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嘘発見器に好きな人がいることにされたんですけど?
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「聖女様、よくぞ居らしてくれました」
内側になにかごちゃごちゃした模様の描かれた円の中心に座り込み、こちらに向かって土下座をしている人達のつむじを見て思う。
あ、これ、マンガで見たヤツだ。
どうもあたしは異世界に聖女として召還されたらしい。
今日は寝坊してなくてよかった、パジャマ姿で召還とかマジ勘弁。欲をいうなら制服はブレザーよりもセーラー服が良かった。
じゃなくてどういう状況よコレ!?
とりあえず現状を確認しよう。
マンガで見たと確かに思ったが、周りの人達や細部を見る限り作品は特定出来ない。なのでマンガの召喚時の一般的なイメージに似てたというだけで、特定の作品内に召喚されたとかではないのだろう。つまり予言系チートは無理。知識チートも……無理だなコレは。
けどお約束のように言葉は通じてる訳だからそっちの方のチートはついてるかもしれない。
一応聖女として喚ばれたようだし、見回す限り召還されたのはあたし一人みたいだから巻き込まれでもない。
誤召喚とか期待されてる能力じゃなかったとか期待されてる間に発揮できないとかそもそも能力がなかったとかの可能性はあるから安心出来ないけど。
切羽詰まったような空気を感じるから、自分たちが贅沢するためだけに召還したとかってダメなヤツでもなさそう。
召喚するための場だからかもしれないけど、周りに高そうな装飾品とかないし……一つを除いて。
「これ、何ですか?」
ちょっとオシャレなトロフィーのような形をした一メートルくらいの大きさの少し古ぼけた置物だ。大きな赤い宝石がはまってる。
「これは嘘を吐くと宝珠が青く光るという魔法道具です。我々が嘘を吐いていないことをお見せするために持参しました」
つまり嘘発見器。
ふーん、つまり召喚は初めてじゃないんだ。よっぽど状況を推測出来る人がいるならとにかく、切羽詰まって異世界から味方をと思って喚んだ人が信じてくれないこととか想定しないよねぇ?
あと自分たちの誠意を示しているようであたしも試されてる訳ね、はったりじゃないとするなら。
恐らく魔法陣であろう円から出ないぎりぎりまで宝珠の方による。
「昨日のあたしの晩ご飯はカレー」
変化なし。正確にはカレーうどんだったけどこれは許容範囲だろう。
「ペットの名前はルーちゃん」
青く光る。ペットは飼ってない。
「あたしは聖女じゃない」
これも青。周りがどよめいた。
おいこら、今まで信じてなかったのかよ。何故にそれを喚ぶ。
……誰かが結果に干渉している可能性もあるけど、誤召喚じゃないってことね。
「帰還方法はない」
青く光った。誰の何による判断で決められているかは分からないけれど一応一安心だろう。
腕時計を外し文字盤を裏返し竜頭を適当に回す。
「この文字盤を次に見たとき指している時間は九時から十時の間である」
赤に戻った。腕時計の確認をすると十時七分前だった。これであたしの主観により答えが決まっている可能性もかなりのところ排除された。
「ご納得いただけましたでしょうか?」
近づいてきて尋ねられる。
「とりあえず話を聞いてもいいかと思う程度には」
まだ穴はあるだろうけどとっさにこれ以上思いつかないし。
「ところで聖女様には想い人はいらっしゃいますか?」
重い人? 想い人? ああ、好きな人ってことか。聖女ってことは処女性とかそういう関係? はっきり聞いてよ分かりづらい。
「特にいな――」
青く光った。
「へ?」
素で心当たりがない自分。
どよめく周り。
いやけどあたしマジで二次元どっぷりなんだけど。そりゃ推しキャラは何人かいるけど最萌えは誰かと言われると強いていえば一番最近はまったキャラ? 的なくらいなんだけど。はまりたてってそーゆーもんだよね?
祭壇作って信仰したりはしてないんだけど?
「えーっと想い人は二次元である?」
念のために聞いてみたけど、違うのかうっかり疑問形にしたせいか青のままだった。
マジで誰? 本気で心当たりないんだけど? 仮に保育園の時先生を好きになってたとかしてても忘れてるなら反応しないよね?
「どうすれば……」
「な、何が不味いんですか?」
思わず一緒になって慌ててしまう。しょ、処女性なら問題ないですよ?
「いえ、聖女と勇者が心を通わせなければ聖剣は力を発揮しないと言われているのです」
んなリスキーな。どうしても気の合わない人はいるだろうし、たとえ聖女が選んだ人が勇者ってことだとしても、詰む確率高いぞ。
「勇者は決まっているんですか?」
「います。すぐにでも会うことになるでしょう」
「それ勇者は納得し――」
「新しい聖女なんて冗談じゃない。俺の聖女は彼女だけだ!!」
「――てないみたいですね」
遠くから聞こえる悲痛にすら聞こえる声とはっきりとは聞こえないけれどそれをなだめているらしき声が近づいてくる。
これはあれか? 勇者は前任の聖女と両想いだったんだけど、彼女が死ぬとかいきなり還るとかして代わりにあたしが呼ばれたってこと?
うん、心が通うどころか対立する気しかしない。
せめて表面上だけでも友好的にしてくれる人でありますように。
そう思いながら視線を声の方に向ける。
時が止まった。
あるいは一目惚れというのかもしれない。
まだ遠目だが彼は推しキャラのいいとこ取りをし三次元化したような容姿をしていた。
けれどそれ以上に既視感というか泣きたくなるような懐かしさを感じた。
剥がしたがらない視線を無理矢理宝珠の方に向ける。
「還る方法の一つは死に戻り」
宝珠が赤に戻る。
「あたしには前世がある」
宝珠は赤のまま。
「あたしの前世は前任の――」
「おかえり」
言い終わる前に誰かに抱きしめられる。
このあたたかさを覚えていた。
内側になにかごちゃごちゃした模様の描かれた円の中心に座り込み、こちらに向かって土下座をしている人達のつむじを見て思う。
あ、これ、マンガで見たヤツだ。
どうもあたしは異世界に聖女として召還されたらしい。
今日は寝坊してなくてよかった、パジャマ姿で召還とかマジ勘弁。欲をいうなら制服はブレザーよりもセーラー服が良かった。
じゃなくてどういう状況よコレ!?
とりあえず現状を確認しよう。
マンガで見たと確かに思ったが、周りの人達や細部を見る限り作品は特定出来ない。なのでマンガの召喚時の一般的なイメージに似てたというだけで、特定の作品内に召喚されたとかではないのだろう。つまり予言系チートは無理。知識チートも……無理だなコレは。
けどお約束のように言葉は通じてる訳だからそっちの方のチートはついてるかもしれない。
一応聖女として喚ばれたようだし、見回す限り召還されたのはあたし一人みたいだから巻き込まれでもない。
誤召喚とか期待されてる能力じゃなかったとか期待されてる間に発揮できないとかそもそも能力がなかったとかの可能性はあるから安心出来ないけど。
切羽詰まったような空気を感じるから、自分たちが贅沢するためだけに召還したとかってダメなヤツでもなさそう。
召喚するための場だからかもしれないけど、周りに高そうな装飾品とかないし……一つを除いて。
「これ、何ですか?」
ちょっとオシャレなトロフィーのような形をした一メートルくらいの大きさの少し古ぼけた置物だ。大きな赤い宝石がはまってる。
「これは嘘を吐くと宝珠が青く光るという魔法道具です。我々が嘘を吐いていないことをお見せするために持参しました」
つまり嘘発見器。
ふーん、つまり召喚は初めてじゃないんだ。よっぽど状況を推測出来る人がいるならとにかく、切羽詰まって異世界から味方をと思って喚んだ人が信じてくれないこととか想定しないよねぇ?
あと自分たちの誠意を示しているようであたしも試されてる訳ね、はったりじゃないとするなら。
恐らく魔法陣であろう円から出ないぎりぎりまで宝珠の方による。
「昨日のあたしの晩ご飯はカレー」
変化なし。正確にはカレーうどんだったけどこれは許容範囲だろう。
「ペットの名前はルーちゃん」
青く光る。ペットは飼ってない。
「あたしは聖女じゃない」
これも青。周りがどよめいた。
おいこら、今まで信じてなかったのかよ。何故にそれを喚ぶ。
……誰かが結果に干渉している可能性もあるけど、誤召喚じゃないってことね。
「帰還方法はない」
青く光った。誰の何による判断で決められているかは分からないけれど一応一安心だろう。
腕時計を外し文字盤を裏返し竜頭を適当に回す。
「この文字盤を次に見たとき指している時間は九時から十時の間である」
赤に戻った。腕時計の確認をすると十時七分前だった。これであたしの主観により答えが決まっている可能性もかなりのところ排除された。
「ご納得いただけましたでしょうか?」
近づいてきて尋ねられる。
「とりあえず話を聞いてもいいかと思う程度には」
まだ穴はあるだろうけどとっさにこれ以上思いつかないし。
「ところで聖女様には想い人はいらっしゃいますか?」
重い人? 想い人? ああ、好きな人ってことか。聖女ってことは処女性とかそういう関係? はっきり聞いてよ分かりづらい。
「特にいな――」
青く光った。
「へ?」
素で心当たりがない自分。
どよめく周り。
いやけどあたしマジで二次元どっぷりなんだけど。そりゃ推しキャラは何人かいるけど最萌えは誰かと言われると強いていえば一番最近はまったキャラ? 的なくらいなんだけど。はまりたてってそーゆーもんだよね?
祭壇作って信仰したりはしてないんだけど?
「えーっと想い人は二次元である?」
念のために聞いてみたけど、違うのかうっかり疑問形にしたせいか青のままだった。
マジで誰? 本気で心当たりないんだけど? 仮に保育園の時先生を好きになってたとかしてても忘れてるなら反応しないよね?
「どうすれば……」
「な、何が不味いんですか?」
思わず一緒になって慌ててしまう。しょ、処女性なら問題ないですよ?
「いえ、聖女と勇者が心を通わせなければ聖剣は力を発揮しないと言われているのです」
んなリスキーな。どうしても気の合わない人はいるだろうし、たとえ聖女が選んだ人が勇者ってことだとしても、詰む確率高いぞ。
「勇者は決まっているんですか?」
「います。すぐにでも会うことになるでしょう」
「それ勇者は納得し――」
「新しい聖女なんて冗談じゃない。俺の聖女は彼女だけだ!!」
「――てないみたいですね」
遠くから聞こえる悲痛にすら聞こえる声とはっきりとは聞こえないけれどそれをなだめているらしき声が近づいてくる。
これはあれか? 勇者は前任の聖女と両想いだったんだけど、彼女が死ぬとかいきなり還るとかして代わりにあたしが呼ばれたってこと?
うん、心が通うどころか対立する気しかしない。
せめて表面上だけでも友好的にしてくれる人でありますように。
そう思いながら視線を声の方に向ける。
時が止まった。
あるいは一目惚れというのかもしれない。
まだ遠目だが彼は推しキャラのいいとこ取りをし三次元化したような容姿をしていた。
けれどそれ以上に既視感というか泣きたくなるような懐かしさを感じた。
剥がしたがらない視線を無理矢理宝珠の方に向ける。
「還る方法の一つは死に戻り」
宝珠が赤に戻る。
「あたしには前世がある」
宝珠は赤のまま。
「あたしの前世は前任の――」
「おかえり」
言い終わる前に誰かに抱きしめられる。
このあたたかさを覚えていた。
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