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《御虎》の奇跡 Ⅱ
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「タイガー、ゲートが出現した!」
ヒルシャー大将から連絡があったのは、5月の中旬だった。
土曜日だったので、俺は家にいて専用端末で受けた。
「規模は?」
「大きい! 量子コンピューター《ミトラ》は一兆を超える敵襲だと判断した!」
「なんだと!」
過去最大規模の侵攻だ。
「アラスカからの応援を要請した。レンカにも出来るだけの援護を頼んだ!」
「分かった、俺も行くぞ!」
「頼む! とにかく数が多い。ヘッジホッグも稼働しているが、どうにもゲートの数が多く間に合わん!」
「おう!」
ゲートに対しては開いた時点で攻撃することが基本的な戦略だが、それが膨大な数になっていて間に合わない。
恐らく、攻撃されたゲートは即座に捨てて、別なゲートから進軍させているのだろう。
俺はすぐに出撃の準備をした。
家には俺とロボしかいない。
ロボは雪野さんに頼んだ。
亜紀ちゃんと柳はまだ中南米の戦場で、双子は西安の偵察に行っている。
俺は蓮花に連絡し、万一の場合は「武神」の出撃もあり得ると言った。
蓮花が緊張し、準備をしておくと応えた。
フィルシャー大将から連絡を受けてから10分後に現着したが、都市の周辺は膨大な妖魔とライカンスロープに埋め尽くされていた。
今も続々とゲートから進軍している。
世界人口を超える数の襲撃を受けているのだ。
人類史上で初めての戦闘になる。
俺が司令本部へ入ると、ヒルシャー大将が慌ただしく指揮を執っていた。
何しろ敵の数が多く、今は避難誘導に多くの人手を割かれている。
ソルジャーの一部は戦線を展開しているが、すぐに数に押されるのは明白だった。
「「霊素観測レーダー」が高エネルギーを観測!」
「何! まだ来るか!」
「いいえ! 《ミトラ祭壇》からです!」
「なんだと!」
レーダー係も驚愕している。
俺もフィルシャー大将も状況が分からない。
「《ミトラ祭壇》の上空に更に高エネルギー反応!」
「なんだ!」
「何かゲートに近いものが! あぁ!」
「どうした!」
「見て下さい!」
レーダー係が慌てて前面のスクリーンに映像を映した。
《ミトラ祭壇》周辺のものだ。
あの謎の水晶体のようなものが輝き、そこから高エネルギーのラインが伸びている。
そして上空に眩く輝く巨大な円環が生まれていた。
「出て来ます!」
「……」
俺もヒルシャーも事態を見守った。
何か尋常ではない現象が起きている。
「タイガー! あれはなんだ!」
「!」
輝く円環から無数の何かが出て来た。
映像がそれを拡大した。
「霊素観測レーダー」が即座にサイズを表示する。
体長2メートルから5メートルの人型。
背に翼があり、翼長は左右で6メートルから20メートル。
あれは天使か!
「タイガー、一体何が起きているんだ……」
「分からん。おい、「業」のゲートとは違う反応なんだよな?」
レーダー係に問い質した。
「はい! 同じく未知のエネルギーですが、まったく異なるものなのは確かです!」
「何かが出現しているようだが」
「もしかして、お前たちは見えないのか?」
「タイガーには見えているのか!」
「あ、ああ」
フィルシャーが驚いている。
「霊素観測レーダー」ではちゃんと捉えているようなのだが。
だが今は説明している間も惜しい。
俺は「虎王」を握って外へ出た。
その間にも《ミトラ祭壇》から出て来た無数の天使が展開し、妖魔たちに向かっていく。
剣を持った者が多いが、弓や槍、またよく分からないものを持っている者もいる。
天使たちはすぐに攻撃を始め、妖魔たちが霧のように消えて行く。
武器を振るっているようなのだが、どのような攻撃なのかは全く分からない。
「なんだ、これは……」
天使たちの一部が、地上で負傷したソルジャーたちに向かった。
手から輝く光が出て、遠目にも治療を施してくれているように見えた。
天使の一人が俺の所へ来た。
身長は3メートルほどだった。
白いケープやクロークのような衣装で、背中に10メートルの大きな翼を持っている。
俺の前に舞い降りて翼を畳んだ。
そして俺に向いて片膝をつき頭を下げた。
「御前に」
「あ、ああ……」
瞬く間に《御虎》を覆った妖魔たちが消えて行く。
天使の数は恐らく数千だが、力が桁違いのようだ。
一兆もいた妖魔が何も出来ずに駆逐されて行った。
《御虎》の周辺に光の巨大な帯が聳え立ち、妖魔たちが消え去って行く。
30分ほどで、全ての妖魔たちが消えた。
侵攻して来た妖魔たちは、ほとんど攻撃も出来ずに殲滅された。
俺の前の天使は立ち上がり、俺にまた頭を下げた。
「いつなりとも」
天使は巨大な翼を拡げて飛び立とうとした。
俺もあまりの出来事に呆然としていた。
「おい!」
慌てて呼びかけると、天使が俺に振り向く。
「お前たちはここを護ってくれるんだな?」
「はい、光の大天使の御命により」
「!」
俺は全てを悟った。
「これからも頼む」
「仰せの通りに」
天使は飛び去った。
なにこれ……
全てが終わり、俺はヘッジホッグの指令本部へ戻った。
「タイガー、一体何が起きたんだ」
「見た通りだ」
「だから、何なんだ! 俺たちにはエネルギー反応しか分からなかった! 高エネルギーの何かが無数にあの円環から出て来たのは分かる。だが、それだけだ!」
俺の方こそ驚いた。
「お前たちには本当に見えなかったのか!」
「だからそう言っているだろう!」
「!」
司令本部で映像が拡大された時、俺にはしっかりと天使の姿が見えた。
しかし、フィルシャー大将たちには、何も見えていなかったのだ。
俺はすぐに先ほどの映像を再生させた。
今度は俺にも何も映っていなかった。
記録に残さないということか。
俺はフィルシャー大将に、天使の数千の大軍が来たのだと告げた。
「なんだと……お前、何を言っているんだ?」
フィルシャーが俺の言葉を信じられないでいる。
まあ、そうだよなぁ。
「本当だよ! 俺にはさっきの映像の中でも、もちろん外でも見えた。どうやら俺にしか見えないらしいな」
「信じられんことだが、実際にタイガーが見たと言い、妖魔も全て駆逐された。だったら事実なのだろう」
「あの《ミトラ祭壇》は、とんでもねぇな」
「ああ。そんなモノがここを護るって言うのなら、俺たちはどうすればいい」
「しっかりやれ。あれも万能ではないのかもしれない。恐らく「業」の側では、今回の侵攻でここが墜とせると思っていただろう」
「途轍もない数だったからな」
「ああ。あの規模で来られれば、アラスカ以外は対応出来ないだろう。日本中がやられていたかもな」
武神が出れば別だったが。
だが、それによって周囲の被害は大変なものになっただろう。
「タイガー、私は新たな防衛戦略を構築する」
「ああ、頼む。俺もここの防備を増強するよ。他の拠点も考えなきゃな」
「そうだな」
アラスカや蓮花の研究所などの俺たちの中枢はクロピョンやタヌ吉の防衛結界がある。
だから、数で押されようと対応は出来ると思う。
まさか建設中の《御虎》があの規模で侵攻されるとは思っていなかった。
俺の甘さだ。
敵は、相手の嫌がることを戦略とする。
想定外の攻撃で、俺たちはヤバかったわけだ。
とにかく、今回は助かった。
「私も毎日《ミトラ祭壇》を詣でることにするよ」
「ワハハハハハハハハ!」
フィルシャー大将が真面目な顔で言うので、俺は大笑いした。
俺たちは、ほとんどやることが無かった。
《ミトラ祭壇》がある限り、ここの防備は完璧なのだろう。
しかし、いくらなんでもやり過ぎじゃないのか?
まさか、天使の軍勢が出て来るなんて……
その意味が分かるのは、しばらく後になってからだった。
ヒルシャー大将から連絡があったのは、5月の中旬だった。
土曜日だったので、俺は家にいて専用端末で受けた。
「規模は?」
「大きい! 量子コンピューター《ミトラ》は一兆を超える敵襲だと判断した!」
「なんだと!」
過去最大規模の侵攻だ。
「アラスカからの応援を要請した。レンカにも出来るだけの援護を頼んだ!」
「分かった、俺も行くぞ!」
「頼む! とにかく数が多い。ヘッジホッグも稼働しているが、どうにもゲートの数が多く間に合わん!」
「おう!」
ゲートに対しては開いた時点で攻撃することが基本的な戦略だが、それが膨大な数になっていて間に合わない。
恐らく、攻撃されたゲートは即座に捨てて、別なゲートから進軍させているのだろう。
俺はすぐに出撃の準備をした。
家には俺とロボしかいない。
ロボは雪野さんに頼んだ。
亜紀ちゃんと柳はまだ中南米の戦場で、双子は西安の偵察に行っている。
俺は蓮花に連絡し、万一の場合は「武神」の出撃もあり得ると言った。
蓮花が緊張し、準備をしておくと応えた。
フィルシャー大将から連絡を受けてから10分後に現着したが、都市の周辺は膨大な妖魔とライカンスロープに埋め尽くされていた。
今も続々とゲートから進軍している。
世界人口を超える数の襲撃を受けているのだ。
人類史上で初めての戦闘になる。
俺が司令本部へ入ると、ヒルシャー大将が慌ただしく指揮を執っていた。
何しろ敵の数が多く、今は避難誘導に多くの人手を割かれている。
ソルジャーの一部は戦線を展開しているが、すぐに数に押されるのは明白だった。
「「霊素観測レーダー」が高エネルギーを観測!」
「何! まだ来るか!」
「いいえ! 《ミトラ祭壇》からです!」
「なんだと!」
レーダー係も驚愕している。
俺もフィルシャー大将も状況が分からない。
「《ミトラ祭壇》の上空に更に高エネルギー反応!」
「なんだ!」
「何かゲートに近いものが! あぁ!」
「どうした!」
「見て下さい!」
レーダー係が慌てて前面のスクリーンに映像を映した。
《ミトラ祭壇》周辺のものだ。
あの謎の水晶体のようなものが輝き、そこから高エネルギーのラインが伸びている。
そして上空に眩く輝く巨大な円環が生まれていた。
「出て来ます!」
「……」
俺もヒルシャーも事態を見守った。
何か尋常ではない現象が起きている。
「タイガー! あれはなんだ!」
「!」
輝く円環から無数の何かが出て来た。
映像がそれを拡大した。
「霊素観測レーダー」が即座にサイズを表示する。
体長2メートルから5メートルの人型。
背に翼があり、翼長は左右で6メートルから20メートル。
あれは天使か!
「タイガー、一体何が起きているんだ……」
「分からん。おい、「業」のゲートとは違う反応なんだよな?」
レーダー係に問い質した。
「はい! 同じく未知のエネルギーですが、まったく異なるものなのは確かです!」
「何かが出現しているようだが」
「もしかして、お前たちは見えないのか?」
「タイガーには見えているのか!」
「あ、ああ」
フィルシャーが驚いている。
「霊素観測レーダー」ではちゃんと捉えているようなのだが。
だが今は説明している間も惜しい。
俺は「虎王」を握って外へ出た。
その間にも《ミトラ祭壇》から出て来た無数の天使が展開し、妖魔たちに向かっていく。
剣を持った者が多いが、弓や槍、またよく分からないものを持っている者もいる。
天使たちはすぐに攻撃を始め、妖魔たちが霧のように消えて行く。
武器を振るっているようなのだが、どのような攻撃なのかは全く分からない。
「なんだ、これは……」
天使たちの一部が、地上で負傷したソルジャーたちに向かった。
手から輝く光が出て、遠目にも治療を施してくれているように見えた。
天使の一人が俺の所へ来た。
身長は3メートルほどだった。
白いケープやクロークのような衣装で、背中に10メートルの大きな翼を持っている。
俺の前に舞い降りて翼を畳んだ。
そして俺に向いて片膝をつき頭を下げた。
「御前に」
「あ、ああ……」
瞬く間に《御虎》を覆った妖魔たちが消えて行く。
天使の数は恐らく数千だが、力が桁違いのようだ。
一兆もいた妖魔が何も出来ずに駆逐されて行った。
《御虎》の周辺に光の巨大な帯が聳え立ち、妖魔たちが消え去って行く。
30分ほどで、全ての妖魔たちが消えた。
侵攻して来た妖魔たちは、ほとんど攻撃も出来ずに殲滅された。
俺の前の天使は立ち上がり、俺にまた頭を下げた。
「いつなりとも」
天使は巨大な翼を拡げて飛び立とうとした。
俺もあまりの出来事に呆然としていた。
「おい!」
慌てて呼びかけると、天使が俺に振り向く。
「お前たちはここを護ってくれるんだな?」
「はい、光の大天使の御命により」
「!」
俺は全てを悟った。
「これからも頼む」
「仰せの通りに」
天使は飛び去った。
なにこれ……
全てが終わり、俺はヘッジホッグの指令本部へ戻った。
「タイガー、一体何が起きたんだ」
「見た通りだ」
「だから、何なんだ! 俺たちにはエネルギー反応しか分からなかった! 高エネルギーの何かが無数にあの円環から出て来たのは分かる。だが、それだけだ!」
俺の方こそ驚いた。
「お前たちには本当に見えなかったのか!」
「だからそう言っているだろう!」
「!」
司令本部で映像が拡大された時、俺にはしっかりと天使の姿が見えた。
しかし、フィルシャー大将たちには、何も見えていなかったのだ。
俺はすぐに先ほどの映像を再生させた。
今度は俺にも何も映っていなかった。
記録に残さないということか。
俺はフィルシャー大将に、天使の数千の大軍が来たのだと告げた。
「なんだと……お前、何を言っているんだ?」
フィルシャーが俺の言葉を信じられないでいる。
まあ、そうだよなぁ。
「本当だよ! 俺にはさっきの映像の中でも、もちろん外でも見えた。どうやら俺にしか見えないらしいな」
「信じられんことだが、実際にタイガーが見たと言い、妖魔も全て駆逐された。だったら事実なのだろう」
「あの《ミトラ祭壇》は、とんでもねぇな」
「ああ。そんなモノがここを護るって言うのなら、俺たちはどうすればいい」
「しっかりやれ。あれも万能ではないのかもしれない。恐らく「業」の側では、今回の侵攻でここが墜とせると思っていただろう」
「途轍もない数だったからな」
「ああ。あの規模で来られれば、アラスカ以外は対応出来ないだろう。日本中がやられていたかもな」
武神が出れば別だったが。
だが、それによって周囲の被害は大変なものになっただろう。
「タイガー、私は新たな防衛戦略を構築する」
「ああ、頼む。俺もここの防備を増強するよ。他の拠点も考えなきゃな」
「そうだな」
アラスカや蓮花の研究所などの俺たちの中枢はクロピョンやタヌ吉の防衛結界がある。
だから、数で押されようと対応は出来ると思う。
まさか建設中の《御虎》があの規模で侵攻されるとは思っていなかった。
俺の甘さだ。
敵は、相手の嫌がることを戦略とする。
想定外の攻撃で、俺たちはヤバかったわけだ。
とにかく、今回は助かった。
「私も毎日《ミトラ祭壇》を詣でることにするよ」
「ワハハハハハハハハ!」
フィルシャー大将が真面目な顔で言うので、俺は大笑いした。
俺たちは、ほとんどやることが無かった。
《ミトラ祭壇》がある限り、ここの防備は完璧なのだろう。
しかし、いくらなんでもやり過ぎじゃないのか?
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