1,089 / 3,202
挿話: ズボッ!
しおりを挟む
ある初夏の金曜の晩。
いつものように亜紀ちゃん、柳と酒を飲んだ。
今日は亜紀ちゃんが甘えモードで、一緒に寝たがった。
柳は亜紀ちゃんに遠慮したのか、自分の部屋へ入った。
少し肌寒い晩で、布団を描けて寝る。
2時頃に重みで目が覚めた。
「なんだ、また寝惚けてやがるのか」
亜紀ちゃんが布団に潜って俺の身体の上に乗っている。
何の夢を見ているのか、そのまま身体を昇って来る。
ズボッ!
亜紀ちゃんの長い髪の頭が俺の胸の下から飛び出した。
「怖ェェェェェ!」
亜紀ちゃんの頭をパシパシ叩いた。
「イターイ! 何すんですか」
「お前だ、お前!」
亜紀ちゃんが目を覚まし、俺の顔を見る。
「今、スッゲェー怖かったんだよ!」
「なんなんですか!」
「よし! じゃあ、俺がやってやるよ!」
俺は院長との女装のためのロングのウィッグを被った。
亜紀ちゃんにベッドで寝ろと言う。
布団に潜り、亜紀ちゃんの身体を上に昇る。
ズボッ!
「コワイコワイコワイコワイ!」
亜紀ちゃんが大騒ぎする。
俺の頭をポカポカする。
「な!」
「ほんとに怖かったですぅー!」
俺はそうだろうと言った。
「あのよ、『呪怨』かなんかで、こんなの観た気がする」
「コワイですね!」
ロボが布団に潜ってモゾモゾして頭を出した。
ズボッ!
すっげぇカワイイ。
ノリのいい奴だ。
すっかり二人とも目が覚めてしまった。
「どうすんだよ!」
「すみません」
しょうがないんで、柳の部屋に行った。
ぐっすり寝ている。
亜紀ちゃんがそーっと柳の布団の足元から入った。
ズボッ!
「キャァーーーーー!!!!!」
柳が絶叫した。
亜紀ちゃんと二人で笑った。
「怖かっただろ?」
「怖すぎですよ!」
「柳さん、騒ぎすぎ」
「亜紀ちゃん、何言ってんの!」
柳もすっかり目が覚めた。
調子が出て来た。
双子の部屋に行く。
二人が可愛らしい寝顔でぐっすり眠っていた。
カワイイのでしばらくみんなで眺める。
柳に俺のウィッグを貸し、亜紀ちゃんと二人で布団に潜る。
ズボッ! ズボッ!
「「グギャァァァァァァァーーーーー!!」」
ステレオ絶叫する。
亜紀ちゃんと柳がボコボコ殴られた。
「ゴメンゴメンゴメン!」
「石神さんがやれってぇー!」
「「なにすんのぉー!」」
俺が大笑いした。
みんなすっかり眠れなくなった。
「じゃあ、最後は皇紀だな!」
「「「「はい!」」」」
石神家はノリが良い。
これだけの騒ぎで皇紀は起きて来ない。
連日の激務で疲れているのだろう。
ちょっとカワイソウな気もしたが、ここで仲間外れは良くない。
俺たちは家族だ。
そーっと皇紀の部屋に行く。
亜紀ちゃんが一番コワイということで、決まった。
「おめぇ、ほんとに怖ぇよ」
「任せて下さい!」
ドアを開けた。
亜紀ちゃんは長い髪を前に垂らして準備している。
ベッドの向こうがほんのり明るい。
亜紀ちゃんが急いで皇紀の布団の足元に潜った。
流石の最強「花岡」使いは、気配を殺して皇紀に気付かせない。
「おい、待て!」
俺が止めた。
しかし亜紀ちゃんは移動を開始していた。
「なに!」
ヘッドフォンをした皇紀が叫んだ。
「なによ、これぇー!」
亜紀ちゃんが叫んだ。
暗い部屋で、テレビが点いていた。
エロビデオだった。
布団が跳ね上げられ、皇紀は下半身丸出しだった。
握っていた。
発射し終わっていた。
亜紀ちゃんにベットリだった。
「テメェー!」
「なんだよ、お姉ちゃん!」
俺と柳、双子は呆然としていた。
皇紀が亜紀ちゃんに無言で蹴られる。
ガシガシと音が響いた。
蹴られ続けたせいで、ヘッドフォンのコードがテレビから抜けた。
《夜也ちゃん、カワイイよー!》
どこかで聞いた声が響いた。
亜紀ちゃんが蹴るのを止める。
みんながダンディな奴を見ている。
《うわー! 夜也ちゃんのここって、こうなってたんだぁー!》
《トラちゃん、エッチね!》
《ペロペロしてあげるね!》
《アン!》
みんなが画面に近寄った。
俺が出ていた。
「タカさんだー!」
ハーが言った。
全員が俺を見た。
亜紀ちゃんの目が、暗闇で赤く光っていた。
柳も鬼のような顔をしていた。
「「ギャハハハハハハ!」」
双子は大笑いだった。
「タカさーん!」
チンコ野郎が俺に助けを求めていた。
「皇紀、お前死ねよ」
「「死ぬのはお前だぁー!」」
「待て待て待て待てぇー!
必死で二人の攻撃をかわした。
「皇紀! DVDを止めろ!」
何とか二人を宥め、落ち着いた。
「『巨根魔王と25人の淫乱娘』だって!」
ルーがパッケージタイトルを読み上げた。
「25人!」
亜紀ちゃんの目がまた光を増した。
「待てってぇ! それは若い頃に石動に騙されたんだ!」
「そうじゃないでしょう、絶対!」
「待てって!」
俺は必死に言い訳した。
「ちょっと削らせて頂きます」
「やめろってぇー!」
何とか誤魔化し切り、その場を収めた。
亜紀ちゃんがDVDを抜いて、目の前でパッケージごとバキバキと噛み砕いた。
柳は「ペロペロ……」」と放心して繰り返し呟いていた。
「この世から抹消しました」
「お、おう!」
亜紀ちゃんがコワイ顔で言った。
俺はみんなにもう寝ようと言った。
亜紀ちゃんがついてきて、着替えてから俺に抱き着いてちょっと泣いた。
「もう、あんなのに出ないで下さいね」
「お、おう!」
「もう壊しちゃいましたから」
「そうだな!」
亜紀ちゃんが泣きながら寝た。
亜紀ちゃん、あと9枚あるんだ。
俺、主演男優だから10枚もらったのね。
無修正も一枚あるんだよ。
いつものように亜紀ちゃん、柳と酒を飲んだ。
今日は亜紀ちゃんが甘えモードで、一緒に寝たがった。
柳は亜紀ちゃんに遠慮したのか、自分の部屋へ入った。
少し肌寒い晩で、布団を描けて寝る。
2時頃に重みで目が覚めた。
「なんだ、また寝惚けてやがるのか」
亜紀ちゃんが布団に潜って俺の身体の上に乗っている。
何の夢を見ているのか、そのまま身体を昇って来る。
ズボッ!
亜紀ちゃんの長い髪の頭が俺の胸の下から飛び出した。
「怖ェェェェェ!」
亜紀ちゃんの頭をパシパシ叩いた。
「イターイ! 何すんですか」
「お前だ、お前!」
亜紀ちゃんが目を覚まし、俺の顔を見る。
「今、スッゲェー怖かったんだよ!」
「なんなんですか!」
「よし! じゃあ、俺がやってやるよ!」
俺は院長との女装のためのロングのウィッグを被った。
亜紀ちゃんにベッドで寝ろと言う。
布団に潜り、亜紀ちゃんの身体を上に昇る。
ズボッ!
「コワイコワイコワイコワイ!」
亜紀ちゃんが大騒ぎする。
俺の頭をポカポカする。
「な!」
「ほんとに怖かったですぅー!」
俺はそうだろうと言った。
「あのよ、『呪怨』かなんかで、こんなの観た気がする」
「コワイですね!」
ロボが布団に潜ってモゾモゾして頭を出した。
ズボッ!
すっげぇカワイイ。
ノリのいい奴だ。
すっかり二人とも目が覚めてしまった。
「どうすんだよ!」
「すみません」
しょうがないんで、柳の部屋に行った。
ぐっすり寝ている。
亜紀ちゃんがそーっと柳の布団の足元から入った。
ズボッ!
「キャァーーーーー!!!!!」
柳が絶叫した。
亜紀ちゃんと二人で笑った。
「怖かっただろ?」
「怖すぎですよ!」
「柳さん、騒ぎすぎ」
「亜紀ちゃん、何言ってんの!」
柳もすっかり目が覚めた。
調子が出て来た。
双子の部屋に行く。
二人が可愛らしい寝顔でぐっすり眠っていた。
カワイイのでしばらくみんなで眺める。
柳に俺のウィッグを貸し、亜紀ちゃんと二人で布団に潜る。
ズボッ! ズボッ!
「「グギャァァァァァァァーーーーー!!」」
ステレオ絶叫する。
亜紀ちゃんと柳がボコボコ殴られた。
「ゴメンゴメンゴメン!」
「石神さんがやれってぇー!」
「「なにすんのぉー!」」
俺が大笑いした。
みんなすっかり眠れなくなった。
「じゃあ、最後は皇紀だな!」
「「「「はい!」」」」
石神家はノリが良い。
これだけの騒ぎで皇紀は起きて来ない。
連日の激務で疲れているのだろう。
ちょっとカワイソウな気もしたが、ここで仲間外れは良くない。
俺たちは家族だ。
そーっと皇紀の部屋に行く。
亜紀ちゃんが一番コワイということで、決まった。
「おめぇ、ほんとに怖ぇよ」
「任せて下さい!」
ドアを開けた。
亜紀ちゃんは長い髪を前に垂らして準備している。
ベッドの向こうがほんのり明るい。
亜紀ちゃんが急いで皇紀の布団の足元に潜った。
流石の最強「花岡」使いは、気配を殺して皇紀に気付かせない。
「おい、待て!」
俺が止めた。
しかし亜紀ちゃんは移動を開始していた。
「なに!」
ヘッドフォンをした皇紀が叫んだ。
「なによ、これぇー!」
亜紀ちゃんが叫んだ。
暗い部屋で、テレビが点いていた。
エロビデオだった。
布団が跳ね上げられ、皇紀は下半身丸出しだった。
握っていた。
発射し終わっていた。
亜紀ちゃんにベットリだった。
「テメェー!」
「なんだよ、お姉ちゃん!」
俺と柳、双子は呆然としていた。
皇紀が亜紀ちゃんに無言で蹴られる。
ガシガシと音が響いた。
蹴られ続けたせいで、ヘッドフォンのコードがテレビから抜けた。
《夜也ちゃん、カワイイよー!》
どこかで聞いた声が響いた。
亜紀ちゃんが蹴るのを止める。
みんながダンディな奴を見ている。
《うわー! 夜也ちゃんのここって、こうなってたんだぁー!》
《トラちゃん、エッチね!》
《ペロペロしてあげるね!》
《アン!》
みんなが画面に近寄った。
俺が出ていた。
「タカさんだー!」
ハーが言った。
全員が俺を見た。
亜紀ちゃんの目が、暗闇で赤く光っていた。
柳も鬼のような顔をしていた。
「「ギャハハハハハハ!」」
双子は大笑いだった。
「タカさーん!」
チンコ野郎が俺に助けを求めていた。
「皇紀、お前死ねよ」
「「死ぬのはお前だぁー!」」
「待て待て待て待てぇー!
必死で二人の攻撃をかわした。
「皇紀! DVDを止めろ!」
何とか二人を宥め、落ち着いた。
「『巨根魔王と25人の淫乱娘』だって!」
ルーがパッケージタイトルを読み上げた。
「25人!」
亜紀ちゃんの目がまた光を増した。
「待てってぇ! それは若い頃に石動に騙されたんだ!」
「そうじゃないでしょう、絶対!」
「待てって!」
俺は必死に言い訳した。
「ちょっと削らせて頂きます」
「やめろってぇー!」
何とか誤魔化し切り、その場を収めた。
亜紀ちゃんがDVDを抜いて、目の前でパッケージごとバキバキと噛み砕いた。
柳は「ペロペロ……」」と放心して繰り返し呟いていた。
「この世から抹消しました」
「お、おう!」
亜紀ちゃんがコワイ顔で言った。
俺はみんなにもう寝ようと言った。
亜紀ちゃんがついてきて、着替えてから俺に抱き着いてちょっと泣いた。
「もう、あんなのに出ないで下さいね」
「お、おう!」
「もう壊しちゃいましたから」
「そうだな!」
亜紀ちゃんが泣きながら寝た。
亜紀ちゃん、あと9枚あるんだ。
俺、主演男優だから10枚もらったのね。
無修正も一枚あるんだよ。
1
あなたにおすすめの小説
【完結】聖女の手を取り婚約者が消えて二年。私は別の人の妻になっていた。
文月ゆうり
恋愛
レティシアナは姫だ。
父王に一番愛される姫。
ゆえに妬まれることが多く、それを憂いた父王により早くに婚約を結ぶことになった。
優しく、頼れる婚約者はレティシアナの英雄だ。
しかし、彼は居なくなった。
聖女と呼ばれる少女と一緒に、行方を眩ませたのだ。
そして、二年後。
レティシアナは、大国の王の妻となっていた。
※主人公は、戦えるような存在ではありません。戦えて、強い主人公が好きな方には合わない可能性があります。
小説家になろうにも投稿しています。
エールありがとうございます!
【完結】狡い人
ジュレヌク
恋愛
双子のライラは、言う。
レイラは、狡い。
レイラの功績を盗み、賞を受賞し、母の愛も全て自分のものにしたくせに、事あるごとに、レイラを責める。
双子のライラに狡いと責められ、レイラは、黙る。
口に出して言いたいことは山ほどあるのに、おし黙る。
そこには、人それぞれの『狡さ』があった。
そんな二人の関係が、ある一つの出来事で大きく変わっていく。
恋を知り、大きく羽ばたくレイラと、地に落ちていくライラ。
2人の違いは、一体なんだったのか?
【12月末日公開終了】有能女官の赴任先は辺境伯領
たぬきち25番
恋愛
辺境伯領の当主が他界。代わりに領主になったのは元騎士団の隊長ギルベルト(26)
ずっと騎士団に在籍して領のことなど右も左もわからない。
そのため新しい辺境伯様は帳簿も書類も不備ばかり。しかも辺境伯領は王国の端なので修正も大変。
そこで仕事を終わらせるために、腕っぷしに定評のあるギリギリ貴族の男爵出身の女官ライラ(18)が辺境伯領に出向くことになった。
だがそこでライラを待っていたのは、元騎士とは思えないほどつかみどころのない辺境伯様と、前辺境伯夫妻の忘れ形見の3人のこどもたち(14歳男子、9歳男子、6歳女子)だった。
仕事のわからない辺境伯を助けながら、こどもたちの生活を助けたり、魔物を倒したり!?
そしていつしか、ライラと辺境伯やこどもたちとの関係が変わっていく……
※お待たせしました。
※他サイト様にも掲載中
竜帝は番に愛を乞う
浅海 景
恋愛
祖母譲りの容姿で両親から疎まれている男爵令嬢のルー。自分とは対照的に溺愛される妹のメリナは周囲からも可愛がられ、狼族の番として見初められたことからますます我儘に振舞うようになった。そんなメリナの我儘を受け止めつつ使用人のように働き、学校では妹を虐げる意地悪な姉として周囲から虐げられる。無力感と諦めを抱きながら淡々と日々を過ごしていたルーは、ある晩突然現れた男性から番であることを告げられる。しかも彼は獣族のみならず世界の王と呼ばれる竜帝アレクシスだった。誰かに愛されるはずがないと信じ込む男爵令嬢と番と出会い愛を知った竜帝の物語。
笑わない妻を娶りました
mios
恋愛
伯爵家嫡男であるスタン・タイロンは、伯爵家を継ぐ際に妻を娶ることにした。
同じ伯爵位で、友人であるオリバー・クレンズの従姉妹で笑わないことから氷の女神とも呼ばれているミスティア・ドゥーラ嬢。
彼女は美しく、スタンは一目惚れをし、トントン拍子に婚約・結婚することになったのだが。
同窓会に行ったら、知らない人がとなりに座っていました
菱沼あゆ
キャラ文芸
「同窓会っていうか、クラス会なのに、知らない人が隣にいる……」
クラス会に参加しためぐるは、隣に座ったイケメンにまったく覚えがなく、動揺していた。
だが、みんなは彼と楽しそうに話している。
いや、この人、誰なんですか――っ!?
スランプ中の天才棋士VS元天才パティシエール。
「へえー、同窓会で再会したのがはじまりなの?」
「いや、そこで、初めて出会ったんですよ」
「同窓会なのに……?」
芙蓉は後宮で花開く
速見 沙弥
キャラ文芸
下級貴族の親をもつ5人姉弟の長女 蓮花《リェンファ》。
借金返済で苦しむ家計を助けるために後宮へと働きに出る。忙しくも穏やかな暮らしの中、出会ったのは翡翠の色の目をした青年。さらに思いもよらぬ思惑に巻き込まれてゆくーーー
カクヨムでも連載しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる