BL小説家ですが、ライバル視している私小説家に迫られています

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BL小説家ですが、ライバル視している私小説家に迫られています4

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 バイトへの休みの電話連絡は穂積がしてくれて、翌日、自分でも歩いてショッピングセンターへ行き、店長に挨拶しておいた。小説の仕事のほうは、このひと月ですることはなにもない。
 穂積は朝からバイトへ行き、昼休憩には私の昼食介助のためにわざわざ戻ってきてくれた。

「できることがなくて暇じゃないですか? ゲームでもします?」

 バイトへ戻る間際、穂積がVRをだしてくれた。
 おお。VR!

「直ったのか」
「あー。はい、と言いたいところですが……あれ、嘘です」
「え」
「だって、せっかく家に遊びに来てくれたのに、ゲームに夢中になられて、俺、放置されたら悲しいじゃないですか。二人でできるゲームならいいですけど、そうじゃないし」

 穂積は悪びれもせず笑い、セッティングしてくれた。
 意外と穂積はこういうところがあるなと最近思う。ただ紳士で誠実なだけの男ではない。パン屋のバイトに応募したのは私と仲良くなりたかったというよこしまな目的があったり。書庫にある貴重なラインナップは、私の気を引きたいから購入したのかなと思えるものがあったり。
 いずれも私と近しくなるための行動と思うと、なぜ私なのだろうといまだに謎ではあるが、その行動そのものについては人間らしいと思うし、嫌ではない。
 やらせてもらえたのは健全なゲームで、指先のみを動かすものだったので問題なく遊べた。
 エロ動画は見れなかった。残念だがそれは仕方がない。よくよく考えたら穂積はゲイなのだ。ゲイ向けのものを紹介されても困るだけだ。
 夕方帰宅した穂積は、生姜焼きを作ってくれた。食事を介助されたあと、今日はバレンタインだからといってチョコレートを食べさせられた。その後に歯磨きもしてもらい、風呂介助という名目で身体を弄られる。
 今日も介護椅子に座る穂積の上に跨り、前を弄られながら後ろに指を受け入れた。
 快楽に弱い私である。毎日自慰をすることが習慣づいていた私である。流されている自覚はあったが、拒むことはできなかった。なにしろ今の腕では、自分で自慰することができないのだ。一か月も自慰を我慢することなど私には耐えられない。後ろに指を挿れられることには抵抗があったが、与えられる快楽を前にしたら、受け入れるよりなかった。
 一度達かされたあと、今日は湯船に浸かった。
 久しく湯に浸かることはなかったので、穂積に誘われたときには喜んだ。しかし。

「は……う、ん……」

 背後から私を抱きかかえるようにして一緒に湯船に浸かっている男の両手が、私に乳首を弄ってくる。身体を洗われたときにもしつこく弄られたのに、また刺激されて、そこはじんじんと痺れて熱を持っていた。

「穂積、くん…、も、それ、やめ……」
「駄目?」
「……落ち着いて、入ってられない、から……っ」
「いまだけ。風呂から出たらリラックスしましょう」
「私は、風呂で、リラックスしたいんだが?」

 穂積の唇が、私のうなじに吸いついた。

「んー。部屋でこういうことをしちゃうと、最後まで止まらなくなっちゃいそうで、あなたにさわるのは風呂のみにしようって思ったんですよね。挿れていいなら、いまは我慢しますけど。ここでいちゃいちゃして、出てからリラックスするのと、ここでリラックスして部屋で最後までするの、どちらがいいですか」
「なぜ二択しかないんだ……っ、ぁ、んっ」

 ねっとりと耳朶を舐められた。
 身の置き所がないような刺激ばかり続けられ、もじもじと太腿を擦りあわせてしまう。
 もっと強く明確な快感が欲しい。

「穂積くん…、ほんと、やだ……っ」
「じゃあ、こっちはいい?」

 穂積の片手が下腹部へと降り、中心を握った。乳首よりは断然そちらがいい。素直に頷くと、ゆるゆると手が動きだした。
 もう一方の手も乳首から離れ、下へ降りる。そして後ろのすぼまりに触れた。先ほどまで指を呑み込んでいたそこは、軽く圧をかけられると再び指を受け入れた。

「あ……、ぅ…」

 後ろに二本の指を挿れられ、前を扱かれる。

「久見さん……」

 色っぽい声を囁く唇は、うなじをに舌を這わせ、耳をしゃぶり、首の付け根を甘噛みする。そうして湯船の中でもう一度達かされた。穂積は私の腰に擦りつけて達っていた。


 そうして、身体を洗われながら一度、入浴しながらもう一度、必ず後ろに指を挿れられながら達かされるようになり、一週間が過ぎた。
 一週間、毎日必ずだ。前を弄るときは後ろに指を挿れるのが決まりのように、必ずそうされた。慣らす目的としか思えない。

「久見さん、薬塗りましょう」

 風呂場でしつこく弄られるものだから、入浴後は乳首が痛くなる。文句を言ったら軟膏を塗られるようになってしまった。
 入浴後、Tシャツとパンツ、ズボンを着せてもらい、ギプスと包帯を巻き直したあと、Tシャツを胸まで捲り上げられる。後ろから抱えられる格好でソファに座り、乳首に軟膏を塗られる。薬を馴染ませているんだといって、十分くらいぬるぬると弄られる。やりすぎだろ。

「ちょっとこれ、意味がわからない」
「そうですか?」

 薬を塗るくらいなら、乳首を弄るのを控えてくれと言いたい。穂積にこんな変態的なところがあるとは知らなかった。

「部屋でいやらしいことはしないんじゃなかったのか」
「だって久見さんが、赤く腫れてエロい乳首を自分から見せてくるから。我慢できなくて。これは医療行為ということで見逃してください」
「……見逃していたら、どんどんエスカレートしないか?」
「俺もそんな気がします」
「……」
「嫌? 気持ちいいことは、好きですよね?」

 うなじにキスをされる。穂積の手が乳首から離れ、軟膏のチューブを掴んだ。

「お尻も毎日弄ってるから、腫れてないですか? お尻にも薬を塗りましょうか」

 甘い声で囁かれる。待て。それはまずいだろう。尻に軟膏を塗られたら、その流れで突っ込まれるのは確定だ。
 身を強張らせたとき、インターホンが鳴った。
 穂積がインターホンのモニターへ目をやり、眉を顰める。

「ちょっとすみません」

 そうひと言云って立ちあがり、インターホンの通話ボタンを押した。

「なんで来た? 郵送してくれたらいいと言ったのに」

 穂積らしからぬつっけんどんな物言いに、ちょっと驚く。

「来たほうが早いでしょ。寒いから早く入れて」
「いま来客中なんだ。書類はポストに入れておいて」
「は? せっかく来たのに帰れって? こっちも手続きの都合があるんだが。おまえもまた郵送するの、手間だろ。いまハンコ押せばすぐじゃん」

 穂積が迷うように黙る。
 穂積の冷淡な態度といい、ハンコだの書類だの、聞こえてくる話の内容から、面倒な相手のようだ。
 私はいないほうがいいのかもしれない。

「穂積くん、私は出かけていようか」

 小声で声をかけたら、彼は目線をこちらに向け、首を振った。それからインターホンに向かって言う。

「……。わかったよ。開けたから。入って」

 穂積は振り返り、嫌そうな顔をして告げた。

「すみません。父親が来ました」

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