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栞の出産 Ⅲ
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早乙女さんから緊急の連絡が来た。
第一報のラインは「便利屋さん」から港区の最重要施設へ接近する怪しい気配ということだった。
池袋の自宅にいた俺は、すぐに出動準備を整えた。
ラインでは名称は伏せられていたが、その最重要施設とは石神さんが勤める病院のことだと分かっている。
そこには石神さんが最も護衛を強化している人物が収容されていると聞いていた。
その数分後に、早乙女さんから直接連絡が来た。
「磯良、出動してくれ」
「はい、準備は完了しています」
「ありがとう。分かっていると思うが、石神の関連施設だ」
「はい、すぐに向かいます」
「既に石神がそこにいる。石神は磯良を名指しで出動を要請した」
「え、自分をですか!」
「そうだ。他のハンターは待機だ。別な襲撃に備えてな」
「分かりました!」
「敵の詳細は分からない。でも石神がいるから指示に従ってくれ。俺もこれから本部へ向かう」
「はい!」
俺は駐車場へ移動しながら電話を終えた。
石神さんが俺を呼んでくれた!
そのことが無性に嬉しかった。
病院へは10分で到着した。
石神さんが外に出て、出迎えてくれた。
石神さんは浴衣姿で、「虎王」を二本とも腰に挿していた。
こんな場合だが、浴衣が素晴らしく素敵で感動した。
石神さんも、既にこの襲撃が《デモノイド》のものだと悟っていた。
俺に石神さんは「レイ」というガーディアンと、鬼族の護衛があることを教えてくれたが、俺にはよく分からない。
「レイ」のことを聞くと、親友の虎なのだと言われた。
ますます分からずに、笑ってしまった。
指示は単純で、全ての殲滅。
捕える必要もなく、ただ左右に分かれての掃討作戦だけだった。
でも、俺には十分だった。
敵は全方位から攻めて来る。
今感知出来ている敵の数は分かっているが、石神さんは恐らくそれだけではないと感じている。
それは理論的な考察だ。
この病院には、まず石神さんが最も重要とする人物がいる。
そうであれば、あの石神さんが並大抵の防衛策を講じていないはずがない。
そういう場所を襲うのに、たった50程度の《デモノイド》では不十分過ぎる。
敵の目論見は、密かに侵入しての拉致か殺害だろう。
だからきっと波状的に部隊を送り込んで、こちらの防衛の隙を衝く作戦に違いない。
今の襲撃は防衛の規模と仕組みを図るためのものであり、それに応じた兵士を送り込んで来るのは確実だ。
俺がそう読んでいることは、石神さんならばきっと読み切ってその先を見据えているだろう。
俺は近くの敵に向かった。
5人のチームで動いているようで、1キロ先からミサイルで攻撃してきた。
車両に積んだ《ジャベリン》だ。
随分と手が早い。
俺は「無限斬」で全て斬り墜とす。
同時に接近して車両と5人を斬り刻んだ。
俺の技は以前と比べて格段に上がっている。
あの石神さんと邂逅してからだ。
正確に言えば、石神さんから「虎王」を見せて頂いてからだった。
先祖の打ち上げたあの究極の神刀を見た瞬間に、俺の中にそれまで無かった何かが生じたのを感じた。
「七星虎王」と「五芒虎王」。
その二振の「虎王」が俺の能力を格段に引き上げた。
それを知ったのは、石神さんと別れた後だが。
俺は次の敵に向かった。
敵は既にメタモルフォーゼを起こし、もう隠れるつもりはないようだった。
でも油断は出来ない。
この中で、尚潜んで機会を窺っている奴がいる可能性が高い。
石神さんが先に戦端を開いたことは感じていた。
流石に一蹴だ。
次いで俺が5人を撃破したことで、敵も隠れる意志を捨てたのだろう。
霊素観測レーダーからも次々に情報が来る。
俺はそれと自分の感知能力とで敵を追っていく。
もう俺にとって《デモノイド》は大した敵ではないが、俺はそのことで一つの不安を感じていた。
ここを襲う作戦が、こんなものであるはずがない。
やはり敵は波状的に襲って来た。
病院施設はもちろん、この周辺には重要な施設が多い。
だから俺も広範囲の攻撃ではなく、敵の各個撃破しか出来ない。
恐らく敵の狙いはそれだろう。
俺や石神さんに個別の襲撃をさせ、何らかのタイミングを待っている。
そういうことが段々と分かって来た。
しかし今はこのまま戦うしかない。
出来るだけ短時間で《デモノイド》を撃破する。
奴らは遠慮なく《ジャベリン》や携帯ミサイル、対戦車砲を使ってくる。
明らかに陽動だ。
俺が先に対応せずにはいられない攻撃だ。
だが俺も気付いていた。
何度か撃ち漏らした攻撃が、何者かによって防御されている。
俺や石神さん以外の防衛者がいるのだ。
しかも強力な。
それが「レイ」なのか鬼族なのかは分からないが。
とにかく俺は撃破を急いだ。
30分も経つと、敵の攻撃がようやく少なくなっていく。
俺は残敵の掃討に専念しようとしていた。
その時、恐ろしく強大な気配が背後に現われた。
俺は瞬時に最大の「無影斬」をそいつに放った。
それが霧散した!
「待て、敵ではない、磯良」
「!」
「わが主に言われて来た。最後の敵が来た。もう病院に侵入している」
「なんだと! あんたは誰だ!」
「俺はタマだ。「虎王」のわが主に仕えている」
着物姿の恐ろしく美しい女だった。
しかし膨大な魔力を持っていることが分かった。
妖魔だ。
しかも超特大の。
だけど「タマ」なのか?
「味方なんだな!」
「そうだ。お前の技は俺でも油断できない。もう攻撃はするな」
「分かった、悪かった。俺はどうすればいい?」
「わが主はお前に侵入した敵の撃破を頼みたいそうだ。出来ればだがな」
「!」
「では、俺はこれで去るからな」
「ああ、ありがとうございました」
妖魔が消えた。
俺が出会った中で、最強の力を持つ妖魔だ。
もちろん、俺でも太刀打ちできない。
石神さんは、あんな強大な妖魔を従えているのか。
そして、それでも決着が付かない「業」は、どれほど恐ろしい敵なのか。
石神さんたちは、そういう敵とこれまで必死に戦い続けて来たのだ。
「石神さん、やりますよ!」
俺は病院の中へ入った。
敵が狙う場所は分かっている。
尋常ではない波動を感じている。
きっとそれが、石神さんが収容している人物のいる場所なのだろう。
だから、敵はそこへ向かう。
まだ敵の気配は無い。
でも油断はしない。
俺が気配を感知出来ない敵の場合もあり得るからだ。
石神さんは「タマ」さんに、敵が侵入していることを俺に告げさせた。
ならば、その通りなのだ。
だから俺は、巨大な波動の近くで待ち受けるつもりだった。
一般病棟から離れた区画。
特別な患者が収容される建物だと感じた。
近づくと、幾つかの波動が見分けられるようになった。
一つは巨大だが清々しい波動。
もう一つは恐ろしく強烈で、冷酷な波動。
それでも味方であることが分かった。
相手から声を掛けて来たからだ。
「磯良か」
「あなたは?」
「花岡斬じゃ」
「!」
あの「花岡家」の当主か。
名前はもちろん知っている。
裏社会で上の人間であれば、知らないはずの無い名前だった。
そして「花岡家」が石神さんの下に付いていることも知っている。
「あやつがまずお前に任せろと言って来た。わしが相手をするまでもない敵じゃろうが、油断はするな」
「分かりました」
また石神さんの指示ということなのだろう。
斬さんは離れ、どこかの部屋へ入った。
強大で優しい波動の人の部屋だ。
その瞬間に、とんでもなく強烈な波動を感じた。
あり得ない。
先ほどまで、こんな波動は無かった。
それに、これほどのものを俺が見逃すはずもない。
タマと名乗った強大な妖魔以上の波動だ。
いや、これは妖魔のものではない。
何だろうか。
《ガウ》
猛獣の吼える声が聞こえた気がした。
だが、テレパシーのようなものだろう。
初めての経験だ。
どうやら俺に自分の存在を告げに来たらしい。
こんなものがいるのなら、誰も侵入は出来ないだろうに。
早乙女さんはここが「最重要施設」と言っていたが、既に石神さんが万全の防衛システムを整えているのが分かった。
今回の襲撃への対策は、もしかしたらその防衛システムを敵に知らせないためのものなのかもしれない。
まあ、それでも俺がやることに変わりはない。
俺は気配感知に集中した。
第一報のラインは「便利屋さん」から港区の最重要施設へ接近する怪しい気配ということだった。
池袋の自宅にいた俺は、すぐに出動準備を整えた。
ラインでは名称は伏せられていたが、その最重要施設とは石神さんが勤める病院のことだと分かっている。
そこには石神さんが最も護衛を強化している人物が収容されていると聞いていた。
その数分後に、早乙女さんから直接連絡が来た。
「磯良、出動してくれ」
「はい、準備は完了しています」
「ありがとう。分かっていると思うが、石神の関連施設だ」
「はい、すぐに向かいます」
「既に石神がそこにいる。石神は磯良を名指しで出動を要請した」
「え、自分をですか!」
「そうだ。他のハンターは待機だ。別な襲撃に備えてな」
「分かりました!」
「敵の詳細は分からない。でも石神がいるから指示に従ってくれ。俺もこれから本部へ向かう」
「はい!」
俺は駐車場へ移動しながら電話を終えた。
石神さんが俺を呼んでくれた!
そのことが無性に嬉しかった。
病院へは10分で到着した。
石神さんが外に出て、出迎えてくれた。
石神さんは浴衣姿で、「虎王」を二本とも腰に挿していた。
こんな場合だが、浴衣が素晴らしく素敵で感動した。
石神さんも、既にこの襲撃が《デモノイド》のものだと悟っていた。
俺に石神さんは「レイ」というガーディアンと、鬼族の護衛があることを教えてくれたが、俺にはよく分からない。
「レイ」のことを聞くと、親友の虎なのだと言われた。
ますます分からずに、笑ってしまった。
指示は単純で、全ての殲滅。
捕える必要もなく、ただ左右に分かれての掃討作戦だけだった。
でも、俺には十分だった。
敵は全方位から攻めて来る。
今感知出来ている敵の数は分かっているが、石神さんは恐らくそれだけではないと感じている。
それは理論的な考察だ。
この病院には、まず石神さんが最も重要とする人物がいる。
そうであれば、あの石神さんが並大抵の防衛策を講じていないはずがない。
そういう場所を襲うのに、たった50程度の《デモノイド》では不十分過ぎる。
敵の目論見は、密かに侵入しての拉致か殺害だろう。
だからきっと波状的に部隊を送り込んで、こちらの防衛の隙を衝く作戦に違いない。
今の襲撃は防衛の規模と仕組みを図るためのものであり、それに応じた兵士を送り込んで来るのは確実だ。
俺がそう読んでいることは、石神さんならばきっと読み切ってその先を見据えているだろう。
俺は近くの敵に向かった。
5人のチームで動いているようで、1キロ先からミサイルで攻撃してきた。
車両に積んだ《ジャベリン》だ。
随分と手が早い。
俺は「無限斬」で全て斬り墜とす。
同時に接近して車両と5人を斬り刻んだ。
俺の技は以前と比べて格段に上がっている。
あの石神さんと邂逅してからだ。
正確に言えば、石神さんから「虎王」を見せて頂いてからだった。
先祖の打ち上げたあの究極の神刀を見た瞬間に、俺の中にそれまで無かった何かが生じたのを感じた。
「七星虎王」と「五芒虎王」。
その二振の「虎王」が俺の能力を格段に引き上げた。
それを知ったのは、石神さんと別れた後だが。
俺は次の敵に向かった。
敵は既にメタモルフォーゼを起こし、もう隠れるつもりはないようだった。
でも油断は出来ない。
この中で、尚潜んで機会を窺っている奴がいる可能性が高い。
石神さんが先に戦端を開いたことは感じていた。
流石に一蹴だ。
次いで俺が5人を撃破したことで、敵も隠れる意志を捨てたのだろう。
霊素観測レーダーからも次々に情報が来る。
俺はそれと自分の感知能力とで敵を追っていく。
もう俺にとって《デモノイド》は大した敵ではないが、俺はそのことで一つの不安を感じていた。
ここを襲う作戦が、こんなものであるはずがない。
やはり敵は波状的に襲って来た。
病院施設はもちろん、この周辺には重要な施設が多い。
だから俺も広範囲の攻撃ではなく、敵の各個撃破しか出来ない。
恐らく敵の狙いはそれだろう。
俺や石神さんに個別の襲撃をさせ、何らかのタイミングを待っている。
そういうことが段々と分かって来た。
しかし今はこのまま戦うしかない。
出来るだけ短時間で《デモノイド》を撃破する。
奴らは遠慮なく《ジャベリン》や携帯ミサイル、対戦車砲を使ってくる。
明らかに陽動だ。
俺が先に対応せずにはいられない攻撃だ。
だが俺も気付いていた。
何度か撃ち漏らした攻撃が、何者かによって防御されている。
俺や石神さん以外の防衛者がいるのだ。
しかも強力な。
それが「レイ」なのか鬼族なのかは分からないが。
とにかく俺は撃破を急いだ。
30分も経つと、敵の攻撃がようやく少なくなっていく。
俺は残敵の掃討に専念しようとしていた。
その時、恐ろしく強大な気配が背後に現われた。
俺は瞬時に最大の「無影斬」をそいつに放った。
それが霧散した!
「待て、敵ではない、磯良」
「!」
「わが主に言われて来た。最後の敵が来た。もう病院に侵入している」
「なんだと! あんたは誰だ!」
「俺はタマだ。「虎王」のわが主に仕えている」
着物姿の恐ろしく美しい女だった。
しかし膨大な魔力を持っていることが分かった。
妖魔だ。
しかも超特大の。
だけど「タマ」なのか?
「味方なんだな!」
「そうだ。お前の技は俺でも油断できない。もう攻撃はするな」
「分かった、悪かった。俺はどうすればいい?」
「わが主はお前に侵入した敵の撃破を頼みたいそうだ。出来ればだがな」
「!」
「では、俺はこれで去るからな」
「ああ、ありがとうございました」
妖魔が消えた。
俺が出会った中で、最強の力を持つ妖魔だ。
もちろん、俺でも太刀打ちできない。
石神さんは、あんな強大な妖魔を従えているのか。
そして、それでも決着が付かない「業」は、どれほど恐ろしい敵なのか。
石神さんたちは、そういう敵とこれまで必死に戦い続けて来たのだ。
「石神さん、やりますよ!」
俺は病院の中へ入った。
敵が狙う場所は分かっている。
尋常ではない波動を感じている。
きっとそれが、石神さんが収容している人物のいる場所なのだろう。
だから、敵はそこへ向かう。
まだ敵の気配は無い。
でも油断はしない。
俺が気配を感知出来ない敵の場合もあり得るからだ。
石神さんは「タマ」さんに、敵が侵入していることを俺に告げさせた。
ならば、その通りなのだ。
だから俺は、巨大な波動の近くで待ち受けるつもりだった。
一般病棟から離れた区画。
特別な患者が収容される建物だと感じた。
近づくと、幾つかの波動が見分けられるようになった。
一つは巨大だが清々しい波動。
もう一つは恐ろしく強烈で、冷酷な波動。
それでも味方であることが分かった。
相手から声を掛けて来たからだ。
「磯良か」
「あなたは?」
「花岡斬じゃ」
「!」
あの「花岡家」の当主か。
名前はもちろん知っている。
裏社会で上の人間であれば、知らないはずの無い名前だった。
そして「花岡家」が石神さんの下に付いていることも知っている。
「あやつがまずお前に任せろと言って来た。わしが相手をするまでもない敵じゃろうが、油断はするな」
「分かりました」
また石神さんの指示ということなのだろう。
斬さんは離れ、どこかの部屋へ入った。
強大で優しい波動の人の部屋だ。
その瞬間に、とんでもなく強烈な波動を感じた。
あり得ない。
先ほどまで、こんな波動は無かった。
それに、これほどのものを俺が見逃すはずもない。
タマと名乗った強大な妖魔以上の波動だ。
いや、これは妖魔のものではない。
何だろうか。
《ガウ》
猛獣の吼える声が聞こえた気がした。
だが、テレパシーのようなものだろう。
初めての経験だ。
どうやら俺に自分の存在を告げに来たらしい。
こんなものがいるのなら、誰も侵入は出来ないだろうに。
早乙女さんはここが「最重要施設」と言っていたが、既に石神さんが万全の防衛システムを整えているのが分かった。
今回の襲撃への対策は、もしかしたらその防衛システムを敵に知らせないためのものなのかもしれない。
まあ、それでも俺がやることに変わりはない。
俺は気配感知に集中した。
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