2,257 / 3,202
《ハイヴ》襲撃 Ⅶ
しおりを挟む
虎白さんたちを庭に案内した。
大勢なのでウッドデッキにも収まらず、申し訳ないが庭にブルーシートを拡げて座ってもらう。
虎白さんたち剣聖の人たちだけは、ウッドデッキのテーブルに座ってもらおうと用意した。
響子と六花もウッドデッキだ。
うちの子どもたちはもちろん庭。
超特急で皇紀が座卓のようなものを作った。
ただ、コンパネ板などに足を付けただけのものだが。
「どうぞ座って下さい。蕎麦で申し訳ないですけど」
子どもたちが大量の蕎麦と天ぷらを持ってテーブルに置いて行く。
俺は虎白さんたちをウッドデッキに案内しようとした。
「高虎、急に済まなかったな」
「何言ってんですか! うちは全然大丈夫ですよ」
虎白さんたちは動かなかった。
誰も座ろうとしない。
若い剣士たちが、虎白さんたちの後ろに立っている。
「どうぞ皆さん、座って下さい。虎白さんたちはウッドデッキに」
俺が声を掛けると、虎白さんが姿勢を正して頭を下げた。
「高虎! 済まなかった!」
他の剣士たちも一斉に頭を下げた。
「なんですか!」
他の子どもたちも驚いている。
「俺たちは当主のお前に言われて戦場に行った! でも、何も出来なかった! 申し訳ない!」
「ちょっと! 何言ってんですかぁ!」
全員頭を下げたままだった。
「あのね、虎白さん! 虎白さんたちじゃなかったら、本当にどうにもならなかったですよ! それはあそこでも言ったでしょう!」
虎白さんが顔を挙げた。
「高虎、済まなかった!」
俺はいい加減に頭に来て怒鳴った。
「うるせぇ! 何度も当主に言わせんなぁ! 俺がいいと言っているだろう! なんなんだてめぇらぁ!」
子どもたちが驚いている。
特に双子が。
「いい加減にしろ! まったくいつまでもウジウジしやがって! 申し訳ねぇんならもっと強くなれ! 俺はお前らを飯に呼んだんだ! とっとと喰え!」
全員が土下座した。
『はい!』
虎白さんたちがようやく食べ始めた。
虎白さんと剣聖たちをウッドデッキに呼んだが、全員がブルーシートの上で食べ始めた。
仕方なく、子どもたちを呼んで上で食べさせた。
「タカさん、大丈夫?」
「あ? 何が?」
「だって、虎白さんたちにあんなこと言って」
「フン! 文句があるなら来い! 今日という今日は思い知らせてやる!」
「「へぇー!」」
双子が俺をキラキラした目で見ていた。
「俺だっていつまでも黙ってやられてねぇよ!」
「そうなんだ!」
「タカさん、カッコイイ!」
「そうかぁ?」
「「うん!」」
物凄く気分よく蕎麦を食べた。
「おい、急場でよくこれだけ作ったな」
「頑張ったよー」
「コッコ卵天ぷらもあるよ!」
「おぉ、これかぁ!」
ハーがくれた。
物凄く美味かった。
「美味いな、これ!」
「ね!」
「皇紀も御苦労さん」
「いいえ、久し振りにDIYをやりましたよ」
「そっか」
うちにはコンパネがいつも数十枚置いてあるし、角材も多い。
テーブルや台などで咄嗟に使うことが多い。
そして白布も大量にある。
テーブルクロスの代わりに敷くと、雰囲気がいいからだ。
今も石神家のテーブルにはコンパネが使われ、白布が掛けられている。
角材を等間隔に切って、コンパネの上から木ネジをインパクトドライバーで打ち込んだだけのものだが、皇紀が作ればしっかりとしている。
15分で5台を作るのは、皇紀の技術の高さだ。
虎白さんたちが、楽しそうに蕎麦をすすっている。
天ぷらもガンガン食べている。
食後にコーヒーを出した。
「高虎、美味かった」
「そりゃ良かった」
虎白さんに呼ばれた。
肩を組まれた。
俺もニコニコして、虎白さんの肩に手を回そうとした。
瞬間に首を極められ、足を絡められて動けなくなった。
「てっめぇ! なんだあの口の利き方はぁ!」
「えぇ!」
「生意気なんだよ! おいみんな!」
「ちょ、ちょっとぉーー!」
虎白さんが大笑いして放してくれた。
「まったくよ。気を付けろよな!」
「はい!」
双子が目を細めて俺を見ていた。
「高虎さん!」
虎蘭が俺の前に来て頭を下げた。
「治療をありがとうございました!」
「何言ってんだよ、お前が俺を護って怪我したんだろうが」
「当主の高虎さんを護るのは当たり前です!」
「虎白さんとか、一度もやってくれたことねぇぞ?」
虎白さんたちが笑った。
「虎蘭によ、先に逃げろって言ったんだよ」
「ああ」
「でもこいつは、高虎が来るまで戦線を崩せないってな」
「そうだったんですか」
「バカだろ?」
「そうですね」
虎蘭が赤くなってうつむいていた。
「こいつな、高虎に惚れてやがんだよ」
「虎白さん!」
虎蘭が真っ赤になって怒っている。
「違います、高虎さん! 私は高虎さんを尊敬しているだけで!」
「おお、そう言えば千石を連れてった時に会ってるよな?」
「はい! 覚えててくれたんですか!」
虎蘭の顔が明るくなった。
「女性の剣士がいて、驚いたんだ」
「はい、あの時はまだ剣士見習いでしたが。今は私と虎水という女性剣士は二人います!」
「そうか!」
虎白さんが話した。
「歴代の剣士の中でも、女がなったのはあまり多くない」
「そうでしょうね」
男尊女卑ではないのだ。
筋肉の量と質が、男性と女性では圧倒的に違う。
剣士を求める女性もいるのだろうが、実際には到達できないことも多いだろう。
「虎蘭たちは、真面目でな。特に虎蘭はもしかすると剣聖になるかもな」
「ほんとですか!」
虎蘭が喜んだ。
「虎蘭、見ての通り、俺の周りは女の戦士ばっかりなんだ。お前にも期待しているからな」
「はい! 頑張ります!」
虎蘭はうちの子どもたちや六花を見た。
あいつらも虎蘭を見ていた。
「虎蘭、お前虎白さんの命令に逆らったのか」
「はい!」
「よくやったぁ!」
虎蘭の頭を撫でてやると、喜んだ。
虎白さんが苦笑いをしていた。
「お前さ、もっと虎白さんたちより強くなって、俺がいじめられそうな時は護ってくれな!」
「はい! 必ず!」
みんなが笑っていた。
「この人らさー、本当にいつも無茶苦茶でよー! 前にも牛鬼を狩った時にさ……」
「高虎、お前いい加減にしろよな」
虎白さんがちょっとマジな顔になったので辞めた。
みんなが「タイガーファング」に乗り込んで帰って行った。
全員で見送った。
「ふー」
「タカさん、お疲れ様でした!」
「夜までいたらどうしようかと思ったぜー」
「アハハハハハ!」
六花が寄って来た。
「じゃあ、そろそろ訓練ですね!」
「おう!」
二人でスキップをしながら、訓練場へ向かった。
大勢なのでウッドデッキにも収まらず、申し訳ないが庭にブルーシートを拡げて座ってもらう。
虎白さんたち剣聖の人たちだけは、ウッドデッキのテーブルに座ってもらおうと用意した。
響子と六花もウッドデッキだ。
うちの子どもたちはもちろん庭。
超特急で皇紀が座卓のようなものを作った。
ただ、コンパネ板などに足を付けただけのものだが。
「どうぞ座って下さい。蕎麦で申し訳ないですけど」
子どもたちが大量の蕎麦と天ぷらを持ってテーブルに置いて行く。
俺は虎白さんたちをウッドデッキに案内しようとした。
「高虎、急に済まなかったな」
「何言ってんですか! うちは全然大丈夫ですよ」
虎白さんたちは動かなかった。
誰も座ろうとしない。
若い剣士たちが、虎白さんたちの後ろに立っている。
「どうぞ皆さん、座って下さい。虎白さんたちはウッドデッキに」
俺が声を掛けると、虎白さんが姿勢を正して頭を下げた。
「高虎! 済まなかった!」
他の剣士たちも一斉に頭を下げた。
「なんですか!」
他の子どもたちも驚いている。
「俺たちは当主のお前に言われて戦場に行った! でも、何も出来なかった! 申し訳ない!」
「ちょっと! 何言ってんですかぁ!」
全員頭を下げたままだった。
「あのね、虎白さん! 虎白さんたちじゃなかったら、本当にどうにもならなかったですよ! それはあそこでも言ったでしょう!」
虎白さんが顔を挙げた。
「高虎、済まなかった!」
俺はいい加減に頭に来て怒鳴った。
「うるせぇ! 何度も当主に言わせんなぁ! 俺がいいと言っているだろう! なんなんだてめぇらぁ!」
子どもたちが驚いている。
特に双子が。
「いい加減にしろ! まったくいつまでもウジウジしやがって! 申し訳ねぇんならもっと強くなれ! 俺はお前らを飯に呼んだんだ! とっとと喰え!」
全員が土下座した。
『はい!』
虎白さんたちがようやく食べ始めた。
虎白さんと剣聖たちをウッドデッキに呼んだが、全員がブルーシートの上で食べ始めた。
仕方なく、子どもたちを呼んで上で食べさせた。
「タカさん、大丈夫?」
「あ? 何が?」
「だって、虎白さんたちにあんなこと言って」
「フン! 文句があるなら来い! 今日という今日は思い知らせてやる!」
「「へぇー!」」
双子が俺をキラキラした目で見ていた。
「俺だっていつまでも黙ってやられてねぇよ!」
「そうなんだ!」
「タカさん、カッコイイ!」
「そうかぁ?」
「「うん!」」
物凄く気分よく蕎麦を食べた。
「おい、急場でよくこれだけ作ったな」
「頑張ったよー」
「コッコ卵天ぷらもあるよ!」
「おぉ、これかぁ!」
ハーがくれた。
物凄く美味かった。
「美味いな、これ!」
「ね!」
「皇紀も御苦労さん」
「いいえ、久し振りにDIYをやりましたよ」
「そっか」
うちにはコンパネがいつも数十枚置いてあるし、角材も多い。
テーブルや台などで咄嗟に使うことが多い。
そして白布も大量にある。
テーブルクロスの代わりに敷くと、雰囲気がいいからだ。
今も石神家のテーブルにはコンパネが使われ、白布が掛けられている。
角材を等間隔に切って、コンパネの上から木ネジをインパクトドライバーで打ち込んだだけのものだが、皇紀が作ればしっかりとしている。
15分で5台を作るのは、皇紀の技術の高さだ。
虎白さんたちが、楽しそうに蕎麦をすすっている。
天ぷらもガンガン食べている。
食後にコーヒーを出した。
「高虎、美味かった」
「そりゃ良かった」
虎白さんに呼ばれた。
肩を組まれた。
俺もニコニコして、虎白さんの肩に手を回そうとした。
瞬間に首を極められ、足を絡められて動けなくなった。
「てっめぇ! なんだあの口の利き方はぁ!」
「えぇ!」
「生意気なんだよ! おいみんな!」
「ちょ、ちょっとぉーー!」
虎白さんが大笑いして放してくれた。
「まったくよ。気を付けろよな!」
「はい!」
双子が目を細めて俺を見ていた。
「高虎さん!」
虎蘭が俺の前に来て頭を下げた。
「治療をありがとうございました!」
「何言ってんだよ、お前が俺を護って怪我したんだろうが」
「当主の高虎さんを護るのは当たり前です!」
「虎白さんとか、一度もやってくれたことねぇぞ?」
虎白さんたちが笑った。
「虎蘭によ、先に逃げろって言ったんだよ」
「ああ」
「でもこいつは、高虎が来るまで戦線を崩せないってな」
「そうだったんですか」
「バカだろ?」
「そうですね」
虎蘭が赤くなってうつむいていた。
「こいつな、高虎に惚れてやがんだよ」
「虎白さん!」
虎蘭が真っ赤になって怒っている。
「違います、高虎さん! 私は高虎さんを尊敬しているだけで!」
「おお、そう言えば千石を連れてった時に会ってるよな?」
「はい! 覚えててくれたんですか!」
虎蘭の顔が明るくなった。
「女性の剣士がいて、驚いたんだ」
「はい、あの時はまだ剣士見習いでしたが。今は私と虎水という女性剣士は二人います!」
「そうか!」
虎白さんが話した。
「歴代の剣士の中でも、女がなったのはあまり多くない」
「そうでしょうね」
男尊女卑ではないのだ。
筋肉の量と質が、男性と女性では圧倒的に違う。
剣士を求める女性もいるのだろうが、実際には到達できないことも多いだろう。
「虎蘭たちは、真面目でな。特に虎蘭はもしかすると剣聖になるかもな」
「ほんとですか!」
虎蘭が喜んだ。
「虎蘭、見ての通り、俺の周りは女の戦士ばっかりなんだ。お前にも期待しているからな」
「はい! 頑張ります!」
虎蘭はうちの子どもたちや六花を見た。
あいつらも虎蘭を見ていた。
「虎蘭、お前虎白さんの命令に逆らったのか」
「はい!」
「よくやったぁ!」
虎蘭の頭を撫でてやると、喜んだ。
虎白さんが苦笑いをしていた。
「お前さ、もっと虎白さんたちより強くなって、俺がいじめられそうな時は護ってくれな!」
「はい! 必ず!」
みんなが笑っていた。
「この人らさー、本当にいつも無茶苦茶でよー! 前にも牛鬼を狩った時にさ……」
「高虎、お前いい加減にしろよな」
虎白さんがちょっとマジな顔になったので辞めた。
みんなが「タイガーファング」に乗り込んで帰って行った。
全員で見送った。
「ふー」
「タカさん、お疲れ様でした!」
「夜までいたらどうしようかと思ったぜー」
「アハハハハハ!」
六花が寄って来た。
「じゃあ、そろそろ訓練ですね!」
「おう!」
二人でスキップをしながら、訓練場へ向かった。
2
あなたにおすすめの小説
【完結】狡い人
ジュレヌク
恋愛
双子のライラは、言う。
レイラは、狡い。
レイラの功績を盗み、賞を受賞し、母の愛も全て自分のものにしたくせに、事あるごとに、レイラを責める。
双子のライラに狡いと責められ、レイラは、黙る。
口に出して言いたいことは山ほどあるのに、おし黙る。
そこには、人それぞれの『狡さ』があった。
そんな二人の関係が、ある一つの出来事で大きく変わっていく。
恋を知り、大きく羽ばたくレイラと、地に落ちていくライラ。
2人の違いは、一体なんだったのか?
【完結】聖女の手を取り婚約者が消えて二年。私は別の人の妻になっていた。
文月ゆうり
恋愛
レティシアナは姫だ。
父王に一番愛される姫。
ゆえに妬まれることが多く、それを憂いた父王により早くに婚約を結ぶことになった。
優しく、頼れる婚約者はレティシアナの英雄だ。
しかし、彼は居なくなった。
聖女と呼ばれる少女と一緒に、行方を眩ませたのだ。
そして、二年後。
レティシアナは、大国の王の妻となっていた。
※主人公は、戦えるような存在ではありません。戦えて、強い主人公が好きな方には合わない可能性があります。
小説家になろうにも投稿しています。
エールありがとうございます!
【12月末日公開終了】有能女官の赴任先は辺境伯領
たぬきち25番
恋愛
辺境伯領の当主が他界。代わりに領主になったのは元騎士団の隊長ギルベルト(26)
ずっと騎士団に在籍して領のことなど右も左もわからない。
そのため新しい辺境伯様は帳簿も書類も不備ばかり。しかも辺境伯領は王国の端なので修正も大変。
そこで仕事を終わらせるために、腕っぷしに定評のあるギリギリ貴族の男爵出身の女官ライラ(18)が辺境伯領に出向くことになった。
だがそこでライラを待っていたのは、元騎士とは思えないほどつかみどころのない辺境伯様と、前辺境伯夫妻の忘れ形見の3人のこどもたち(14歳男子、9歳男子、6歳女子)だった。
仕事のわからない辺境伯を助けながら、こどもたちの生活を助けたり、魔物を倒したり!?
そしていつしか、ライラと辺境伯やこどもたちとの関係が変わっていく……
※お待たせしました。
※他サイト様にも掲載中
竜帝は番に愛を乞う
浅海 景
恋愛
祖母譲りの容姿で両親から疎まれている男爵令嬢のルー。自分とは対照的に溺愛される妹のメリナは周囲からも可愛がられ、狼族の番として見初められたことからますます我儘に振舞うようになった。そんなメリナの我儘を受け止めつつ使用人のように働き、学校では妹を虐げる意地悪な姉として周囲から虐げられる。無力感と諦めを抱きながら淡々と日々を過ごしていたルーは、ある晩突然現れた男性から番であることを告げられる。しかも彼は獣族のみならず世界の王と呼ばれる竜帝アレクシスだった。誰かに愛されるはずがないと信じ込む男爵令嬢と番と出会い愛を知った竜帝の物語。
芙蓉は後宮で花開く
速見 沙弥
キャラ文芸
下級貴族の親をもつ5人姉弟の長女 蓮花《リェンファ》。
借金返済で苦しむ家計を助けるために後宮へと働きに出る。忙しくも穏やかな暮らしの中、出会ったのは翡翠の色の目をした青年。さらに思いもよらぬ思惑に巻き込まれてゆくーーー
カクヨムでも連載しております。
後宮なりきり夫婦録
石田空
キャラ文芸
「月鈴、ちょっと嫁に来るか?」
「はあ……?」
雲仙国では、皇帝が三代続いて謎の昏睡状態に陥る事態が続いていた。
あまりにも不可解なために、新しい皇帝を立てる訳にもいかない国は、急遽皇帝の「影武者」として跡継ぎ騒動を防ぐために寺院に入れられていた皇子の空燕を呼び戻すことに決める。
空燕の国の声に応える条件は、同じく寺院で方士修行をしていた方士の月鈴を妃として後宮に入れること。
かくしてふたりは片や皇帝の影武者として、片や皇帝の偽りの愛妃として、後宮と言う名の魔窟に潜入捜査をすることとなった。
影武者夫婦は、後宮内で起こる事件の謎を解けるのか。そしてふたりの想いの行方はいったい。
サイトより転載になります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる