富豪外科医は、モテモテだが結婚しない?

青夜

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《ハイヴ》襲撃 Ⅵ

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 別荘に戻ったのは、朝の3時前だった。
 子どもたちが全員起きていて、俺を出迎えて大騒ぎした。
 全員、戦場での出来事は把握している。

 「おい、静かにしろ! 響子たちは寝てるんだからな!」

 亜紀ちゃんがワイルドターキーを出して、全員のグラスに注いだ。
 つまみも作ってある。

 「これから飲むのかよ!」
 「ちょっとだけですよ! お祝いしとかないと!」
 「まあ、そっか」

 俺も笑って全員と乾杯した。
 折角なので、「幻想空間」へ移動する。
 こちらでもほとんどの場面は見て把握しているはずだが、俺は改めて現地でのことを話した。
 
 「スゴイ戦いでしたね」
 
 亜紀ちゃんが興奮していた。

 「ああ、やっぱり相当なものだったな。でも、分かったことは多い。妖魔ベトンは「シャンゴ」で破壊出来ることが分かったし、これからあそこを調査して、生体兵器開発の規模なんかもある程度は分かるだろう」
 「それにあの「地獄の悪魔」たちですよね」
 「ああ、あれは不味いな」
 
 ルーが聞いて来る。

 「タカさん、「地獄の悪魔」は防衛のためにいたのかなー?」
 「多分な。でも、俺たちの攻撃が一気呵成だったから、出番が遅れた」
 「でも相当強かったよね?」
 「そうだな。特にグアテマラで出会った奴がな。あのレベルかそれ以上のが出て来ると、正直言って苦戦だな」
 「うーん」

 今のところ、「虎王」と聖の「聖光」「散華」しか対抗手段は無い。
 「業」としても、絶対に護りたい重要施設なのだろう。

 「タカさんを護ろうとした女の人! 最高でした!」

 亜紀ちゃんが興奮して言った。

 「ああ、虎蘭って名前らしいよ。俺も八本腕に集中しなきゃいけなかったからな。助かったぜ」
 「ほんとに! それにタカさんに似て綺麗な顔の人でしたよね?」
 「まあ、そうかな。石神家は結構顔がいいよなぁ」
 「虎白さんも素敵だよ!」
 「あの人カッコイイよ!」
 
 双子が言うので、二人の頭を撫でてやった。

 「あ、皇紀! 蓮花には連絡してるか?」
 「いいえ、まだです!」
 「ばかやろう! あいつ、まだ起きてるぞ!」
 「あ!」

 俺がスマホを持って来させて電話した。
 やはり起きて待っていた。

 「なんだよ、攻略戦は終わったんだからもう寝てろよ」
 「いいえ、石神様の御無事なお声を聴くまでは!」
 「まったくよ! ジェシカもいるか?」
 「はい!」
 
 ジェシカが返事した。

 「ジェシカ、明日は一日蓮花を休ませてくれ」
 「分かりました!」
 
 スピーカーにしているらしく、蓮花の騒ぐ声が聞こえる。

 「蓮花は一日シャドウと一緒にのんびりしろ!」
 「え、はい!」

 蓮花が嬉しそうな声を出した。
 まあ、少しは休むだろう。
 ジェシカは若いから多少は大丈夫だろう。
 
 俺たちも早めに切り上げて寝ることにした。

 「明日は昼まで寝てていいからな。あー、響子の朝食はどうするかなぁ」
 「六花さんにお願いしましょうか?」

 まあ、六花も料理は出来る。
 なぜか俺たちと一緒の時は、食べるだけの人間に徹するが。

 「まあ、任せるかなぁ」
 「私たちは起きるよ!」

 双子が言う。

 「じゃあ、悪いけど、ロボの御飯と一緒にな。終わったら俺の部屋に一緒に寝に来いよ」
 「「うん!」」
  
 みんなで「祝いのヒモダンス」を踊ってから寝た。





 翌朝。
 俺は8時半に目が覚めた。
 少し興奮しているのかもしれない。
 メモを読んだか、六花と響子は俺を起こさずにベッドから出ていた。
 一度顔を洗ってリヴィングへ降りた。
 
 「タカトラ!」
 「「タカさん!」」
 「トラ!」

 響子と六花、双子が朝食を食べていた。
 
 「おはよう、ちょっと目が覚めちゃってな」
 「タカさんも食べる?」
 「いや、ミルクティをもらおうかな」
 「うん!」

 ルーが用意をする。
 髭を剃っていないので、響子の顔をジョリジョリしてやった。

 「やめてぇー」

 六花が笑って言った。

 「トラ、ルーちゃんとハーちゃんから夕べのお話は聞きました」
 「ああ、大成功だ。虎白さんたちのお陰でな」
 「はい!」

 六花がニコニコしてバターを塗ったトーストを食べている。
 ご飯を終えたロボが俺の膝に乗って来る。
 俺はミルクティに砂糖を多めに入れて飲んだ。

 「まあ、これで本当にのんびり出来るな!」
 「じゃあ、今日は訓練ですね!」
 「おう!」

 双子が「ギャハハハハハハ!」と笑った。

 「まあ、もうちょっと寝かせてくれ」
 「はい!」

 俺はミルクティを飲んでから、また部屋へ戻った。
 ベッドに横になっていると、双子が入って来た。

 「お前ら、ウインナーはちゃんと食べたな?」
 「「うん!」」
 「じゃあ、俺のウインナーは喰われないで済むな!」
 「食べてあげようか?」
 「やめろ!」

 二人は俺の両側から頬にキスをしてきた。

 「いつでも言ってね!」
 「すぐに食べるからね!」
 「やめろってぇ!」

 三人で仲良く寝た。
 気持ち良かった。




 
 11時半に双子に起こされた。
 アラームは掛けていなかったが、こいつらの体内時計は正確だ。

 「タカさん、起きれる?」
 「ああ、大丈夫だ」

 三人で洗面所に行き、身支度を整えた。
 リヴィングに降りると、亜紀ちゃんたちが昼食の準備を始めていた。
 今日は天ぷら蕎麦だ。

 俺が座って待っていると、虎白さんから電話が来た。

 「よう!」
 「こんにちは! 当主の高虎です!」
 「知ってるよ! いちいちうるせぇ奴だな!」
 「すいません! 何かありましたか?」
 「ああ、ちょっとな。これからそっちへ行っていいか?」
 「え! ここにですか!」
 「なんだよ、不味いのかよ?」
 「とんでもない! お待ちしてます!」
 「ああ、悪いな」
 「いいえ、あの、是非昼食も御一緒に」
 「そうか? じゃあご馳走になるかぁ」
 「はい!」

 俺は慌てて亜紀ちゃんに石神家の剣士たちが来ると言った。

 「えぇ!」
 「40人分だ! 全員でかかるぞ!」
 「「「「「はい!」」」」」

 六花と響子は何もしない。
 双子が天ぷらをどんどん揚げ、亜紀ちゃんが蕎麦を茹でて行く。
 皇紀と柳は食器の手配だ。
 丼は足りないので、せいろにした。
 蕎麦は大量にあるのだが、40人分の追加は少し怪しい量だ。
 うどんも全部投入した。
 なんとかそれっぽい器は揃った。
 
 15分後。
 「タイガーファング」が到着した。
 別荘の広い駐車場に着陸する。
 ここに「タイガーファング」が来ることも想定して、駐車場を拡張しておいた。
 ハマーなどは動かしていた。
 それでも大型輸送タイプだったのでギリギリだった。
 石神家の剣士たちが降りて来る。

 「よう!」

 「「「「「「いらっしゃいませー!」」」」」」

 



 みんな元気そうだった。
 しかし、一体何しに来たんだろう。
 相変わらず、説明の無い人たちだった。
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