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第二章 俺が毒花令嬢とお見合いなんて!
第一話 青天の霹靂1 お屋敷街のお隣はいつまで経っても辿り着けない
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──数ヶ月前
人々が行き交い活気で賑わう王都の街並みを巡る辻馬車を降りてからどれだけ経っただろう。異質なまでに静寂を守る閑静な区画で俺は彷徨っていた。
迷いようもない一本道を進んでいるはずなのに、なぜ迷っている様に錯覚するのだろうか。
自嘲し木陰で立ち止まり強い日差しの中で俯きがちだった顔をやおら持ち上げる。太陽に照らされ南国情緒溢れた百日紅の濃桃色の花房が目に眩しい。
高位貴族達が王都での仕事や社交の際に過ごす別邸が建ち並ぶ区域に俺は一人疲労困憊で立ち尽くす。
目の前に堂々と鎮座するやたらと広い敷地を有する公爵様だか侯爵様のお屋敷は、権力を誇示する様に高い塀と豪奢な門構えを誇っており、ちらりと見える大豪邸は重厚で見るものを圧倒している。
大邸宅ばかり何軒も並んでいると目的地に向かってまっすぐ正しい方向に進んでいるはずなのに、いつまで経っても目的の屋敷には辿りつかない。
どんだけ歩かせるつもりだ。
……確かに「今日迎えを出すので必ず顔を出す様に」と呼び出しの主から先触れの手紙は前もって受け取っていた。
そりゃ、迎えに来た馭者を断ったのは自分であるのは認めている。ただ、働き詰めでやっと手に入れた休暇に、もう少しだけ惰眠を貪りたかっただけだ。
馭者に「辻馬車の停留場から三つ目の屋敷」と聞いて辻馬車から降りて歩けばいい。などと軽く考えてしまった事を悔やむ。
行き先に目を凝らすと、ようやく次の屋敷が近づいてきたのか、視線の先に外構の雰囲気が変わるのが見えた。
この立派なお屋敷群も所有者の高位貴族達にとっては所詮仮暮らしの別邸のひとつでしかない。それぞれの領地ではこの豪邸ですら比べ物にならないくらい馬鹿デカい……それこそ王宮に引けを取らない城の様な屋敷で暮らしている。
官吏として日頃この国で一番絢爛豪華な建築物である王城に勤め、豪華な建築物は見慣れているはずでも、ここで社交シーズンを過ごしている貴族達の立派な最新式の馬車が通り過ぎるのを眺めながら、次の屋敷の境界線が見えない道を足を引き摺り歩いていればあまりの場違いさに絶望を覚える。
下級貴族の四男である俺は逆立ちしてもこんな大豪邸に縁はない。
いや、使用人としてなら住めるだろうか。官吏として寝食を惜しんで仕事するよりも、どっかの屋敷で使用人として働いた方が幸せなのか……
まぁ、こんなお屋敷でそれなりの仕事を与えられる使用人になるにはコネが必要だ。やはり俺には縁がない。
考えるだけ虚しい想像にかぶりをふり、吹き出した汗をハンカチで拭うと再び目的地に向かって歩みはじめた。
日頃事務仕事ばかりで運動不足な俺は、束の間の二度寝の代償として手に入れた棒の様になった足を引き摺り、辻馬車の停留所から三つ目の屋敷にようやく辿り着く。門に掲げられた見慣れた紋章を見上げた。
あんのクソジジイ。なんの用事だ。これで大した用事じゃなかったら──
久しぶりの休暇を邪魔されて心の中で盛大に悪態をついた。
人々が行き交い活気で賑わう王都の街並みを巡る辻馬車を降りてからどれだけ経っただろう。異質なまでに静寂を守る閑静な区画で俺は彷徨っていた。
迷いようもない一本道を進んでいるはずなのに、なぜ迷っている様に錯覚するのだろうか。
自嘲し木陰で立ち止まり強い日差しの中で俯きがちだった顔をやおら持ち上げる。太陽に照らされ南国情緒溢れた百日紅の濃桃色の花房が目に眩しい。
高位貴族達が王都での仕事や社交の際に過ごす別邸が建ち並ぶ区域に俺は一人疲労困憊で立ち尽くす。
目の前に堂々と鎮座するやたらと広い敷地を有する公爵様だか侯爵様のお屋敷は、権力を誇示する様に高い塀と豪奢な門構えを誇っており、ちらりと見える大豪邸は重厚で見るものを圧倒している。
大邸宅ばかり何軒も並んでいると目的地に向かってまっすぐ正しい方向に進んでいるはずなのに、いつまで経っても目的の屋敷には辿りつかない。
どんだけ歩かせるつもりだ。
……確かに「今日迎えを出すので必ず顔を出す様に」と呼び出しの主から先触れの手紙は前もって受け取っていた。
そりゃ、迎えに来た馭者を断ったのは自分であるのは認めている。ただ、働き詰めでやっと手に入れた休暇に、もう少しだけ惰眠を貪りたかっただけだ。
馭者に「辻馬車の停留場から三つ目の屋敷」と聞いて辻馬車から降りて歩けばいい。などと軽く考えてしまった事を悔やむ。
行き先に目を凝らすと、ようやく次の屋敷が近づいてきたのか、視線の先に外構の雰囲気が変わるのが見えた。
この立派なお屋敷群も所有者の高位貴族達にとっては所詮仮暮らしの別邸のひとつでしかない。それぞれの領地ではこの豪邸ですら比べ物にならないくらい馬鹿デカい……それこそ王宮に引けを取らない城の様な屋敷で暮らしている。
官吏として日頃この国で一番絢爛豪華な建築物である王城に勤め、豪華な建築物は見慣れているはずでも、ここで社交シーズンを過ごしている貴族達の立派な最新式の馬車が通り過ぎるのを眺めながら、次の屋敷の境界線が見えない道を足を引き摺り歩いていればあまりの場違いさに絶望を覚える。
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いや、使用人としてなら住めるだろうか。官吏として寝食を惜しんで仕事するよりも、どっかの屋敷で使用人として働いた方が幸せなのか……
まぁ、こんなお屋敷でそれなりの仕事を与えられる使用人になるにはコネが必要だ。やはり俺には縁がない。
考えるだけ虚しい想像にかぶりをふり、吹き出した汗をハンカチで拭うと再び目的地に向かって歩みはじめた。
日頃事務仕事ばかりで運動不足な俺は、束の間の二度寝の代償として手に入れた棒の様になった足を引き摺り、辻馬車の停留所から三つ目の屋敷にようやく辿り着く。門に掲げられた見慣れた紋章を見上げた。
あんのクソジジイ。なんの用事だ。これで大した用事じゃなかったら──
久しぶりの休暇を邪魔されて心の中で盛大に悪態をついた。
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