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挿話: 『般若』でクリスマス
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ええと、俺は最近随分と忙しかった。
石神家へ竹流と馬込を送って、聖や天丸にも会いたかったのでしょっちゅう出掛けていた。
同時に獅子丸の相談事の後で、ルイーサたちとモスクワを攻撃し、子どもたちにマイセン人形を壊され、《轟霊号》の進水式に出席した--。
その他にも細かいことでいろいろあった。
だから毎年響子のためにやっているクリスマスは、青の『般若』でやることにした。
料理その他を青に丸投げしたのだ。
響子は大好きな青の『般若』なので単純に喜んだ。
「何着て行こうかな!」
「お前、パジャマでいいじゃん」
「ダメだよ!」
六花が自分はジャージだと言うと響子が怒った。
外出の機会が少ない響子なので、楽しみたいのだろう。
まあ、『般若』自体はよく行くのだが。
響子が六花の服まで指定し出したので、二人で笑った。
青は俺たちのために店を貸切にしてくれた。
クリスマスイヴは本来は来客も多いだろうに、申し訳ない。
俺と子どもたち、響子、六花と吹雪、銀世、鷹、院長夫妻、早乙女一家と成瀬や「アドヴェロス」のハンターたち、一江と大森に『般若』の常連の明恵和尚たち。
流石にローマ教皇は来なかった。
もちろん、予定がそれどころではないだろう。
丁度暗殺者は皇紀の所へ行ったので、こっちは気兼ねなくパーティを楽しんだ。
皇紀ガンバレ。
青とカスミ、そしてうちの子どもたちが料理を作り、交代で外のバーベキュー台で注文を受けて焼く。
まあ、ほとんどはうちの子どもたちのもので、中のものを喰われると厄介だからそういうものにした。
ロボも貸切なので連れて行ける。
『般若』は毎日大勢の人間が詰めかけるので、開店してすぐに拡張していた。
以前の50平米では全然席が足りなくなったのだ。
主に『般若』の休業日の土日を利用して突貫で仕上げた。
また千万組の紹介で腕のいい料理人やホールスタッフが入り、普段はそれで賄っている。
今日はうちの子どもらがいるので涼ちゃん以外は休みにしているが。
今は150平米になっており、広い土地を買っておいてよかったと思う。
青はコーヒーや飲み物に専念して、何とか「喫茶店」の体裁を保っている。
まあ、もう軽食のレベルでは無く、完全にレストランなのだが。
夜はアルコールも提供している。
朝の8時に開店し、夜8時に閉店だが、客足が途絶えることはほとんどない。
青はずっと働くが、涼ちゃんは大学に通いながらで、一日いる場合も8時間労働にしている。
涼ちゃんはもっと働きたがるが、青が頑として譲らない。
多分、大学を卒業したらこのまま青の店に入るのではないか。
前に大学は辞めると言ったそうだが、青がそれを止めた。
折角いい大学に入ったのだからと青は言うのだが、涼ちゃんの心は変わらないだろう。
そういう人生もいいと俺は思っているのだが。
うちの病院のスタッフはもとより、相変わらずクリスチャンの巡礼的な人たちが押し寄せている。
オープン前に『般若』の特別番組が流れ、また『虎は孤高に』での特別番組や本編でもでこの店の話が放映され、爆発的な人気店になってしまった。
予約も受けているが、それで埋まってしまうことを青は嫌がり、半分の席だけ予約を受け入れている。
今はネットで簡単に処理出来るので、手間はそれほど無い。
六花も来るのだが、幼い銀世がいるので鷹や柳が響子を連れて来ることも多い。
今日は5時の予定だったので、俺は4時頃に顔を出した。
子どもたちは昼からここにいる。
俺が行くと、みんな忙しそうに動いていた。
「青、今日はありがとうな」
「いや、お前と響子ちゃんのためだしな」
「普段も忙しそうだけどよ、大丈夫か?」
「ああ、お前が紹介してくれた朝倉さんたちがよくやってくれてるよ」
「そうか」
「まあ、俺が思ってた『般若』とは全然違うけどな」
「ワハハハハハハハハハハ!」
すまんね。
今はテーブルは18席あるが、今日は余裕で座れる。
俺と響子、六花と吹雪、院長夫妻で銀世はベビーベッド。
鷹と一江、大森と亜紀ちゃんと柳。
早乙女一家とハンターたちとルーとハー。
『般若』の常連たち。
料理はローストビーフ(大量)とローストチキン(それなり)、焼きハマグリのバルサミコソース、サザエのガーリックソース、キングサーモン(アラスカ)のバターソース、タラバガニのベシャメルソース、スズキのパイ包焼き、小エビとホタテのマリネ、その他クラッカー乗せなどのクリスマスらしい料理、それに院長夫妻のために里芋の煮物や揚げ出し豆腐など。
外では主にステーキなどを焼く。
料理の減りを見て、カスミが追加して涼ちゃんが忙しそうに運んで行く。
ハンターの早霧が外で焼いている焼きハマグリが気に入ったようで、どんどん追加した。
俺がギターを弾くと、亜紀ちゃんと早霧が大興奮で、いつの間にか肩を組んで楽しんでいた。
磯良は愛鈴とルーに散々食べさせられ、苦しそうだった。
羽入と紅は他のハンターたちと楽しそうに話している。
鷹はついに我慢出来ずに青に断って厨房に入り、何か作り出した。
トリガイの煮物とナスの煮びたしを作り、院長たちと俺に持って来る。
「ねえ、石神さん」
「なんだよ、早霧?」
「今度さ、「アドヴェロス」のテーマ曲を創っちゃもらえませんか?」
「なんだ?」
「お願いします!」
早霧が妙なことを言って来た。
「それ、どうすんだよ?」
「何かの時に流します!」
「あ?」
亜紀ちゃんがやって来た。
「花岡」使いは耳がいい。
「タカさん、作りましょうよ!」
「まあいいけどさ」
「ほんとですか!」
「3枚目のCDにも入れましょうね!」
「おい!」
早霧が俺の手を握って喜んだ。
俺は今度はフライングVを持って前に出た。
幾つかメロディを弾いて、一気に奏でた。
《アドヴェロス》
雷鳴のように響かせる前奏から始まる、命懸けで市民を護る者たちへの讃歌。
♪ オーオオーオー オーオオーオー ♪
最後のサビの部分で俺が歌った。
演奏を終えると、早霧が飛び出して来た。
「今のが「アドヴェロス」の曲ですかぁ!」
「ああ、そうだな」
「もう作っちまったんですか!」
「早霧さん、ちゃんと録音してますから!」
「亜紀ちゃん、ありがとう!」
「いいえ!」
そう言って亜紀ちゃんは離れて誰かに電話していた。
「……」
あの人かー。
「タカさん、橘さんがすぐ送って欲しいって!」
「お、おう」
早霧が泣いていた。
「石神さん、天才ですね! それに最高にイカしてる!」
「そんなんじゃねぇよ。ああ、楽譜は後で送るからな」
「ありがとうございます!」
その後で早乙女がハンターたちを連れて礼を言いに来た。
「石神! 一瞬で作ったのか!」
「いつもお前たちのことを考えてるからな」
「石神ぃ! お前は親友だぁ!」
「ああ」
早乙女が大泣きしていた。
早霧がサビの部分をみんなと一緒に歌わせていた。
♪ オーオオーオー オーオオーオー…… ♪
葛葉と獅子丸はノリノリだった。
早乙女は泣きながら歌っていた。
他の連中は無理矢理付き合わされていたが、段々ノッて来て、最後は肩を組んで一列になって歌っていた。
亜紀ちゃんも。
♪ オーオオーオー オーオオーオー…… ♪
もういいって。
石神家へ竹流と馬込を送って、聖や天丸にも会いたかったのでしょっちゅう出掛けていた。
同時に獅子丸の相談事の後で、ルイーサたちとモスクワを攻撃し、子どもたちにマイセン人形を壊され、《轟霊号》の進水式に出席した--。
その他にも細かいことでいろいろあった。
だから毎年響子のためにやっているクリスマスは、青の『般若』でやることにした。
料理その他を青に丸投げしたのだ。
響子は大好きな青の『般若』なので単純に喜んだ。
「何着て行こうかな!」
「お前、パジャマでいいじゃん」
「ダメだよ!」
六花が自分はジャージだと言うと響子が怒った。
外出の機会が少ない響子なので、楽しみたいのだろう。
まあ、『般若』自体はよく行くのだが。
響子が六花の服まで指定し出したので、二人で笑った。
青は俺たちのために店を貸切にしてくれた。
クリスマスイヴは本来は来客も多いだろうに、申し訳ない。
俺と子どもたち、響子、六花と吹雪、銀世、鷹、院長夫妻、早乙女一家と成瀬や「アドヴェロス」のハンターたち、一江と大森に『般若』の常連の明恵和尚たち。
流石にローマ教皇は来なかった。
もちろん、予定がそれどころではないだろう。
丁度暗殺者は皇紀の所へ行ったので、こっちは気兼ねなくパーティを楽しんだ。
皇紀ガンバレ。
青とカスミ、そしてうちの子どもたちが料理を作り、交代で外のバーベキュー台で注文を受けて焼く。
まあ、ほとんどはうちの子どもたちのもので、中のものを喰われると厄介だからそういうものにした。
ロボも貸切なので連れて行ける。
『般若』は毎日大勢の人間が詰めかけるので、開店してすぐに拡張していた。
以前の50平米では全然席が足りなくなったのだ。
主に『般若』の休業日の土日を利用して突貫で仕上げた。
また千万組の紹介で腕のいい料理人やホールスタッフが入り、普段はそれで賄っている。
今日はうちの子どもらがいるので涼ちゃん以外は休みにしているが。
今は150平米になっており、広い土地を買っておいてよかったと思う。
青はコーヒーや飲み物に専念して、何とか「喫茶店」の体裁を保っている。
まあ、もう軽食のレベルでは無く、完全にレストランなのだが。
夜はアルコールも提供している。
朝の8時に開店し、夜8時に閉店だが、客足が途絶えることはほとんどない。
青はずっと働くが、涼ちゃんは大学に通いながらで、一日いる場合も8時間労働にしている。
涼ちゃんはもっと働きたがるが、青が頑として譲らない。
多分、大学を卒業したらこのまま青の店に入るのではないか。
前に大学は辞めると言ったそうだが、青がそれを止めた。
折角いい大学に入ったのだからと青は言うのだが、涼ちゃんの心は変わらないだろう。
そういう人生もいいと俺は思っているのだが。
うちの病院のスタッフはもとより、相変わらずクリスチャンの巡礼的な人たちが押し寄せている。
オープン前に『般若』の特別番組が流れ、また『虎は孤高に』での特別番組や本編でもでこの店の話が放映され、爆発的な人気店になってしまった。
予約も受けているが、それで埋まってしまうことを青は嫌がり、半分の席だけ予約を受け入れている。
今はネットで簡単に処理出来るので、手間はそれほど無い。
六花も来るのだが、幼い銀世がいるので鷹や柳が響子を連れて来ることも多い。
今日は5時の予定だったので、俺は4時頃に顔を出した。
子どもたちは昼からここにいる。
俺が行くと、みんな忙しそうに動いていた。
「青、今日はありがとうな」
「いや、お前と響子ちゃんのためだしな」
「普段も忙しそうだけどよ、大丈夫か?」
「ああ、お前が紹介してくれた朝倉さんたちがよくやってくれてるよ」
「そうか」
「まあ、俺が思ってた『般若』とは全然違うけどな」
「ワハハハハハハハハハハ!」
すまんね。
今はテーブルは18席あるが、今日は余裕で座れる。
俺と響子、六花と吹雪、院長夫妻で銀世はベビーベッド。
鷹と一江、大森と亜紀ちゃんと柳。
早乙女一家とハンターたちとルーとハー。
『般若』の常連たち。
料理はローストビーフ(大量)とローストチキン(それなり)、焼きハマグリのバルサミコソース、サザエのガーリックソース、キングサーモン(アラスカ)のバターソース、タラバガニのベシャメルソース、スズキのパイ包焼き、小エビとホタテのマリネ、その他クラッカー乗せなどのクリスマスらしい料理、それに院長夫妻のために里芋の煮物や揚げ出し豆腐など。
外では主にステーキなどを焼く。
料理の減りを見て、カスミが追加して涼ちゃんが忙しそうに運んで行く。
ハンターの早霧が外で焼いている焼きハマグリが気に入ったようで、どんどん追加した。
俺がギターを弾くと、亜紀ちゃんと早霧が大興奮で、いつの間にか肩を組んで楽しんでいた。
磯良は愛鈴とルーに散々食べさせられ、苦しそうだった。
羽入と紅は他のハンターたちと楽しそうに話している。
鷹はついに我慢出来ずに青に断って厨房に入り、何か作り出した。
トリガイの煮物とナスの煮びたしを作り、院長たちと俺に持って来る。
「ねえ、石神さん」
「なんだよ、早霧?」
「今度さ、「アドヴェロス」のテーマ曲を創っちゃもらえませんか?」
「なんだ?」
「お願いします!」
早霧が妙なことを言って来た。
「それ、どうすんだよ?」
「何かの時に流します!」
「あ?」
亜紀ちゃんがやって来た。
「花岡」使いは耳がいい。
「タカさん、作りましょうよ!」
「まあいいけどさ」
「ほんとですか!」
「3枚目のCDにも入れましょうね!」
「おい!」
早霧が俺の手を握って喜んだ。
俺は今度はフライングVを持って前に出た。
幾つかメロディを弾いて、一気に奏でた。
《アドヴェロス》
雷鳴のように響かせる前奏から始まる、命懸けで市民を護る者たちへの讃歌。
♪ オーオオーオー オーオオーオー ♪
最後のサビの部分で俺が歌った。
演奏を終えると、早霧が飛び出して来た。
「今のが「アドヴェロス」の曲ですかぁ!」
「ああ、そうだな」
「もう作っちまったんですか!」
「早霧さん、ちゃんと録音してますから!」
「亜紀ちゃん、ありがとう!」
「いいえ!」
そう言って亜紀ちゃんは離れて誰かに電話していた。
「……」
あの人かー。
「タカさん、橘さんがすぐ送って欲しいって!」
「お、おう」
早霧が泣いていた。
「石神さん、天才ですね! それに最高にイカしてる!」
「そんなんじゃねぇよ。ああ、楽譜は後で送るからな」
「ありがとうございます!」
その後で早乙女がハンターたちを連れて礼を言いに来た。
「石神! 一瞬で作ったのか!」
「いつもお前たちのことを考えてるからな」
「石神ぃ! お前は親友だぁ!」
「ああ」
早乙女が大泣きしていた。
早霧がサビの部分をみんなと一緒に歌わせていた。
♪ オーオオーオー オーオオーオー…… ♪
葛葉と獅子丸はノリノリだった。
早乙女は泣きながら歌っていた。
他の連中は無理矢理付き合わされていたが、段々ノッて来て、最後は肩を組んで一列になって歌っていた。
亜紀ちゃんも。
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