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蓮花研究所 超採用 Ⅱ
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支倉美幸が赤くなっていた。
相当面接の練習をして来たのだろう。
先ほどまでは堂々と受け答えをして来た。
だあ、小さな頃から親しくしていた俺の問いかけに、つい子どもらしい自分がでてしまった。
俺とジェシカは笑った。
「大丈夫ですよ、良いお話でした。その通りです。この研究所ではみんなが蓮花を慕っています。蓮花はみんなに食事を作るのが趣味なんです。そのうちに食べられますよ」
「本当ですか!」
また俺たちは笑った。
取り繕った姿が薄れ、支倉美幸の本来が出て来た。
彼女は本当に憧れるここで働きたいのだ。
「あの、私何でもします! 知識はまったくありませんが、一生懸命に勉強します! それに「暁園」では「花岡」も少しは習っています。護衛の仕事であればすぐにでも!」
「あなたは戦う必要はありません!」
蓮花が突然立ち上がって叫んだ。
支倉美幸は自分が失礼なことを言ったのかと緊張した。
蓮花の険しい顔と、そこに浮かぶ涙を観たのだ。
「え、はい! すいませんでした!」
「あなたは私の傍で一生懸命に勉強しなさい。そしていつまでも傍にいるのです!」
「はい、分かりました!」
蓮花の目が潤んでいた。
俺とジェシカには蓮花の中でどのような感情が渦巻いているのかが分かったが、支倉美幸には突然蓮花が怒り出したと映っただろう。
蓮花が立っているので、支倉美幸も立ち上がった。
俺はその場を収め、支倉美幸を安心させようと立ち上がった。
その時、はっきりと空気が変わった。
殺気は無いことを俺はすぐに悟った。
突然、支倉美幸の雰囲気が変わった。
何も感じていない蓮花とジェシカが、俺の緊張を悟っって何事かと驚いている。
そしてやっと支倉美幸の感じが違うことに気付く。
先ほどまでの「少女」では無かった。
「支倉さん、どうしました?」
ジェシカが慌てて言った。
「蓮花様、私はずっとお傍にいます」
「え?」
蓮花も驚いている。
支倉美幸が「蓮花さん」ではなく「蓮花様」と言っている。
はっきりとは分からないが、声も先ほどのものとは違っているように感じた。
「不甲斐ない肉体で、お傍に居続けることは出来ず、申し訳ありませんでした。でもみんな満足して逝きました」
「あなたはミユキなの!!!」
蓮花が叫び、俺もジェシカも驚いていた。
確かに先ほどまでの支倉美幸ではない。
華奢な身体に力が満ち溢れ、鍛え上げた堂々とした戦士のオーラがあった。
そしてこよなく蓮花を慕う、あのミユキの優しさが。
「でも私たちは幸せでした。蓮花様のお傍にいて、あれほどの幸福はありませんでした。ありがとうございます」
「ミユキ! あなたはミユキなのね!」
支倉美幸だった少女が微笑んだ。
「蓮花様、あまり悲しまないで下さい。私たちは幸福で、満足しております。ただ、蓮花様のお傍にいられないことだけが悲しい。でも私たちは今も蓮花様のお傍におります。皆、今も蓮花様のことが大好きでおります。ですから、もうあまり悲しまないで下さい」
「ミユキぃ!」
蓮花が叫んで支倉美幸に駆け寄った。
前でよろける蓮花を支倉美幸が微笑んでしっかりと抱き締めた。
それは、いつも興奮すると足元が怪しくなる蓮花を支えていたミユキそのものだった。
「蓮花様、いつまでもお元気で。私たちの書いた手紙をお読みください。みんな蓮花様への感謝と思慕を綴っております。私たちの心をお受け取り下さい」
「分かった、必ず読みます! ですからミユキ!」
「はい、お傍におります。大好きな蓮花様」
「ミユキィィィーーーー!」
蓮花が大きく叫んで崩れた。
支倉美幸は途中まで蓮花を支えていたが、不意に目を覚ました。
「あ、あれ、私……」
目の前で泣き崩れている蓮花を観て戸惑っている。
記憶が無いのだろう。
「あの、私、とんでもないことを!」
「さ、採用! 超採用!」
「エェ!」
俺が叫んだ。
蓮花の傍に行き、蓮花を抱き上げた。
「支倉美幸さん、あなたは「超採用」です! おめでとうございます! これからも蓮花の傍で研究に励んで下さい!」
「は、はい! ありがとうございます!」
ジェシカが泣きながら笑っていた。
泣きじゃくっていた蓮花は俺に抱き着いた。
「おい、あと7人残ってんぞ」
「全員「超採用」でございます!」
「そうか!」
乱れた蓮花を休ませ、一応俺とジェシカで残りの7人と面接した。
問題なく全員を「超採用」とした。
「暁園」、男性3名、女性5名が採用され、彼らは蓮花の傍で世話をしながら研究所員としての勉強を始めた。
蓮花の周りは一気に騒がしくなり、いつも蓮花が楽しそうに教えたり、時には怒ったりしていた。
元気一杯な子どもたちに囲まれ、蓮花はいつも笑っているようになった。
蓮花はミユキたちの遺した手紙を読むようになった。
毎日数枚しか読めなかった。
途中でいつも大泣きし、それでも読み続けた。
「暁園」の子どもたちがいなければ、それも続けられなかっただろう。
蓮花はミユキたちの最期の思いを知った。
蓮花は立ち直り、今は毎日楽しそうに過ごしている。
時々《アヴァロン》に子どもたちを連れている蓮花が見られた。
子どもたちも蓮花のことが大好きで、常に取り囲んでいた。
親のいない子どもたちにとっても、真の意味で蓮花を母親として慕っていることがよく分かった。
あれ以来、ミユキは現われてはいない。
俺は柏木さんを呼んで相談した。
「49日を過ぎると、良い人間は成仏するものなのです」
「そうですか。ではブランたちは……」
「はい、皆素晴らしい場所へ行かれました」
「そう、それは良かった」
柏木さんが微笑んで俺を見ていた。
「ですが石神さん、彼らは本当に特別なのです」
「え?」
「大いなる存在によって、この世へのパスも持っているようです」
「!」
「蓮花さん、そして石神さんの所へよくいらしているようですよ。みなさん幸せそうな笑顔で、お二人を見ては帰られています」
「そうですか。それは……」
もしもそうならば最高だ。
でも俺たちのことは心配いらない。
お前たちの望んだとおり、この戦いには必ず勝利する。
笑って眺めていろ。
そしていつかまた会おう。
俺も蓮花もそれを楽しみにしているぞ。
柏木さんは俺たちのために祭壇を作ってブランたちのために祈ってくれた。
俺も蓮花も何も見えなかったが、柏木さんは時々周囲を観てうなずいて微笑んでおられた。
相当面接の練習をして来たのだろう。
先ほどまでは堂々と受け答えをして来た。
だあ、小さな頃から親しくしていた俺の問いかけに、つい子どもらしい自分がでてしまった。
俺とジェシカは笑った。
「大丈夫ですよ、良いお話でした。その通りです。この研究所ではみんなが蓮花を慕っています。蓮花はみんなに食事を作るのが趣味なんです。そのうちに食べられますよ」
「本当ですか!」
また俺たちは笑った。
取り繕った姿が薄れ、支倉美幸の本来が出て来た。
彼女は本当に憧れるここで働きたいのだ。
「あの、私何でもします! 知識はまったくありませんが、一生懸命に勉強します! それに「暁園」では「花岡」も少しは習っています。護衛の仕事であればすぐにでも!」
「あなたは戦う必要はありません!」
蓮花が突然立ち上がって叫んだ。
支倉美幸は自分が失礼なことを言ったのかと緊張した。
蓮花の険しい顔と、そこに浮かぶ涙を観たのだ。
「え、はい! すいませんでした!」
「あなたは私の傍で一生懸命に勉強しなさい。そしていつまでも傍にいるのです!」
「はい、分かりました!」
蓮花の目が潤んでいた。
俺とジェシカには蓮花の中でどのような感情が渦巻いているのかが分かったが、支倉美幸には突然蓮花が怒り出したと映っただろう。
蓮花が立っているので、支倉美幸も立ち上がった。
俺はその場を収め、支倉美幸を安心させようと立ち上がった。
その時、はっきりと空気が変わった。
殺気は無いことを俺はすぐに悟った。
突然、支倉美幸の雰囲気が変わった。
何も感じていない蓮花とジェシカが、俺の緊張を悟っって何事かと驚いている。
そしてやっと支倉美幸の感じが違うことに気付く。
先ほどまでの「少女」では無かった。
「支倉さん、どうしました?」
ジェシカが慌てて言った。
「蓮花様、私はずっとお傍にいます」
「え?」
蓮花も驚いている。
支倉美幸が「蓮花さん」ではなく「蓮花様」と言っている。
はっきりとは分からないが、声も先ほどのものとは違っているように感じた。
「不甲斐ない肉体で、お傍に居続けることは出来ず、申し訳ありませんでした。でもみんな満足して逝きました」
「あなたはミユキなの!!!」
蓮花が叫び、俺もジェシカも驚いていた。
確かに先ほどまでの支倉美幸ではない。
華奢な身体に力が満ち溢れ、鍛え上げた堂々とした戦士のオーラがあった。
そしてこよなく蓮花を慕う、あのミユキの優しさが。
「でも私たちは幸せでした。蓮花様のお傍にいて、あれほどの幸福はありませんでした。ありがとうございます」
「ミユキ! あなたはミユキなのね!」
支倉美幸だった少女が微笑んだ。
「蓮花様、あまり悲しまないで下さい。私たちは幸福で、満足しております。ただ、蓮花様のお傍にいられないことだけが悲しい。でも私たちは今も蓮花様のお傍におります。皆、今も蓮花様のことが大好きでおります。ですから、もうあまり悲しまないで下さい」
「ミユキぃ!」
蓮花が叫んで支倉美幸に駆け寄った。
前でよろける蓮花を支倉美幸が微笑んでしっかりと抱き締めた。
それは、いつも興奮すると足元が怪しくなる蓮花を支えていたミユキそのものだった。
「蓮花様、いつまでもお元気で。私たちの書いた手紙をお読みください。みんな蓮花様への感謝と思慕を綴っております。私たちの心をお受け取り下さい」
「分かった、必ず読みます! ですからミユキ!」
「はい、お傍におります。大好きな蓮花様」
「ミユキィィィーーーー!」
蓮花が大きく叫んで崩れた。
支倉美幸は途中まで蓮花を支えていたが、不意に目を覚ました。
「あ、あれ、私……」
目の前で泣き崩れている蓮花を観て戸惑っている。
記憶が無いのだろう。
「あの、私、とんでもないことを!」
「さ、採用! 超採用!」
「エェ!」
俺が叫んだ。
蓮花の傍に行き、蓮花を抱き上げた。
「支倉美幸さん、あなたは「超採用」です! おめでとうございます! これからも蓮花の傍で研究に励んで下さい!」
「は、はい! ありがとうございます!」
ジェシカが泣きながら笑っていた。
泣きじゃくっていた蓮花は俺に抱き着いた。
「おい、あと7人残ってんぞ」
「全員「超採用」でございます!」
「そうか!」
乱れた蓮花を休ませ、一応俺とジェシカで残りの7人と面接した。
問題なく全員を「超採用」とした。
「暁園」、男性3名、女性5名が採用され、彼らは蓮花の傍で世話をしながら研究所員としての勉強を始めた。
蓮花の周りは一気に騒がしくなり、いつも蓮花が楽しそうに教えたり、時には怒ったりしていた。
元気一杯な子どもたちに囲まれ、蓮花はいつも笑っているようになった。
蓮花はミユキたちの遺した手紙を読むようになった。
毎日数枚しか読めなかった。
途中でいつも大泣きし、それでも読み続けた。
「暁園」の子どもたちがいなければ、それも続けられなかっただろう。
蓮花はミユキたちの最期の思いを知った。
蓮花は立ち直り、今は毎日楽しそうに過ごしている。
時々《アヴァロン》に子どもたちを連れている蓮花が見られた。
子どもたちも蓮花のことが大好きで、常に取り囲んでいた。
親のいない子どもたちにとっても、真の意味で蓮花を母親として慕っていることがよく分かった。
あれ以来、ミユキは現われてはいない。
俺は柏木さんを呼んで相談した。
「49日を過ぎると、良い人間は成仏するものなのです」
「そうですか。ではブランたちは……」
「はい、皆素晴らしい場所へ行かれました」
「そう、それは良かった」
柏木さんが微笑んで俺を見ていた。
「ですが石神さん、彼らは本当に特別なのです」
「え?」
「大いなる存在によって、この世へのパスも持っているようです」
「!」
「蓮花さん、そして石神さんの所へよくいらしているようですよ。みなさん幸せそうな笑顔で、お二人を見ては帰られています」
「そうですか。それは……」
もしもそうならば最高だ。
でも俺たちのことは心配いらない。
お前たちの望んだとおり、この戦いには必ず勝利する。
笑って眺めていろ。
そしていつかまた会おう。
俺も蓮花もそれを楽しみにしているぞ。
柏木さんは俺たちのために祭壇を作ってブランたちのために祈ってくれた。
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