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南アフリカ共和国 軍事クーデター
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「虎」の軍は南アフリカ共和国政府と折衝を始めた。
「虎」の軍の外交担当に就任した、アーネスト・ウィルソンに一任した。
ウィルソンは元々イギリスの外務省にいた人間で、昨年「虎」の軍に共鳴してアラスカへ移住してきた。
華やかな経歴を捨て、俺たちのために働きたいと言ってくれたのだ。
俺は外交の専門家が欲しかったので、大歓迎で迎え入れた。
40代前半の男だったが、将来外務大臣も期待される、外務省のホープだった。
「どうして素晴らしい経歴と将来を捨ててまで、俺たちのところへ来てくれるんだ?」
「レイチェル・コシノの件です。タイガー、あなたは大切な女性が殺され、あの超大国アメリカに戦いを挑んだ」
ウィルソンは表向きの発表ではなく、正確な事件の経緯を掴んでいるようだった。
アメリカと親しいイギリスの外務省の中枢にいたのだから、当然なのかもしれないが。
「あなた方が持つ強大な力はもちろん驚異的です。ですが、私は不利益では済まなかったかもしれない状況を乗り越え、アメリカと堂々と対峙したことにこそ、感銘を受けたのです」
「というと?」
「あなたの行動は最初から最後まで一貫していた。レイチェル・コシノを救出しようとし、残念ながら殺されてしまうと今度はそれをやった連中を徹底的に潰した。一切の躊躇なく、基地全体を破壊し、その後のアメリカ軍の攻撃も振り払った」
「そうですね」
ウィルソンという男が分かった。
「あなたは世界の敵になったのかもしれない。でも、そんなことをあなたは一瞬たりとも考えなかった。反対にあなたはアメリカを全滅させることも、支配することも出来た。それもあなたはしなかった」
「俺はアメリカなんか欲しくはありませんよ」
「はい。あなたはただ、レイチェル・コシノだけだった」
「その通りです」
ウィルソンが泣いていた。
「私は、そんな人間がこの世界にいるとは思わなかった。でもあなたがそうだった! 私は生涯をあなたに捧げます。あなたの崇高な魂のために、私は全力を尽くします」
「ありがとう。よろしくお願いします」
ウィルソンはすぐに「虎」の軍の外交チームを組織した。
自分の古巣の外務省からも何人か引き抜いたが、その他にイギリスの大使経験者、また他国の外務菅や大使経験者、他にも独自の伝手で集めた。
200人ほどがアラスカへ移住し、「虎」の軍の外務省的な組織を構築した。
更に事務員を入れ、今では1800人のどの所帯になっている。
《TIGER Medium of Ⅿediation》(調停虎機関)
ウィルソンがそう名付け、ヘッジホッグのビル一棟をその機関のために使わせるようになった。
ウィルソンから政府との会談の報告を受けた。
マンガウングでの遺体収容に対する礼は述べられたが、政府としては「虎」の軍には協力できないということだった。
「業」の余りにも一歩的な蹂躙は、完全に逆らうことの勇気を委縮させ、全面的に「業」に降伏し、いかなる要求も呑むのだと言っている。
「一つ分かったことが、どうやら南アフリカ共和国政府は「業」に軍事基地もしくは研究機関の誘致を行なうようです」
「そういうことだったか」
「業」は海外の拠点を求めている。
ロシア国内では資源不足が深刻になり、そのため海外での活動を余儀なくされているのではないか。
また、今後の世界戦略の上で、多くの拠点を持ちたいのだろう。
「土地を渡せば攻撃はしないと言われたか」
「恐らく、そのようなことかと」
「バカだな」
「はい。私が幾らそれが守られない約束だと言っても聞き入れませんでした」
人間は信じたがる生き物だ。
だから絶望を与えれば、人間はどのようにも洗脳出来る。
誰も信じないような嘘も、それ以外に選択肢が無いとなれば、簡単に縋ってしまう。
「だが、南アフリカ共和国の土地はほとんどが政府ではなく白人が所有しているものだろう?」
「はい」
「じゃあ、それを力づくで奪うってか」
「多分、そのようなことになるかと」
「呆れるほどのバカだな」
「まったく」
南アフリカは長らく白人が支配し、悪名名高い「アパルトヘイト政策」は、それほど前のことでもない。
ネルソン・マンデラがやっと政権を担い、人種差別政策は廃止された。
しかし、今でも富裕層は白人が独占し、土地の所有が認められたとはいえ、黒人は全然持っていない。
人種格差は世界でもトップクラスの国なのだ。
「我々「虎」の軍が常に「業」の軍勢を撃破してきたことも話した。タイガーから許可を得たヘッジホッグや戦闘記録の映像も見せた」
「ダメだったか」
「ああ。我々の戦力は理解出来ても、自分たちのために動いてはもらえないだろうと考えているのだろうな」
「まあ、その通りだけどな」
「え?」
「国民が、仲間が無残に殺されて、その遺体を葬ることすらしようとしない連中だ。誰が守ってやるか!」
「タイガー……」
俺はウィルソンを見た。
「ウィルソン、じゃあやるぞ」
「ああ、R作戦に移行だな」
「今の政府の連中はどうなっても構わん。だが、「業」が南アフリカに拠点を築くのは許せん」
「軍事クーデターか」
「マンガウングで俺たちが作業している最後の方で、軍人の一団が来た」
「ああ、クマロ将軍と言っていたな。数名の部下だけを連れて来たが」
「聞いている。上層部の反対を押し切って来た人間だな」
「あの男に話を通してくれ。何もしなくていい。俺たちが政府と軍部を引っ繰り返すからな」
「分かった」
クマロ将軍は、戦場で散って行った兵士と、守れなかった市民に申し訳ないと言っていた。
「虎」の軍が遺体収容のために派遣されると聞き、自分たちも希望したが、上から止められたそうだ。
しかし、クマロ将軍はその命令に反抗した。
極秘にということではあったが、将軍自ら遺体を運び、最終日の慰霊の儀式まで参列して行った。
「あいつは信用出来る」
「まあ、軍事クーデターはその後がいろいろと心配なのだがな」
「分かってるよ。だから南アフリカに、「虎」の軍の拠点を作る」
「そういうことか」
政府の運営はクマロ将軍たちに任せる。
しかし、利権の流れは俺たちが監視する。
クーデター政府は、利権の簒奪によって簡単に腐敗する。
「政府の中に信頼出来る人間を知っているか?」
「何人かいる」
「じゃあ、話を通しておいてくれ。それに、しばらくはウィルソンにも軌道に乗るまではいろいろ面倒を見てもらうからな」
「承知した。任せて欲しい。政府の中に派遣する人材も集めておこう」
「頼むな」
その後クマロ将軍と俺は直接会談した。
軍事クーデターの話には流石に驚いていたが、すぐに納得した。
「タイガー、一つお願いがある」
「なんだ?」
「自分がクーデターの首謀者になることは構わない。全力で勤めさせてもらう」
「そうか」
「だが、革命政府のリーダーにはなれない」
「どうしてだ?」
普通はそれこそ望みたがるものなのだが。
「自分は政治のことなど分からない。軍の掌握のことはなんとかしよう。だが、政治のことは、誰かに任せてくれないか?」
「そうか」
俺はこういう人間にこそ国家を任せたいのだが、確かに政治は誠実さだけではやっていけない。
「分かった。じゃあ、そっちはこちらで用意するよ」
「ありがたい。クーデターは、自分も参加する」
「ああ、それだけどな」
俺はクマロ将軍にクーデターの具体的な方法を話した。
「なんだと!」
「そうしなければ、「業」が少数で軍を圧倒した恐怖を拭えないだろう」
「確かにそうだが」
クマロ将軍は驚き、そして躊躇していた。
「しかし、それでは「虎」の軍が国際テロリストと非難される可能性もあるのではないか?」
「構わんよ。もうそんな綺麗事を言っている場合じゃないんだ」
「……そうだな」
クマロ将軍も、納得した。
三日後。
俺は子どもたちを連れて、南アフリカ共和国軍の基地を破壊した。
「業」と同様に予告襲撃だった。
陸軍は基地を半壊し、戦車やミサイルなどのほとんどを喪った。
海軍は全艦船を喪い、空軍も戦闘機や爆撃機の全てを喪った。
事実上、南アフリカ共和国軍は多くの兵士を残して壊滅した。
ゼロではなかったが、人的被害はほとんど無かった。
事前に勧告し、作戦行動中も避難を呼びかけながら攻撃したためだ。
国際世論は「業」に占領される南アフリカ共和国を救った作戦と報じられ、賞賛を得た。
空軍基地を接収し、「虎」の軍の駐屯地を作った。
クマロ将軍たちに「カサンドラ」を貸与し、アラスカから訓練教官を派遣した。
「業」のバイオノイドに対抗出来ない既存の兵器など無駄だ。
だから俺たちの戦力を見せるために、全て破壊した。
南アフリカ共和国は新たな歴史を歩み始めた。
「虎」の軍の外交担当に就任した、アーネスト・ウィルソンに一任した。
ウィルソンは元々イギリスの外務省にいた人間で、昨年「虎」の軍に共鳴してアラスカへ移住してきた。
華やかな経歴を捨て、俺たちのために働きたいと言ってくれたのだ。
俺は外交の専門家が欲しかったので、大歓迎で迎え入れた。
40代前半の男だったが、将来外務大臣も期待される、外務省のホープだった。
「どうして素晴らしい経歴と将来を捨ててまで、俺たちのところへ来てくれるんだ?」
「レイチェル・コシノの件です。タイガー、あなたは大切な女性が殺され、あの超大国アメリカに戦いを挑んだ」
ウィルソンは表向きの発表ではなく、正確な事件の経緯を掴んでいるようだった。
アメリカと親しいイギリスの外務省の中枢にいたのだから、当然なのかもしれないが。
「あなた方が持つ強大な力はもちろん驚異的です。ですが、私は不利益では済まなかったかもしれない状況を乗り越え、アメリカと堂々と対峙したことにこそ、感銘を受けたのです」
「というと?」
「あなたの行動は最初から最後まで一貫していた。レイチェル・コシノを救出しようとし、残念ながら殺されてしまうと今度はそれをやった連中を徹底的に潰した。一切の躊躇なく、基地全体を破壊し、その後のアメリカ軍の攻撃も振り払った」
「そうですね」
ウィルソンという男が分かった。
「あなたは世界の敵になったのかもしれない。でも、そんなことをあなたは一瞬たりとも考えなかった。反対にあなたはアメリカを全滅させることも、支配することも出来た。それもあなたはしなかった」
「俺はアメリカなんか欲しくはありませんよ」
「はい。あなたはただ、レイチェル・コシノだけだった」
「その通りです」
ウィルソンが泣いていた。
「私は、そんな人間がこの世界にいるとは思わなかった。でもあなたがそうだった! 私は生涯をあなたに捧げます。あなたの崇高な魂のために、私は全力を尽くします」
「ありがとう。よろしくお願いします」
ウィルソンはすぐに「虎」の軍の外交チームを組織した。
自分の古巣の外務省からも何人か引き抜いたが、その他にイギリスの大使経験者、また他国の外務菅や大使経験者、他にも独自の伝手で集めた。
200人ほどがアラスカへ移住し、「虎」の軍の外務省的な組織を構築した。
更に事務員を入れ、今では1800人のどの所帯になっている。
《TIGER Medium of Ⅿediation》(調停虎機関)
ウィルソンがそう名付け、ヘッジホッグのビル一棟をその機関のために使わせるようになった。
ウィルソンから政府との会談の報告を受けた。
マンガウングでの遺体収容に対する礼は述べられたが、政府としては「虎」の軍には協力できないということだった。
「業」の余りにも一歩的な蹂躙は、完全に逆らうことの勇気を委縮させ、全面的に「業」に降伏し、いかなる要求も呑むのだと言っている。
「一つ分かったことが、どうやら南アフリカ共和国政府は「業」に軍事基地もしくは研究機関の誘致を行なうようです」
「そういうことだったか」
「業」は海外の拠点を求めている。
ロシア国内では資源不足が深刻になり、そのため海外での活動を余儀なくされているのではないか。
また、今後の世界戦略の上で、多くの拠点を持ちたいのだろう。
「土地を渡せば攻撃はしないと言われたか」
「恐らく、そのようなことかと」
「バカだな」
「はい。私が幾らそれが守られない約束だと言っても聞き入れませんでした」
人間は信じたがる生き物だ。
だから絶望を与えれば、人間はどのようにも洗脳出来る。
誰も信じないような嘘も、それ以外に選択肢が無いとなれば、簡単に縋ってしまう。
「だが、南アフリカ共和国の土地はほとんどが政府ではなく白人が所有しているものだろう?」
「はい」
「じゃあ、それを力づくで奪うってか」
「多分、そのようなことになるかと」
「呆れるほどのバカだな」
「まったく」
南アフリカは長らく白人が支配し、悪名名高い「アパルトヘイト政策」は、それほど前のことでもない。
ネルソン・マンデラがやっと政権を担い、人種差別政策は廃止された。
しかし、今でも富裕層は白人が独占し、土地の所有が認められたとはいえ、黒人は全然持っていない。
人種格差は世界でもトップクラスの国なのだ。
「我々「虎」の軍が常に「業」の軍勢を撃破してきたことも話した。タイガーから許可を得たヘッジホッグや戦闘記録の映像も見せた」
「ダメだったか」
「ああ。我々の戦力は理解出来ても、自分たちのために動いてはもらえないだろうと考えているのだろうな」
「まあ、その通りだけどな」
「え?」
「国民が、仲間が無残に殺されて、その遺体を葬ることすらしようとしない連中だ。誰が守ってやるか!」
「タイガー……」
俺はウィルソンを見た。
「ウィルソン、じゃあやるぞ」
「ああ、R作戦に移行だな」
「今の政府の連中はどうなっても構わん。だが、「業」が南アフリカに拠点を築くのは許せん」
「軍事クーデターか」
「マンガウングで俺たちが作業している最後の方で、軍人の一団が来た」
「ああ、クマロ将軍と言っていたな。数名の部下だけを連れて来たが」
「聞いている。上層部の反対を押し切って来た人間だな」
「あの男に話を通してくれ。何もしなくていい。俺たちが政府と軍部を引っ繰り返すからな」
「分かった」
クマロ将軍は、戦場で散って行った兵士と、守れなかった市民に申し訳ないと言っていた。
「虎」の軍が遺体収容のために派遣されると聞き、自分たちも希望したが、上から止められたそうだ。
しかし、クマロ将軍はその命令に反抗した。
極秘にということではあったが、将軍自ら遺体を運び、最終日の慰霊の儀式まで参列して行った。
「あいつは信用出来る」
「まあ、軍事クーデターはその後がいろいろと心配なのだがな」
「分かってるよ。だから南アフリカに、「虎」の軍の拠点を作る」
「そういうことか」
政府の運営はクマロ将軍たちに任せる。
しかし、利権の流れは俺たちが監視する。
クーデター政府は、利権の簒奪によって簡単に腐敗する。
「政府の中に信頼出来る人間を知っているか?」
「何人かいる」
「じゃあ、話を通しておいてくれ。それに、しばらくはウィルソンにも軌道に乗るまではいろいろ面倒を見てもらうからな」
「承知した。任せて欲しい。政府の中に派遣する人材も集めておこう」
「頼むな」
その後クマロ将軍と俺は直接会談した。
軍事クーデターの話には流石に驚いていたが、すぐに納得した。
「タイガー、一つお願いがある」
「なんだ?」
「自分がクーデターの首謀者になることは構わない。全力で勤めさせてもらう」
「そうか」
「だが、革命政府のリーダーにはなれない」
「どうしてだ?」
普通はそれこそ望みたがるものなのだが。
「自分は政治のことなど分からない。軍の掌握のことはなんとかしよう。だが、政治のことは、誰かに任せてくれないか?」
「そうか」
俺はこういう人間にこそ国家を任せたいのだが、確かに政治は誠実さだけではやっていけない。
「分かった。じゃあ、そっちはこちらで用意するよ」
「ありがたい。クーデターは、自分も参加する」
「ああ、それだけどな」
俺はクマロ将軍にクーデターの具体的な方法を話した。
「なんだと!」
「そうしなければ、「業」が少数で軍を圧倒した恐怖を拭えないだろう」
「確かにそうだが」
クマロ将軍は驚き、そして躊躇していた。
「しかし、それでは「虎」の軍が国際テロリストと非難される可能性もあるのではないか?」
「構わんよ。もうそんな綺麗事を言っている場合じゃないんだ」
「……そうだな」
クマロ将軍も、納得した。
三日後。
俺は子どもたちを連れて、南アフリカ共和国軍の基地を破壊した。
「業」と同様に予告襲撃だった。
陸軍は基地を半壊し、戦車やミサイルなどのほとんどを喪った。
海軍は全艦船を喪い、空軍も戦闘機や爆撃機の全てを喪った。
事実上、南アフリカ共和国軍は多くの兵士を残して壊滅した。
ゼロではなかったが、人的被害はほとんど無かった。
事前に勧告し、作戦行動中も避難を呼びかけながら攻撃したためだ。
国際世論は「業」に占領される南アフリカ共和国を救った作戦と報じられ、賞賛を得た。
空軍基地を接収し、「虎」の軍の駐屯地を作った。
クマロ将軍たちに「カサンドラ」を貸与し、アラスカから訓練教官を派遣した。
「業」のバイオノイドに対抗出来ない既存の兵器など無駄だ。
だから俺たちの戦力を見せるために、全て破壊した。
南アフリカ共和国は新たな歴史を歩み始めた。
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