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Another side
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──残念なイケメン
お前を表すのにこんなに的確な言葉はない。
あの後俺の事を抱き続けて何度も欲望を吐き出して力尽き、そのまま俺のことを抱きしめて眠っている。
普通なら受け入れた俺が疲れて寝てるのをお前が眺めるシチュエーションだ。
気持ちよさそうに寝ているお前の顔を眺めている俺は、自分の口元がニヤけているのを隠し切れない。
こいつはせっかく顔が整ってるのに無造作を通り越した癖だらけの髪の毛にダサい黒縁メガネをかけていて、背も高くてガタイもいいのに運動音痴で、勉強もできるのに頭の中は二次元嫁の事でいっぱいだ。
そして頭はいいのに馬鹿で、単純で、おめでたくて、騙されやすくて、流されやすい、愛すべき馬鹿なお前は、俺がゲイでオマエのことを狙ってるなんて微塵も思っていない。
たいして国語の成績も良くない俺が文芸部にいるのだって、普段無口なお前が嬉しそうに笑いながら、好きな事について早口で長文を饒舌に語っているのを眺めるためだ。
俺はお前を家に誘うために、好きそうなアニメの録画をしたり漫画やラノベを買っては放課後や休日に鑑賞会を開いていた。
話の合う友人を演じているのは後ろめたいし、必死すぎてストーカーじみていると思うけれど……それでも近くにいたい誘惑に勝てなかった。
そんな誘惑に勝てない俺は、あの時簡単に悪魔に魂を売った。
いつものように寝落ち前提で新作アニメをぶっ続けで観ていた時に、急にうなされた声が聞こえた。
お前が悪い夢でも見ているのかと思って顔を覗くと小さく呟く声が聞こえた。
「ソフィア……すまん……」
普段のお前なら使わない「すまん」と言う言葉遣いに引っかかった俺はつい出来心で「ソフィア」のフリをして話しかけてしまった。
「どうして謝るの?」
「すまん」
「私なら謝らなくても大丈夫よ」
「許してくれるのか?」
「どうして私が許さないと思うの?」
「オマエの命を奪ったのは俺だ……」
こいつの話始めた内容は荒唐無稽なようで、でもベタな異世界転生物の物語のような……とにかく嘘くさかった。
寝言だしな……
きっとソフィアも二次元嫁だろ。
そう思っていたけれど、やっぱり気になった俺はお前が部室で呑気に昼寝してる時や泊まりに来て寝ている時に、寝ぼけているのをいいことにソフィアの話を聞き出した。
物語の内容はかなり明確になってきたのに、なんの作品に出てるのか調べようとしてもしっくりくる作品は見当たらない。
本当にこいつの前世の記憶なんだろうか……
昨日階段から落ちた時にフッと思った。
俺がソフィアになりきったら……
馬鹿で、単純で、おめでたくて、騙されやすくて、流されやすい、愛すべき馬鹿なお前だけど……
こんなにうまくいくなんて思わなかった。
お前はきっとソフィアを何度も求めるんだろうな。
俺の身体を使って俺ではなくソフィアを抱く。
それでも構わない。
──それが俺が悪魔に魂を売ってお前を手に入れた代償だ。
俺は幸せそうに眠るお前の唇に自分の唇を重ねて、そう胸の中で呟いた。
ー完ー
お前を表すのにこんなに的確な言葉はない。
あの後俺の事を抱き続けて何度も欲望を吐き出して力尽き、そのまま俺のことを抱きしめて眠っている。
普通なら受け入れた俺が疲れて寝てるのをお前が眺めるシチュエーションだ。
気持ちよさそうに寝ているお前の顔を眺めている俺は、自分の口元がニヤけているのを隠し切れない。
こいつはせっかく顔が整ってるのに無造作を通り越した癖だらけの髪の毛にダサい黒縁メガネをかけていて、背も高くてガタイもいいのに運動音痴で、勉強もできるのに頭の中は二次元嫁の事でいっぱいだ。
そして頭はいいのに馬鹿で、単純で、おめでたくて、騙されやすくて、流されやすい、愛すべき馬鹿なお前は、俺がゲイでオマエのことを狙ってるなんて微塵も思っていない。
たいして国語の成績も良くない俺が文芸部にいるのだって、普段無口なお前が嬉しそうに笑いながら、好きな事について早口で長文を饒舌に語っているのを眺めるためだ。
俺はお前を家に誘うために、好きそうなアニメの録画をしたり漫画やラノベを買っては放課後や休日に鑑賞会を開いていた。
話の合う友人を演じているのは後ろめたいし、必死すぎてストーカーじみていると思うけれど……それでも近くにいたい誘惑に勝てなかった。
そんな誘惑に勝てない俺は、あの時簡単に悪魔に魂を売った。
いつものように寝落ち前提で新作アニメをぶっ続けで観ていた時に、急にうなされた声が聞こえた。
お前が悪い夢でも見ているのかと思って顔を覗くと小さく呟く声が聞こえた。
「ソフィア……すまん……」
普段のお前なら使わない「すまん」と言う言葉遣いに引っかかった俺はつい出来心で「ソフィア」のフリをして話しかけてしまった。
「どうして謝るの?」
「すまん」
「私なら謝らなくても大丈夫よ」
「許してくれるのか?」
「どうして私が許さないと思うの?」
「オマエの命を奪ったのは俺だ……」
こいつの話始めた内容は荒唐無稽なようで、でもベタな異世界転生物の物語のような……とにかく嘘くさかった。
寝言だしな……
きっとソフィアも二次元嫁だろ。
そう思っていたけれど、やっぱり気になった俺はお前が部室で呑気に昼寝してる時や泊まりに来て寝ている時に、寝ぼけているのをいいことにソフィアの話を聞き出した。
物語の内容はかなり明確になってきたのに、なんの作品に出てるのか調べようとしてもしっくりくる作品は見当たらない。
本当にこいつの前世の記憶なんだろうか……
昨日階段から落ちた時にフッと思った。
俺がソフィアになりきったら……
馬鹿で、単純で、おめでたくて、騙されやすくて、流されやすい、愛すべき馬鹿なお前だけど……
こんなにうまくいくなんて思わなかった。
お前はきっとソフィアを何度も求めるんだろうな。
俺の身体を使って俺ではなくソフィアを抱く。
それでも構わない。
──それが俺が悪魔に魂を売ってお前を手に入れた代償だ。
俺は幸せそうに眠るお前の唇に自分の唇を重ねて、そう胸の中で呟いた。
ー完ー
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