426 / 3,202
四度目の別荘 Ⅲ ほぼ肉談義
しおりを挟む
屋上でのお喋りは、深夜二時くらいまで続いた。
俺は翌朝は朝食は食べたい人間が自分で作るようにした。
寝ててもいいが、12時の昼食はみんなで食べる、と。
皇紀と双子は寝かせ、俺と栞と亜紀ちゃんが残った。
「少し、小腹が空いたな」
「じゃあ、何か作ってきます!」
亜紀ちゃんが言った。
「いや、ちょっと飲みたいから三人で手早くやるか」
俺たちはキッチンに降り、俺がホワイトアスパラとナス、ベーコンを炒めた。
亜紀ちゃんにほうれん草を茹でてもらう。
煮びたしだ。
栞は氷と水を用意してもらい、ワイルドターキーと一緒に屋上に運んだ。
グラスを傾けると、夜の暗闇が一層深くなった気がする。
栞と亜紀ちゃんもしばらく黙って飲んだ。
「やっぱりここはいいな」
「そうですね!」
「石神くんって、なんで建築まで詳しいの?」
栞が聞いた。
「俺はアイデアを出すだけで、あとはプロが何とかしてくれるからなぁ」
「でも、発想がスゴイよ」
「元々は、ダリの『磔刑図』を見た時に考えたんだ」
「どういうものなんですか?」
「いろんな画家が磔刑図を描いているんだよな。有名なのは例えばベラスケスのものだ。でも、ベラスケスもそうだけど、大半は下から見上げる構図だ。しかしダリは、上から見下ろす角度で描いているんだよ」
「へぇー!」
「それで、ダリは「自分はキリストを三角形の中に閉じ込めることに成功した」と言った。あの人は実は数学が大好きで、物理学の数式なんかにも慣れていたんだな。だから誰もやらなかった構図で描いた」
「なるほど」
「その磔刑図を見たときに、十字架が俺の中で回転したんだ。空中に浮かぶ水平の十字架。それがこの屋上の発想になった」
「なんか、すごいですね!」
俺は笑って亜紀ちゃんの頭を撫でた。
「お前らって、文学や音楽関係はそこそこ好きになったようだけど、どうも絵画芸術や塑像のような美術には興味がねぇよな」
「すいません」
「リャドは踏みつぶされるし、すぐ後にジャコメッティはへし折られるし」
「すいません!」
「栞の実家に行って、掛け軸とか長谷川等伯なんかも観ただろう。なんにも感じねぇのかなぁ」
「そうですね」
栞が笑っている。
「あの斬だってなぁ。ただの人殺しじゃねぇんだぞ?」
「ひどいよ、石神くん!」
栞が半笑いで抗議する。
「あ! レクター博士!」
亜紀ちゃんが言った。
「亜紀ちゃんもひどいよー!」
「アハハハ」
「俺はあのハンニバル・レクターって好きだよなぁ。芸術好きなのと料理好きなところは最高だよな」
「でも料理って、人間食べちゃいますよね」
「それだってだよ。人間だからいけないというのは、一つの枠組みでしかないからな」
「えぇー」
「動物はエサがないと共食いをするじゃない。それを芸術的に行なうのがレクターよな」
「よく分かりません」
俺はグラスを空けた。
亜紀ちゃんが注いでくれる。
「この問題は、どうして人を殺してはいけないのか、という問題に通ずる」
「はい」
「実は、絶対的なものではない、というのが結論だ」
「戦争なんかそうですよね」
「そうだな。殺すことが善にもなるんだ。人肉食だって同じなんだよ。やらなければならん、善になることもあるんだ」
「そうなんですか!」
「1972年に、航空機がアンデス山脈に墜落したことがあった。半数以上が瞬時に死に、最終的に16人が生き残ったんだな。極寒の環境で食料も無い。救援がいつ来るのかわからない。そんな中で、その人たちは遺体を食べて生き延びた」
「はい」
「俺は本でその事件を読んだわけだけど、もちろん絶望的な葛藤があったわけだよ。でも彼らはそれを実行した。俺は物凄い崇高性を感じたよな」
「どうしてですか?」
「人肉食が絶対にいけないことだからだ」
「!」
「それをやれば、世間的に物凄い非難を受けることは分かっている。宗教的にも厳しい糾弾もあるだろう。しかし、彼らは選んだ。それは、食べて生き延びることに神の道を見出したからだ」
亜紀ちゃんは考え込んでいた。
こういう、破滅的な問題を考えるのもいいことだ。
「お前らは肉が無くなったら、すぐにやるだろう?」
「そんなことはないです!」
「多分、あの世で牛さんたちに責められるだろうなぁ」
「えぇー!」
栞が笑っている。
「前に響子にさ、お前らがライオンに「お前ら食べ過ぎだ」って怒られたって言ったんだよ。大笑いしてたよな」
「アハハハ!」
「そう言えば石神くんって、六花ちゃんとワニ食べてたよね!」
「エェッー!」
「ああ、こないだ病院の食堂でな。みんな怖がってたよなぁ」
「美味しいんですか?」
「な、栞。こいつらはやっぱり肉ならなんでも喰うんだよ」
「ウフフフ」
「そ、そんなことないですよー!」
心地よい酔いが回って来た。
会話の間の、山の静けさがまた良い。
「俺と栞だったら、「大好きだよ、栞」とか、「嬉しい、石神くん」とかってなぁ。ムードの語らいになるんだけどな。亜紀ちゃんがいると、どうしても肉の話よな」
「ひどいですよ!」
「石神くんだって、全然そんなこと言わないよ!」
「ほんとにひどいです!」
「アハハハハ」
「タカさんが食べた中で、一番美味しいお肉ってなんですか?」
「そうだなぁ。やっぱり高校三年の時に食べたステーキかな」
「え、意外です」
「生まれて初めて食べたステーキだったんだ。だから感動が一際なんだよ」
「へぇー!」
「うちは貧乏だったからなぁ。この世でこんなに美味いものがあったのかって思った」
「アハハハ」
「何しろ初めてだからな。翌日物凄い下痢になったんだ」
「アハハハ」
「消化できなかったんだな。その時に、大人になったら幾らでもステーキが喰える人間になろうと誓った」
「「アハハハハ」」
栞と亜紀ちゃんが笑った。
「亜紀ちゃんたちはそういう感動はねぇだろう?」
「そんなことないですよ。タカさんに初めて焼肉をご馳走になったときなんて、感動しました」
「ああ、俺も支払いの時に感動したぞ」
「アハハハ!」
「でも、亜紀ちゃんは子どもの頃に松坂牛を食べてただろ?」
「ええ、そうですね」
「だから、俺が味わった感動よりも断然低い。あれはうちがド貧乏だったからこその感動よな」
「なるほど!」
「栞なんかも、結構いいものを食べてただろ?」
「そうねぇ。貧しいってことはないかな」
「まあ、裕福な幸福もあるけど、貧しいからこその感動もあるってことだな」
「でもタカさんの料理に、みんな感動してますよ?」
「どうだかなぁ。結局とにかく肉って連中じゃない」
「アハハハ」
「そういえば、前にお友達の家に泊りに行ったじゃないですか」
「ああ、バナナ持ってった」
亜紀ちゃんが俺の腕を叩いた。
「夕飯をご馳走になって、生姜焼きだったんですね」
「そうだったか」
「一皿食べて、次をっていつもの癖で。でも、普通は一皿だけなんだって思い出しました」
「やばかったなぁ!」
俺と栞が笑った。
「栞にも時々話すんだけど、お前らが外の人間と食事する時に、大恥をかくんじゃねぇかってなぁ」
「ああ、よく話すよね」
「それは、大丈夫ですよ! きっと」
亜紀ちゃんが自信をもって言う。
「でも、鍋とかはダメだろう?」
「エッ! それはですねぇ。大丈夫ですよ、多分」
「お前、言い切ってくれよー!」
みんなで笑った。
俺たちは、夜明けまで話した。
俺は翌朝は朝食は食べたい人間が自分で作るようにした。
寝ててもいいが、12時の昼食はみんなで食べる、と。
皇紀と双子は寝かせ、俺と栞と亜紀ちゃんが残った。
「少し、小腹が空いたな」
「じゃあ、何か作ってきます!」
亜紀ちゃんが言った。
「いや、ちょっと飲みたいから三人で手早くやるか」
俺たちはキッチンに降り、俺がホワイトアスパラとナス、ベーコンを炒めた。
亜紀ちゃんにほうれん草を茹でてもらう。
煮びたしだ。
栞は氷と水を用意してもらい、ワイルドターキーと一緒に屋上に運んだ。
グラスを傾けると、夜の暗闇が一層深くなった気がする。
栞と亜紀ちゃんもしばらく黙って飲んだ。
「やっぱりここはいいな」
「そうですね!」
「石神くんって、なんで建築まで詳しいの?」
栞が聞いた。
「俺はアイデアを出すだけで、あとはプロが何とかしてくれるからなぁ」
「でも、発想がスゴイよ」
「元々は、ダリの『磔刑図』を見た時に考えたんだ」
「どういうものなんですか?」
「いろんな画家が磔刑図を描いているんだよな。有名なのは例えばベラスケスのものだ。でも、ベラスケスもそうだけど、大半は下から見上げる構図だ。しかしダリは、上から見下ろす角度で描いているんだよ」
「へぇー!」
「それで、ダリは「自分はキリストを三角形の中に閉じ込めることに成功した」と言った。あの人は実は数学が大好きで、物理学の数式なんかにも慣れていたんだな。だから誰もやらなかった構図で描いた」
「なるほど」
「その磔刑図を見たときに、十字架が俺の中で回転したんだ。空中に浮かぶ水平の十字架。それがこの屋上の発想になった」
「なんか、すごいですね!」
俺は笑って亜紀ちゃんの頭を撫でた。
「お前らって、文学や音楽関係はそこそこ好きになったようだけど、どうも絵画芸術や塑像のような美術には興味がねぇよな」
「すいません」
「リャドは踏みつぶされるし、すぐ後にジャコメッティはへし折られるし」
「すいません!」
「栞の実家に行って、掛け軸とか長谷川等伯なんかも観ただろう。なんにも感じねぇのかなぁ」
「そうですね」
栞が笑っている。
「あの斬だってなぁ。ただの人殺しじゃねぇんだぞ?」
「ひどいよ、石神くん!」
栞が半笑いで抗議する。
「あ! レクター博士!」
亜紀ちゃんが言った。
「亜紀ちゃんもひどいよー!」
「アハハハ」
「俺はあのハンニバル・レクターって好きだよなぁ。芸術好きなのと料理好きなところは最高だよな」
「でも料理って、人間食べちゃいますよね」
「それだってだよ。人間だからいけないというのは、一つの枠組みでしかないからな」
「えぇー」
「動物はエサがないと共食いをするじゃない。それを芸術的に行なうのがレクターよな」
「よく分かりません」
俺はグラスを空けた。
亜紀ちゃんが注いでくれる。
「この問題は、どうして人を殺してはいけないのか、という問題に通ずる」
「はい」
「実は、絶対的なものではない、というのが結論だ」
「戦争なんかそうですよね」
「そうだな。殺すことが善にもなるんだ。人肉食だって同じなんだよ。やらなければならん、善になることもあるんだ」
「そうなんですか!」
「1972年に、航空機がアンデス山脈に墜落したことがあった。半数以上が瞬時に死に、最終的に16人が生き残ったんだな。極寒の環境で食料も無い。救援がいつ来るのかわからない。そんな中で、その人たちは遺体を食べて生き延びた」
「はい」
「俺は本でその事件を読んだわけだけど、もちろん絶望的な葛藤があったわけだよ。でも彼らはそれを実行した。俺は物凄い崇高性を感じたよな」
「どうしてですか?」
「人肉食が絶対にいけないことだからだ」
「!」
「それをやれば、世間的に物凄い非難を受けることは分かっている。宗教的にも厳しい糾弾もあるだろう。しかし、彼らは選んだ。それは、食べて生き延びることに神の道を見出したからだ」
亜紀ちゃんは考え込んでいた。
こういう、破滅的な問題を考えるのもいいことだ。
「お前らは肉が無くなったら、すぐにやるだろう?」
「そんなことはないです!」
「多分、あの世で牛さんたちに責められるだろうなぁ」
「えぇー!」
栞が笑っている。
「前に響子にさ、お前らがライオンに「お前ら食べ過ぎだ」って怒られたって言ったんだよ。大笑いしてたよな」
「アハハハ!」
「そう言えば石神くんって、六花ちゃんとワニ食べてたよね!」
「エェッー!」
「ああ、こないだ病院の食堂でな。みんな怖がってたよなぁ」
「美味しいんですか?」
「な、栞。こいつらはやっぱり肉ならなんでも喰うんだよ」
「ウフフフ」
「そ、そんなことないですよー!」
心地よい酔いが回って来た。
会話の間の、山の静けさがまた良い。
「俺と栞だったら、「大好きだよ、栞」とか、「嬉しい、石神くん」とかってなぁ。ムードの語らいになるんだけどな。亜紀ちゃんがいると、どうしても肉の話よな」
「ひどいですよ!」
「石神くんだって、全然そんなこと言わないよ!」
「ほんとにひどいです!」
「アハハハハ」
「タカさんが食べた中で、一番美味しいお肉ってなんですか?」
「そうだなぁ。やっぱり高校三年の時に食べたステーキかな」
「え、意外です」
「生まれて初めて食べたステーキだったんだ。だから感動が一際なんだよ」
「へぇー!」
「うちは貧乏だったからなぁ。この世でこんなに美味いものがあったのかって思った」
「アハハハ」
「何しろ初めてだからな。翌日物凄い下痢になったんだ」
「アハハハ」
「消化できなかったんだな。その時に、大人になったら幾らでもステーキが喰える人間になろうと誓った」
「「アハハハハ」」
栞と亜紀ちゃんが笑った。
「亜紀ちゃんたちはそういう感動はねぇだろう?」
「そんなことないですよ。タカさんに初めて焼肉をご馳走になったときなんて、感動しました」
「ああ、俺も支払いの時に感動したぞ」
「アハハハ!」
「でも、亜紀ちゃんは子どもの頃に松坂牛を食べてただろ?」
「ええ、そうですね」
「だから、俺が味わった感動よりも断然低い。あれはうちがド貧乏だったからこその感動よな」
「なるほど!」
「栞なんかも、結構いいものを食べてただろ?」
「そうねぇ。貧しいってことはないかな」
「まあ、裕福な幸福もあるけど、貧しいからこその感動もあるってことだな」
「でもタカさんの料理に、みんな感動してますよ?」
「どうだかなぁ。結局とにかく肉って連中じゃない」
「アハハハ」
「そういえば、前にお友達の家に泊りに行ったじゃないですか」
「ああ、バナナ持ってった」
亜紀ちゃんが俺の腕を叩いた。
「夕飯をご馳走になって、生姜焼きだったんですね」
「そうだったか」
「一皿食べて、次をっていつもの癖で。でも、普通は一皿だけなんだって思い出しました」
「やばかったなぁ!」
俺と栞が笑った。
「栞にも時々話すんだけど、お前らが外の人間と食事する時に、大恥をかくんじゃねぇかってなぁ」
「ああ、よく話すよね」
「それは、大丈夫ですよ! きっと」
亜紀ちゃんが自信をもって言う。
「でも、鍋とかはダメだろう?」
「エッ! それはですねぇ。大丈夫ですよ、多分」
「お前、言い切ってくれよー!」
みんなで笑った。
俺たちは、夜明けまで話した。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】狡い人
ジュレヌク
恋愛
双子のライラは、言う。
レイラは、狡い。
レイラの功績を盗み、賞を受賞し、母の愛も全て自分のものにしたくせに、事あるごとに、レイラを責める。
双子のライラに狡いと責められ、レイラは、黙る。
口に出して言いたいことは山ほどあるのに、おし黙る。
そこには、人それぞれの『狡さ』があった。
そんな二人の関係が、ある一つの出来事で大きく変わっていく。
恋を知り、大きく羽ばたくレイラと、地に落ちていくライラ。
2人の違いは、一体なんだったのか?
【完結】聖女の手を取り婚約者が消えて二年。私は別の人の妻になっていた。
文月ゆうり
恋愛
レティシアナは姫だ。
父王に一番愛される姫。
ゆえに妬まれることが多く、それを憂いた父王により早くに婚約を結ぶことになった。
優しく、頼れる婚約者はレティシアナの英雄だ。
しかし、彼は居なくなった。
聖女と呼ばれる少女と一緒に、行方を眩ませたのだ。
そして、二年後。
レティシアナは、大国の王の妻となっていた。
※主人公は、戦えるような存在ではありません。戦えて、強い主人公が好きな方には合わない可能性があります。
小説家になろうにも投稿しています。
エールありがとうございます!
【12月末日公開終了】有能女官の赴任先は辺境伯領
たぬきち25番
恋愛
辺境伯領の当主が他界。代わりに領主になったのは元騎士団の隊長ギルベルト(26)
ずっと騎士団に在籍して領のことなど右も左もわからない。
そのため新しい辺境伯様は帳簿も書類も不備ばかり。しかも辺境伯領は王国の端なので修正も大変。
そこで仕事を終わらせるために、腕っぷしに定評のあるギリギリ貴族の男爵出身の女官ライラ(18)が辺境伯領に出向くことになった。
だがそこでライラを待っていたのは、元騎士とは思えないほどつかみどころのない辺境伯様と、前辺境伯夫妻の忘れ形見の3人のこどもたち(14歳男子、9歳男子、6歳女子)だった。
仕事のわからない辺境伯を助けながら、こどもたちの生活を助けたり、魔物を倒したり!?
そしていつしか、ライラと辺境伯やこどもたちとの関係が変わっていく……
※お待たせしました。
※他サイト様にも掲載中
竜帝は番に愛を乞う
浅海 景
恋愛
祖母譲りの容姿で両親から疎まれている男爵令嬢のルー。自分とは対照的に溺愛される妹のメリナは周囲からも可愛がられ、狼族の番として見初められたことからますます我儘に振舞うようになった。そんなメリナの我儘を受け止めつつ使用人のように働き、学校では妹を虐げる意地悪な姉として周囲から虐げられる。無力感と諦めを抱きながら淡々と日々を過ごしていたルーは、ある晩突然現れた男性から番であることを告げられる。しかも彼は獣族のみならず世界の王と呼ばれる竜帝アレクシスだった。誰かに愛されるはずがないと信じ込む男爵令嬢と番と出会い愛を知った竜帝の物語。
芙蓉は後宮で花開く
速見 沙弥
キャラ文芸
下級貴族の親をもつ5人姉弟の長女 蓮花《リェンファ》。
借金返済で苦しむ家計を助けるために後宮へと働きに出る。忙しくも穏やかな暮らしの中、出会ったのは翡翠の色の目をした青年。さらに思いもよらぬ思惑に巻き込まれてゆくーーー
カクヨムでも連載しております。
後宮なりきり夫婦録
石田空
キャラ文芸
「月鈴、ちょっと嫁に来るか?」
「はあ……?」
雲仙国では、皇帝が三代続いて謎の昏睡状態に陥る事態が続いていた。
あまりにも不可解なために、新しい皇帝を立てる訳にもいかない国は、急遽皇帝の「影武者」として跡継ぎ騒動を防ぐために寺院に入れられていた皇子の空燕を呼び戻すことに決める。
空燕の国の声に応える条件は、同じく寺院で方士修行をしていた方士の月鈴を妃として後宮に入れること。
かくしてふたりは片や皇帝の影武者として、片や皇帝の偽りの愛妃として、後宮と言う名の魔窟に潜入捜査をすることとなった。
影武者夫婦は、後宮内で起こる事件の謎を解けるのか。そしてふたりの想いの行方はいったい。
サイトより転載になります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる