最弱スキル《リサイクル》で世界を覆す ~クラス追放された俺は仲間と共に成り上がる~

KABU.

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第四章:「大陸統一戦争」

第63話:鉄血の女王

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⸻雪原が広がっていた。
白い大地。凍てつく風。
砂漠とは正反対の世界――北方帝国《ヴァルヘイム》。

その中心都市《アーグレイン》は、氷の城壁に囲まれた軍事国家だ。
かつて大陸戦争で最も多くの血を流し、“鉄血”と恐れられた国。

蓮たちは、奴隷国家アドラの解放から数日後、北へ向かっていた。

リアが鼻を赤くしながら文句を言う。
「さっむぅ……なんで次はこんなとこ来るのさ!」

セリナが肩をすくめる。
「砂漠の次は氷原。試されてますね、私たちの耐久力。」

「文句言うな。ほら、息が白いぞ。」
蓮が軽く笑うと、リアはますますむくれた顔になる。
「蓮は平気そうだな……もしかして、人間って寒さに強いの?」

「いや、スキルで体温調整してるだけだよ。」
「ずるい!」

そんな他愛もない会話の裏で、蓮の視線は常に遠くを見据えていた。

「この国の女王、アメリア・ヴァルヘイム……“鉄血の女王”と呼ばれている。
 だが、ただの戦狂いじゃない。国家を一代で立て直した統治者でもある。」

セリナが頷く。
「知識と武力、両方を持つ稀有な人物です。彼女が味方につけば――この戦争は終わりに近づくでしょう。」

リアが拳を握った。
「味方にできるかな。鉄血の女王なんて、名前からして怖そうだけど……。」

蓮はわずかに笑う。
「どんな鉄でも、熱を加えれば柔らかくなる。」



凍りついた街の門前。
帝国の旗を掲げる兵たちが整列していた。
銀色の鎧、氷の紋章――緊張感が空気を刺す。

先頭の将校が鋭い声を上げた。
「名を名乗れ、旅の者!」

蓮は一歩前に出て、胸の前で手を合わせる。
「篠原蓮。《リサイクル連合》を率いる者だ。」

「……異端者か。」
兵たちの視線が鋭くなる。

セリナが冷静に答える。
「我々は戦いを望んでいません。陛下に謁見を求めます。」

しばし沈黙があった。
やがて将校が短く頷く。
「……通せ。ただし、武器は持ち込むな。」

リアがぼそっと呟く。
「敵意丸出しだねぇ。」
「当然だ。彼らにとって俺たちは、“世界を変える”存在だ。」
蓮の声は静かだが、どこか誇りが滲んでいた。



玉座の間。
巨大な氷柱の間に立つ玉座には、一人の女王がいた。
紅い軍服。黒髪に氷の冠。
女王アメリア・ヴァルヘイム――その姿は、まさに“鉄血”の名にふさわしかった。

「異端者、篠原蓮。遠い地から、わざわざ我が城へ。」
アメリアの声は低く、美しい。だが、その奥に鉄の冷たさがある。

「目的を言え。」

蓮は真っすぐに視線を合わせた。
「戦争を終わらせに来た。」

玉座の間にざわめきが走る。
兵士たちが動揺し、女王の片眉がわずかに上がった。

「……戦争を終わらせる? たった三人でか。」

「数の問題じゃない。
 “再生”は、戦いの数だけ存在する。俺たちは、その残骸を拾い集めているだけだ。」

アメリアはしばらく沈黙した後、立ち上がった。
「面白いことを言う。
 だが、この国は剣と血で築いた。犠牲なくして立つものなどない。」

リアが口を開いた。
「犠牲が出るからって、続けていい理由にはならないでしょ!」

アメリアの視線がリアを射抜く。
「狼の娘か……。お前のような獣人が、私の国で何を語る?」

リアは一歩も引かない。
「“獣”だろうが“人”だろうが、生きてる限り、誰かを守る権利はある!」

蓮が前に出た。
「陛下。俺たちは敵ではない。
 だが、あなたがこの戦争を続ける限り、次の“破壊”が生まれる。」

アメリアの瞳が冷たく光った。
「お前の“再生”は、私に“降伏しろ”と言っているのと同じだ。」

「違う。再生は、共存の形だ。
 あなたの力も、俺の力も、壊し合うためにあるんじゃない。」

⸻沈黙。

しばらくの間、女王は蓮を見つめていた。
その目の奥には、揺れる光。

「……ふむ。」
彼女は剣を抜いた。
「言葉だけでは信じられぬ。お前の“力”を見せろ。」

リアが警戒する。
「まさか、戦うってのか!?」

蓮は頷いた。
「構わない。信じてもらうには、それが一番早い。」



氷の大広間に、剣が交錯した。
アメリアの一撃は重く、正確だった。
戦場で磨かれた実戦の剣筋。

「弱いな、異端者!」

蓮は受け流しながら、短く息を吐いた。
「戦いの意味を……見失ってないか。」

「戦いこそが、私の生だ!」

その瞬間、蓮の掌が光を帯びた。
「《リサイクル・ドライブ》――記憶再生。」

周囲の氷が揺れ、過去の幻影が浮かぶ。
戦場。血の雪原。アメリアがまだ若き将だった頃――仲間たちを失い、血の海の中で立ち尽くす姿。

「これは……!」
アメリアが目を見開く。

「あなたが戦う理由は、復讐でも名誉でもない。
 “守れなかった者たち”への贖罪だ。」

アメリアの剣先が止まる。
蓮はそっと手を差し出した。
「だったら、もうその鎖を下ろせ。
 守りたいなら、壊すんじゃなく、再生すればいい。」

⸻沈黙。
氷の城に、風の音だけが響く。

アメリアは剣を下ろし、深く息を吐いた。
「……お前の言葉、鋭いな。
 血で染まった私の国にも、まだ救いがあると言うか。」

蓮は頷く。
「誰も捨てない。それが、俺の戦い方だ。」

女王は笑った。
氷の仮面が、わずかに崩れる。
「なるほど。“再生の王”か。
 いいだろう、篠原蓮。ヴァルヘイムは貴様らと手を結ぶ。」

リアが歓声を上げた。
「やったじゃん、蓮!」

セリナがほっと微笑む。
「これで、北方が味方に……。」

アメリアは玉座へ戻りながら、静かに言葉を残した。
「だが忘れるな。
 “神”の支配はまだ続いている。
 お前の再生が、世界そのものを敵に回すことになると覚悟しておけ。」

蓮は頷いた。
「覚悟なら、最初からできてる。」



夜。氷の城の外。
白い月が雪を照らしている。

リアが息を吐いた。
「……あの女王、怖いけど、悪い人じゃないね。」

「氷の下にも、温もりはある。」
蓮が微笑むと、セリナも小さく笑った。
「では次は……魔王軍ですね。」

蓮は遠く、闇の彼方を見つめた。
「“黒き嵐の将軍”――ヴァルグ。奴を止める。」
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