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イナゴの群れは、すべてを
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朝の8時に、一江たちが来た。
朝食に雑煮を作るためだ。
響子はまだ寝ているが、うちの子どもたちはみんな起きている。
峰岸を中心に、雑煮が作られている。
事前に下ごしらえが済んでいるし、汁も用意してある。
だから、餅と汁の味の調整だけでいい。
ちなみに、うちの鍋は寸胴だ。河童橋まで買い物に行った。
「大森先生、お餅はどうですか?」
「ああ、用意できたよ!」
俺はずっと準備を見ていた子どもたちをテーブルに着かせた。
一江たちが配膳する。
亜紀ちゃんが申し訳なさそうに見ている。
今日くらいは子どもらしくな。
大人に甘えてくれ。
「熱いから気をつけろよ」
「「「「はーい!」」」」
「それでは、新年あけまして、おめでとうございます!」
みんな、それに倣って言う。
「いただきます!」
「「「「「「「いただきます!」」」」」」」
峰岸の出汁の取り方、料理全般は本当に素晴らしい。
俺は正月料理全般が好きではないのだが、この雑煮は絶品だ。
ちなみに餅が嫌いなので、俺は餅なしで食べている。
みんなでワイワイと食べているのを眺め、俺は響子の様子を見に行った。
ついて来ようとする六花を手で制して、みんなと食べさせる。
部屋のドアを開けると、響子は目を覚ました。
「グモーニン」
寝ぼけているようだ。ぐっすり眠った証拠だからそれで良い。
近づく俺に、響子が両手を伸ばしてくる。
俺はベッドに乗って、優しく抱きしめてやる。
「響子、新しい年になったぞ」
「うん」
迎えられなかったはずの新年。
俺は響子の鼻をペロペロしてやる。
「いやぁー」
響子が笑って嫌がる。
「あ、なんかいい匂いがする」
「ああ、いまみんなで雑煮を食べているんだ」
「ゾウニー?」
「食べられるようなら、後でな。先に顔を洗おう」
「うん」
俺は響子を洗面所に連れて行った。
3階の洗面所は6畳ほどの空間だ。
SLAVIAの特注の洗面台が2台並んでいる。
壁は黒い大理石に、50ミリほどの青の御影石の帯が、等間隔に並んでいる。
ちなみに、俺の寝室の壁はアズールバイアだ。
他の寝室などの多くは壁紙だが。
リヴィングではまだみんなが食べていた。
響子の姿を見て、六花が近づいてくる。
「あけましておめでとう、響子」
「アケマ?」
「日本の新年の挨拶だ。「A Happy New Year」という意味だよ」
響子にも餅なしの雑煮を用意する。
日本の出汁にも慣れてきて、響子は美味しいと言った。
一江たちは片づけを子どもたちに任せ、おせち料理を出していく。
亜紀ちゃんはそれを見て、何か感慨深げだ。
他の子どもたちはどうかと見ると、意外にあっさりしている。
あれ?
まあ、無理もないのかもしれない。
山中の奥さんも、正月の雰囲気つくりのつもりだったのだろう。
酒でも飲まないかぎり、子どもがあまり食べるものでもないのかもしれない。
しかし、最初に双子が箸を入れた瞬間。
「!」
「!」
味を知りやがった。
普通のおせち料理であれば、違ったのかもしれない。
さすがは大料亭の娘・峰岸様監修だ。一味も二味も違う。
子どもたちは以心伝心で悟ったようだ。
争奪戦が始まった。
「まあ、慌てないで食べろよ。量は峰岸さんたちが一杯作ってくれたからな!」
「はい、ありがとうございました!」
「「「ありがとうございました!」」」
みんなで礼を言う。
俺は余裕があった。
この領土は奪われても、金山は俺の手元にある。
俺は一江に目配せし、一階の応接室に準備するよう合図した。
子どもたちは夢中で食べていて、こちらの動きに気付いていない。
子どもたちに、喧嘩しないで食べるよう伝え、大人たちと響子は一階へ。
俺が買った五段の重箱には、金に糸目をつけずに買った高級食材のおせちが入っている。
子ども用のエビは車海老だが、大人用は伊勢海老だ。アワビもグレードが違うし、牛肉もランクが違う。
すべて桁違いの値段のものをふんだんに使った、スペシャルのものなのだ。
亜紀ちゃんも知らない。
冷酒を準備し、大人たちは舌鼓を打つ。
その時、ハーが応接室に入ってきた。
こいつはたまに、霊感のようなものが働く時がある。
一瞬で事態を悟ったハーは、壁の電話をとり、一斉ボタンを押した。
慌てて一江と大森が押さえ込むが、ぶら下がった受話器に、ハーが叫ぶ。
「緊急集合! 一階応接室! 緊急集合!」
『空を覆うほどの蝗の群れは、雹害をまぬがれた作物を食べつくし、緑のものはエジプトから消えた』
スペシャルおせちは、10分で消えた。
朝食に雑煮を作るためだ。
響子はまだ寝ているが、うちの子どもたちはみんな起きている。
峰岸を中心に、雑煮が作られている。
事前に下ごしらえが済んでいるし、汁も用意してある。
だから、餅と汁の味の調整だけでいい。
ちなみに、うちの鍋は寸胴だ。河童橋まで買い物に行った。
「大森先生、お餅はどうですか?」
「ああ、用意できたよ!」
俺はずっと準備を見ていた子どもたちをテーブルに着かせた。
一江たちが配膳する。
亜紀ちゃんが申し訳なさそうに見ている。
今日くらいは子どもらしくな。
大人に甘えてくれ。
「熱いから気をつけろよ」
「「「「はーい!」」」」
「それでは、新年あけまして、おめでとうございます!」
みんな、それに倣って言う。
「いただきます!」
「「「「「「「いただきます!」」」」」」」
峰岸の出汁の取り方、料理全般は本当に素晴らしい。
俺は正月料理全般が好きではないのだが、この雑煮は絶品だ。
ちなみに餅が嫌いなので、俺は餅なしで食べている。
みんなでワイワイと食べているのを眺め、俺は響子の様子を見に行った。
ついて来ようとする六花を手で制して、みんなと食べさせる。
部屋のドアを開けると、響子は目を覚ました。
「グモーニン」
寝ぼけているようだ。ぐっすり眠った証拠だからそれで良い。
近づく俺に、響子が両手を伸ばしてくる。
俺はベッドに乗って、優しく抱きしめてやる。
「響子、新しい年になったぞ」
「うん」
迎えられなかったはずの新年。
俺は響子の鼻をペロペロしてやる。
「いやぁー」
響子が笑って嫌がる。
「あ、なんかいい匂いがする」
「ああ、いまみんなで雑煮を食べているんだ」
「ゾウニー?」
「食べられるようなら、後でな。先に顔を洗おう」
「うん」
俺は響子を洗面所に連れて行った。
3階の洗面所は6畳ほどの空間だ。
SLAVIAの特注の洗面台が2台並んでいる。
壁は黒い大理石に、50ミリほどの青の御影石の帯が、等間隔に並んでいる。
ちなみに、俺の寝室の壁はアズールバイアだ。
他の寝室などの多くは壁紙だが。
リヴィングではまだみんなが食べていた。
響子の姿を見て、六花が近づいてくる。
「あけましておめでとう、響子」
「アケマ?」
「日本の新年の挨拶だ。「A Happy New Year」という意味だよ」
響子にも餅なしの雑煮を用意する。
日本の出汁にも慣れてきて、響子は美味しいと言った。
一江たちは片づけを子どもたちに任せ、おせち料理を出していく。
亜紀ちゃんはそれを見て、何か感慨深げだ。
他の子どもたちはどうかと見ると、意外にあっさりしている。
あれ?
まあ、無理もないのかもしれない。
山中の奥さんも、正月の雰囲気つくりのつもりだったのだろう。
酒でも飲まないかぎり、子どもがあまり食べるものでもないのかもしれない。
しかし、最初に双子が箸を入れた瞬間。
「!」
「!」
味を知りやがった。
普通のおせち料理であれば、違ったのかもしれない。
さすがは大料亭の娘・峰岸様監修だ。一味も二味も違う。
子どもたちは以心伝心で悟ったようだ。
争奪戦が始まった。
「まあ、慌てないで食べろよ。量は峰岸さんたちが一杯作ってくれたからな!」
「はい、ありがとうございました!」
「「「ありがとうございました!」」」
みんなで礼を言う。
俺は余裕があった。
この領土は奪われても、金山は俺の手元にある。
俺は一江に目配せし、一階の応接室に準備するよう合図した。
子どもたちは夢中で食べていて、こちらの動きに気付いていない。
子どもたちに、喧嘩しないで食べるよう伝え、大人たちと響子は一階へ。
俺が買った五段の重箱には、金に糸目をつけずに買った高級食材のおせちが入っている。
子ども用のエビは車海老だが、大人用は伊勢海老だ。アワビもグレードが違うし、牛肉もランクが違う。
すべて桁違いの値段のものをふんだんに使った、スペシャルのものなのだ。
亜紀ちゃんも知らない。
冷酒を準備し、大人たちは舌鼓を打つ。
その時、ハーが応接室に入ってきた。
こいつはたまに、霊感のようなものが働く時がある。
一瞬で事態を悟ったハーは、壁の電話をとり、一斉ボタンを押した。
慌てて一江と大森が押さえ込むが、ぶら下がった受話器に、ハーが叫ぶ。
「緊急集合! 一階応接室! 緊急集合!」
『空を覆うほどの蝗の群れは、雹害をまぬがれた作物を食べつくし、緑のものはエジプトから消えた』
スペシャルおせちは、10分で消えた。
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