2,132 / 3,202
一番隊隊長 槙野 Ⅱ
しおりを挟む
「槙野健司さんですね」
「はい、宜しくお願いします!」
JOT(日本臓器移植ネットワーク)に当たり、他の民間の類似の団体も探した。
ある民間の臓器移植コーディネイトの団体から、心臓移植の可能性のある病院を紹介された。
早速そこへ行った。
白衣を着た医師が、話をしてくれた。
「妹さんの状態はよく分かりました。しかし、一般には心臓移植は非常に難しいのです」
「はい、それはもう分かっています! でも、何とかしなければ!」
「御気持ちはよく分かりますよ。それで一つの提案があるのですが」
「どんなことですか!」
アメリカの医療団体だと説明された。
そこでは、治験に承諾すれば、優先的に心臓移植を手配してもらえるのだと。
「本当ですか!」
「はい。大手の製薬メーカーが運営する団体で、そこの新薬の治験を受けてもらえれば、向こうのネットワークから優先的にドナーを回してもらえます」
「アメリカは臓器移植が盛んですよね!」
「よく御存知で。その通りです。日本の比ではありません。必ず妹さんは助かりますよ」
「ありがとうございます!」
俺は二つ返事で引き受け、すぐに用意された書類にサインをしていった。
「来週から、約1か月間の治験があります。それで宜しいですか?」
「はい、構いません」
「今回の治験は、肝臓病の薬のようです。副作用は恐らくありませんが、100%保証するものではありません」
「はい、分かりました」
「もちろん、何らかの副作用が万一出た場合には、全面的に費用を負担して治療いたしますので」
「はい!」
丁寧な説明と応対で、俺も安心した。
会社には1か月の休職を申し出たが、社長が有給扱いにしてくれると言ってくれた。
もう俺の有給は妹の入院でほとんど使い切ってしまっていたのだが、特別に計らってくれ、有難かった。
花の手術や渡航の費用は、治験の費用と差し引きにしてくれるらしい。
俺も貯金があまりないので、助かる。
もうダメかと思い始めていたが、本当に良い所を見つけることが出来た。
借金など何でもないが、とにかく花が助かる。
それで十分だ。
治験には何も持って行く必要が無いと言われた。
下着の替えすらいらないらしい。
逆に、携帯電話などは持ち込めないそうだ。
極秘の内容であるため、治験の期間は外部と連絡は出来ない。
花には心配いらないと連絡し、俺は出掛けて行った。
治験の場所は静岡の小さなホテルだった。
その場所も誰にも伝えてはならないと言われていた。
駅から送迎のバスが待っていて、同じ治験を受ける人間だろう5人と一緒に乗り込んだ。
2時間も乗って、ホテルに着いた。
白衣を着た人たちに出迎えられ、食堂で食事を頂いた。
食事の後で番号札を渡され、治験の説明を受けた。
別に難しいことはなく、毎朝朝食後に注射を打たれ、幾つかの薬を飲み、その後で検査を受ける。
午前中で全部終わり、あとは自由にしていていいそうだ。
食事は三食出て、部屋にはテレビやゲーム機などもある。
雑誌や漫画などもたくさんあった。
外出は流石に禁止で、酒も飲めない。
自動販売機は無料で、酒でなければ自由に飲んでいいそうだ。
治験を受けるのは、今バスで一緒だった5人。
お互いに自由に話すのも良いらしい。
自己紹介をし、下は19歳で、俺が一番年上だった。
全員男性で、治験を何度か経験している人がいた。
いつもこのようにのんびりしてお金が貰えるのだと教えてくれた。
「今まで副作用とかは無いですよ。検査で完璧に見ていてくれますしね」
「そうなんですか」
「これまで無かったけど、万一副作用の兆候が出たら、そこで治験は終了です。もちろん、お金は全額もらえます」
「へぇ、じゃあ安全なんですね」
「そうですよ!」
35歳というその経験者は、今回の肝臓の薬はどういうものだと思うと幾つかの薬品の名前を挙げていた。
本当に詳しい人らしい。
それに俺と年齢が近く、他は10代と20代だったので、俺に親し気に話してくれた。
近藤さんというその人は、話し好きな明るい人だった。
その日は検査を少しした程度で、そのままみんな自室にこもった。
夕飯でまた一緒になり、互いにいろいろ話して仲良くなった。
これから1か月も一緒にいるのだ。
近藤さんが俺の部屋を訪ねて来た。
「槙野さん、ホテルの出口が全部施錠されてました」
「え?」
「まあ、外出は禁止なので不思議ではないのですが、僕が開けようとしたら警備の人が来て」
「そうなんですか」
「結構厳重ですね。これは相当規模の大きな製薬ですよ」
「はぁ」
少し話して、近藤さんは出て行った。
よくは分からないが、まあ1か月の辛抱だ。
俺はその後の花の渡航や、自分もついていくことになるだろうと考えていた。
会社は多分続けて休まなければならない。
でも、花が治るのならば、どうでもいい。
社長にはお世話になっているので申し訳ないが、話せば分かってくれるだろう。
俺は安心したせいか、久し振りにぐっすりと眠った。
■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■
三週間が過ぎ、俺も他の治験者ものんびりと過ごしていた。
食事は毎回美味しく、欲しい物は大抵手に入り、漫画に飽きた俺は、昔トラさんに借りたモーリアックの『テレーズ・デスケルウ』を読み始めた。
そういうものも、言えばすぐに手に入った。
起床時刻は決まっていたが、就寝時刻は自由だった。
だからゲームを一晩中やっている人間もいる。
午後には好きに寝れるので、支障は無いようだ。
アダルトDVDなどもあった。
近藤さんは、普通は自慰行為は禁じられるので、珍しいと言って喜んでいた。
俺は『テレーズ・デスケルウ』を夢中で読んだ。
昔は分からなかったが、今読み返すと、トラさんが言っていたことがよく分かった。
「槙野、これは神を喪った現代社会の物語なんだよ」
「そうなんっすか」
「神に従うことが昔の人間の幸福だった。でも現代は自分で考えるようになった」
「はぁ」
「だから、自分の好き嫌いで物事を判断するってな。そうなりゃ人間関係は終わりよ」
「なるほど」
当時は全然分からなかったが、トラさんが言う自分の考えが不幸を招くということが良く分かった。
俺たちは神を喪ったのだ。
「槙野、だけどな、今だって自分以外のものを大事にする奴は幸せになれるよ」
「そうなんですか!」
「自分が大事なら「好き嫌い」しかねぇ。でも、お前には花ちゃんがいるだろ?」
「はい!」
「花ちゃんを大事にしろよ。そうすりゃ、お前の人生は完成だ」
「はい!」
本当にトラさんの言う通りだった。
俺は花のために生きて来た。
そうしたら、俺は毎日が幸せだった。
トラさんはやっぱり最高だ。
「花……」
無性に花に会いたかった。
病気でやつれてしまった花。
もう少し待っていてくれ。
俺が必ず助けるから。
その夜、花がトラさんと一緒にいて笑っている夢を見た。
最高の夢だった。
そして翌朝、俺は変貌した。
■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■
槙野の行方は杳として知れなかった。
探偵事務所を使い、早乙女にも頼んで警察に協力してもらった。
槙野があちこちの臓器移植の団体を訪ねていたことは分かった。
相当な労力を払っていた。
妹の花のために必死だったのだろう。
槙野が花や会社の社長さんに言っていた「一ヶ月」になろうとしていた。
俺は槙野を見つけた。
見つけたくはなかった。
「はい、宜しくお願いします!」
JOT(日本臓器移植ネットワーク)に当たり、他の民間の類似の団体も探した。
ある民間の臓器移植コーディネイトの団体から、心臓移植の可能性のある病院を紹介された。
早速そこへ行った。
白衣を着た医師が、話をしてくれた。
「妹さんの状態はよく分かりました。しかし、一般には心臓移植は非常に難しいのです」
「はい、それはもう分かっています! でも、何とかしなければ!」
「御気持ちはよく分かりますよ。それで一つの提案があるのですが」
「どんなことですか!」
アメリカの医療団体だと説明された。
そこでは、治験に承諾すれば、優先的に心臓移植を手配してもらえるのだと。
「本当ですか!」
「はい。大手の製薬メーカーが運営する団体で、そこの新薬の治験を受けてもらえれば、向こうのネットワークから優先的にドナーを回してもらえます」
「アメリカは臓器移植が盛んですよね!」
「よく御存知で。その通りです。日本の比ではありません。必ず妹さんは助かりますよ」
「ありがとうございます!」
俺は二つ返事で引き受け、すぐに用意された書類にサインをしていった。
「来週から、約1か月間の治験があります。それで宜しいですか?」
「はい、構いません」
「今回の治験は、肝臓病の薬のようです。副作用は恐らくありませんが、100%保証するものではありません」
「はい、分かりました」
「もちろん、何らかの副作用が万一出た場合には、全面的に費用を負担して治療いたしますので」
「はい!」
丁寧な説明と応対で、俺も安心した。
会社には1か月の休職を申し出たが、社長が有給扱いにしてくれると言ってくれた。
もう俺の有給は妹の入院でほとんど使い切ってしまっていたのだが、特別に計らってくれ、有難かった。
花の手術や渡航の費用は、治験の費用と差し引きにしてくれるらしい。
俺も貯金があまりないので、助かる。
もうダメかと思い始めていたが、本当に良い所を見つけることが出来た。
借金など何でもないが、とにかく花が助かる。
それで十分だ。
治験には何も持って行く必要が無いと言われた。
下着の替えすらいらないらしい。
逆に、携帯電話などは持ち込めないそうだ。
極秘の内容であるため、治験の期間は外部と連絡は出来ない。
花には心配いらないと連絡し、俺は出掛けて行った。
治験の場所は静岡の小さなホテルだった。
その場所も誰にも伝えてはならないと言われていた。
駅から送迎のバスが待っていて、同じ治験を受ける人間だろう5人と一緒に乗り込んだ。
2時間も乗って、ホテルに着いた。
白衣を着た人たちに出迎えられ、食堂で食事を頂いた。
食事の後で番号札を渡され、治験の説明を受けた。
別に難しいことはなく、毎朝朝食後に注射を打たれ、幾つかの薬を飲み、その後で検査を受ける。
午前中で全部終わり、あとは自由にしていていいそうだ。
食事は三食出て、部屋にはテレビやゲーム機などもある。
雑誌や漫画などもたくさんあった。
外出は流石に禁止で、酒も飲めない。
自動販売機は無料で、酒でなければ自由に飲んでいいそうだ。
治験を受けるのは、今バスで一緒だった5人。
お互いに自由に話すのも良いらしい。
自己紹介をし、下は19歳で、俺が一番年上だった。
全員男性で、治験を何度か経験している人がいた。
いつもこのようにのんびりしてお金が貰えるのだと教えてくれた。
「今まで副作用とかは無いですよ。検査で完璧に見ていてくれますしね」
「そうなんですか」
「これまで無かったけど、万一副作用の兆候が出たら、そこで治験は終了です。もちろん、お金は全額もらえます」
「へぇ、じゃあ安全なんですね」
「そうですよ!」
35歳というその経験者は、今回の肝臓の薬はどういうものだと思うと幾つかの薬品の名前を挙げていた。
本当に詳しい人らしい。
それに俺と年齢が近く、他は10代と20代だったので、俺に親し気に話してくれた。
近藤さんというその人は、話し好きな明るい人だった。
その日は検査を少しした程度で、そのままみんな自室にこもった。
夕飯でまた一緒になり、互いにいろいろ話して仲良くなった。
これから1か月も一緒にいるのだ。
近藤さんが俺の部屋を訪ねて来た。
「槙野さん、ホテルの出口が全部施錠されてました」
「え?」
「まあ、外出は禁止なので不思議ではないのですが、僕が開けようとしたら警備の人が来て」
「そうなんですか」
「結構厳重ですね。これは相当規模の大きな製薬ですよ」
「はぁ」
少し話して、近藤さんは出て行った。
よくは分からないが、まあ1か月の辛抱だ。
俺はその後の花の渡航や、自分もついていくことになるだろうと考えていた。
会社は多分続けて休まなければならない。
でも、花が治るのならば、どうでもいい。
社長にはお世話になっているので申し訳ないが、話せば分かってくれるだろう。
俺は安心したせいか、久し振りにぐっすりと眠った。
■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■
三週間が過ぎ、俺も他の治験者ものんびりと過ごしていた。
食事は毎回美味しく、欲しい物は大抵手に入り、漫画に飽きた俺は、昔トラさんに借りたモーリアックの『テレーズ・デスケルウ』を読み始めた。
そういうものも、言えばすぐに手に入った。
起床時刻は決まっていたが、就寝時刻は自由だった。
だからゲームを一晩中やっている人間もいる。
午後には好きに寝れるので、支障は無いようだ。
アダルトDVDなどもあった。
近藤さんは、普通は自慰行為は禁じられるので、珍しいと言って喜んでいた。
俺は『テレーズ・デスケルウ』を夢中で読んだ。
昔は分からなかったが、今読み返すと、トラさんが言っていたことがよく分かった。
「槙野、これは神を喪った現代社会の物語なんだよ」
「そうなんっすか」
「神に従うことが昔の人間の幸福だった。でも現代は自分で考えるようになった」
「はぁ」
「だから、自分の好き嫌いで物事を判断するってな。そうなりゃ人間関係は終わりよ」
「なるほど」
当時は全然分からなかったが、トラさんが言う自分の考えが不幸を招くということが良く分かった。
俺たちは神を喪ったのだ。
「槙野、だけどな、今だって自分以外のものを大事にする奴は幸せになれるよ」
「そうなんですか!」
「自分が大事なら「好き嫌い」しかねぇ。でも、お前には花ちゃんがいるだろ?」
「はい!」
「花ちゃんを大事にしろよ。そうすりゃ、お前の人生は完成だ」
「はい!」
本当にトラさんの言う通りだった。
俺は花のために生きて来た。
そうしたら、俺は毎日が幸せだった。
トラさんはやっぱり最高だ。
「花……」
無性に花に会いたかった。
病気でやつれてしまった花。
もう少し待っていてくれ。
俺が必ず助けるから。
その夜、花がトラさんと一緒にいて笑っている夢を見た。
最高の夢だった。
そして翌朝、俺は変貌した。
■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■
槙野の行方は杳として知れなかった。
探偵事務所を使い、早乙女にも頼んで警察に協力してもらった。
槙野があちこちの臓器移植の団体を訪ねていたことは分かった。
相当な労力を払っていた。
妹の花のために必死だったのだろう。
槙野が花や会社の社長さんに言っていた「一ヶ月」になろうとしていた。
俺は槙野を見つけた。
見つけたくはなかった。
1
あなたにおすすめの小説
【完結】聖女の手を取り婚約者が消えて二年。私は別の人の妻になっていた。
文月ゆうり
恋愛
レティシアナは姫だ。
父王に一番愛される姫。
ゆえに妬まれることが多く、それを憂いた父王により早くに婚約を結ぶことになった。
優しく、頼れる婚約者はレティシアナの英雄だ。
しかし、彼は居なくなった。
聖女と呼ばれる少女と一緒に、行方を眩ませたのだ。
そして、二年後。
レティシアナは、大国の王の妻となっていた。
※主人公は、戦えるような存在ではありません。戦えて、強い主人公が好きな方には合わない可能性があります。
小説家になろうにも投稿しています。
エールありがとうございます!
【完結】狡い人
ジュレヌク
恋愛
双子のライラは、言う。
レイラは、狡い。
レイラの功績を盗み、賞を受賞し、母の愛も全て自分のものにしたくせに、事あるごとに、レイラを責める。
双子のライラに狡いと責められ、レイラは、黙る。
口に出して言いたいことは山ほどあるのに、おし黙る。
そこには、人それぞれの『狡さ』があった。
そんな二人の関係が、ある一つの出来事で大きく変わっていく。
恋を知り、大きく羽ばたくレイラと、地に落ちていくライラ。
2人の違いは、一体なんだったのか?
【12月末日公開終了】有能女官の赴任先は辺境伯領
たぬきち25番
恋愛
辺境伯領の当主が他界。代わりに領主になったのは元騎士団の隊長ギルベルト(26)
ずっと騎士団に在籍して領のことなど右も左もわからない。
そのため新しい辺境伯様は帳簿も書類も不備ばかり。しかも辺境伯領は王国の端なので修正も大変。
そこで仕事を終わらせるために、腕っぷしに定評のあるギリギリ貴族の男爵出身の女官ライラ(18)が辺境伯領に出向くことになった。
だがそこでライラを待っていたのは、元騎士とは思えないほどつかみどころのない辺境伯様と、前辺境伯夫妻の忘れ形見の3人のこどもたち(14歳男子、9歳男子、6歳女子)だった。
仕事のわからない辺境伯を助けながら、こどもたちの生活を助けたり、魔物を倒したり!?
そしていつしか、ライラと辺境伯やこどもたちとの関係が変わっていく……
※お待たせしました。
※他サイト様にも掲載中
竜帝は番に愛を乞う
浅海 景
恋愛
祖母譲りの容姿で両親から疎まれている男爵令嬢のルー。自分とは対照的に溺愛される妹のメリナは周囲からも可愛がられ、狼族の番として見初められたことからますます我儘に振舞うようになった。そんなメリナの我儘を受け止めつつ使用人のように働き、学校では妹を虐げる意地悪な姉として周囲から虐げられる。無力感と諦めを抱きながら淡々と日々を過ごしていたルーは、ある晩突然現れた男性から番であることを告げられる。しかも彼は獣族のみならず世界の王と呼ばれる竜帝アレクシスだった。誰かに愛されるはずがないと信じ込む男爵令嬢と番と出会い愛を知った竜帝の物語。
笑わない妻を娶りました
mios
恋愛
伯爵家嫡男であるスタン・タイロンは、伯爵家を継ぐ際に妻を娶ることにした。
同じ伯爵位で、友人であるオリバー・クレンズの従姉妹で笑わないことから氷の女神とも呼ばれているミスティア・ドゥーラ嬢。
彼女は美しく、スタンは一目惚れをし、トントン拍子に婚約・結婚することになったのだが。
同窓会に行ったら、知らない人がとなりに座っていました
菱沼あゆ
キャラ文芸
「同窓会っていうか、クラス会なのに、知らない人が隣にいる……」
クラス会に参加しためぐるは、隣に座ったイケメンにまったく覚えがなく、動揺していた。
だが、みんなは彼と楽しそうに話している。
いや、この人、誰なんですか――っ!?
スランプ中の天才棋士VS元天才パティシエール。
「へえー、同窓会で再会したのがはじまりなの?」
「いや、そこで、初めて出会ったんですよ」
「同窓会なのに……?」
芙蓉は後宮で花開く
速見 沙弥
キャラ文芸
下級貴族の親をもつ5人姉弟の長女 蓮花《リェンファ》。
借金返済で苦しむ家計を助けるために後宮へと働きに出る。忙しくも穏やかな暮らしの中、出会ったのは翡翠の色の目をした青年。さらに思いもよらぬ思惑に巻き込まれてゆくーーー
カクヨムでも連載しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる