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完結にし忘れてました、ごめんなさい。 -1-

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 えーっとタイトルの通りで。
 お詫びだけなのもあれなので没にした部分上げときます。
 ……余計うっとうしいという気もしなくもなく。
 本編より長いというか、本編が短いというか。
 バランスの関係で分割が妙です。
 よろしければどうぞ。
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 自分の鼓動が空気に溶けていく気がする。
 案外と落ち着いているなと他人事のように思う。

 殿下に求婚される可能性なんて今まで欠片も考えもしなかった……と言ったら確実に嘘だけど。
 そうだとしたら言葉に詰まって何も言えなかっただろうけど。
 流されてしまったかもしれないけれど。


 魔力に目覚めた当時のあたしははっきりいって調子に乗っていた。
 平民の中で少しばかり特殊になって。
 学園に特別に通うことになって。
 ……周りにちやほやされて。
 今考えると、学園で出来るであろうコネが目当てだったと分かる。
 学園に行くとなれば、それまでの生活では贅沢だと持っていなかった物があたりまえになるので、学費は免除でもこまごまと入り用な物が出来たから、そういうのそろえるのを手伝ってくれたのは助かったけど。
 決定的なつながりを作ろうとはされなかったんだから、失敗したらなかったことにする気だったんだろうなと思う。
 それでも最低限体裁が整ったのはそのおかげなのだから感謝はしてる。

 かつてはそんな事も分からずに自分が特別になったと思って。
 学園には殿下がいらっしゃると聞き、結婚をする想像……今考えると完全に妄想でしかないものをした。
 他人事のように言ったけど、あたしも多分王族は好き勝手出来ると思ってた。

 実際に学園に入ってしまえば、あたしは特別ではなく異質で。
 貴族の方々には気後れしか出来ず。
 膨らんでいた夢や期待ははじけた。
 欠片すら残らなかった。

 その時、殿下が手を差し伸べてくれた。

 いろんな意味で他の人より甘い対応をしてくれたというわけでもない。
 悪意はないにしろ世界が違うと突きつけられた事もあった。
 それでも学園に通い続けられたのは殿下のおかげだった。
 異質でも特別でもなく接してくれたからこそ。

 欠片も歩み寄らないみたいに言ったけれども、そうじゃないことは分かってる。
 王族が、貴族に過度な不満を抱かせず、利害関係のない平民の相手をないがしろにでもひいきでもなくするなんて、権力だけで出来るはずがない。
 昔みたいに王族と貴族を一緒に恐くてえらい人だと纏めて認識していればそこまで思わなかったかもしれないけれど。
 平民には平民の、貴族には貴族なりの、そして王族は王族としての立場の差はある。

 だからといって本当に恋に落ちてしまうとは思っていなかった。
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