡は一瞬、あっけにとられたように見ていたが、「え、まさか」とつぶやいて私を見る。
「自分で?」
「そう、私が初めていちからぜんぶ作った、最初の料理」自分用のお弁当箱を出しながら言った。「まあ、にぎっただけなんですけど。ちゃんと自分でごはん炊いて、自分で最初から作ったよ」
自慢げに話していたが、後半は尻すぼみになった。かっこよく三角形にしようとしたおにぎりはなんだか形が大事件だし、ぎゅっとにぎりこみすぎて餅のようになってしまったかも知れない。そう考えると急に自信がしおれていった。
ひとり心の中で悶絶していると、聡は机に並べられたおにぎりのひとつを手に取って、嬉しそうに笑った。笑ってくれたんだ。
「……ありがとう、四季」
珍しく、へんにゃりと笑って言う。
私はしょげていたことも忘れて、肩をすくめて目をそらす。なんだか照れくさかった。
聡はおにぎり六個を自分の前に集めると、手を合わせて「いただきます」と言った。私もあわてて席につき、反射的に同じことをする。
聡は梅干しのおにぎりのラップをむしりとって、豪快にかじりついた。一気に半分がなくなってしまったおにぎりを静かに咀嚼する聡。私はお弁当箱の蓋を半分あけたまま手が止めて、固唾を飲んで見守った。
おにぎりを飲み込んだ彼はやがて微笑を浮かべ、シンプルに「おいしい」と言った。
「本当に?」
「おいしいけど……」
聡は手で口元を隠しながらラップの上に何かを吐きだした。
……梅干しの種だった。
「まるごとっていうのはなあ」
噛み砕くところでした、と言って聡が苦笑する。うわー、恥ずかしい、帰りたい、と思ったが、つられて笑ってしまう。
「ごめん、もう一個も同じだ」
私は机に突っ伏しながら言った。彼は梅干しおにぎりを食べると、今度はおかかおにぎりにかぶりついた。こちらはふりかけを混ぜこんだだけだ。それを食べて、同じように「おいしい」と言って笑う聡。塩むすびも同様。結局、私はそのあいだお弁当には手がつけられず、彼の反応を見ていた。ずっと笑ってくれていた。おなかがすいたお昼休みを、少しずつ幸福で満たすように。
六つのおにぎりを完食した聡は、いつもよりことさらていねいにきちんと手を合わせ、軽く頭をさげて「ごちそうさまでした」と言った。私も頭をさげて、生まれて初めて「よろしゅうおあがりました」と言った。ドラマの真似だ。
聡はラップをまとめながら、「こういうのっていいな」と嬉しそうに言う。
「学校で誰かが持ってきてくれた弁当食べるの、初めてかも」
「そうなの? 女子からわんさと餌付けされてるものかと」
「餌付けって」滅多に見せない、彼の吹きだし笑い。「じゃあ、これも餌付けなの?」
「まさか。単に、自力で作った料理を先生に味見してもらいたかったってだけ」
料理と言うには違う気がするけれど。聡は笑いながら首を振った。
「味見だなんて、俺はこれに星つけて評価しようとは思わないよ。おいしかった。自分で作るより、断然。もっと欲しいぐらい」
「え、嘘、ただの塩むすびとか……」
「塩でも梅でも何でも、四季が頑張って作ったおにぎりっていう点がいちばんなんだよ。コンビニのおにぎりだって、最近はレベル高くてめっちゃ美味しいけどさ。作った人の気持ちが直で伝わってくるものが俺は好き。また食べたいから、そのうちもう一回作ってきてよ。今度は材料費と手間賃払う」
聡はふわりと笑った。「おいしかった。ごちそうさま。ありがとう、四季」
聡は始終微笑んでいた。たった六個のおにぎりで、まるで焼き肉を食べたあとのように。
私はこの笑顔が見たかったんだと気づいて、どうしようもなく嬉しかったから、鼻の奥が酸っぱいものを食べたときのように痛んだ。それをごまかすようにへろりと笑った。
自分の作った料理で、誰かが笑顔になってくれる。冗談かと思うほど、それが嬉しくて。
この瞬間を閉じこめてしまいたくて。だけどそれはできないから、力いっぱい笑って、そしてまた明日も頑張ればいい。それだけだ。
ちいさなしあわせが、足元に転がっていた。それを知らせる声が、私にも聴こえた。
聡はひとしきり後味を楽しんだあと、申し訳なさそうに眉をひそめて「ごめん、やっぱりちょっと足りない」と言って立ちあがった。ポケットから財布を出す。
「六個も食べたのに?」
「男の子ですから」彼が財布を手でぽんぽん遊ばせると、小銭の音がした。「今購買行っても、まだなんか残ってるよね。カルピスも一緒に買ってきてあげるよ。待ってて」
そう言って彼は颯爽と美術準備室を出て行った。カルピスは、ちょうど私が「ちょっと抜けて買いに行こうかな」と思っていたものだった。聡が追加で食べたかったのは事実だろうが、そのついでに買ってきてくれるのは、おにぎりのお礼か何かなのか。
彼が私の食べたいもの、飲みたいものを読んで、買ってきてくれる、作ってくれる。もうそんな些細な優しさが、寒空の下で食べる肉まんのようにあたたかい超能力だということに、私は違和感を持っていない。
椅子に座って、膝の上で手の甲をあわせた。ふわっとした熱が、手から胸に伝わり、頬のあたりで丸くなる。それを逃がさないように、私は祈るように合わせた手を口元に当てた。
京さんは聡の超能力を知っていた。怖がるでも面白がるでもなく、「それが聡なんだ」と言って笑っていた。
「でもさー、あたしが食べたいもの分かるってのはいいんだけど、恥ずかしいんだよね実際。それに、だから? って感じ」
「超能力って、もっと壮大なイメージがあったんだけど、聡の場合はなんかかわいいよね」
「好物とか作ってもらった? というか、しーちゃんの好物ってどんなの」
「私は、今日聡にも指摘されて改めて思ったけど、すっぱい系で味が濃いのが好きみたい。中華とか、揚げ物もレモンかけて食べる」
「あたしもあたしも! よく動くから、お肉をソースでガッツリ食べたい」
いつも教室で騒がしい女子たちのことを馬鹿にできない。私はすっかり京のテンションに巻きこまれて、手を叩いたり高い声で笑ったりする。ずっと以前から友達だったと錯覚してしまいそうなほどだ。女子っぽいなあ、と思いながら、それでも自分が美人と並んでいることが少し恥ずかしくなったりする。
旅の土産話を聴いていると、ふと棚に飾られた写真立てに目がいった。中央ではしゃぐ小さいころの聡と京。その後ろで微笑むひと組の夫婦と男性。
「これね、あたしとさーくんの家族なの」
京が写真立てを手にして言う。「さーくんのお母さんは、このときもういないけどね」
「こんなに小さいのに……」
「もっと小さいとき、さーくんが小学校入ったくらいかな、そのときにね。さーくんの超能力が出てきたのと同時。知らなかった?」
私は首を横に振った。重たい話になりそうだった。あまり深くは追求しないでおこうと、それ以上は話をつづけなかった。棚の左上の壁に飾られた表彰状を見て、「子どもかるた大会四位だって、凄い」と笑った。
そのとき、食器を洗い終わった聡が渋い顔で戻ってきた。
「京姉、ちゃんと家には顔出した?」
「当たり前じゃん」子どものようにぶすくれる京。「鞄置いてすぐ飛んできたよ。でもどうせお父さんもお母さんもまだ仕事なんだから、さーくんちでごはん食べてもいいじゃん」
「いや、ごはん食べるぶんにはいいんだけどさ。そうか、おじさんもおばさんも、まだいなかったのか。出迎えにも来ないなんて、もう完全に娘の出帰国とか慣れっこなんだな」
苦い顔をする聡。私は京を見て「荷物だけ置いて、真っ先にここ来たの?」と訊いた。
「うん、海外にずっといるとね、ごはんとお味噌汁が超食べたくなるんだ。普段そんなに意識しないけど、いざ何週間も食べないと、ああ白いごはんが食べたいなあって思うようになる。西洋のお米、タイ産とかリゾットライスがメインだしね。あれもおいしいんだけど、日本人としてはふわっとして熱いごはんのがやっぱり好き」
「だから京姉がどっかから帰って来る日のごはんは、絶対白米と味噌汁なんだ」聡が言った。
毎日食べているのであまり考えないし、外国のお米がどんな味かも分からないけど、実際に外国を長く旅するとそうなるのかと素直に驚いた。祖国の味、日本人が好きなお米。実感がないからその言葉の重みは分からない。
聡は「四季」と言って私のすぐ傍まで来た。歩いている途中、さりげなく棚の上の写真立てをきちんと定位置に戻す。
「牛乳プリン、もう固まってるよ」
「あ、そうだ忘れてた」
「牛乳プリンって、あれ?」京がはしゃぐ。「みかん入れてる?」
「あるよ。京姉のぶんも作ってるから。四季がくれたわらび餅もある」
「やっふーい!」
かん高い声をあげて冷蔵庫にダッシュする京。子どもみたい、と思いながらその背中を見ていると、聡が私にしか聴こえないぐらいのちいさな声で言った。
「あまり気を使わないで」
「え?」
「写真、見たでしょ。京姉にどこまで聴いたか知らないけど、引きずってるわけでもなし、小説やドラマみたいなものじゃなし、家庭の複雑な事情扱いされたくないから」
私はうん、とうなずいた。「本当に?」と念を押されて首を二度縦に振る。
安易に触れるには物見遊山じみた感情の割合が多すぎて、ためらわれた。
京が牛乳プリンとわらび餅を出してテーブルに並べながら、「早く食べようよ!」と叫んだ。私と聡はそれぞれ席につき、この夜二度目の「いただきます」を言った。
* * *
家に帰ると、中華麺で満たされたおなかからベッドにダイブした。しあわせだ。熱々のごはんも、大塚家の味噌汁も、ぜんぶがおいしかった。今回は半分近く、作るのを手伝えたことも嬉しかった。自分で作ると一層おいしい。大事に大事に食べたくなる。
お風呂に入っているあいだも、スマホをいじりながらごろごろしていても、おなかのふわふわした幸福感はやまなかった。
指折り数えて手順をおさらいする。醤油と酢とコチュジャンと、あとなんだっけ……ちゃんと紙に書いてもらわないと。
夏が終わるまでにまた作りたい。あれをお母さんにも食べてもらいたい。一晩中、ずっとそんなことを考えていた。
朝起きて最初にスマホをひらくと、夜中のうちに一通のメールが届いていた。
『通算百通お祈り達成www』
ひとり暮らしをしている兄からだった。現在大学四年生で、就職活動の真っ最中。軽い文面とは真逆に、相当ショックを受けていることが分かる。「お祈り」の意味が最初は分からなかったが、今では聴き飽きて普通の中学生よりもそこに内包された意味を知っている。
ようは「今後のご活躍をお祈り申し上げます」と締めくくられる不採用通知だ。
祈るぐらいなら活躍できる場をくれ、と、日本独特の妙な言い回しを嫌う兄。別に彼は頭が悪いわけではない。むしろ普通の人とは違う考え方をしすぎて、だから敬遠されるか同じ異質の人に歓迎されるかのどちらかしかないのだ。私もあんなふうに就活で苦労するのかな、と思えばゾッとしないでもない。
こういうとき、それこそ料理を作って待ってあげたりするのがセオリーなのだろうが、レタスをちぎるのが今できる最大限のスキルだと分かって提案はあっけなく崩れる。まあ、こういうのは少しずつでいいんだ、とひらきなおり、そこで思いついた。
私は誰もいない台所に入った。母はまだ眠っている。彼女を起こさないように米を二合ぶんとぎ、炊飯器のスイッチを入れる。炊きあがるのを待つあいだにスマホをひらき、聡にLINEする。
『今日のお昼休みは、手ぶらで待っててください』
返事は七時半前に来た。
『服は着ていってもいいですか』
思わず吹きだしそうになったので必死でこらえる。あんなふうに、教室では男友達の前でしか笑わず、無表情なことが多い聡が冗談を言ったので、新鮮だった。
私はそのままスマホでレシピを検索する。
できることからやればいい、とはよく言うけれど、無理さえしなければギリギリできそうなことからやってもいいはずだ。
* * *
こういうのはパターン化しやすいのか、と冷静に考える。机の引き出しにゴミ、なんてわりと最初のころに何度かあった。いろんなバリエーションを駆使して駆け巡ったあげく、一周して戻ってくるのがたぶんここ。いじめをつづけるのも結構体力や頭を使うのだと思った。
私は何も考えずに教室のゴミ箱を持ってきて、机をかたむけて中のゴミをふるい落とした。こうなることが分かっているので、私は普段、机に置き勉をしない。他になくなっているものはないかと中を整理していると、女子たちの話し声がやっぱり聴こえてきた。五人ほどで束になっている、佳山と彼女の友人たち。
はいはい、ご苦労。お疲れ様。大変だね。
こういう気丈な態度が駄目なんだと分かっているけれど、彼女たちの幼稚さが目についてしまい、どうにも弱気になるどころか、何やってんの君たち……という気持ちになってしまう。
聡という味方を得たことで、自分がどんどん、違う方向に気丈になっている気がする。
やがてチャイム寸前に聡が登校してきた。
「おはよっす」「聡ギリギリだべ」「春眠暁を覚えず?」「もう秋だって」
仲良しの男子に囲まれて苦笑する聡に、女子の視線が集中する。やっぱり、顔はそれなりにいいからかな、あの人。私はぼんやりそんなことを考えて、すぐに彼から視線をそらした。
四時間目が終わり、お昼休みのチャイムがなる。騒がしくなった教室のどさくさにまぎれて、聡は私の机の前に立った。
「今日はどうしたの」
なんだなんだ、と思うが早いかクラスの女子の視線が一気に終結した。教室で互いに話しかけることはほぼなかったし、佳山たちを逆上させないよう、あえてそうしていた。だが聡は大まじめな目で私を見おろしている。
帰っていいですか、と言いたくなるのをこらえて、私は「いや」と言った。
「ちょっと、あんまり深くない事情が」
「深くないんだ」聡はいつもの、だけど教室で見るにはレアな笑みを浮かべた。
「分かった、行こうか。まずは職員室」
「え、でも」
「いいから」
背中を叩かれて仕方なく、ランチトートを持って立ちあがる。そのまま連れだって教室を出ると、背後で話し声が復活した。四季が、聡が、あの四季が、あの聡が……。だが聡が涼しい顔をしているあたり、彼も私に似て、他人からの評価や目を気にしないのかも知れない。案外。
職員室で鍵をもらい、初めてふたり並んで美術準備室に入った。聡は確かに丸腰だった。まだ元気な太陽の日差しが、火事になりそうなほど窓側をじりじり焦がしている。
「服は着てきました」
「当たり前です」私は笑った。
「でも、あんなふうにして、よかったのかな」
「何が」
「佳山さんは私が聡と話してることが気にいらないだろうからって、余計な火種を広げないために教室で話しかけないようにしようって最初に言い出したのは、聡だよ」
「ああ、そうか、ごめん」聡は今思い出したように言った。「でも、あれなら大丈夫だと思う。俺が自発的に話しかけたんだから、四季が俺に近付いたっていう感じにはならないはず。もしつっこまれたら、俺が佳山さんを説得するよ」
「ややこしいのに、なんでそこまで」
「いや、手ぶらでって四季が言うから、珍しいなって気になってさ」
私は「そうそれ」と言い、ランチトートの中身を机に並べた。
今朝、ごはんを炊いて作ったそれは、おにぎりだった。ただごはんを手でにぎればいいのだと勝手に思っていたがどうやって具を入れればいいのかが分からず、ネットで調べた。
梅干しと、おかかのふりかけと、海苔を巻いた塩むすび。それぞれふたつずつ、計六つ。
ラップで個別につつんであるそれを聡は一瞬、あっけにとられたように見ていたが、「え、まさか」とつぶやいて私を見る。
「自分で?」
「そう、私が初めていちからぜんぶ作った、最初の料理」自分用のお弁当箱を出しながら言った。「まあ、にぎっただけなんですけど。ちゃんと自分でごはん炊いて、自分で最初から作ったよ」
自慢げに話していたが、後半は尻すぼみになった。かっこよく三角形にしようとしたおにぎりはなんだか形が大事件だし、ぎゅっとにぎりこみすぎて餅のようになってしまったかも知れない。そう考えると急に自信がしおれていった。
ひとり心の中で悶絶していると、聡は机に並べられたおにぎりのひとつを手に取って、嬉しそうに笑った。笑ってくれたんだ。
「……ありがとう、四季」
珍しく、へんにゃりと笑って言う。
私はしょげていたことも忘れて、肩をすくめて目をそらす。なんだか照れくさかった。
聡はおにぎり六個を自分の前に集めると、手を合わせて「いただきます」と言った。私もあわてて席につき、反射的に同じことをする。
聡は梅干しのおにぎりのラップをむしりとって、豪快にかじりついた。一気に半分がなくなってしまったおにぎりを静かに咀嚼する聡。私はお弁当箱の蓋を半分あけたまま手が止めて、固唾を飲んで見守った。
おにぎりを飲み込んだ彼はやがて微笑を浮かべ、シンプルに「おいしい」と言った。
「本当に?」
「おいしいけど……」
聡は手で口元を隠しながらラップの上に何かを吐きだした。
……梅干しの種だった。
「まるごとっていうのはなあ」
噛み砕くところでした、と言って聡が苦笑する。うわー、恥ずかしい、帰りたい、と思ったが、つられて笑ってしまう。
「ごめん、もう一個も同じだ」
私は机に突っ伏しながら言った。彼は梅干しおにぎりを食べると、今度はおかかおにぎりにかぶりついた。こちらはふりかけを混ぜこんだだけだ。それを食べて、同じように「おいしい」と言って笑う聡。塩むすびも同様。結局、私はそのあいだお弁当には手がつけられず、彼の反応を見ていた。ずっと笑ってくれていた。おなかがすいたお昼休みを、少しずつ幸福で満たすように。
六つのおにぎりを完食した聡は、いつもよりことさらていねいにきちんと手を合わせ、軽く頭をさげて「ごちそうさまでした」と言った。私も頭をさげて、生まれて初めて「よろしゅうおあがりました」と言った。ドラマの真似だ。
聡はラップをまとめながら、「こういうのっていいな」と嬉しそうに言う。
「学校で誰かが持ってきてくれた弁当食べるの、初めてかも」
「そうなの? 女子からわんさと餌付けされてるものかと」
「餌付けって」滅多に見せない、彼の吹きだし笑い。「じゃあ、これも餌付けなの?」
「まさか。単に、自力で作った料理を先生に味見してもらいたかったってだけ」
料理と言うには違う気がするけれど。聡は笑いながら首を振った。
「味見だなんて、俺はこれに星つけて評価しようとは思わないよ。おいしかった。自分で作るより、断然。もっと欲しいぐらい」
「え、嘘、ただの塩むすびとか……」
「塩でも梅でも何でも、四季が頑張って作ったおにぎりっていう点がいちばんなんだよ。コンビニのおにぎりだって、最近はレベル高くてめっちゃ美味しいけどさ。作った人の気持ちが直で伝わってくるものが俺は好き。また食べたいから、そのうちもう一回作ってきてよ。今度は材料費と手間賃払う」
聡はふわりと笑った。「おいしかった。ごちそうさま。ありがとう、四季」
聡は始終微笑んでいた。たった六個のおにぎりで、まるで焼き肉を食べたあとのように。
私はこの笑顔が見たかったんだと気づいて、どうしようもなく嬉しかったから、鼻の奥が酸っぱいものを食べたときのように痛んだ。それをごまかすようにへろりと笑った。
自分の作った料理で、誰かが笑顔になってくれる。冗談かと思うほど、それが嬉しくて。
この瞬間を閉じこめてしまいたくて。だけどそれはできないから、力いっぱい笑って、そしてまた明日も頑張ればいい。それだけだ。
ちいさなしあわせが、足元に転がっていた。それを知らせる声が、私にも聴こえた。
聡はひとしきり後味を楽しんだあと、申し訳なさそうに眉をひそめて「ごめん、やっぱりちょっと足りない」と言って立ちあがった。ポケットから財布を出す。
「六個も食べたのに?」
「男の子ですから」彼が財布を手でぽんぽん遊ばせると、小銭の音がした。「今購買行っても、まだなんか残ってるよね。カルピスも一緒に買ってきてあげるよ。待ってて」
そう言って彼は颯爽と美術準備室を出て行った。カルピスは、ちょうど私が「ちょっと抜けて買いに行こうかな」と思っていたものだった。聡が追加で食べたかったのは事実だろうが、そのついでに買ってきてくれるのは、おにぎりのお礼か何かなのか。
彼が私の食べたいもの、飲みたいものを読んで、買ってきてくれる、作ってくれる。もうそんな些細な優しさが、寒空の下で食べる肉まんのようにあたたかい超能力だということに、私は違和感を持っていない。
椅子に座って、膝の上で手の甲をあわせた。ふわっとした熱が、手から胸に伝わり、頬のあたりで丸くなる。それを逃がさないように、私は祈るように合わせた手を口元に当てた。
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