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ダーティ玻璃 Ⅴ : 失恋はウンコ味 2
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とりあえず、ハーをベッドに横たえた。
私たちの部屋は500平米の広さで、通信機器やいろんな装置の他に、生活のベッドやテーブル、ソファや収納などがある。
キッチンは流石に続き部屋だが。
秘密の趣味部屋も500平米で隣にある。
仕事をしながら短時間寝たり、すぐにここで飲み食いが出来るようになっている。
仕事の手伝いや家事一般は私たちの専用デュールゲリエ部隊RHB48がいる。
もちろんみんな、ダンスも歌も上手い。
傍にいたRHB48のイチゴちゃんが心配して寄って来た。
「大丈夫ですか? 「虎病院」へお運びしましょうか」
「いいよ、ちょっとショックを受けただけだから」
「ハー様がですか! 大変ではありませんか!」
「大丈夫だよ。少し寝かせておくよ」
「はい、何かありましたら、いつでも仰ってください」
「うん、ありがとね」
なんとかなるかなー。
まー、そんなにショックだったかよー。
全然知らなかったもんなー。
私はすぐにタカさんに連絡しようとしたら、タカさんから電話が来た。
「タカさん、ハーが「棒」になっちゃった!」
「遅かったかぁ!」
タカさんは驚かない。
「え? 実はさっき馬込のメールを見て」
「だよな!」
「? あのね、馬込が結婚するんだって」
「だからすぐに行くぅ!」
タカさんはすぐに来ると言っていた。
ハーが馬込のことが好きなのは、タカさんも知ってる。
ハー自身は口に出したことは無いけど、私も知ってる。
態度で分かるもん。
タカさんもそうだ。
ハーに直接聞いたことは無いし、確認したこともない。
だけど私たちには分かる。
タカさんが来た。
ハーはまだ「棒」。
そういえば前に、亜紀ちゃんと柳ちゃんも「棒」になったなー。
「Ωカメムシ」を私たちが隠れて開発して大事になった時なー。
家を追い出されたなー。
タカさんは私の顔を見てから、すぐにベッドのハーを抱き締めた。
私はタカさんに「馬込が結婚する」ということしか話していない。
タカさんはそれだけで、ハーがショックで「棒」になってしまったことが分っている。
そしてハーがどんなにかショックを受けたのかも分かっているのだ。
「おい、ハー、しっかりしろ」
優しくハーを抱き起し、頬を付けてハーに話し掛けた。
「失恋くらいでヘコむなんて、お前らしくねぇぞ。元気出せよ」
ハーの身体がピクンと動いた。
「お前ら、俺が一番だって言ってたじゃんか。なぁ?」
ハーの目から涙が零れた。
「タカさーん!」
ハーが意識を取り戻しタカさんに抱き着いた。
流石はタカさん!
ああ、良かった。
「わたし! わたし! わたしぃ!」
「いいよ、何も言うな。辛かったら泣けよ。俺はここにいるぞ」
「タカさーん! 大好きだよー!」
「俺もだ。ルーもな」
「うん!」
私もハーの背中に回って抱き締めた。
「よしよし」
ハーは泣きじゃくっている。
言葉にならないんだ。
ハーの乱れた感情が私の中にも流れてくる。
苦しいよね、ハー。
タカさんはハーを抱き締めてずっと頭を撫でている。
昔からそうだ。
タカさんに頭を撫でられると、いつも不思議と安心できた。
あの時からタカさんの優しさは全然変わらない。
私たちの大好きなタカさん!
「ん?」
不意にタカさんの手が停まった。
あ、なんか臭い。
私も気付いた。
「おい」
「あ!」
ハーの「ウンちゃん能力」が暴走しとるぅぅぅーーー!
「タカさん、離れて! ウンコになっちゃうよ!」
「てっめぇー!」
タカさんがハーを蹴り飛ばした。
ハーが泣きながら文句を言う。
「タカさん、ひどいよー」
「それはお前だぁ!」
ハーは床に転げ落ち、タカさんに顎を回し蹴りで吹っ飛ばされた。
やっぱり流石のタカさんで、私たちも回避できない鮮やかさだ。
ハーの意識が途絶え、失神した。
「ウンコ化」の能力も解除された。
ハーが寝ていたベッドのお布団くらいで被害は済んだ。
ウンコになっているが。
タカさんのシャツも一部ウンコ化してたが。
「このやろう!」
「まあまあ、タカさん」
まー心配して来てくれたのに、危うくウンコにされそうだったんだもんね。
タカさんは怒って、基地内の演習場の浄化水槽の中にハーを入れた。
目を覚ましたハーが泣き叫んで、ようやくタカさんは許した。
ハーも流石に落ち着きを取り戻した。
タカさんに必死に謝った。
私にも謝ってほしかったけど、ややこしくなるので黙ってた。
えーと、馬込は「ハイドラ」の副官の花咲里(かざり)と結婚することになりましたー。
メールには自分は結婚する気は無かったのだけど、いつの間にか一緒にいる花咲里のことが好きになったのだ、などと書いてありましたー。
どうでもいいけど、ハーはショックでしたー!
ということで、結婚式のお誘いのメールだった。
馬込がいきなりプロポーズして、すぐに決めたようだった。
タカさんにはさっき直接報告に行ったらしい。
お前ら、ちょっとは時間をくれよー。
どうすっかと思ったけど、タカさんも行くし、同級生だった私たちも参加しろと言われた。
私たちが一番付き合いの長い親友だったからだ。
他には「ハイドラ」の部隊員たち、それに馬込の親友、磯良と竹流も出る。
タカさんが私に磯良と竹流のスケジュールを押さえておけと言った。
「虎」の軍は相当上の人間も来るし、人生研究会の仲間も多い。
日本でも何度か「アドヴェロス」の支援もしたので、早乙女さんたちも来るようだ。
相当大きな結婚式になるだろう。
結婚式は日本でやりたいということだった。
2000人は来るだろうなぁ。
と思っていたら、やっぱり都内の有数の結婚式場が会場だった。
ハーが暗いので、仕事が捗らない。
いつもの3分の2くらいのペースだ。
イチゴちゃんたちも頑張ってるけど、私とハーの高速思考が滞っているのがきつい。
馬込の結婚式が終わればよくなるかなー。
私たちの部屋は500平米の広さで、通信機器やいろんな装置の他に、生活のベッドやテーブル、ソファや収納などがある。
キッチンは流石に続き部屋だが。
秘密の趣味部屋も500平米で隣にある。
仕事をしながら短時間寝たり、すぐにここで飲み食いが出来るようになっている。
仕事の手伝いや家事一般は私たちの専用デュールゲリエ部隊RHB48がいる。
もちろんみんな、ダンスも歌も上手い。
傍にいたRHB48のイチゴちゃんが心配して寄って来た。
「大丈夫ですか? 「虎病院」へお運びしましょうか」
「いいよ、ちょっとショックを受けただけだから」
「ハー様がですか! 大変ではありませんか!」
「大丈夫だよ。少し寝かせておくよ」
「はい、何かありましたら、いつでも仰ってください」
「うん、ありがとね」
なんとかなるかなー。
まー、そんなにショックだったかよー。
全然知らなかったもんなー。
私はすぐにタカさんに連絡しようとしたら、タカさんから電話が来た。
「タカさん、ハーが「棒」になっちゃった!」
「遅かったかぁ!」
タカさんは驚かない。
「え? 実はさっき馬込のメールを見て」
「だよな!」
「? あのね、馬込が結婚するんだって」
「だからすぐに行くぅ!」
タカさんはすぐに来ると言っていた。
ハーが馬込のことが好きなのは、タカさんも知ってる。
ハー自身は口に出したことは無いけど、私も知ってる。
態度で分かるもん。
タカさんもそうだ。
ハーに直接聞いたことは無いし、確認したこともない。
だけど私たちには分かる。
タカさんが来た。
ハーはまだ「棒」。
そういえば前に、亜紀ちゃんと柳ちゃんも「棒」になったなー。
「Ωカメムシ」を私たちが隠れて開発して大事になった時なー。
家を追い出されたなー。
タカさんは私の顔を見てから、すぐにベッドのハーを抱き締めた。
私はタカさんに「馬込が結婚する」ということしか話していない。
タカさんはそれだけで、ハーがショックで「棒」になってしまったことが分っている。
そしてハーがどんなにかショックを受けたのかも分かっているのだ。
「おい、ハー、しっかりしろ」
優しくハーを抱き起し、頬を付けてハーに話し掛けた。
「失恋くらいでヘコむなんて、お前らしくねぇぞ。元気出せよ」
ハーの身体がピクンと動いた。
「お前ら、俺が一番だって言ってたじゃんか。なぁ?」
ハーの目から涙が零れた。
「タカさーん!」
ハーが意識を取り戻しタカさんに抱き着いた。
流石はタカさん!
ああ、良かった。
「わたし! わたし! わたしぃ!」
「いいよ、何も言うな。辛かったら泣けよ。俺はここにいるぞ」
「タカさーん! 大好きだよー!」
「俺もだ。ルーもな」
「うん!」
私もハーの背中に回って抱き締めた。
「よしよし」
ハーは泣きじゃくっている。
言葉にならないんだ。
ハーの乱れた感情が私の中にも流れてくる。
苦しいよね、ハー。
タカさんはハーを抱き締めてずっと頭を撫でている。
昔からそうだ。
タカさんに頭を撫でられると、いつも不思議と安心できた。
あの時からタカさんの優しさは全然変わらない。
私たちの大好きなタカさん!
「ん?」
不意にタカさんの手が停まった。
あ、なんか臭い。
私も気付いた。
「おい」
「あ!」
ハーの「ウンちゃん能力」が暴走しとるぅぅぅーーー!
「タカさん、離れて! ウンコになっちゃうよ!」
「てっめぇー!」
タカさんがハーを蹴り飛ばした。
ハーが泣きながら文句を言う。
「タカさん、ひどいよー」
「それはお前だぁ!」
ハーは床に転げ落ち、タカさんに顎を回し蹴りで吹っ飛ばされた。
やっぱり流石のタカさんで、私たちも回避できない鮮やかさだ。
ハーの意識が途絶え、失神した。
「ウンコ化」の能力も解除された。
ハーが寝ていたベッドのお布団くらいで被害は済んだ。
ウンコになっているが。
タカさんのシャツも一部ウンコ化してたが。
「このやろう!」
「まあまあ、タカさん」
まー心配して来てくれたのに、危うくウンコにされそうだったんだもんね。
タカさんは怒って、基地内の演習場の浄化水槽の中にハーを入れた。
目を覚ましたハーが泣き叫んで、ようやくタカさんは許した。
ハーも流石に落ち着きを取り戻した。
タカさんに必死に謝った。
私にも謝ってほしかったけど、ややこしくなるので黙ってた。
えーと、馬込は「ハイドラ」の副官の花咲里(かざり)と結婚することになりましたー。
メールには自分は結婚する気は無かったのだけど、いつの間にか一緒にいる花咲里のことが好きになったのだ、などと書いてありましたー。
どうでもいいけど、ハーはショックでしたー!
ということで、結婚式のお誘いのメールだった。
馬込がいきなりプロポーズして、すぐに決めたようだった。
タカさんにはさっき直接報告に行ったらしい。
お前ら、ちょっとは時間をくれよー。
どうすっかと思ったけど、タカさんも行くし、同級生だった私たちも参加しろと言われた。
私たちが一番付き合いの長い親友だったからだ。
他には「ハイドラ」の部隊員たち、それに馬込の親友、磯良と竹流も出る。
タカさんが私に磯良と竹流のスケジュールを押さえておけと言った。
「虎」の軍は相当上の人間も来るし、人生研究会の仲間も多い。
日本でも何度か「アドヴェロス」の支援もしたので、早乙女さんたちも来るようだ。
相当大きな結婚式になるだろう。
結婚式は日本でやりたいということだった。
2000人は来るだろうなぁ。
と思っていたら、やっぱり都内の有数の結婚式場が会場だった。
ハーが暗いので、仕事が捗らない。
いつもの3分の2くらいのペースだ。
イチゴちゃんたちも頑張ってるけど、私とハーの高速思考が滞っているのがきつい。
馬込の結婚式が終わればよくなるかなー。
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