同じ空の下にはいない

こうやさい

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同じ空の下にはいない

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 空を見上げ目を閉じる。
 あのときの空もこんな色で、異世界だなんて信じられなかった。

 最初の一日は疑った。
 次の二日は逃避した。
 最後の四日はひたすら嘆いた。
 一週間経ってようやく、あたしを見守ってくれていた人がいたことに気づいた。

 最初に質問責めにした人だった。
 見知らぬ様子のおかしい女を落ち着くまでフォローしながら待っていてくれたらしい。
 その優しさに、心細さも手伝って、恋に落ちるのに時間はかからなかった。

 異世界転移なんてそうそう起こるものではないと思っていた。
 だからその世界に骨を埋める決心をした。
 なので気持ちを止めるつもりはなかった。

 それがどれだけ楽観的な事かも知らずに。

 楽観するならいつか戻れると思えばよかったのに。
 そうしたならば無意識に別れる前提でいられただろうに。

 元の世界に戻ったのもトートツだった。
 転移したのもトートツで条件も理由も分からないものだったからある意味当然だろう。
 つまりもう一度転移できるか分からないし、出来たとしても同じところに行き着けるとは限らない。

 なぜか元の時間に戻っていたので行方不明者扱いとかされなかったのは幸いで。
 なのに異世界に行っていた証拠だけはきっちりあったのはある意味では不幸だろう。

 会えない人と死んだ人とは同じだとか言う意味の歌詞か何かを聞いたことがあるけれど。
 死んだと分かっているのなら、もしかしたらと未来を望んでしまわない分諦める理由として自分に言い聞かせられるだろう。
 よすががなにもなくて、夢だったと思い込めたなら、きっとほんの少しだけれど諦めようと思う気持ちになれただろうに。
 その少しからはじめることも出来ただろうに。

 世界が違わなくても会えなくなる可能性なんて幾らでもあるのだから、出来ないはずはない。
 ただあまりにも想定外過ぎたから。
 どうしていいのか分からない。

 あれからいろいろ試してみたけれど、向こうへ帰るどころかどこかへ転移する気配もない。
 気持ちも既に思い込みかもしれない会いたさが募るだけ。

 目を開ける。
 同じ色をしているけれど、この空はあの人には繋がっていない。

 いつか、終わらせられる日が来るのだろうか?
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