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御堂家、大騒動 Ⅷ
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散々な目に遭った。
風呂で亜紀ちゃん、柳、麗星の身体を洗ってやり、風呂の中で頭を撫で続け。
身体を拭いてやり、髪を乾かしてやり。
寝床でも当然くっついてくるので撫で続け、カワイイぞと言い続け。
それを朝方までやらされた。
亜紀ちゃんはしょうがねぇとして。
確信犯の柳と麗星はなんなんだ。
柳と麗星は俺の両側に寝て、亜紀ちゃんは俺の上に乗っている。
どうしたって反応してしまうと
「エッチなことはダメですよー」
なんなんだ、一体!
麗星にいたっては俺の足を挟み込んでくる。
上半身も押し付けるので、豊満な二つのものが俺の腕でひしゃげている。
柳も俺の耳を舐めまわす。
ロボは俺の頭の上で寝た。
暑苦しくて、眠るどころではなかった。
翌朝。
三人はスッキリして、目をキラキラとさせている。
「お前らぁ」
「「「ニャハハハハハ!」」」
俺は一旦風呂に入らせてもらった。
子どもたちに布団干しをやらせる。
朝食の時、正巳さんと澪さんの目がキラキラしているのを見て、まあ良かったと自分を納得させた。
麗星が美味しいと言い、俺にニコニコ話しかけて来る。
本当に鉄の精神だ。
俺は食事の後で、畳に座布団を敷いて少し寝かせてもらった。
ロボも俺にくっついている。
流石に疲れた。
起きると、枕元に双子がいた。
「タカさん、大丈夫?」
俺は二人に横で寝ろと言い、身体をくすぐってやる。
二人が喜び、ロボも起きて来て俺にじゃれる。
「あー、ここに来て御堂やみなさんとゆっくり話して。のんびりするつもりだったのになー」
「そうだよね」
「どーしてこうなった」
「「アハハハハハ!」」
「いつも帰るのが辛かったけど、今回はちょっとありがてぇ」
「でも面白かったよ?」
「みんなも喜んでた」
「じゃー、いーかー!」
「「うん!」」
麗星がお茶を持って来た。
澪さんあたりに、やらせてもらったのだろう。
「お声が聞こえましたので、御目覚めになられたかと」
ニコニコして言う。
「説教してやりたいとこだけど」
「申し訳ございません」
「まあ、二割方は麗星さんのせいじゃないですからね」
「少ない!」
双子が笑った。
俺たちはゆったりと茶を味わった。
「麗星さんも楽しんでもらえましたか?」
「はい、それはもう! 石神様と一緒にいると、本当に楽しくて」
「それは良かった」
麗星は嬉しそうに笑った。
「いつも当主なんてものは大変でしょう」
「はい。嘘偽りなく申し上げれば」
「俺に出来ることは何でも言って下さいね」
「!」
麗星が微笑んだ。
「でも、先日石神様がいらして下さって、本当に良くなったんですのよ?」
「そうなんですか」
「石神様は不思議な方です」
「そうですか」
「皆様が石神様を愛するのがよく分かります」
「アハハハハ」
「麗星さん、一つだけ言っていいですか?」
「なんなりと」
「二度と他人の家に「霊破」を持ってくんじゃねぇ!」
「アハハハハハハハ!」
まあ、分かる。
オロチやその子どもまでいる家だ。
霊的な防御が必要だと考えてくれたのだろう。
麗星が茶を片付けて運んだ。
障子の桟に足の小指をぶつけた。
盆を引っ繰り返した。
「ドジっ子属性まであんのかよ……」
双子がすぐに雑巾を探しに出て行った。
昼食は鰻だった。
俺の好物を用意してくれたのだろう。
何人かの手伝いの人を呼んだようで、あまり子どもたちの出番はなかった。
そのように考えてくれたのだと思う。
たくさんの鰻が出て、子どもたちも喜んだ。
俺も三枚食べた。
俺は御堂家の皆さんに礼を言い、子どもたちにハマーに荷物を積ませた。
柳はもう少し残る。
麗星を乗せ、松本空港まで送った。
出発にはまだ時間があるが、もう知らん。
まあ、駐車場にハマーを停め、みんなでお茶を飲んだ。
「石神様、本当に楽しゅうございました」
「いや、俺の方こそ急に呼び出してしまい、お世話になりました」
「夕べは特に、忘れられない夜に」
「覚えてないでしょう」
「いいえ、わたくしは仮にも道間家の当主でございますので」
「正気ならそう言えぇー!」
みんなが笑った。
「では皆さま、そろそろご出立下さい」
「本当にお世話になりました」
「いえ、いつでも御呼び下さいませ」
俺たちは握手をした。
麗星はテーブルに座ったまま、俺たちを見送った。
店を出る時に、ドアのガラスに麗星が映った。
深々と頭を下げていた。
亜紀ちゃんが助手席に座った。
「今回も面白かったですねー」
「そうかよ」
「澪さん、目がキラキラしてましたよ! あ、おじいちゃんも!」
「記憶がなくて良かったけどなぁ」
「アハハハハハ!」
亜紀ちゃんはずっと俺の方を見ている。
「麗星さんって、面白い人ですよね!」
「まーなー」
「タカさん、虎曜日?」
「それは六花の「お仕事」だぁ!」
「そーでした!」
「ニジンスキーたちも可愛かったー」
「おう、そうだな!」
「また見たいですね!」
「まーなー」
「あれ? 自分の子なのに冷たいですね」
「おいおい」
「ああ、「虎は孤高」ですからね!」
「そうだな」
「ウフフフ」
亜紀ちゃんが笑った。
「あー! 明日はのんびりするぞー!」
「どーですかね」
「おい、もう勘弁してくれよ」
「まあ、タカさんは運命が大きいそうですから」
「ほんとにこわいぞー!」
「アハハハハハ!」
この愛すべき小娘は、またとんでもないことを仕込んでやがった。
風呂で亜紀ちゃん、柳、麗星の身体を洗ってやり、風呂の中で頭を撫で続け。
身体を拭いてやり、髪を乾かしてやり。
寝床でも当然くっついてくるので撫で続け、カワイイぞと言い続け。
それを朝方までやらされた。
亜紀ちゃんはしょうがねぇとして。
確信犯の柳と麗星はなんなんだ。
柳と麗星は俺の両側に寝て、亜紀ちゃんは俺の上に乗っている。
どうしたって反応してしまうと
「エッチなことはダメですよー」
なんなんだ、一体!
麗星にいたっては俺の足を挟み込んでくる。
上半身も押し付けるので、豊満な二つのものが俺の腕でひしゃげている。
柳も俺の耳を舐めまわす。
ロボは俺の頭の上で寝た。
暑苦しくて、眠るどころではなかった。
翌朝。
三人はスッキリして、目をキラキラとさせている。
「お前らぁ」
「「「ニャハハハハハ!」」」
俺は一旦風呂に入らせてもらった。
子どもたちに布団干しをやらせる。
朝食の時、正巳さんと澪さんの目がキラキラしているのを見て、まあ良かったと自分を納得させた。
麗星が美味しいと言い、俺にニコニコ話しかけて来る。
本当に鉄の精神だ。
俺は食事の後で、畳に座布団を敷いて少し寝かせてもらった。
ロボも俺にくっついている。
流石に疲れた。
起きると、枕元に双子がいた。
「タカさん、大丈夫?」
俺は二人に横で寝ろと言い、身体をくすぐってやる。
二人が喜び、ロボも起きて来て俺にじゃれる。
「あー、ここに来て御堂やみなさんとゆっくり話して。のんびりするつもりだったのになー」
「そうだよね」
「どーしてこうなった」
「「アハハハハハ!」」
「いつも帰るのが辛かったけど、今回はちょっとありがてぇ」
「でも面白かったよ?」
「みんなも喜んでた」
「じゃー、いーかー!」
「「うん!」」
麗星がお茶を持って来た。
澪さんあたりに、やらせてもらったのだろう。
「お声が聞こえましたので、御目覚めになられたかと」
ニコニコして言う。
「説教してやりたいとこだけど」
「申し訳ございません」
「まあ、二割方は麗星さんのせいじゃないですからね」
「少ない!」
双子が笑った。
俺たちはゆったりと茶を味わった。
「麗星さんも楽しんでもらえましたか?」
「はい、それはもう! 石神様と一緒にいると、本当に楽しくて」
「それは良かった」
麗星は嬉しそうに笑った。
「いつも当主なんてものは大変でしょう」
「はい。嘘偽りなく申し上げれば」
「俺に出来ることは何でも言って下さいね」
「!」
麗星が微笑んだ。
「でも、先日石神様がいらして下さって、本当に良くなったんですのよ?」
「そうなんですか」
「石神様は不思議な方です」
「そうですか」
「皆様が石神様を愛するのがよく分かります」
「アハハハハ」
「麗星さん、一つだけ言っていいですか?」
「なんなりと」
「二度と他人の家に「霊破」を持ってくんじゃねぇ!」
「アハハハハハハハ!」
まあ、分かる。
オロチやその子どもまでいる家だ。
霊的な防御が必要だと考えてくれたのだろう。
麗星が茶を片付けて運んだ。
障子の桟に足の小指をぶつけた。
盆を引っ繰り返した。
「ドジっ子属性まであんのかよ……」
双子がすぐに雑巾を探しに出て行った。
昼食は鰻だった。
俺の好物を用意してくれたのだろう。
何人かの手伝いの人を呼んだようで、あまり子どもたちの出番はなかった。
そのように考えてくれたのだと思う。
たくさんの鰻が出て、子どもたちも喜んだ。
俺も三枚食べた。
俺は御堂家の皆さんに礼を言い、子どもたちにハマーに荷物を積ませた。
柳はもう少し残る。
麗星を乗せ、松本空港まで送った。
出発にはまだ時間があるが、もう知らん。
まあ、駐車場にハマーを停め、みんなでお茶を飲んだ。
「石神様、本当に楽しゅうございました」
「いや、俺の方こそ急に呼び出してしまい、お世話になりました」
「夕べは特に、忘れられない夜に」
「覚えてないでしょう」
「いいえ、わたくしは仮にも道間家の当主でございますので」
「正気ならそう言えぇー!」
みんなが笑った。
「では皆さま、そろそろご出立下さい」
「本当にお世話になりました」
「いえ、いつでも御呼び下さいませ」
俺たちは握手をした。
麗星はテーブルに座ったまま、俺たちを見送った。
店を出る時に、ドアのガラスに麗星が映った。
深々と頭を下げていた。
亜紀ちゃんが助手席に座った。
「今回も面白かったですねー」
「そうかよ」
「澪さん、目がキラキラしてましたよ! あ、おじいちゃんも!」
「記憶がなくて良かったけどなぁ」
「アハハハハハ!」
亜紀ちゃんはずっと俺の方を見ている。
「麗星さんって、面白い人ですよね!」
「まーなー」
「タカさん、虎曜日?」
「それは六花の「お仕事」だぁ!」
「そーでした!」
「ニジンスキーたちも可愛かったー」
「おう、そうだな!」
「また見たいですね!」
「まーなー」
「あれ? 自分の子なのに冷たいですね」
「おいおい」
「ああ、「虎は孤高」ですからね!」
「そうだな」
「ウフフフ」
亜紀ちゃんが笑った。
「あー! 明日はのんびりするぞー!」
「どーですかね」
「おい、もう勘弁してくれよ」
「まあ、タカさんは運命が大きいそうですから」
「ほんとにこわいぞー!」
「アハハハハハ!」
この愛すべき小娘は、またとんでもないことを仕込んでやがった。
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