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スパイダーマン Ⅲ
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「えーと、イーストヴィレッジの……」
上空から地上に降り、四人のスパイダーマンが歩道を歩いている。
すれ違う人々が驚き、笑っていた。
「ここかな?」
大きなアパートメントに着いた。
4階に上がり、部屋番号を探した。
「あったよ!」
スパイダーハーがチャイムを押した。
《ピンポーン》
ドアが開き、スパイダーマンが出て来た。
「!」
「「「「……」」」」
「あの、さっきはすいませんでした」
「!」
「ゴールドさんに謝りたくて」
「来てくれたの!」
「は? はい」
「さぁ、入って!」
「は、はい」
四人は誘われるままに部屋に入った。
ダイニングへ通された。
2DKの部屋のようだった。
ジョナサンは衣装の上を外し、顔を見せた。
「君たちはさっきの人たちだね?」
「はい。ゴールドさんが飛び込んで来るんでびっくりしてしまい」
「いいんだ! お陰で君たちと知り合えた!」
「はぁ」
スパイダーアキは、ちょっと想像していたのと違う展開に驚いていた。
「あの、お身体は大丈夫ですか?」
「うん、何ともないよ! むしろ爽快でスッキリしている」
「それは良かったです」
四人は立ち上がり、土下座した。
「「「「I am deeply sorry!」」」」
スパイダーアキが手土産のピッツァを差し出した。
「いや、本当にいいんだよ。僕は君たちと会えて本当に嬉しいんだから」
四人は立つように言われ、椅子に座った。
ソファは二人掛けで、ジョナサンがあちこちから椅子を持って来てくれた。
コーヒーを淹れるというのを、断った。
この衣装では飲めない。
「君たちのスゴイ技はどうやっているの?」
「すいません、お話し出来ません。でも、ある拳法をやっているので」
「そうなんだ! 僕も習いたいなぁ」
スパイダールーとスパイダーハーが立ち上がって、ジョナサンに近寄った。
「ちょっとだけ教えてあげるね!」
「身体に凄くいいしね!」
スパイダーアキが通訳し、ジョナサンが笑顔で立ち上がった。
「花岡」の基本動作を教える。
「上達すれば、ほら、手を前に突き出して「ばーん」ってやれば、相手が吹っ飛ぶよ」
それはない。
楽しく練習してもらうために言っただけだ。
「そうなんだ! BUNG!」
ジョナサンが右の拳を前に突き出した。
ダイニングのサッシが粉々になって吹っ飛んだ。
「「「「「……」」」」」
スパイダーチンがすぐに石神に電話した。
■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■
皇紀から連絡を受け、俺はすぐに支度をした。
「静江さん、申し訳ない。すぐに子どもたちの所へ行かなければならなくなった」
「何か問題でも?」
静江さんには、子どもたちがスパイダーマンごっこをしている中で、男性に迷惑を掛けたと話している。
そして、今謝罪に行っているのだということも。
「詳しくは分からないんですが、アパートメントの部屋を破損したらしい。ああ、子どもたちがやったわけではないようですが」
「そうなんですか!」
「それで、我々の正体がバレるわけには行かないので。何か変装できるものはありませんかね?」
「ああ、お子さんたちはスパイダーマンですものね」
「そうなんです。俺のものは無いので」
「分かりました。探して参ります」
「お手数をお掛けします」
静江さんは何人かを連れて行った。
5分も掛からずに戻って来る。
「こちらでしたら、石神さんのサイズでも!」
「……」
ハムスターの着ぐるみだった。
「あの、これ……」
「ジャンガリアンです!」
「あ、ああ」
お借りした。
あいつら、覚えとけ!
「飛行」で飛び、近くで降りてアパートメントを探した。
すれ違う人々が驚き、笑っていた。
仕方なく、俺も愛想よく手を振ってやる。
「……」
やっと分かった。
階段を上がり、部屋のチャイムを押そうとすると、スパイダーマンが出て来た。
「タカさん!」
皇紀のようだった。
「ハムさんだ!」
皇紀が部屋の中へ入り「ハムさんが来てくれた」と叫んだ。
狭い部屋なので、すぐに状況は分かった。
ダイニングの窓のサッシがひん曲がり、ガラスは四散している。
「あのね、ハムさん!」
「ほんのちょっとだけ「花岡」の動きを教えたの! そうしたら!」
「動きったって、「花足」だけだよ!」
「なんでこんなことになっちゃったか分かんない!」
双子が次々に俺に訴えて来る。
ジョナサンがやったらしいのだが、今はソファにへたり込んでいる。
「おい、また迷惑を掛けてしまったようだな」
「あ、あなたは!」
「申し訳ない。この被害は弁償する」
「え、えーと……」
俺は落ち着くように言い、立ち上がったジョナサンをまた座らせた。
亜紀ちゃんらしいスパイダーマンが、俺の椅子を持って来る。
「君は才能があるらしいね」
「え!」
「ほんのちょっと手ほどきをしただけで、君は「戦士」に近いまでになってしまった」
「あの、それは!」
「並大抵ではない才能だ。俺も他には何人も知らない」
「ほんとですか!」
非日常の出来事があったわけだが、ジョナサンは感激していた。
「君はもう誰にもいじめられることはないよ」
「え! どうして僕のことが分かるんですか!」
タマに聞いた。
「君は実はずっと以前から観察されていたんだ。君に才能があることは分かっていたからね」
「そうなんですか!」
「ああ。もちろん、我々が考えていた以上のものだったけどね」
「ヤ、ヤッタァー!」
「それでどうかな。スカウトはもっと先の予定だったが、君は目覚めてしまった」
「はい!」
「我々と共に、悪の組織と戦ってはもらえないだろうか?」
「ほんとですか! 喜んで! 光栄です!」
「ありがとう」
俺はアラスカの訓練場の連絡先を教えた。
「大学を卒業したら、そこへ君を迎え入れよう。もちろん気が変わったらそう言ってくれ」
「絶対に変わりません!」
「それは嬉しいよ。じゃあ、これからは仲間だ。宜しく頼む」
「はい! ハムサン様!」
俺たちは握手した。
子どもたちが笑いを堪えていた。
ロックハート家へ帰り、俺たちは着替えてお茶にした。
響子も起きていた。
俺は静江さんに頼んで、ジョナサン・ゴールドの引っ越し先の手配と、今のアパートメントの修繕を頼んだ。
「その方がいきなり「花岡」を使ったのですか?」
「そのようです。絶対に使えるはずのないものだったんですが」
俺は遊び半分で基本動作だけを教えたらしいと言った。
「まさか数分で習得するとは」
「凄い方ですね」
「亜蘭ちゃんもそうだったよね!」
ルーが言った。
その通りだ。
亜蘭も才能のお化けだった。
「世の中には、そういう方もいるのですね」
「ええ、俺も驚いています」
ロボは半熟の卵黄を嬉しそうに食べていた。
「ん?」
俺は何かが繋がったような感覚を覚えた。
なんだ?
「ジョナサンさん、頭は大丈夫かなー」
「ああ、ロボの爪ってそういうのは……」
「タカさん?」
ハーが俺を覗き込んで来る。
「亜蘭は元々才能はあったけど、飛躍的に伸びたのはあのキャンプから帰ってからだよな!」
「うん、そうだったね?」
「麗星が自分に取り入れた妖魔を自在に操れるようになったのは、蓮花の研究所の後だよな!」
「ああ、そうだったかも」
他にも幾つか思い当たることがあった。
「ロボの爪かぁ!」
「「「「えぇー!」」」」
俺は更に思い出した。
「タマ!」
「なんだ、主」
リヴィングに突如現れた着物姿のタマに、また響子と静江さんが驚く。
「ロボに、さっき俺に爪で刺した男の話をしていたか聞いてくれ」
タマがロボに話し掛ける。
俺には分からないが、タマにはロボの言葉が分かるらしい。
「そうだと言っている。あのアメリカ人の男に自分の才能を開花しやすいように改造したと」
「すんな!」
「でも、元々才能はあったらしいぞ。ロボはそれを少しばかり改変しただけだ」
「もうすんなって言っておいてくれ!」
タマは伝え、消えた。
何にしても、こいつらはとんでもねぇ。
上空から地上に降り、四人のスパイダーマンが歩道を歩いている。
すれ違う人々が驚き、笑っていた。
「ここかな?」
大きなアパートメントに着いた。
4階に上がり、部屋番号を探した。
「あったよ!」
スパイダーハーがチャイムを押した。
《ピンポーン》
ドアが開き、スパイダーマンが出て来た。
「!」
「「「「……」」」」
「あの、さっきはすいませんでした」
「!」
「ゴールドさんに謝りたくて」
「来てくれたの!」
「は? はい」
「さぁ、入って!」
「は、はい」
四人は誘われるままに部屋に入った。
ダイニングへ通された。
2DKの部屋のようだった。
ジョナサンは衣装の上を外し、顔を見せた。
「君たちはさっきの人たちだね?」
「はい。ゴールドさんが飛び込んで来るんでびっくりしてしまい」
「いいんだ! お陰で君たちと知り合えた!」
「はぁ」
スパイダーアキは、ちょっと想像していたのと違う展開に驚いていた。
「あの、お身体は大丈夫ですか?」
「うん、何ともないよ! むしろ爽快でスッキリしている」
「それは良かったです」
四人は立ち上がり、土下座した。
「「「「I am deeply sorry!」」」」
スパイダーアキが手土産のピッツァを差し出した。
「いや、本当にいいんだよ。僕は君たちと会えて本当に嬉しいんだから」
四人は立つように言われ、椅子に座った。
ソファは二人掛けで、ジョナサンがあちこちから椅子を持って来てくれた。
コーヒーを淹れるというのを、断った。
この衣装では飲めない。
「君たちのスゴイ技はどうやっているの?」
「すいません、お話し出来ません。でも、ある拳法をやっているので」
「そうなんだ! 僕も習いたいなぁ」
スパイダールーとスパイダーハーが立ち上がって、ジョナサンに近寄った。
「ちょっとだけ教えてあげるね!」
「身体に凄くいいしね!」
スパイダーアキが通訳し、ジョナサンが笑顔で立ち上がった。
「花岡」の基本動作を教える。
「上達すれば、ほら、手を前に突き出して「ばーん」ってやれば、相手が吹っ飛ぶよ」
それはない。
楽しく練習してもらうために言っただけだ。
「そうなんだ! BUNG!」
ジョナサンが右の拳を前に突き出した。
ダイニングのサッシが粉々になって吹っ飛んだ。
「「「「「……」」」」」
スパイダーチンがすぐに石神に電話した。
■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■
皇紀から連絡を受け、俺はすぐに支度をした。
「静江さん、申し訳ない。すぐに子どもたちの所へ行かなければならなくなった」
「何か問題でも?」
静江さんには、子どもたちがスパイダーマンごっこをしている中で、男性に迷惑を掛けたと話している。
そして、今謝罪に行っているのだということも。
「詳しくは分からないんですが、アパートメントの部屋を破損したらしい。ああ、子どもたちがやったわけではないようですが」
「そうなんですか!」
「それで、我々の正体がバレるわけには行かないので。何か変装できるものはありませんかね?」
「ああ、お子さんたちはスパイダーマンですものね」
「そうなんです。俺のものは無いので」
「分かりました。探して参ります」
「お手数をお掛けします」
静江さんは何人かを連れて行った。
5分も掛からずに戻って来る。
「こちらでしたら、石神さんのサイズでも!」
「……」
ハムスターの着ぐるみだった。
「あの、これ……」
「ジャンガリアンです!」
「あ、ああ」
お借りした。
あいつら、覚えとけ!
「飛行」で飛び、近くで降りてアパートメントを探した。
すれ違う人々が驚き、笑っていた。
仕方なく、俺も愛想よく手を振ってやる。
「……」
やっと分かった。
階段を上がり、部屋のチャイムを押そうとすると、スパイダーマンが出て来た。
「タカさん!」
皇紀のようだった。
「ハムさんだ!」
皇紀が部屋の中へ入り「ハムさんが来てくれた」と叫んだ。
狭い部屋なので、すぐに状況は分かった。
ダイニングの窓のサッシがひん曲がり、ガラスは四散している。
「あのね、ハムさん!」
「ほんのちょっとだけ「花岡」の動きを教えたの! そうしたら!」
「動きったって、「花足」だけだよ!」
「なんでこんなことになっちゃったか分かんない!」
双子が次々に俺に訴えて来る。
ジョナサンがやったらしいのだが、今はソファにへたり込んでいる。
「おい、また迷惑を掛けてしまったようだな」
「あ、あなたは!」
「申し訳ない。この被害は弁償する」
「え、えーと……」
俺は落ち着くように言い、立ち上がったジョナサンをまた座らせた。
亜紀ちゃんらしいスパイダーマンが、俺の椅子を持って来る。
「君は才能があるらしいね」
「え!」
「ほんのちょっと手ほどきをしただけで、君は「戦士」に近いまでになってしまった」
「あの、それは!」
「並大抵ではない才能だ。俺も他には何人も知らない」
「ほんとですか!」
非日常の出来事があったわけだが、ジョナサンは感激していた。
「君はもう誰にもいじめられることはないよ」
「え! どうして僕のことが分かるんですか!」
タマに聞いた。
「君は実はずっと以前から観察されていたんだ。君に才能があることは分かっていたからね」
「そうなんですか!」
「ああ。もちろん、我々が考えていた以上のものだったけどね」
「ヤ、ヤッタァー!」
「それでどうかな。スカウトはもっと先の予定だったが、君は目覚めてしまった」
「はい!」
「我々と共に、悪の組織と戦ってはもらえないだろうか?」
「ほんとですか! 喜んで! 光栄です!」
「ありがとう」
俺はアラスカの訓練場の連絡先を教えた。
「大学を卒業したら、そこへ君を迎え入れよう。もちろん気が変わったらそう言ってくれ」
「絶対に変わりません!」
「それは嬉しいよ。じゃあ、これからは仲間だ。宜しく頼む」
「はい! ハムサン様!」
俺たちは握手した。
子どもたちが笑いを堪えていた。
ロックハート家へ帰り、俺たちは着替えてお茶にした。
響子も起きていた。
俺は静江さんに頼んで、ジョナサン・ゴールドの引っ越し先の手配と、今のアパートメントの修繕を頼んだ。
「その方がいきなり「花岡」を使ったのですか?」
「そのようです。絶対に使えるはずのないものだったんですが」
俺は遊び半分で基本動作だけを教えたらしいと言った。
「まさか数分で習得するとは」
「凄い方ですね」
「亜蘭ちゃんもそうだったよね!」
ルーが言った。
その通りだ。
亜蘭も才能のお化けだった。
「世の中には、そういう方もいるのですね」
「ええ、俺も驚いています」
ロボは半熟の卵黄を嬉しそうに食べていた。
「ん?」
俺は何かが繋がったような感覚を覚えた。
なんだ?
「ジョナサンさん、頭は大丈夫かなー」
「ああ、ロボの爪ってそういうのは……」
「タカさん?」
ハーが俺を覗き込んで来る。
「亜蘭は元々才能はあったけど、飛躍的に伸びたのはあのキャンプから帰ってからだよな!」
「うん、そうだったね?」
「麗星が自分に取り入れた妖魔を自在に操れるようになったのは、蓮花の研究所の後だよな!」
「ああ、そうだったかも」
他にも幾つか思い当たることがあった。
「ロボの爪かぁ!」
「「「「えぇー!」」」」
俺は更に思い出した。
「タマ!」
「なんだ、主」
リヴィングに突如現れた着物姿のタマに、また響子と静江さんが驚く。
「ロボに、さっき俺に爪で刺した男の話をしていたか聞いてくれ」
タマがロボに話し掛ける。
俺には分からないが、タマにはロボの言葉が分かるらしい。
「そうだと言っている。あのアメリカ人の男に自分の才能を開花しやすいように改造したと」
「すんな!」
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