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最終章
最終話 大団円4 俺の嫁が可愛いすぎてズキュンしちゃう件
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翌朝、俺は一人で身支度を終えた。
ネリーネは使用人たちによって朝の身支度のために、支度部屋に連れ出されている。
ネリーネの温もりが残る寝台に腰かけ、今まで生きてきた中で一番甘美だった時間を反芻する。
自然と口元が緩み小鼻が膨らむ。
一人でよかった。こんな間抜け顔はネリーネに見せられない。
ドンドンドン!
俺の幸せな時間をぶち壊すように乱暴に扉を叩く音がひびく。
扉を開くと同時にモーガンの名乗る声が聞こえるた。
「ほらよ。旦那様に新聞だ」
俺に仕えるとは言ってもモーガンは相変わらず偉そうだ。
どさどさと遠慮なくネリーネが寝ていた場所に新聞をばら撒く。
ため息をつき新聞をかき集める。普段届けてもらっている新聞だけでなく、堅苦しい社説が売りの老舗の新聞や噂話ばかり書いている下世話な新聞も、王都で手に入る新聞は全て同じ話題が一面を攫っていた。
「俺が旦那様のためにわざわざ買い集めにいってやったんだ。感謝しろよ」
「モーガン! ありがとう!」
俺は新聞を抱えて部屋を飛び出した。
夫婦の寝室に隣接するネリーネの支度部屋に向かう。すでに身支度を終えて部屋を出た後だった。
ネリーネを探す。
マグナレイ侯爵家の別邸は広い。
出会う使用人にネリーネを見かけたか尋ね、言われた部屋に向かっても、ネリーネは部屋を後にしていてなかなか見つからない。食堂も茶室も応接室も全部入れ違いだ。
「ミア!」
ネリーネの侍女を続けてくれるミアをようやく見つけた。
ミアであればネリーネがどこにいるか知っているだろう。
「ネリーネは?」
「ネリーネおじょ……奥様はテラスで庭を眺めてらっしゃ──」
「わかった!」
俺はミアの話を聞き終わる前にテラスへ走る。
目的地にたどり着くと落ち着いたワンピースに身を包んだ少女が長椅子に座っていた。
「ネリーネ!」
突然呼ばれて驚いたのかネリーネの身体が跳ねる。
「新聞を見てくれ! ほら、ネリーネの美しさに驚き褒めたたえる記事がこんなに! 王都に出回る新聞各社がこぞって報じている!」
隣に座り新聞を広げる。ネリーネは新聞をのぞこうともせずに、長椅子の端にずれて顔を背ける。
「なんで、離れるんだ」
「……だって! ステファン様の顔をみたら昨夜のことを思い出してしまいますもの!」
ネリーネは真っ赤になった顔を手に取った新聞で隠してチラッと俺を見上げる。
つられて俺の顔も赤くなる。
ぐうっ。胸が苦しい。
俺の嫁が可愛すぎる。
「……クソッ。ネリーネが可愛いのが世間に知れ渡ってしまった」
「何を言ってますの? 新聞に書かれているのはお世辞よ? わたくしは何一つ変わってませんわ。毒花のままよ」
「元々ネリネはリコリスに似ていてるだけで毒花なんかじゃないように、ネリーネも元から毒花なんかじゃない。素直な可愛いらしい少女だ。それをみんな気がついただけだ」
「ステファン様は家族だからそんなことをおっしゃるんだわ」
そう呆れたように言って、再びネリーネは庭を眺める。
赤く色づいた七竈の木のそばには薄桃色のネリネの花が群生していた。
庭を眺めるネリーネの横顔は穏やかな微笑みを浮かべていた。
「この庭にはずっとネリネの花が咲き続ける。来年も、再来年も……死が二人を別つまで一緒にこうしてネリネの花を見よう」
「無理だわ!」
俺の決め台詞を聞いてネリーネはフンス! と鼻を鳴らす。
「だって、ステファン様は侯爵様の跡を継いだのだからいつかは領地に戻らないといけないもの。いつまでも王都の屋敷にいたらいけないのよ? 貴方はまだ王宮の官吏のつもりでしょうけど、周りはそうは思っていないわ。跡を継いだ自覚が足りないんじゃなくて?」
さっきまであんなに可愛かったのに、顔を皺くちゃにして鼻息荒く持論を述べる。
そんなネリーネのことは、やっぱり俺だけが可愛いと思っていればいい。
そっと唇を重ねる。
真っ赤になったネリーネを抱き寄せ、二人で庭を見渡す。
群生したネリネの花たちは朝露に濡れてキラキラと輝いていた。
~完~
ネリーネは使用人たちによって朝の身支度のために、支度部屋に連れ出されている。
ネリーネの温もりが残る寝台に腰かけ、今まで生きてきた中で一番甘美だった時間を反芻する。
自然と口元が緩み小鼻が膨らむ。
一人でよかった。こんな間抜け顔はネリーネに見せられない。
ドンドンドン!
俺の幸せな時間をぶち壊すように乱暴に扉を叩く音がひびく。
扉を開くと同時にモーガンの名乗る声が聞こえるた。
「ほらよ。旦那様に新聞だ」
俺に仕えるとは言ってもモーガンは相変わらず偉そうだ。
どさどさと遠慮なくネリーネが寝ていた場所に新聞をばら撒く。
ため息をつき新聞をかき集める。普段届けてもらっている新聞だけでなく、堅苦しい社説が売りの老舗の新聞や噂話ばかり書いている下世話な新聞も、王都で手に入る新聞は全て同じ話題が一面を攫っていた。
「俺が旦那様のためにわざわざ買い集めにいってやったんだ。感謝しろよ」
「モーガン! ありがとう!」
俺は新聞を抱えて部屋を飛び出した。
夫婦の寝室に隣接するネリーネの支度部屋に向かう。すでに身支度を終えて部屋を出た後だった。
ネリーネを探す。
マグナレイ侯爵家の別邸は広い。
出会う使用人にネリーネを見かけたか尋ね、言われた部屋に向かっても、ネリーネは部屋を後にしていてなかなか見つからない。食堂も茶室も応接室も全部入れ違いだ。
「ミア!」
ネリーネの侍女を続けてくれるミアをようやく見つけた。
ミアであればネリーネがどこにいるか知っているだろう。
「ネリーネは?」
「ネリーネおじょ……奥様はテラスで庭を眺めてらっしゃ──」
「わかった!」
俺はミアの話を聞き終わる前にテラスへ走る。
目的地にたどり着くと落ち着いたワンピースに身を包んだ少女が長椅子に座っていた。
「ネリーネ!」
突然呼ばれて驚いたのかネリーネの身体が跳ねる。
「新聞を見てくれ! ほら、ネリーネの美しさに驚き褒めたたえる記事がこんなに! 王都に出回る新聞各社がこぞって報じている!」
隣に座り新聞を広げる。ネリーネは新聞をのぞこうともせずに、長椅子の端にずれて顔を背ける。
「なんで、離れるんだ」
「……だって! ステファン様の顔をみたら昨夜のことを思い出してしまいますもの!」
ネリーネは真っ赤になった顔を手に取った新聞で隠してチラッと俺を見上げる。
つられて俺の顔も赤くなる。
ぐうっ。胸が苦しい。
俺の嫁が可愛すぎる。
「……クソッ。ネリーネが可愛いのが世間に知れ渡ってしまった」
「何を言ってますの? 新聞に書かれているのはお世辞よ? わたくしは何一つ変わってませんわ。毒花のままよ」
「元々ネリネはリコリスに似ていてるだけで毒花なんかじゃないように、ネリーネも元から毒花なんかじゃない。素直な可愛いらしい少女だ。それをみんな気がついただけだ」
「ステファン様は家族だからそんなことをおっしゃるんだわ」
そう呆れたように言って、再びネリーネは庭を眺める。
赤く色づいた七竈の木のそばには薄桃色のネリネの花が群生していた。
庭を眺めるネリーネの横顔は穏やかな微笑みを浮かべていた。
「この庭にはずっとネリネの花が咲き続ける。来年も、再来年も……死が二人を別つまで一緒にこうしてネリネの花を見よう」
「無理だわ!」
俺の決め台詞を聞いてネリーネはフンス! と鼻を鳴らす。
「だって、ステファン様は侯爵様の跡を継いだのだからいつかは領地に戻らないといけないもの。いつまでも王都の屋敷にいたらいけないのよ? 貴方はまだ王宮の官吏のつもりでしょうけど、周りはそうは思っていないわ。跡を継いだ自覚が足りないんじゃなくて?」
さっきまであんなに可愛かったのに、顔を皺くちゃにして鼻息荒く持論を述べる。
そんなネリーネのことは、やっぱり俺だけが可愛いと思っていればいい。
そっと唇を重ねる。
真っ赤になったネリーネを抱き寄せ、二人で庭を見渡す。
群生したネリネの花たちは朝露に濡れてキラキラと輝いていた。
~完~
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