6歳で死んでしまう少女は 精霊さんと共に生き延びる。

マキマキ

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母の味ーグレイー

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別邸からフランがやってきて

俺に近況を報告をする。

今朝マリーベルは外に出られるようになったそうだ。

俺は少し安堵した。

フランが言うには、マリーベルは俺の親父に出会い、話をして、元気になったと言ったそうだ。
そして、マリーベルは「私は私なの。それでいいの。」と嬉しそうに言ったそうだ。

俺の親父はもう亡くなっている。
会えるはずがないのだが。
書籍でも見たのか?

フランと首を傾げながら考えるがよくわからない。

確かに、親父ならマリーベルを勇気づけられたかもしれない。





誕生日会以降、マリーベルは部屋に引きこもった。

部屋に人が訪れるようになると、今度は別邸の洋館の地下の書庫から出てこなくなった。


毎日のように、俺とリリーは別邸に足を運んだ。エリーゼやソード、クロードも時間があれば行っていたようだ。でも、会うことは出来なかった。

誕生日会の前までは、マリーベルは元気で明るく、こんな事になるなんて想像できなかった。

母親を失い、人々から悪意を浴びせられて死にかけた。私は勝手に強い子だと思っていた。

確かに、マリーベルは強かったんだと思う。

私やシルビアの育て方で、マリーベルは自分自身を何も無くても価値のある人間だと思えただろうか。何も無くても、生きていていいと思えただろうか。居場所があると思えただろうか。


勉強ができる。ダンスが踊れる。魔法が使える。他の子達より優れている。そう俺にアピールしてきた5歳の頃のマリーベルを思い出す。

そして、エリーゼを可愛がる俺をじっと見るあの子の寂しそうな顔を思い出す。


勉強なんて、ダンスなんて、魔法なんてどうだっていい。お前が居てくれさえいればそれでいいんだ。お前の居場所はここだ。お前がいる場所全てがお前の居場所なんだ。伝えたい。

伝えたいのに、会えなくなってしまった。

あの子を抱きしめたい。

きっかけは、あの誕生日会だった。
でも、いつもその危険をマリーベルは抱えていたのだろう。


王宮での仕事は、気を遣ってくれた王太子アルベルト殿下が引き受けてくれている。


誕生日会の後、コッテリ搾られたであろう第二王子と国王アーロンと皇后のアナベル様が謝罪してきた。

第二王子ジークフリード殿下やソードのせいではない。

私が、あの子自身が自信を持って自分自身を無条件で愛せるよう態度で示さなかった。悪意ある言葉を跳ね返せるような自信を持たせてあげられなかった。

だから、第二王子殿下やソードの言葉で心が折れてしまった。

そもそも、人の存在を否定するこの2人も問題がある。それは、やはり私や大人の態度を見て学んだのだろう。


マリーベルに会えたら、ちゃんと話をしよう。

何もできなくてもいい。
誰のようにならなくても、私はお前を愛している。そう伝えたい。


フランは、私の前にバスケットを置く。

「お嬢様より、旦那様にお渡しくださいと言われました。」


中には、古い封筒と新しい封筒。昔俺の母がよく作ってくれたハトシという料理が入っていた。

母のハトシは、材料がわからず、同じ味を誰も出せなかった。

一番近い材料は蟹だと思ったが、なにか違った。もっと、プリプリした歯ごたえがあり、風味は蟹より旨味を感じる塩味が強かった。


そして、もっとコッテリとした味がしたように思う。

ふと、懐かしさと寂しさを感じる。
もう味わえない味。

私は、バスケットの中の新しい
可愛らしい封筒を開ける。



お父様へ

誕生日会はいけなくてごめんなさい。

何度も別邸に来ていただいたと聞いています。


私はもう、大丈夫です。

誕生日プレゼントもたくさんありがとうございました。

また、お父様に会えたら不思議な書斎とか図書館とか沢山お話ししたいです。

お祖父様から美味しいほっぺたが落ちる料理の、材料とレシピを聞いたので、

材料を仕留める為にポルカと狩に出ました。

沢山仕留めたので、本邸の皆さんもどうぞ!


お祖父様が、不思議な書斎の机の上にお父様宛に手紙を残していたので、バスケットに一緒に入れています。」


不思議な書斎?
不思議な図書館?

よく分からない。
また聞こう。

俺はハトシを一口齧る。

・・・。

俺は、目を見開く。

何故だ?
何故母のハトシがここにある?

また食べたいと思っても
二度と食べられなかった。

俺が子供の頃誘拐されて助けられて、帰ってきた後俺は母の死を知った。

母上は、もうこの世に居なかった。

涙がツーッと落ちてきた。

母の手料理を食べながら

皆んなでワイワイと使用人と一緒に食べた、楽しかった日々を思い出す。

親父も母も使用人のアンナもダンも皆んなで笑いながら食べた日々。


俺と母は街に買い物に出ていた。
そこを誘拐犯に襲われたのだ。
母は闘い、頭に重傷を負った。

そして、俺がゴールドマン公爵家の現在は別邸の家に帰った1週間前に亡くなっていた。


俺が誘拐されたせいで、母は亡くなったんだと俺は思った。


親父もそう思ってると。

俺さえいなければ。

親父とは、その後疎遠になった。

俺は、別邸から離れて

本邸を立てた。


何故だろう、思い出は楽しかった事ばかりだ。



そうこの味だ。

この味なんだ。

俺は、マリーベルの作ったハトシを味わった。

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