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あったかもしれないしなかったかもしれない話
おまけ 後編
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「わたくし何か誤解を与える行動をしまして?」
謝られた事以外特に最近殿下に接触した覚えもないのですけど。
彼女にイベントが起こっているとは聞いていませんし、妙な噂は彼女にもわたくしにも想定範囲外のはないそうですし……乙女ゲームの想定範囲にいささか不安を覚えなくもないですが、彼女常識はあるようなので、そこまで逸脱はしてないでしょうし。
でしたらやっぱり「落ち着いた」ではなく「冷めた」だったのでしょうか? サーファエスト嬢が以前の婚約者に嫉妬しなければならないほど?
当初はそこまでお好きでもなかったのでは? 逆転したということかしら? 恋は恐ろしいですわね。
これでは側妃などという話になればどうなるのでしょう?
……というか、そのせいでしょうか? 殿下もサーファエスト嬢も成人まで一年を切ったわけですし、卒業すれば結婚ということになるのでしょう。結婚前から夫の他の妻について考えなければならないなんて、いくらお義兄さまのためと思っていたとはいえそんなものによくなろうとしましたわね過去のわたくし。
わたくしが側妃の候補に挙がっている可能性は低いでしょうが、側妃の存在を渋るサーファエスト嬢にわたくしを引き合いに出して嫌みでも言った人がいたのでしょうか? だとしたらとんだとばっちりですわ。
「義兄を殿下に近づけて売り込んでるじゃないですか!?」
そんな事リィト様にされてたら泣きますわよ。
確かにお義兄さまと殿下の友情が修復というか、将来を見越して仲良くした方がいいであろうということで距離を探っている最中なので近づいているといえなくもないです。
婚約破棄に抗議したために殿下に疎まれていたとはいえ、解消予定とはいえ公爵家の養子が縁を切れるわけもなく。
わたくしとのけっ…………婚姻により、婚約期間の一時期を除き公爵家に籍があり続ける事になるわけですから、関係がいいに越したことはないわけで。
一応謝ってくれた事もあり、リィト様も……言い方は悪いですが後釜に納まった訳ですし、少なくとも表面上は怒りを納めました。
それで確かに以前より接触する機会が増えているそうで……本当に、どこで情報を集めてきているのでしょう?
けれど、わたくしをそんな理由で売り込みはしてないと思いますわ。
しかし、分かりやすく違うと証明出来る要素がないことは確かですわね。
いっそリィト様と婚約予定だと言ってしまえば早い気もしますけど、デリケートな問題ですからうかつに言わない方がいいですわよね? 思い込んでいるときに下手な情報を与えると曲解されかねない訳ですし……実体験ですか何か?
「チェリリカ!!」
斜め後ろから聞こえた声と、近づいてくる気配に振り向きます。
殿下です。他の方も一緒ということはバカなことはやらないはず。特にリィト様もいるわけですし。
わたくし、ここまで殿下に会えて嬉しいと思ったことはゲームをやってるときすらありませんでしたわ。
考えたら痴話喧嘩は当人同士でやるのが一番です。
「殿下っ」
サーファエスト嬢が駆け出し、殿下にしがみつくと泣き出します。……ですから、わたくしがいじめていたように見えるからやめて下さいませ。
……けれど、一応他人様のいるところだというのに殿下も抱きしめ返してますし、仲が悪いとは見えませんけど。それとも他人がいるからなのかしら。
「すまないリーゼロッテ嬢。謝罪は後でさせてもらう」
気安く名前で呼ばないでくださいませ、とでも言うべきかしら? と一瞬逃避します。……お義兄さまと混乱するから以上の理由はないのでしょうけど。
殿下が昔のようにわたくしを責めるような愚かなままでないことを願ってましたが、だからっていきなり謝ってるってなんですの?
謝ることもそうですが、わたくしでもいじめているみたいに見えると思う状況で確認もせずにだなんて。
逆方向に殿下がバカになったのでなければサーファエスト嬢がこんな状況になったのは初めてではないという可能性が高いということになります。
……やっぱりバカでいいような気がして来ましたわ。
「わたくしの事はお気になさらず、早く彼女を」
「すまない。リィトルーク、リーゼロッテ嬢は任せた」
そう言い残して、殿下は小声でサーファエスト嬢を恐らくなだめながら去って行き、他の人たちもついて行った訳ですけれど。
「どうしてここが分かったんですのお義兄さま?」
一人残ったリィト様に尋ねます。学校は公ですから『お義兄さま』と呼びますわよ、もちろん。
ちなみに殿下は婚約のことを知っています。知らなくとも身内ですから結局残されるのはお義兄さまでしたでしょうけど。
「お前の友達が殿下に知らせにきたよ」
……既に人脈チートと言わないかしらそれ。学校内では確かに身分の差は多少ゆるめですけど、一応さっきの今と言えなくない時間であの子直接殿下に会えますの? 会うこと自体もそうですけど、殿下の居場所を知っていて確実に案内してくれる方も必要ですわよね?
「事情を知りたいかい?」
「そうですわね……」
問われて少し考える。
「これ以上関わらなければならないようなら考えますわ」
ある程度予想はつきましたし、違っていたとしてもそれだけで問題になることはないでしょう。
リィト様の表情を見るにその答えは少し意外だったようですわね。
けれど中止半端に他人の恋愛に関わるとろくな事がありませんもの。前世での経験則です。
殿下のというか王侯貴族のという意味では後々政治的に問題になる可能性もあるでしょうが、絶対にわたくしが関わらなければならない訳でもないでしょう。
自分か、相当親身になれる人か、そうでなければ乙女ゲームくらい他人事でいられるものではないなら、触れない事を選びますわ。
そう思いながら、ちらりとリィト様を見上げます。
……けど、乙女ゲームは何時当時者になるか分からないよね。
謝られた事以外特に最近殿下に接触した覚えもないのですけど。
彼女にイベントが起こっているとは聞いていませんし、妙な噂は彼女にもわたくしにも想定範囲外のはないそうですし……乙女ゲームの想定範囲にいささか不安を覚えなくもないですが、彼女常識はあるようなので、そこまで逸脱はしてないでしょうし。
でしたらやっぱり「落ち着いた」ではなく「冷めた」だったのでしょうか? サーファエスト嬢が以前の婚約者に嫉妬しなければならないほど?
当初はそこまでお好きでもなかったのでは? 逆転したということかしら? 恋は恐ろしいですわね。
これでは側妃などという話になればどうなるのでしょう?
……というか、そのせいでしょうか? 殿下もサーファエスト嬢も成人まで一年を切ったわけですし、卒業すれば結婚ということになるのでしょう。結婚前から夫の他の妻について考えなければならないなんて、いくらお義兄さまのためと思っていたとはいえそんなものによくなろうとしましたわね過去のわたくし。
わたくしが側妃の候補に挙がっている可能性は低いでしょうが、側妃の存在を渋るサーファエスト嬢にわたくしを引き合いに出して嫌みでも言った人がいたのでしょうか? だとしたらとんだとばっちりですわ。
「義兄を殿下に近づけて売り込んでるじゃないですか!?」
そんな事リィト様にされてたら泣きますわよ。
確かにお義兄さまと殿下の友情が修復というか、将来を見越して仲良くした方がいいであろうということで距離を探っている最中なので近づいているといえなくもないです。
婚約破棄に抗議したために殿下に疎まれていたとはいえ、解消予定とはいえ公爵家の養子が縁を切れるわけもなく。
わたくしとのけっ…………婚姻により、婚約期間の一時期を除き公爵家に籍があり続ける事になるわけですから、関係がいいに越したことはないわけで。
一応謝ってくれた事もあり、リィト様も……言い方は悪いですが後釜に納まった訳ですし、少なくとも表面上は怒りを納めました。
それで確かに以前より接触する機会が増えているそうで……本当に、どこで情報を集めてきているのでしょう?
けれど、わたくしをそんな理由で売り込みはしてないと思いますわ。
しかし、分かりやすく違うと証明出来る要素がないことは確かですわね。
いっそリィト様と婚約予定だと言ってしまえば早い気もしますけど、デリケートな問題ですからうかつに言わない方がいいですわよね? 思い込んでいるときに下手な情報を与えると曲解されかねない訳ですし……実体験ですか何か?
「チェリリカ!!」
斜め後ろから聞こえた声と、近づいてくる気配に振り向きます。
殿下です。他の方も一緒ということはバカなことはやらないはず。特にリィト様もいるわけですし。
わたくし、ここまで殿下に会えて嬉しいと思ったことはゲームをやってるときすらありませんでしたわ。
考えたら痴話喧嘩は当人同士でやるのが一番です。
「殿下っ」
サーファエスト嬢が駆け出し、殿下にしがみつくと泣き出します。……ですから、わたくしがいじめていたように見えるからやめて下さいませ。
……けれど、一応他人様のいるところだというのに殿下も抱きしめ返してますし、仲が悪いとは見えませんけど。それとも他人がいるからなのかしら。
「すまないリーゼロッテ嬢。謝罪は後でさせてもらう」
気安く名前で呼ばないでくださいませ、とでも言うべきかしら? と一瞬逃避します。……お義兄さまと混乱するから以上の理由はないのでしょうけど。
殿下が昔のようにわたくしを責めるような愚かなままでないことを願ってましたが、だからっていきなり謝ってるってなんですの?
謝ることもそうですが、わたくしでもいじめているみたいに見えると思う状況で確認もせずにだなんて。
逆方向に殿下がバカになったのでなければサーファエスト嬢がこんな状況になったのは初めてではないという可能性が高いということになります。
……やっぱりバカでいいような気がして来ましたわ。
「わたくしの事はお気になさらず、早く彼女を」
「すまない。リィトルーク、リーゼロッテ嬢は任せた」
そう言い残して、殿下は小声でサーファエスト嬢を恐らくなだめながら去って行き、他の人たちもついて行った訳ですけれど。
「どうしてここが分かったんですのお義兄さま?」
一人残ったリィト様に尋ねます。学校は公ですから『お義兄さま』と呼びますわよ、もちろん。
ちなみに殿下は婚約のことを知っています。知らなくとも身内ですから結局残されるのはお義兄さまでしたでしょうけど。
「お前の友達が殿下に知らせにきたよ」
……既に人脈チートと言わないかしらそれ。学校内では確かに身分の差は多少ゆるめですけど、一応さっきの今と言えなくない時間であの子直接殿下に会えますの? 会うこと自体もそうですけど、殿下の居場所を知っていて確実に案内してくれる方も必要ですわよね?
「事情を知りたいかい?」
「そうですわね……」
問われて少し考える。
「これ以上関わらなければならないようなら考えますわ」
ある程度予想はつきましたし、違っていたとしてもそれだけで問題になることはないでしょう。
リィト様の表情を見るにその答えは少し意外だったようですわね。
けれど中止半端に他人の恋愛に関わるとろくな事がありませんもの。前世での経験則です。
殿下のというか王侯貴族のという意味では後々政治的に問題になる可能性もあるでしょうが、絶対にわたくしが関わらなければならない訳でもないでしょう。
自分か、相当親身になれる人か、そうでなければ乙女ゲームくらい他人事でいられるものではないなら、触れない事を選びますわ。
そう思いながら、ちらりとリィト様を見上げます。
……けど、乙女ゲームは何時当時者になるか分からないよね。
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