「殿下、婚約を解消しましょう」

こうやさい

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もしかしたらの結末

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 その後はゲームで婚約破棄された時のような末路をたどるのだと思っていた。
 けれど殿下はあたしが不利にならないよういろいろ手を尽くしてくれた。
 公には罪科も不利益もなにも被らないですんだ。
 それが殿下が身を引いたことに気づいたからか、それでもあたしを大切に思ってくれていたからかは分からない。
 好きだったことは覚えていてほしいなと思わなくもないけど、それが枷になるくらいなら気づかなくてもいいとも思う。

 そうはいっても家族や世間の内心までは操りきれる訳がない。
 どことなく家は居心地が悪くなった。一人娘だった上、殿下と結婚するのだからと養子を取ったのだから問題が起こらない方がおかしい。
 学園を卒業するまでに新たに婚約が整わなければ貴族籍を抜け家を出るという契約を結び、それで義兄には納得してもらった。
 両親は渋っていたようだが、いい縁談が来る可能性は低く、貴族社会で笑いものにされるくらいならと、最大限の援助とそれでも親子である事を約束して許してもらった。
 貴族だというのにこんないい両親に恵まれていたことも初めて知った。
 本当にあたしは見えなくなっていたことが多いらしい。
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