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第七章 俺の可愛い婚約者は渡さない!
第八十六話 生まれて初めての反撃2 小さな頃からの刷り込みは大人になってもかわらない
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「ステファン様!」
扉を守っていたミアが俺を見つけて叫ぶ。モーガンがゆっくりと振り返った。
「久しぶりだな。ステファン」
「……あぁ、久しぶりだな。以前夜会であった以来か」
「そうだな」
沈黙が訪れる。
俺を視線に捉えたモーガンは、さっきまで騒いでいたとは思えないくらい冷静になっていた。
「なぁステファン。最近お前は何をしていたんだ」
「なにって……王宮で仕事をしてたさ。モーガンだってよく知ってるだろう?」
「俺が聞きたいのはそんなことじゃない。お前、マグナレイ侯爵家に出入りしてんだろ?」
そう言ってモーガンは俺をにらむ。
ダメだ……
にらまれると幼少期からの嫌な記憶が頭の中を駆け巡り、身がすくむ。
幼い頃からモーガンに目の敵にされていた俺は、ずっと虐げられていて、大切な物を奪い壊された事は数えきれない。
なのに周りの大人たちは咎めることもせずに、マグナレイ侯爵に一番血縁が近いというだけでしかない傲慢なモーガンに媚びへつらうばかりだった。
誰も俺を助けてくれない。
小さい頃からの刷り込みは、成長し大人になってからも変わらない。
モーガンを見がければどこかに隠れたりして極力話さなくて済むように、もし見つかって話しかけられたとしてもさっさと会話を終わらせるように、とにかく関わらないようにして生きてきた。
「侯爵家に出入りして何してたのかって聞いてるだろ。何度も言わないと理解できないのか?」
返事をしない俺にモーガンは鼻で笑う。
笑われても俺は一言も言い返せない。
「……閣下の使いっ走りだよ」
モーガンじゃなくて、俺がマグナレイ侯爵家の後継者に選ばれたんだ。そう自信を持って言えたらどれだけよかっただろう。
マグナレイ侯爵の真意がわからない俺はごまかすしかなった。
「なんだ。立場は弁えているのか」
モーガンが近寄ってくる。
「そうだよな? 俺を差し置いてお前がマグナレイ侯爵家を継ぐことなんてありえない」
胸ぐらを掴まれて顔が近づく。
「王太子付きの秘書官に選ばれたからって調子に乗っているようだが、残念ながらこの国の王太子は無能なんだよ。俺は昔から王太子に書類を届けていたから誰よりも知っている。役立たずの王太子に選ばれたなんて泥舟に乗ってるようなものなのに、それに気がつかないような間抜けにマグナレイ侯爵家の当主が務まるわけがない」
王太子殿下は無能などではない。そもそも仕事が滞留した原因はお前じゃないか。
そう言い返したいのに、喉がへばりついたように声が出せない。
「ステファンのくせに、何にらんでんだよ」
不機嫌そうにそう言ったモーガンは俺を突き放すと、両手を握り合わせて指を鳴らす。
床にへたり込んだ俺はモーガンを見上げる。
「しかしマグナレイ侯爵も耄碌したな。老いらくの恋のためにデスティモナ伯爵家の令嬢と結婚した相手に爵位を譲るなんて」
モーガンの言葉を聞いたデスティモナ伯爵邸の使用人達の視線が、一斉に俺へ向いた。
扉を守っていたミアが俺を見つけて叫ぶ。モーガンがゆっくりと振り返った。
「久しぶりだな。ステファン」
「……あぁ、久しぶりだな。以前夜会であった以来か」
「そうだな」
沈黙が訪れる。
俺を視線に捉えたモーガンは、さっきまで騒いでいたとは思えないくらい冷静になっていた。
「なぁステファン。最近お前は何をしていたんだ」
「なにって……王宮で仕事をしてたさ。モーガンだってよく知ってるだろう?」
「俺が聞きたいのはそんなことじゃない。お前、マグナレイ侯爵家に出入りしてんだろ?」
そう言ってモーガンは俺をにらむ。
ダメだ……
にらまれると幼少期からの嫌な記憶が頭の中を駆け巡り、身がすくむ。
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なのに周りの大人たちは咎めることもせずに、マグナレイ侯爵に一番血縁が近いというだけでしかない傲慢なモーガンに媚びへつらうばかりだった。
誰も俺を助けてくれない。
小さい頃からの刷り込みは、成長し大人になってからも変わらない。
モーガンを見がければどこかに隠れたりして極力話さなくて済むように、もし見つかって話しかけられたとしてもさっさと会話を終わらせるように、とにかく関わらないようにして生きてきた。
「侯爵家に出入りして何してたのかって聞いてるだろ。何度も言わないと理解できないのか?」
返事をしない俺にモーガンは鼻で笑う。
笑われても俺は一言も言い返せない。
「……閣下の使いっ走りだよ」
モーガンじゃなくて、俺がマグナレイ侯爵家の後継者に選ばれたんだ。そう自信を持って言えたらどれだけよかっただろう。
マグナレイ侯爵の真意がわからない俺はごまかすしかなった。
「なんだ。立場は弁えているのか」
モーガンが近寄ってくる。
「そうだよな? 俺を差し置いてお前がマグナレイ侯爵家を継ぐことなんてありえない」
胸ぐらを掴まれて顔が近づく。
「王太子付きの秘書官に選ばれたからって調子に乗っているようだが、残念ながらこの国の王太子は無能なんだよ。俺は昔から王太子に書類を届けていたから誰よりも知っている。役立たずの王太子に選ばれたなんて泥舟に乗ってるようなものなのに、それに気がつかないような間抜けにマグナレイ侯爵家の当主が務まるわけがない」
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そう言い返したいのに、喉がへばりついたように声が出せない。
「ステファンのくせに、何にらんでんだよ」
不機嫌そうにそう言ったモーガンは俺を突き放すと、両手を握り合わせて指を鳴らす。
床にへたり込んだ俺はモーガンを見上げる。
「しかしマグナレイ侯爵も耄碌したな。老いらくの恋のためにデスティモナ伯爵家の令嬢と結婚した相手に爵位を譲るなんて」
モーガンの言葉を聞いたデスティモナ伯爵邸の使用人達の視線が、一斉に俺へ向いた。
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