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連城十五 Ⅱ
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俺の家は古武術の家系だった。
東北の小さな町で、周辺に親戚が多くいた。
みんな同門で、俺の家が本家だった。
子どもの頃から鍛え上げられ、小学校の高学年になると、外の柔道や剣道、合気道なども習わされた。
生まれつき身体も大きく、高校生になった時には、既に190センチになっていた。
その頃には外の習い事も外され、ひたすらうちの古武術を学んだ。
そのまま一門を継ぐことを期待されていたが、俺は自衛官になりたいと父に話した。
「まあ、それもいいだろう。お前の器は、この小さな場所では収まらないのかもしれんな」
父は笑って許してくれた。
幸いにも成績も良く、俺は防衛大学に進み、キャリア自衛官として順調に出発した。
出世には興味は無かったが、優秀と認められて第一空挺団に編入された。
厳しい訓練と言われたが、俺にとっては何事でもなかった。
そして特殊作戦群が設立され、俺はそこでの幹部となった。
ある日、幕僚たちに呼び出され、出頭した。
「これは最高機密だ。これから耳にすることは、決して他言してはならない」
「はい!」
「自衛隊の中で、実戦を踏む部隊を極秘に設立する話が出ている」
「!」
「君をその部隊長とし、20人の部下を率いて海外で非正規戦闘を経験してもらう」
「はい!」
そのため、俺たちは戸籍を喪い、国籍も無い亡霊となる。
俺は即座に了承し、自らその部隊を希望した。
その後、輸送機の墜落事故を装い、俺たちは通称「裏鬼」として極秘部隊員となった。
北海道の山中が訓練場となり、俺たちは誰とも接触せずに訓練に明け暮れた。
俺が訓練メニューを作り、徹底的に部隊員を鍛え上げた。
一定のレベルになったと判断し、俺は非正規戦闘の希望を上申した。
主にチャップマンPMCと連携して、様々な戦場を渡り歩いた。
チャップマンPMCは世界最高峰の傭兵派遣会社だった。
その道で知らない者はいないほどの、優秀な企業だ。
創設者のチャップマンは既に亡くなっているが、優秀な人間がその後を継いでいる。
今はセイントPMCと双璧を成している。
部隊員は皆優秀だが、突出しているのは鏑木というスナイパー、そして剛力の作戦立案能力、また袴田の各種兵器の操縦と運用。
俺を含めたこの四人だけで作戦行動を取ったことも多い。
アフガンでイスラムのテロ組織との戦争の際、「裏鬼」だけで敵の指導者を射殺したこともある。
米軍主導の作戦だったが、奴らが敵勢力を鎮圧する前に、戦闘の趨勢は決まっていた。
アフリカのM国で、監禁されたイギリスの大使館員を救出したこともある。
敵の武器や兵装を鹵獲しながらの移動だった。
砂漠でも極寒の地でも、化学兵器の散布された戦場でも戦った。
チャップマンPMCが、様々な戦場を用意してくれた。
何人かの部隊員が戦死した。
「連城さん。そろそろ隊員を補給できませんかね」
剛力が進言して来た。
「まあ、難しいだろう。富はともかく、戸籍も名声も何もかも失う部隊だからな」
「そうですね。頭のネジがぶっ飛んだ人間は今の日本じゃ少ないですからな」
スイスのサンモリッツで久しぶりの休暇を取っていた。
バカンスシーズンの終わった10月。
カフェのテラスで人を遠ざけてコーヒーを飲んでいた。
「それでも、誰か候補はいないんですか?」
「一人、欲しい人間はいるんだがな」
「え! 誰ですか!」
「自衛官ではないんだ。フリーというか、実は医者をやっているようなんだよ」
「はい?」
剛力が良く分からないという顔をしていた。
俺は笑いながら話した。
「前にな、ちょっと根性がある自衛官を鍛えていたんだ。キャリアの奴なんだが、現場で鍛えて行きたいという珍しい男でな」
「はぁ」
「南原という奴で、人懐っこいんだが、真面目で頑張る奴だった。何でも、憧れの人間がいるということだった」
「そうなんですか」
剛力はまだ話が見えずに、相槌を打ちながら俺の話を聞いていた。
「トラ兄さんと言っていた。なんでも義理の兄弟なんだと。子どもの頃に父親が再婚し、新しい母親の連れ子だったそうだ。そのトラ兄さんという奴が面白くてな。喧嘩三昧で、暴走族になって暴れ回っていたらしい」
「はぁ」
「そいつは、18歳の時に傭兵になった」
「え!」
「東大の医学部に受かっていたらしいけどな。家に金が無くなって、何を考えたか戦場に出たんだとよ」
「なんですか、そいつ!」
「アハハハハ! その時一緒に傭兵になったのが、セイントPMCの社長のセイントだよ」
「なんですって!」
剛力がようやく話が見えて来て驚いていた。
「ほら、セイントと何度か会った中で聞いたことがあるだろう。この世で最も強いのはチャップと自分と、もう一人」
「ああ! トラって言ってましたよね!」
「南原の義理の兄がトラ兄さん、その経歴とセイントの話す「トラ」が俺の中で重なったよ。セイントに詳しく聞くと、間違いなさそうだ」
「そんな! でもトラは今、傭兵じゃなく医者なんですよね?」
「そうだけどな。でも時々セイントの仕事を手伝って来たそうだ。セイントが言ってたよ。「あいつは今でも最高に強い」って」
「あのセイントがですか!」
剛力は驚嘆していた。
セイントの戦闘力は全員が知っている。
戦神と言ってもいい程の超絶の戦闘力だった。
俺が戦いたくないと思う、数少ない人間の一人でもあった。
「セイントが手放しで褒め称えているんだ」
「そいつは欲しいですね!」
「そうだろう? まあ無理でも、一度は会ってみたいよ」
「そうですねぇ」
セイントは人を褒めることは少ない。
特に戦闘に関することで、決して誇張は言わない。
彼がそう言うのならば、絶対に強い人間だ。
「セイントはな、トラを崇拝しているんだ。個人的なことは話してはくれないが、一緒に回った戦場の話は色々としてくれた。俺も驚いたよ」
「そうなんですか」
「チャップマンと一緒にニカラグアで戦ったらしい」
「えぇ! チャップマンですか!」
「ああ、あのチャップマンが「トラ」を大層気に入っていたらしいよ」
「すげぇ奴ですね」
俺は幾つかの戦場の話をしてやった。
剛力も圧倒されていた。
「今度日本に戻ったら、少し調べてみるか」
「はい! 自分も会ってみたいですよ!」
「まあ、俺たちは亡霊だからな」
「アハハハハハ!」
日本に帰りたい思いは全員の中にある。
日本のためにと全てを擲った俺たちだからこそ、故郷への憧憬は強い。
俺は日本に残して来た息子のことを思った。
20代で結婚したが、相手の女は俺の苛酷な生き方に付いて来れなかった。
子どもを生んでから、俺が武術を教えることに大反対だった。
俺は自衛隊の中で生活し、ほとんど会うこともなくなり、ついには離婚した。
妻の浮気が原因だった。
今思えが俺が悪かった。
家族など顧みずに、何一つしてやらなかった。
やったのは妻が嫌がることばかりだった。
慰謝料を受け取ることも、養育費すら拒んだ。
徹底的に俺との関係を断ちたがった。
俺も妻への愛情などなく、そのまま別れた。
ただ一つ。
息子だけが心残りだった。
俺のこんな生き方では子育てなど無理だったので、養育権を希望した妻に預けた。
その後、連絡を取ることもなく、息子が今どこでどうしているのかも知らない。
まだ、お互いに愛情もあり、一緒に生きて行こうと考えていた頃。
子どもが生まれ、それが一番幸せな時期だったことを思う。
二人で子どもの名前を考え、笑い合っていたあの時。
「竹流(たける)なんてどうだ?」
「いいですね! 綺麗な名前!」
「そうか。ヤマトタケルにちなんだんだ」
「はい」
俺は自分が好きなヤマトタケルの話を聞かせた。
俺が話すので面白くも無い話だったはずだが、妻は黙って聞いていてくれた。
数々の征伐の旅は妻にとっては苦痛だったかもしれない。
しかし、海難でのオトタチバナヒメの愛は妻も感動してくれた。
《乙女の床のべに 我が置きし 剣の大刀 その大刀はや》
俺が辞世の句を朗ずると、妻が驚いた。
「まあ、素敵な歌ですね」
「そうだな」
「あなたが、そんな綺麗な歌を御存知とは」
「それはあんまりだろう」
二人で笑った。
あの日を大切にすべきだった。
花岡家の鬼子「業」の暗躍が次第に表に出て来た。
俺は日本政府から勅命を受け、ロシアのシベリア大森林にある施設の調査と破壊工作を命じられた。
米軍の偵察衛星からの情報を元に、俺たちは極秘にロシアに潜入し、移動した。
しかし、なすすべもなく、俺たちは壊滅した。
「業」がそこにいた。
黒い霧に覆われた瞬間に、全員が絶命した。
俺は一瞬速く霧から遠ざかり、まだ何とか立っていた。
「ほう、面白い男だな」
大地が揺れるような声で話す声に、俺の四肢が動かなくなった。
意識が薄れる中で、俺は竹流のことを思った。
もう、それしか出来なかった。
俺にたった一つ残された希望。
俺のたった一つの愛。
《乙女の床のべに 我が置きし 剣の大刀 その大刀はや》
俺は最後にあの和歌を口にし、果てた。
東北の小さな町で、周辺に親戚が多くいた。
みんな同門で、俺の家が本家だった。
子どもの頃から鍛え上げられ、小学校の高学年になると、外の柔道や剣道、合気道なども習わされた。
生まれつき身体も大きく、高校生になった時には、既に190センチになっていた。
その頃には外の習い事も外され、ひたすらうちの古武術を学んだ。
そのまま一門を継ぐことを期待されていたが、俺は自衛官になりたいと父に話した。
「まあ、それもいいだろう。お前の器は、この小さな場所では収まらないのかもしれんな」
父は笑って許してくれた。
幸いにも成績も良く、俺は防衛大学に進み、キャリア自衛官として順調に出発した。
出世には興味は無かったが、優秀と認められて第一空挺団に編入された。
厳しい訓練と言われたが、俺にとっては何事でもなかった。
そして特殊作戦群が設立され、俺はそこでの幹部となった。
ある日、幕僚たちに呼び出され、出頭した。
「これは最高機密だ。これから耳にすることは、決して他言してはならない」
「はい!」
「自衛隊の中で、実戦を踏む部隊を極秘に設立する話が出ている」
「!」
「君をその部隊長とし、20人の部下を率いて海外で非正規戦闘を経験してもらう」
「はい!」
そのため、俺たちは戸籍を喪い、国籍も無い亡霊となる。
俺は即座に了承し、自らその部隊を希望した。
その後、輸送機の墜落事故を装い、俺たちは通称「裏鬼」として極秘部隊員となった。
北海道の山中が訓練場となり、俺たちは誰とも接触せずに訓練に明け暮れた。
俺が訓練メニューを作り、徹底的に部隊員を鍛え上げた。
一定のレベルになったと判断し、俺は非正規戦闘の希望を上申した。
主にチャップマンPMCと連携して、様々な戦場を渡り歩いた。
チャップマンPMCは世界最高峰の傭兵派遣会社だった。
その道で知らない者はいないほどの、優秀な企業だ。
創設者のチャップマンは既に亡くなっているが、優秀な人間がその後を継いでいる。
今はセイントPMCと双璧を成している。
部隊員は皆優秀だが、突出しているのは鏑木というスナイパー、そして剛力の作戦立案能力、また袴田の各種兵器の操縦と運用。
俺を含めたこの四人だけで作戦行動を取ったことも多い。
アフガンでイスラムのテロ組織との戦争の際、「裏鬼」だけで敵の指導者を射殺したこともある。
米軍主導の作戦だったが、奴らが敵勢力を鎮圧する前に、戦闘の趨勢は決まっていた。
アフリカのM国で、監禁されたイギリスの大使館員を救出したこともある。
敵の武器や兵装を鹵獲しながらの移動だった。
砂漠でも極寒の地でも、化学兵器の散布された戦場でも戦った。
チャップマンPMCが、様々な戦場を用意してくれた。
何人かの部隊員が戦死した。
「連城さん。そろそろ隊員を補給できませんかね」
剛力が進言して来た。
「まあ、難しいだろう。富はともかく、戸籍も名声も何もかも失う部隊だからな」
「そうですね。頭のネジがぶっ飛んだ人間は今の日本じゃ少ないですからな」
スイスのサンモリッツで久しぶりの休暇を取っていた。
バカンスシーズンの終わった10月。
カフェのテラスで人を遠ざけてコーヒーを飲んでいた。
「それでも、誰か候補はいないんですか?」
「一人、欲しい人間はいるんだがな」
「え! 誰ですか!」
「自衛官ではないんだ。フリーというか、実は医者をやっているようなんだよ」
「はい?」
剛力が良く分からないという顔をしていた。
俺は笑いながら話した。
「前にな、ちょっと根性がある自衛官を鍛えていたんだ。キャリアの奴なんだが、現場で鍛えて行きたいという珍しい男でな」
「はぁ」
「南原という奴で、人懐っこいんだが、真面目で頑張る奴だった。何でも、憧れの人間がいるということだった」
「そうなんですか」
剛力はまだ話が見えずに、相槌を打ちながら俺の話を聞いていた。
「トラ兄さんと言っていた。なんでも義理の兄弟なんだと。子どもの頃に父親が再婚し、新しい母親の連れ子だったそうだ。そのトラ兄さんという奴が面白くてな。喧嘩三昧で、暴走族になって暴れ回っていたらしい」
「はぁ」
「そいつは、18歳の時に傭兵になった」
「え!」
「東大の医学部に受かっていたらしいけどな。家に金が無くなって、何を考えたか戦場に出たんだとよ」
「なんですか、そいつ!」
「アハハハハ! その時一緒に傭兵になったのが、セイントPMCの社長のセイントだよ」
「なんですって!」
剛力がようやく話が見えて来て驚いていた。
「ほら、セイントと何度か会った中で聞いたことがあるだろう。この世で最も強いのはチャップと自分と、もう一人」
「ああ! トラって言ってましたよね!」
「南原の義理の兄がトラ兄さん、その経歴とセイントの話す「トラ」が俺の中で重なったよ。セイントに詳しく聞くと、間違いなさそうだ」
「そんな! でもトラは今、傭兵じゃなく医者なんですよね?」
「そうだけどな。でも時々セイントの仕事を手伝って来たそうだ。セイントが言ってたよ。「あいつは今でも最高に強い」って」
「あのセイントがですか!」
剛力は驚嘆していた。
セイントの戦闘力は全員が知っている。
戦神と言ってもいい程の超絶の戦闘力だった。
俺が戦いたくないと思う、数少ない人間の一人でもあった。
「セイントが手放しで褒め称えているんだ」
「そいつは欲しいですね!」
「そうだろう? まあ無理でも、一度は会ってみたいよ」
「そうですねぇ」
セイントは人を褒めることは少ない。
特に戦闘に関することで、決して誇張は言わない。
彼がそう言うのならば、絶対に強い人間だ。
「セイントはな、トラを崇拝しているんだ。個人的なことは話してはくれないが、一緒に回った戦場の話は色々としてくれた。俺も驚いたよ」
「そうなんですか」
「チャップマンと一緒にニカラグアで戦ったらしい」
「えぇ! チャップマンですか!」
「ああ、あのチャップマンが「トラ」を大層気に入っていたらしいよ」
「すげぇ奴ですね」
俺は幾つかの戦場の話をしてやった。
剛力も圧倒されていた。
「今度日本に戻ったら、少し調べてみるか」
「はい! 自分も会ってみたいですよ!」
「まあ、俺たちは亡霊だからな」
「アハハハハハ!」
日本に帰りたい思いは全員の中にある。
日本のためにと全てを擲った俺たちだからこそ、故郷への憧憬は強い。
俺は日本に残して来た息子のことを思った。
20代で結婚したが、相手の女は俺の苛酷な生き方に付いて来れなかった。
子どもを生んでから、俺が武術を教えることに大反対だった。
俺は自衛隊の中で生活し、ほとんど会うこともなくなり、ついには離婚した。
妻の浮気が原因だった。
今思えが俺が悪かった。
家族など顧みずに、何一つしてやらなかった。
やったのは妻が嫌がることばかりだった。
慰謝料を受け取ることも、養育費すら拒んだ。
徹底的に俺との関係を断ちたがった。
俺も妻への愛情などなく、そのまま別れた。
ただ一つ。
息子だけが心残りだった。
俺のこんな生き方では子育てなど無理だったので、養育権を希望した妻に預けた。
その後、連絡を取ることもなく、息子が今どこでどうしているのかも知らない。
まだ、お互いに愛情もあり、一緒に生きて行こうと考えていた頃。
子どもが生まれ、それが一番幸せな時期だったことを思う。
二人で子どもの名前を考え、笑い合っていたあの時。
「竹流(たける)なんてどうだ?」
「いいですね! 綺麗な名前!」
「そうか。ヤマトタケルにちなんだんだ」
「はい」
俺は自分が好きなヤマトタケルの話を聞かせた。
俺が話すので面白くも無い話だったはずだが、妻は黙って聞いていてくれた。
数々の征伐の旅は妻にとっては苦痛だったかもしれない。
しかし、海難でのオトタチバナヒメの愛は妻も感動してくれた。
《乙女の床のべに 我が置きし 剣の大刀 その大刀はや》
俺が辞世の句を朗ずると、妻が驚いた。
「まあ、素敵な歌ですね」
「そうだな」
「あなたが、そんな綺麗な歌を御存知とは」
「それはあんまりだろう」
二人で笑った。
あの日を大切にすべきだった。
花岡家の鬼子「業」の暗躍が次第に表に出て来た。
俺は日本政府から勅命を受け、ロシアのシベリア大森林にある施設の調査と破壊工作を命じられた。
米軍の偵察衛星からの情報を元に、俺たちは極秘にロシアに潜入し、移動した。
しかし、なすすべもなく、俺たちは壊滅した。
「業」がそこにいた。
黒い霧に覆われた瞬間に、全員が絶命した。
俺は一瞬速く霧から遠ざかり、まだ何とか立っていた。
「ほう、面白い男だな」
大地が揺れるような声で話す声に、俺の四肢が動かなくなった。
意識が薄れる中で、俺は竹流のことを思った。
もう、それしか出来なかった。
俺にたった一つ残された希望。
俺のたった一つの愛。
《乙女の床のべに 我が置きし 剣の大刀 その大刀はや》
俺は最後にあの和歌を口にし、果てた。
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