6歳で死んでしまう少女は 精霊さんと共に生き延びる。

マキマキ

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月の書斎2

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「開け。ゴマ。」

と唱えると、
私は青白い光に包まれた。

扉は青く怪しく光る。

カタカタと歯車が動き出す。

扉が開かれて

12星座が現れて、

揃うと、流れ星のように流れ去る。

空間の中に星が散りばめられている。

青白く光る星はプラネタリウムのように美しかった。

いつの間にか、

お部屋の中に入っていた。



そこは前世でいうチェコにある、プラハにある世界で美しいとされる図書館に似ていた。

天井の絵が動いている。

えっ?なんなのここ?


私はビックリしていると、
私の近くに青白く光る蝶々が
光の鱗粉を撒きながら

さもこっちに来いと言わんばかりにヒラヒラと舞う。

すると、一面ガラス張りの廊下に出る。
床は透明だが、赤い絨毯がひかれている。
所々にランプが置いてある。
薄暗いが、ランプの輝きでちょうど良い暗さだ。


廊下の外は洞窟のようになっていて光苔や蛍光に緑や青く光るキノコが生えているのが見える。廊下が薄暗いから輝いて見える。

マリンブルーに煌めく地底湖も見える。
どうも地底湖の上は外の日の光が当たっているようで、青く輝いている。


不思議な世界。

ちょっとビビりながらガラスの廊下を抜けると、


そこは、アンティーク調の書斎があった。
昔から使われていたような歴史感じる書斎だ。

なんか落ち着く。


机の上にはオルゴールのような宝石の散りばめられた箱が置いてあった。

中には、青色の宝石が入っていた。

手に触れると、目の前には眼鏡をかけ何処となくお父様に似た老人が立っていた。


老人は、
「此れは、魔法で私の記憶を元に私を実体化した物だ。簡単に言うなら高性能なAIロボットだ。

私が死んだら、引き継ぎの為にこの結晶がここに入る事になっている。代々受け継がれてきた。

私の名前は、ロダンゴールドマン。お主がここに来れたと言う事は、聖男か聖女だろう。そして地球の前世の記憶がある者だろう。」


「此処は、代々ゴールドマン公爵家の聖女や聖男が引き継いでいる、ここには前世の地球の情報の図書館の書籍を見る事ができる。

さらに、同じ前世の地球の記憶を持った人間の名簿がある。

名前
前世の住んでいた国
前世職業
現在の役職、仕事
現在の住所
生死の有無と死因

が書かれている。

たとえば私なら

ロダン ゴールドマン
イタリア
医者
公爵、宰相
トワイライト王国 ゴールドマン公爵領1番地
死亡 心臓発作

と書かれている。


聖女、聖男、賢者について知るには、
ゴールドマン公爵家の成り立ちを知るのが一番早い。


古代トワイライト王国は度重なる戦争と自然災害で疲弊してしまい、王様は神に祈る。神は光の聖霊王リーゼを使わした。

リーゼは、この世界ではない世界と記憶を繋げた。そして、知識を与える。去り際に、人間に向かって、

どうやれば問題を解決出来るか柔軟に考えろ。

そもそも、神はその力を元々人間の手の中にお与えになっている。

お前たちは、そもそも自由だ。
何にも囚われず、何も証明する事はない。
ただ考え生きるのだ。

そう言ってさっていったそうだ。

そして、将来王のそばで支える者。トワイライト王のまだ皇后のお腹の中にいた第二王子に異世界の記憶と知識、出会いを与えた。そして第二王子に前世の力をこの世界にあった形で変換した。そして一代おきに一人生まれてくるように祝福を与えた。

その第二王子は、後々ゴールドマン公爵となる。

それが聖女と聖男だ。そして、地球の図書館の門番が賢者の称号だ。

まあ、リーゼという光の精霊王は困難に立ち向かうには、世界を広げて物事に縛りをつけずよく考えろと言いたかったのだろうな。


私たちの先祖の第二王子の突拍子もない発想は初めは信用されず、王宮では鼻つまみ者となった。

人々から嫌われ、挙句の果てに僻地に飛ばされた。左遷という名の第二王子は何もない荒地に捨てられたのだ。


厳しいが、自由を手に入れた第二王子は生きるために、自分や協力者のアイデアを次々と行っていった。そして、現地の人々と条件が最高に悪く、荒れ果てたこの地を繁栄させた。

その内、多くの人から崇められるようになる。

王は、第二皇子を王宮に呼び寄せて謝罪と公爵の地位を与え、宰相として助けを求めた。

そして、第二皇子の領地はゴールドマン公爵領となった。

此れがこの国の歴史とゴールドマン公爵家の成り立ちだ。

つまり、ゴールドマン公爵領は元々条件が悪すぎる領地だ。

しかし、歴代の聖女、聖男がいろんな助けを得て領地を支えてきたから耐久性はかなりついてきている。

でも何か問題があると、直ぐに荒地になりかけたり、災害が大きくてな。

今後、苦労するかもしれん。」


「これが引き継ぎ内容だ。

何か聞きたい事はあるか?」


私はモジモジとしながら質問をする。
涙がポロポロ落ちてくる。


「私は、嫌われてるし、
他の人に助けてもらえる人間じゃないかもしれない。

ロダンお祖父様のように上手くここの情報を使いこなせないかもしれない。

領地を潰すかもしれない。

親にさえも嫌われているかも。

血の繋がった兄弟からは確実に疎まれてる。

人が怖い。何かするのが怖い。

それに結果が出せず。
皆んなに嫌われるかも。

嫌われたら、殺されるかもしれない。」

私は言ってみる。


すると、
頭を撫でられる。

「上手くできなくていい。
何もできなくてもいいのだ。
結果なんて誰にもわからん。
上手くいけば儲けもんじゃ。

それにな、私はお前にはなれんように、お前は私になれるわけが無い。

生きた世代が違うし、出会いや、小さな出来事が積み重なって私ができた。

だから、お前は私になれるわけがない。
なる必要もない。

だからこそ、お前はお前なんだ。
唯一無二の人間だからこそ尊いのだ。

自分のできる事をやって、領地を繁栄させようと行動して、仮に領地が潰れてもお前のせいでない。

なぜ、一人のせいでこの大きな土地が潰れるのだ。

元々、条件の悪すぎる土地だ。

そんな土地を一人で何とかさせて、一人のせいにするような無責任な統治制度のせいだろ。

その制度に疑問も抱かない人間のせいだろ。

潰れるまでに、沢山の領地の人間で出来たことが沢山あったはずだ。


お前一人で背負わなくていい。
自分のできる事をすればいい。

一生懸命生きるだけでいい。
そして、沢山の人と共に生きる道を模索するだけでいい。
無理はしなくていい。


それにのー。
両親とは私の息子の
グレイか?
アイツは特定の女性は苦手としているが、お前のような幼子を嫌うとは思えんけどな。

好きか嫌いかは本人しかわからんからの。
実際に嫌われてるかもしれんしのー。

でも、だから何だ。

それはお前のせいではない。

ある一定のものを排除する人間は
その本人も排除され、なにかを失う危機感にいつもビビりながら生きている。

時に危機感を感じて、排除する為に殺す事もあるかもな。

可哀想な人間だと思って、関わるな。
早々に察知して、物理的に離れる方がいいだろう。

此れが生き残る術だ。

それが家族であろうがな。


ようは、勝手に作った価値観に縛られて生きているのだ。

私たちは何も証明する必要はないのだ。
頭の良さ、美しさ、逞しさ、貧乏か金持ちか、証明する必要はないのだ。

そんな人生は疲れるだけだ。

重要な事は、証明する事でなく、生き抜く事だ。

出来れば楽しい方がいいだろ。それに、沢山の人が安全に生きられる方がいいだろ。それに苦しくない方がいい。

だから、ある一定のルールさえ守ればそれでいい。

自分がやりたいこと、想像することを目標に、目の前の問題に懸命に取り組むことだ。

お前自身が、お前の最高の親友になれ。

わしは、このイケメンの容姿だろ、

息を吸うだけで多くの男性に恨まれていたぞ。

でもな。それは俺のせいではない。

勝手に羨ましがっている男が悪い。」


・・・。なんかいい話だったけど、最後にぶち壊されたように思うのは気のせいだろうか。

そっか。

今の私は他人の評価軸で生きようとしていたのだ。

私は私であっていいのだ。

前世の家族や友人は、私が何かできるから大切にしてくれたわけではない。

そう思うと、私自身が条件付きで自分の事を見ていたことに気がつく。

そう思うと、誰が自分を、大切にしてくれているか見えてきた。

恐怖や不安より、ありがとうという気持ちが溢れてくる。

安堵感と、感謝の気持ちで、また涙がポロポロと落ちてくる。

「我が孫は何て名前かな?」

「私の名前はマリーベル。」



「マリーベルに良い事を教えてあげよう。
我妻。お前のお婆さんメルリルの料理だ。
ほっぺたが落ちるぞ!笑顔になる。

実はな、お前のお婆さんは中国人の記憶持ちだ。料理が好きでな。日本に実習生として滞在した事もあって、唯一の海外での滞在だったらしく、日本の事も楽しく語ってくれた。そしてよく知っていた。婆さんの料理はどの料理も美味かった。筍を沢山使うからコパンダが大好きだった。

但し日本で教わったと言われる、カルボナーラ以外はな。
あのカルボナーラだけは許せん。
何故生クリームを入れる!
カルボナーラといえばパスタはリガトーニだろ!

イタリア人としては、あんなのは新しいクリームパスタだ。

あんなものがカルボナーラの称号を得るとは、許せん。

おっといかん。話が逸れてしまった。

そうそう、婆さんの絶品レシピだったな。

お前の婆さんのハトシという海老トーストがとっても絶品でな。

マリーベルに食べて笑顔になってほしいと思ってな。


海老のすり身に塩胡椒をまぜる。
紹興酒を、すこし足す。
お好みで
ニンニクやネギや玉ねぎ、
醤油や豆板醤を入れても美味かった。

耳を切ったパンに
これをを塗りつけて
サンドして
油で揚げるだけなんだが、

婆さんの隠し味はなさらに、
豚の脂身を海老に混ぜる事だ。

ちなみに、こっちの世界では
海老は食べないようだ。

だが、海老の魔物はこの領地で取れる。
普段海の岩穴に隠れている。
この魔物の名前はシータイガーだ。
子供を海に引き摺り込む魔物とされている。
婆さんはよく、このシータイガーを捕まえて料理を作ってくれた。」

カルボナーラね。確かにイタリアのレシピと日本のレシピは違うのよね。

私のお祖母様は、
中国人の記憶があったのね。
会ってみたかったな。
色んな美味しい料理知ってそうだし。
薬膳料理とか知りたかった。


海老?!居るんだ。
食べたい!!


シータイガーって!
車海老の化け物?

すると、ロダンお祖父様は、
私の頭を撫でて言う。

「他には何かあるか?

無ければそろそろお別れだ。
マリーベル。
お前はお前のままでいい。

他人になろうとするな。

其れを忘れるな。」



すると、ロダンお祖父様は

沢山の青白い光の蝶に包まれ
消えてしまった。


私の目から、涙がポロポロ落ちる。
もっと、一緒にいたかった。

私のままでいい。
何も証明する必要はない。
その言葉が私の体と心を軽くした。

人から嫌われるのが怖いと思っていた。
そんなの関係ないと強がっても上手くいかなかった。

それは、私自身が何か証明しなければいけないと思い込んでいたからだ。


今やりたい事。
おばあちゃんのレシピを再現しよう。

隠し味は、豚の脂身ね。

ロダンお祖父様ありがとう!

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