嘘発見器という名の天秤

こうやさい

文字の大きさ
1 / 1

嘘発見器という名の天秤

しおりを挟む
『――ちゃんの嘘吐き。もう絶交だからっ』
 懐かしい夢を見た。

 当時、自称親友がいた。
 確かに一緒にいる事は多かったが、こちらまでそう思う事に付き合うかどうかは自由だろう。
 彼女は親友と好きな人の話をするのが夢らしく、ほぼ毎日のようにいないのかと尋ねてきた。そして変わらない答えに不満を示していた。
 正直一日やそこらで出来るほど劇的な恋があるなら今からでもしてみたい。
 そう思うぐらいその手の話題に疎い相手に何を求めていたんだろうと思う。

 その時も彼女のませ方に内心ついて行けないと思っていた。子供なのに好きな人とかいわれても意味分かってるのかとしかいいようがない。
 こっちが分かっていたかといわれると……まぁ怪しいが、姉が三人居るせいで変に話を合わせることだけは出来る子供だったので、特に問題はなかった。
 だからといって居もしない具体的な好きな人の話まではする気はなく、「特に居ない」で済ませていた。

 ところで世の中には嘘発見器というものがある。
 正確に分かるものは未だないらしいが、ジョークグッズやパーティーグッズとしてならいくらでもあるし、当人が信じるならこっくりさんやあみだくじでもそう呼んで構わないだろう。
 その時彼女が持ってきたのは一瞬でも科学的に納得しそうな体温の上昇や心拍数の変化や発汗が測定できる機能なんてものはついてないおもちゃだったと思う。
 恐らくランダムにブザーが鳴るとかその程度のもので、冗談で済む質問をゲームと分かる相手とやっていたらそれなりに楽しく遊ぶことも出来たシロモノなんだろう。
 ただそれを彼女が理解していなかった。

 その機械の前でいつもの質問をされる。
 そしていつものを答えを返す。
 そして機械に嘘吐き認定されて、彼女に絶交を宣言された。

 その後、別に他に友人がいないわけでなし絶交されたところで彼女がクラスを支配しているわけでもないので特に支障はなかったが、彼女の方はそうではなかった。
 皆いじめようとしていた訳ではないが、既にグループは出来上がっており、他に周りに気を配るよりも仲間内でいる方が楽しかったせいで、結果彼女は孤立した。
 話しかけられば恐らく相手はしてくれたのだろうが、彼女はそれが出来ないタイプだった。新しい友達は出来づらい。
 そんな状況だったから無駄にこちらにコイバナまで求めてきたのだろう。
 担任が見かねたまではまぁいいが、こっちに仲直りするように言ってきたのには腹が立った。一方的に親友に仕立て上げようとしたのも絶交したのも向こうだ。
 だから言った。
 自分より嘘発見器きかいを信じる人と仲良くは出来ません、と。
 その時、自分も傷ついていたことに初めて気づいた。

 結局、それ以上仲良くも悪くもならず、クラスの切れ目が縁の切れ目となり、その後彼女とは特に関わっていない。
 何年か後に途中で転校したと聞いた。孤立が理由なのかどうかまでは聞いてない。

 たとえ親友相手でも嘘を吐いてはいけないわけじゃない。
 だから親友だからといって何もかも信じろと要求するのも間違っている。
 ましてやこちらは親友だとは思っていなかったはずなのに。

 それでも未だに覚えている。
しおりを挟む

この作品は感想を受け付けておりません。

あなたにおすすめの小説

ユリウスの絵の具

こうやさい
児童書・童話
 昔、とある田舎の村の片隅に売れない画家の青年が妻とともに住んでいました。  ある日その妻が病で亡くなり、青年は精神を病んでしまいました。  確か大人向けの童話な感じを目指して書いた話。ガイドラインから児童書・童話カテゴリの異世界禁止は消えたけど、内容・表現が相応しいかといわれると……うん、微妙だよね、ぶっちゃけ保険でR付けたいくらいだし。ですます調をファンタジーだということに相変わらず違和感凄いのでこっちにしたけど……これ、悪質かねぇ? カテ変わってたり消えてたら察して下さい。なんで自分こんなにですます調ファンタジー駄目なんだろう? それでもですます調やめるくらいならカテゴリの方諦めるけど。  そして無意味に名前がついてる主人公。いやタイトルから出来た話なもので。けどそもそもなんでこんなタイトル浮かんだんだ? なんかユリウスって名前の絵に関係するキャラの話でも読んでたのか? その辺記憶がない。消えてたら察して下さい(二回目)。記憶力のなさがうらめしい。こういうの投稿前に自動で判別つくようにならないかなぁ。  ただいま諸事情で出すべきか否か微妙なので棚上げしてたのとか自サイトの方に上げるべきかどうか悩んでたのとか大昔のとかを放出中です。見直しもあまり出来ないのでいつも以上に誤字脱字等も多いです。ご了承下さい。

きたいの悪女は処刑されました

トネリコ
児童書・童話
 悪女は処刑されました。  国は益々栄えました。  おめでとう。おめでとう。  おしまい。

ローズお姉さまのドレス

有沢真尋
児童書・童話
*「第3回きずな児童書大賞」エントリー中です* 最近のルイーゼは少しおかしい。 いつも丈の合わない、ローズお姉さまのドレスを着ている。 話し方もお姉さまそっくり。 わたしと同じ年なのに、ずいぶん年上のように振舞う。 表紙はかんたん表紙メーカーさまで作成

生贄姫の末路 【完結】

松林ナオ
児童書・童話
水の豊かな国の王様と魔物は、はるか昔にある契約を交わしました。 それは、姫を生贄に捧げる代わりに国へ繁栄をもたらすというものです。 水の豊かな国には双子のお姫様がいます。 ひとりは金色の髪をもつ、活発で愛らしい金のお姫様。 もうひとりは銀色の髪をもつ、表情が乏しく物静かな銀のお姫様。 王様が生贄に選んだのは、銀のお姫様でした。

童話短編集

木野もくば
児童書・童話
一話完結の物語をまとめています。

王女様は美しくわらいました

トネリコ
児童書・童話
   無様であろうと出来る全てはやったと満足を抱き、王女様は美しくわらいました。  それはそれは美しい笑みでした。  「お前程の悪女はおるまいよ」  王子様は最後まで嘲笑う悪女を一刀で断罪しました。  きたいの悪女は処刑されました 解説版

傷ついている君へ

辻堂安古市
絵本
今、傷ついている君へ 僕は何ができるだろうか

そうして、女の子は人形へ戻ってしまいました。

桗梛葉 (たなは)
児童書・童話
神様がある日人形を作りました。 それは女の子の人形で、あまりに上手にできていたので神様はその人形に命を与える事にしました。 でも笑わないその子はやっぱりお人形だと言われました。 そこで神様は心に1つの袋をあげたのです。

処理中です...