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第23話:“好き”を認めた日
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朝。
社内の自販機前。
「おい真由! 広報誌、見たか!?」
「……まだです。なにか載ってました?」
「“理想の上司と部下”特集、公開されたぞ! トップページだ!」
「えっ、トップ!?」
成田がスマホを見せる。
そこには――
“言葉の距離を超えて――信頼の先にある想い”
柊 誠 × 藤原 真由
笑顔の二人。
記事内にはあの一文。
『信頼の先にあるのは、もはや“好き”という感情かもしれません。』
(……書かれてる。思いっきり“好き”って)
「うわぁぁぁぁ!」
「どうした真由!?」
「いやぁぁぁぁぁ!」
「落ち着けって!」
(誰が編集許可出したの……!? まさか……)
背後から低い声。
「俺だ」
「課長ぉぉぉぉ!?」
「“誠”だ」
「そういう問題じゃないです!」
柊は落ち着いた表情でコーヒーを取る。
「事実を隠すより、伝えた方がいい」
「“好き”って単語を会社の広報誌で伝えるのは違うと思います!」
「そうか?」
「そうです!」
「でも、もうみんな読んでる」
「……ですよね……」
成田「SNSでもトレンド入りしてたぞ。“理想の上司、リアルに恋してた”」
「やめてぇぇぇ!」
⸻
昼休み。
カフェテリア。
人の視線が痛い。
「“信頼の先の好き”って、あれ藤原さんのこと?」
「まさか~、でもお似合いだよね~」
「絶対そうでしょ、あの二人空気似てるもん」
(……無理、恥ずかしすぎる)
真由はトレイを持ったまま、壁際に逃げ込む。
その背後に――柊。
「逃げても無駄だぞ」
「ストーカーみたいな言い方やめてください!」
「……昼、一緒にどうだ」
「え?」
「目立たない席、確保してある」
(……策士)
二人は隅の席へ。
「……こうやって隠れるの、なんかドラマみたいですね」
「俺は現実主義だ」
「でも、“現実”でこんなに注目されるなんて思わなかったですよ」
「注目されるのは、君が真っ直ぐだからだ」
「またそういう言い方……」
沈黙。
でも、居心地は悪くない。
「……あの記事の“好き”って、どういう意味で言ったんですか」
「そのままだ」
「はっきり言わないとわかりません」
「“君が好き”だ」
「っ……」
息が止まる。
本当に、まっすぐすぎる。
「……仕事上の、ですよね?」
「違う」
「えっ」
「“人として”だ」
「そ、それも違います!」
「じゃあ、“恋愛として”だ」
(ちょっ……本気すぎません!?)
「課長……!」
「誠」
「……誠さんっ!」
その呼び方をした瞬間、
彼の表情がやわらかくなった。
「その呼び方の方が、好きだ」
「……また反則です」
「言われ慣れてきたな」
「慣れないです!」
二人のやり取りに、遠くの席の社員たちがそっとスマホを構える。
(お願い、撮らないで……!)
⸻
午後。
広報チームミーティング。
美咲「二人とも、すっごい反響よ。“理想の上司、理想の恋人”って記事依頼が来てる」
真由「ちょ、やめてください! もう十分恥ずかしいです!」
成田「ついに社外デビューか~!」
「やめてぇぇぇ!」
柊「……断らない」
「課長!?」
「“理想の上司”の定義を変えるなら、
“恋も働くことも、誠実であっていい”って示したい」
「真面目に言わないでください! 余計に止めづらいです!」
美咲「もう決まりね。社外特集、動かすわ」
「美咲さん!?」
(終わった……この人たち、容赦ない……)
⸻
夜。
帰り道。
ビルの夜景が窓に映る。
隣を歩く彼。
「……後悔してませんか?」
「何を?」
「“公の場で、好きって言ったこと”」
「してない」
「どうしてそんなに言い切れるんですか」
「君が笑ったから」
「……」
「俺にとって、“好き”って言葉は、
人の生き方を決めるくらい大切なものなんだ」
(……私も、そう思う)
「……じゃあ私も」
「ん?」
「“好き”って言っていいですか?」
「聞こう」
「……誠さんが、好きです」
夜風が、優しく吹いた。
「やっと聞けた」
「遅いって言わないでください」
「言わない。むしろ、完璧なタイミングだ」
二人の影が重なって伸びていく。
それはまるで、“信頼”の先に芽生えた光のようだった。
社内の自販機前。
「おい真由! 広報誌、見たか!?」
「……まだです。なにか載ってました?」
「“理想の上司と部下”特集、公開されたぞ! トップページだ!」
「えっ、トップ!?」
成田がスマホを見せる。
そこには――
“言葉の距離を超えて――信頼の先にある想い”
柊 誠 × 藤原 真由
笑顔の二人。
記事内にはあの一文。
『信頼の先にあるのは、もはや“好き”という感情かもしれません。』
(……書かれてる。思いっきり“好き”って)
「うわぁぁぁぁ!」
「どうした真由!?」
「いやぁぁぁぁぁ!」
「落ち着けって!」
(誰が編集許可出したの……!? まさか……)
背後から低い声。
「俺だ」
「課長ぉぉぉぉ!?」
「“誠”だ」
「そういう問題じゃないです!」
柊は落ち着いた表情でコーヒーを取る。
「事実を隠すより、伝えた方がいい」
「“好き”って単語を会社の広報誌で伝えるのは違うと思います!」
「そうか?」
「そうです!」
「でも、もうみんな読んでる」
「……ですよね……」
成田「SNSでもトレンド入りしてたぞ。“理想の上司、リアルに恋してた”」
「やめてぇぇぇ!」
⸻
昼休み。
カフェテリア。
人の視線が痛い。
「“信頼の先の好き”って、あれ藤原さんのこと?」
「まさか~、でもお似合いだよね~」
「絶対そうでしょ、あの二人空気似てるもん」
(……無理、恥ずかしすぎる)
真由はトレイを持ったまま、壁際に逃げ込む。
その背後に――柊。
「逃げても無駄だぞ」
「ストーカーみたいな言い方やめてください!」
「……昼、一緒にどうだ」
「え?」
「目立たない席、確保してある」
(……策士)
二人は隅の席へ。
「……こうやって隠れるの、なんかドラマみたいですね」
「俺は現実主義だ」
「でも、“現実”でこんなに注目されるなんて思わなかったですよ」
「注目されるのは、君が真っ直ぐだからだ」
「またそういう言い方……」
沈黙。
でも、居心地は悪くない。
「……あの記事の“好き”って、どういう意味で言ったんですか」
「そのままだ」
「はっきり言わないとわかりません」
「“君が好き”だ」
「っ……」
息が止まる。
本当に、まっすぐすぎる。
「……仕事上の、ですよね?」
「違う」
「えっ」
「“人として”だ」
「そ、それも違います!」
「じゃあ、“恋愛として”だ」
(ちょっ……本気すぎません!?)
「課長……!」
「誠」
「……誠さんっ!」
その呼び方をした瞬間、
彼の表情がやわらかくなった。
「その呼び方の方が、好きだ」
「……また反則です」
「言われ慣れてきたな」
「慣れないです!」
二人のやり取りに、遠くの席の社員たちがそっとスマホを構える。
(お願い、撮らないで……!)
⸻
午後。
広報チームミーティング。
美咲「二人とも、すっごい反響よ。“理想の上司、理想の恋人”って記事依頼が来てる」
真由「ちょ、やめてください! もう十分恥ずかしいです!」
成田「ついに社外デビューか~!」
「やめてぇぇぇ!」
柊「……断らない」
「課長!?」
「“理想の上司”の定義を変えるなら、
“恋も働くことも、誠実であっていい”って示したい」
「真面目に言わないでください! 余計に止めづらいです!」
美咲「もう決まりね。社外特集、動かすわ」
「美咲さん!?」
(終わった……この人たち、容赦ない……)
⸻
夜。
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隣を歩く彼。
「……後悔してませんか?」
「何を?」
「“公の場で、好きって言ったこと”」
「してない」
「どうしてそんなに言い切れるんですか」
「君が笑ったから」
「……」
「俺にとって、“好き”って言葉は、
人の生き方を決めるくらい大切なものなんだ」
(……私も、そう思う)
「……じゃあ私も」
「ん?」
「“好き”って言っていいですか?」
「聞こう」
「……誠さんが、好きです」
夜風が、優しく吹いた。
「やっと聞けた」
「遅いって言わないでください」
「言わない。むしろ、完璧なタイミングだ」
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それはまるで、“信頼”の先に芽生えた光のようだった。
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