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顕さんの帰国 お掃除
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日曜日。
夕べ遅くに帰った亜紀ちゃんたちには、好きなだけ寝るように言った。
柳もだ。
俺は7時に起きて、朝食の支度をした。
たまにはやるが、最近は滅多にない。
いつも子どもたちが作るからだ。
ご飯はセットしてある。
18合だ。
長ネギを白髭に刻み、細かく刻んだザーサイを合わせてごま油を和える。
これでご飯が進む。
銀鱈の西京焼きを炙り、豆類のサラダを作る。
ロボにはササミを焼いて先に食べさせた。
燻製タマゴを出し、少し温める。
ほうれん草の煮びたし。
味噌汁はナスとミョウガ。
双子が以前は苦手だったが、最近はナスとミョウガの美味さが分かった。
昆布と大量のかつお節で出汁を摂った。
8時になりウインナーを炒めていると、やはり子どもたちが起きて来た。
「タカさん、すいません!」
亜紀ちゃんが叫ぶ。
俺が遅く起きると思っていたのだろう。
「いいって。さあ、食べようか」
子どもたちがワイワイと食べ始める。
まるで、俺がこいつらを引き取った時のようだ。
あの頃は、毎日俺が食事を作っていた。
「タカさん! 美味しいです!」
「おう!」
亜紀ちゃんがニコニコして言う。
他の子どもたちも、口々に美味しいと言ってくれた。
「今日はこの後、顕さんの家に行くからな! 来週日本へ戻って来るから、掃除と準備だ!」
「「「「「はい!」」」」」
「柳! 頼むな!」
「はい!」
もう柳に全て任せている。
本当によくやってくれていた。
9時過ぎに、ハマーで出発した。
ロボは早乙女に預けた。
ちょっと入って行けと言われたが、柱が怖いので辞めた。
助手席に柳を乗せ、走りながら段取りを確認した。
「庭の草むしりは先週終わってますが、念のために皇紀くんに。亜紀ちゃんは窓掃除、私とルーちゃん、ハーちゃんで拭き掃除をします」
「おう!」
「石神さんは全体の監督をお願いします」
「任せろ!」
「亜紀ちゃん」
「はーい!」
「最初に食材を冷蔵庫へ入れて下さい」
「分かりましたー!」
冷凍の食材を持って来ている。
近くなったら、生鮮食品を入れる予定だ。
顕さんと一緒に来るモニカは日本が初めてだ。
二人で楽しく食事をしてもらえるように、いろいろと考えた。
顕さんの家に着き、柳が鍵を開けてみんな一斉に作業に取り掛かった。
俺は一通り家の中を見て回った。
ちゃんと綺麗にしてくれている。
柳が二階に雑巾を持って上がって来た。
「柳、物凄く綺麗だな!」
「ありがとうございます!」
「お前に任せて本当に良かった」
「いいえ!」
柳が嬉しそうに笑って、廊下を拭き始めた。
柳がちゃんと見ているとは思ったが、俺は念のために電灯をチェックしていく。
帰って来て電球が切れて暗いと寂しいものだ。
全てチェックし、大丈夫だった。
庭に出て、皇紀の様子を見た。
ほとんど雑草も無いようだった。
「タカさん、大丈夫そうですね」
「おう!」
柳は植栽の手入れも出来るようになった。
庭の木々も綺麗になっている。
手の空いた皇紀と一緒に、居間に運んだクリスマスツリーの飾りつけをした。
顕さんとモニカが来る頃は、もうクリスマスだ。
午前中に、全ての作業が終わった。
「よし、じゃあ顕さんに紹介してもらったあの店に行くぞ!」
「「「「「はい!」」」」」
柳が戸締りをし、ハマーで前に行った肉が安くて美味い店に行った。
日曜日の昼なので結構混んではいたが、すぐにテーブルに案内された。
俺たちを覚えていた店長が注文を取りに来た。
「またのご利用、ありがとうございます!」
「今日も沢山頂きますね。黒毛和牛のステーキを10人前、ハンバーグを10人前、若鳥のグリルは……」
店長は笑顔でPOS端末を操作し、戻った。
次々に運ばれてくる。
テーブルに乗らない分はワゴンで残して行く。
度々店員が来て、食べ終えた皿とワゴンの皿を交換し、また新しいワゴンが来る。
子どもたちが満足するほどに食べたが、やはり20万円もしなかった。
本当に安い。
ドライブにでも行きたかったが、ロボを預けているので、そのまま帰った。
怖いので、全員で迎えに行った。
丁度3時になるので、ドーカンでケーキを買ってお邪魔した。
エレベーター前で、あの「柱」がいる。
俺の方を見ている。
《カタカタ》
動きやがった。
俺は両手を左右に上げた。
「柱」も真似をする。
俺は「柱」をポンポン叩いてやった。
「タカさん!」
「何も言うな!」
エレベーターで上に上がった。
ロボが駆け寄って来て、俺は抱き上げた。
顔を舐めて来る。
雪野さんと挨拶し、抱いていた怜花にも声を掛ける。
怜花が俺に手を伸ばすので、小さな手を握ってやった。
「やっぱりお父さんが分かるんだな!」
早乙女が笑った。
雪野さんが紅茶を淹れてくれ、みんなでケーキを食べた。
「ロボちゃんが「だるまさんが転んだ」をやったんですよ!」
「え?」
「私たちも一緒に! 楽しかったですよ」
「えーと、誰と?」
「ああ、「柱」さんです!」
「……」
なんなんだ。
「「柱」さんが上がって来て、後ろを向いたんです。そうしたらロボちゃんがそーっと近づいて行って」
「ほ、ほう」
「「柱」さんが振り向くと、ロボちゃんが止まって」
「へ、へぇ」
「また正面を向くとロボちゃんが動き出して」
やってるじゃん。
「だから私たちも一緒に。楽しかったー!」
「あはははは」
もう、すっかり「柱」と馴染んでいる。
流石は対妖魔部隊「アドヴェロス」のトップと妻だ。
まあ、万一があってもモハメドもいるし、ピーポンもいる。
本来は「柱」について調べたい所だが、生憎長老が匙を投げている。
悪いものだとは思ってはいないが。
俺は薄気味悪いのだが、「柱」は何故か俺に親し気だ。
帰りに通りかかると、「柱」がまた俺を見ていた。
みんなが俺たちを見ている。
仕方が無いので、「柱」の肩(?)を叩いた。
「この家を頼むぞ」
「柱」が俺に敬礼をした。
「柱」は、突然紫とピンクの縞模様になった。
「「「「「「「!」」」」」」」
急いで帰った。
夕べ遅くに帰った亜紀ちゃんたちには、好きなだけ寝るように言った。
柳もだ。
俺は7時に起きて、朝食の支度をした。
たまにはやるが、最近は滅多にない。
いつも子どもたちが作るからだ。
ご飯はセットしてある。
18合だ。
長ネギを白髭に刻み、細かく刻んだザーサイを合わせてごま油を和える。
これでご飯が進む。
銀鱈の西京焼きを炙り、豆類のサラダを作る。
ロボにはササミを焼いて先に食べさせた。
燻製タマゴを出し、少し温める。
ほうれん草の煮びたし。
味噌汁はナスとミョウガ。
双子が以前は苦手だったが、最近はナスとミョウガの美味さが分かった。
昆布と大量のかつお節で出汁を摂った。
8時になりウインナーを炒めていると、やはり子どもたちが起きて来た。
「タカさん、すいません!」
亜紀ちゃんが叫ぶ。
俺が遅く起きると思っていたのだろう。
「いいって。さあ、食べようか」
子どもたちがワイワイと食べ始める。
まるで、俺がこいつらを引き取った時のようだ。
あの頃は、毎日俺が食事を作っていた。
「タカさん! 美味しいです!」
「おう!」
亜紀ちゃんがニコニコして言う。
他の子どもたちも、口々に美味しいと言ってくれた。
「今日はこの後、顕さんの家に行くからな! 来週日本へ戻って来るから、掃除と準備だ!」
「「「「「はい!」」」」」
「柳! 頼むな!」
「はい!」
もう柳に全て任せている。
本当によくやってくれていた。
9時過ぎに、ハマーで出発した。
ロボは早乙女に預けた。
ちょっと入って行けと言われたが、柱が怖いので辞めた。
助手席に柳を乗せ、走りながら段取りを確認した。
「庭の草むしりは先週終わってますが、念のために皇紀くんに。亜紀ちゃんは窓掃除、私とルーちゃん、ハーちゃんで拭き掃除をします」
「おう!」
「石神さんは全体の監督をお願いします」
「任せろ!」
「亜紀ちゃん」
「はーい!」
「最初に食材を冷蔵庫へ入れて下さい」
「分かりましたー!」
冷凍の食材を持って来ている。
近くなったら、生鮮食品を入れる予定だ。
顕さんと一緒に来るモニカは日本が初めてだ。
二人で楽しく食事をしてもらえるように、いろいろと考えた。
顕さんの家に着き、柳が鍵を開けてみんな一斉に作業に取り掛かった。
俺は一通り家の中を見て回った。
ちゃんと綺麗にしてくれている。
柳が二階に雑巾を持って上がって来た。
「柳、物凄く綺麗だな!」
「ありがとうございます!」
「お前に任せて本当に良かった」
「いいえ!」
柳が嬉しそうに笑って、廊下を拭き始めた。
柳がちゃんと見ているとは思ったが、俺は念のために電灯をチェックしていく。
帰って来て電球が切れて暗いと寂しいものだ。
全てチェックし、大丈夫だった。
庭に出て、皇紀の様子を見た。
ほとんど雑草も無いようだった。
「タカさん、大丈夫そうですね」
「おう!」
柳は植栽の手入れも出来るようになった。
庭の木々も綺麗になっている。
手の空いた皇紀と一緒に、居間に運んだクリスマスツリーの飾りつけをした。
顕さんとモニカが来る頃は、もうクリスマスだ。
午前中に、全ての作業が終わった。
「よし、じゃあ顕さんに紹介してもらったあの店に行くぞ!」
「「「「「はい!」」」」」
柳が戸締りをし、ハマーで前に行った肉が安くて美味い店に行った。
日曜日の昼なので結構混んではいたが、すぐにテーブルに案内された。
俺たちを覚えていた店長が注文を取りに来た。
「またのご利用、ありがとうございます!」
「今日も沢山頂きますね。黒毛和牛のステーキを10人前、ハンバーグを10人前、若鳥のグリルは……」
店長は笑顔でPOS端末を操作し、戻った。
次々に運ばれてくる。
テーブルに乗らない分はワゴンで残して行く。
度々店員が来て、食べ終えた皿とワゴンの皿を交換し、また新しいワゴンが来る。
子どもたちが満足するほどに食べたが、やはり20万円もしなかった。
本当に安い。
ドライブにでも行きたかったが、ロボを預けているので、そのまま帰った。
怖いので、全員で迎えに行った。
丁度3時になるので、ドーカンでケーキを買ってお邪魔した。
エレベーター前で、あの「柱」がいる。
俺の方を見ている。
《カタカタ》
動きやがった。
俺は両手を左右に上げた。
「柱」も真似をする。
俺は「柱」をポンポン叩いてやった。
「タカさん!」
「何も言うな!」
エレベーターで上に上がった。
ロボが駆け寄って来て、俺は抱き上げた。
顔を舐めて来る。
雪野さんと挨拶し、抱いていた怜花にも声を掛ける。
怜花が俺に手を伸ばすので、小さな手を握ってやった。
「やっぱりお父さんが分かるんだな!」
早乙女が笑った。
雪野さんが紅茶を淹れてくれ、みんなでケーキを食べた。
「ロボちゃんが「だるまさんが転んだ」をやったんですよ!」
「え?」
「私たちも一緒に! 楽しかったですよ」
「えーと、誰と?」
「ああ、「柱」さんです!」
「……」
なんなんだ。
「「柱」さんが上がって来て、後ろを向いたんです。そうしたらロボちゃんがそーっと近づいて行って」
「ほ、ほう」
「「柱」さんが振り向くと、ロボちゃんが止まって」
「へ、へぇ」
「また正面を向くとロボちゃんが動き出して」
やってるじゃん。
「だから私たちも一緒に。楽しかったー!」
「あはははは」
もう、すっかり「柱」と馴染んでいる。
流石は対妖魔部隊「アドヴェロス」のトップと妻だ。
まあ、万一があってもモハメドもいるし、ピーポンもいる。
本来は「柱」について調べたい所だが、生憎長老が匙を投げている。
悪いものだとは思ってはいないが。
俺は薄気味悪いのだが、「柱」は何故か俺に親し気だ。
帰りに通りかかると、「柱」がまた俺を見ていた。
みんなが俺たちを見ている。
仕方が無いので、「柱」の肩(?)を叩いた。
「この家を頼むぞ」
「柱」が俺に敬礼をした。
「柱」は、突然紫とピンクの縞模様になった。
「「「「「「「!」」」」」」」
急いで帰った。
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