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神剣 大お披露目会 Ⅲ
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高虎さんが夜にいらっしゃり、私の寝所でお話を伺った。
私は寝間着を着替えようとしたが、高虎さんからそのままで良いと言われた。
その時に道間家での虎白さんたちの暴走を高虎さんから聞き、大いに反省した。
うかつに青月たちに話してしまい、その青月たちから虎白さんが聞いたらしい。
子どもたちに罪は無い。
私が考え無しだったのだ。
麗星さんに本当に申し訳ないことをしたし、高虎さんにもそうだ。
高虎さんは重要な作戦を構築され、多くの機密を持っている方だ。
もちろん私も軽々しく機密を話してはいけないことは分かっていた。
でも私的なことだからと私は考えてしまった。
青月たちにも喜んで欲しかったのだ。
高虎さんから、虎白さんたちには話すなと言われてていたのに。
まさか青月たちの口から伝わってしまうとは考えなかった私の責任だ。
謝る私に、高虎さんは優しく笑って言った。
「虎蘭も基本的に石神家の思考だからなぁ」
「本当に申し訳ありません」
「まあ、今後は注意してくれよな。子どもっていうのは無邪気なんだ。大好きな人間を喜ばせようと思えば善悪はねぇ。だから大人が考えてやらねばいかん」
「はい、その通りです。私の不明でした」
しょんぼりしている私の肩を抱いて、高虎さんが笑って言った。
「もういいよ。まあ、あの人らの気持ちも分からんでもねぇしな」
「虎白さんたちですか」
「あの人らは剣のことならまっしぐらだ。別に悪いことじゃねぇしな。道間家を困らせるつもりもなかったようだし、まあいつもの暴走だ」
「はい……」
私も虎白さんたちの気持ちが分かるので、本当に申し訳ない。
高虎さんが私の浴衣を脱がせ始めた。
このような時にと思ったが、嬉しいのでそのまま大人しくしていた。
しかしあの人たちを暴走させたのはまだ気になる。
でも高虎さんが意外なことを言った。
「まあだからよ、この際、虎白さんたちにも神剣を見せてやろうかと思ってな」
「え?」
「道間家のものも見せてやろうじゃねぇか」
「でも、麗星さんが……」
麗星さんにも本当に申し訳ない。
襲撃では無かったにせよ、急に押し掛けて「神剣を見せろ」と迫ったのだ。
恐れはしなかったにせよ、さぞお困りだっただろう。
私としては虎白さんたちは大好きで、出来れば神剣を見せてあげたいとは思うが、麗星さんのお気持ちを考えると心苦しい。
私は下着も脱がされ、完全に裸になった。
「俺が話すよ。麗星も別に虎白さんたちが嫌いなわけじゃねぇ。麗星だって危ない所を何度も救ってもらったこともあるしな」
「はぁ」
まあ、そういうことは知っている。
それに麗星さんは今の当主として、先代の宇羅が高虎さんの父親にやったことを今も悔やんでいる。
自分が石神家の方に殺されても文句は言えないのだと前に話していた。
高虎さんがベッドに座り、私を膝の上に乗せた。
いつものように、優しく愛撫されていく。
「虎蘭、他の神剣のことは分かるか?」
「いいえ、道間家のものは何となく。麗星さんと親しかったからでしょうか」
「まあ、そうかもな。でも他にもあることは分かっているな?」
「はい」
「俺が知る限り、百家にもある。まあ、あそこの人間も気付いていないがな」
私は思わず驚いて腰を浮かせた。
指が私から抜け、高虎さんが「座れ」と言った。
「そうなのですか!」
「それから三輪山、妙見山、それに大雪山だ」
「高虎さん、どうしてそれを!」
「「虎王」の感知能力かな」
「「虎王」が神剣の最高峰だからですか?」
高虎さんが笑っておっしゃった。
「それは分からんよ。ただ、「虎王」は神宮寺家が打ったことになってはいるが、俺はそれだけではないと考えている」
私はまた驚いた。
「え、それはどういうことですか!」
「だから分からんよ。でも人間だけの力では、あのような神剣にはならない。そう思っているだけだ」
「それは何とも……」
高虎さんの言わんとすることは私にも分かった。
「虎王」はあまりにも超絶過ぎるのだ。
それは私が「常世渡理」を使っているからこそ分かる。
神剣の凄まじさは果てしがない。
それこそ「目一つ神(まひとつのかみ)」が打ったものだとか、「流星剣」などは遠い時代に刀剣を極めた遠い星の民族の技術の粋を集めたものだと分かった。
人間が如何に技を高めようと、おいそれと到達出来るものではない。
ならば、「虎王」には一体どのような謂れがあるのだろうか。
もちろん他の神剣も恐ろしく奥深い。
だからこそ、日々の鍛錬を怠れないのだ。
自分を高めて、神剣を操れるように近付いていく必要がある。
それでも、「虎王」は次元が違い過ぎる。
高虎さんが振るうと、更にとんでもない力がある。
あれほど神剣の力を引き出すのは、相当なことだ。
「虎王」が凄まじいことは間違いないが、それを扱う高虎さんが素晴らしい。
高虎さんの指で、意識が遠ざかりつつある。
高虎さんは本当に上手い。
「さて、ここいらで神剣のお披露目でもしてみるかぁ」
「あの、他の神剣も集めるのですか?」
「ああ、クロピョンに頼めば山の中のものは何とかなるだろう」
「それでは百家も」
「あそことは親しくしているからな。頼めば何とかなるだろう」
「そうですか……」
私には俄かには理解出来ないが、高虎さんの言うことだ。
きっとそのようになるのだろう。
私はもう自分が保てずに高虎さんに抱き着いた。
翌朝、高虎さんは百家に向かわれた。
響子さんも一緒だ。
そして麗星さんとの約束の日、本当に神剣が揃った。
私は寝間着を着替えようとしたが、高虎さんからそのままで良いと言われた。
その時に道間家での虎白さんたちの暴走を高虎さんから聞き、大いに反省した。
うかつに青月たちに話してしまい、その青月たちから虎白さんが聞いたらしい。
子どもたちに罪は無い。
私が考え無しだったのだ。
麗星さんに本当に申し訳ないことをしたし、高虎さんにもそうだ。
高虎さんは重要な作戦を構築され、多くの機密を持っている方だ。
もちろん私も軽々しく機密を話してはいけないことは分かっていた。
でも私的なことだからと私は考えてしまった。
青月たちにも喜んで欲しかったのだ。
高虎さんから、虎白さんたちには話すなと言われてていたのに。
まさか青月たちの口から伝わってしまうとは考えなかった私の責任だ。
謝る私に、高虎さんは優しく笑って言った。
「虎蘭も基本的に石神家の思考だからなぁ」
「本当に申し訳ありません」
「まあ、今後は注意してくれよな。子どもっていうのは無邪気なんだ。大好きな人間を喜ばせようと思えば善悪はねぇ。だから大人が考えてやらねばいかん」
「はい、その通りです。私の不明でした」
しょんぼりしている私の肩を抱いて、高虎さんが笑って言った。
「もういいよ。まあ、あの人らの気持ちも分からんでもねぇしな」
「虎白さんたちですか」
「あの人らは剣のことならまっしぐらだ。別に悪いことじゃねぇしな。道間家を困らせるつもりもなかったようだし、まあいつもの暴走だ」
「はい……」
私も虎白さんたちの気持ちが分かるので、本当に申し訳ない。
高虎さんが私の浴衣を脱がせ始めた。
このような時にと思ったが、嬉しいのでそのまま大人しくしていた。
しかしあの人たちを暴走させたのはまだ気になる。
でも高虎さんが意外なことを言った。
「まあだからよ、この際、虎白さんたちにも神剣を見せてやろうかと思ってな」
「え?」
「道間家のものも見せてやろうじゃねぇか」
「でも、麗星さんが……」
麗星さんにも本当に申し訳ない。
襲撃では無かったにせよ、急に押し掛けて「神剣を見せろ」と迫ったのだ。
恐れはしなかったにせよ、さぞお困りだっただろう。
私としては虎白さんたちは大好きで、出来れば神剣を見せてあげたいとは思うが、麗星さんのお気持ちを考えると心苦しい。
私は下着も脱がされ、完全に裸になった。
「俺が話すよ。麗星も別に虎白さんたちが嫌いなわけじゃねぇ。麗星だって危ない所を何度も救ってもらったこともあるしな」
「はぁ」
まあ、そういうことは知っている。
それに麗星さんは今の当主として、先代の宇羅が高虎さんの父親にやったことを今も悔やんでいる。
自分が石神家の方に殺されても文句は言えないのだと前に話していた。
高虎さんがベッドに座り、私を膝の上に乗せた。
いつものように、優しく愛撫されていく。
「虎蘭、他の神剣のことは分かるか?」
「いいえ、道間家のものは何となく。麗星さんと親しかったからでしょうか」
「まあ、そうかもな。でも他にもあることは分かっているな?」
「はい」
「俺が知る限り、百家にもある。まあ、あそこの人間も気付いていないがな」
私は思わず驚いて腰を浮かせた。
指が私から抜け、高虎さんが「座れ」と言った。
「そうなのですか!」
「それから三輪山、妙見山、それに大雪山だ」
「高虎さん、どうしてそれを!」
「「虎王」の感知能力かな」
「「虎王」が神剣の最高峰だからですか?」
高虎さんが笑っておっしゃった。
「それは分からんよ。ただ、「虎王」は神宮寺家が打ったことになってはいるが、俺はそれだけではないと考えている」
私はまた驚いた。
「え、それはどういうことですか!」
「だから分からんよ。でも人間だけの力では、あのような神剣にはならない。そう思っているだけだ」
「それは何とも……」
高虎さんの言わんとすることは私にも分かった。
「虎王」はあまりにも超絶過ぎるのだ。
それは私が「常世渡理」を使っているからこそ分かる。
神剣の凄まじさは果てしがない。
それこそ「目一つ神(まひとつのかみ)」が打ったものだとか、「流星剣」などは遠い時代に刀剣を極めた遠い星の民族の技術の粋を集めたものだと分かった。
人間が如何に技を高めようと、おいそれと到達出来るものではない。
ならば、「虎王」には一体どのような謂れがあるのだろうか。
もちろん他の神剣も恐ろしく奥深い。
だからこそ、日々の鍛錬を怠れないのだ。
自分を高めて、神剣を操れるように近付いていく必要がある。
それでも、「虎王」は次元が違い過ぎる。
高虎さんが振るうと、更にとんでもない力がある。
あれほど神剣の力を引き出すのは、相当なことだ。
「虎王」が凄まじいことは間違いないが、それを扱う高虎さんが素晴らしい。
高虎さんの指で、意識が遠ざかりつつある。
高虎さんは本当に上手い。
「さて、ここいらで神剣のお披露目でもしてみるかぁ」
「あの、他の神剣も集めるのですか?」
「ああ、クロピョンに頼めば山の中のものは何とかなるだろう」
「それでは百家も」
「あそことは親しくしているからな。頼めば何とかなるだろう」
「そうですか……」
私には俄かには理解出来ないが、高虎さんの言うことだ。
きっとそのようになるのだろう。
私はもう自分が保てずに高虎さんに抱き着いた。
翌朝、高虎さんは百家に向かわれた。
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そして麗星さんとの約束の日、本当に神剣が揃った。
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