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第2話『無力感と冒険の予感』
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「ジリジリジリッ!!」
「カチッ!」
目覚ましの音で目が覚める。
まるで目覚まし時計が止まっていないのではないかと錯覚するようなノイズ音。今日も雨のようだ。
雨の日は不思議なほど憂鬱だ。
身支度をして家をでる。この雨では流石にお母さんに言われなくても傘をもって行く。
学校について、教室のドアの前に立ったとき自然にため息が出た。しかし、扉をあけたとき僕の目の前には信じられない光景が広がっていた。
真人君と圭太君が貴史君のランドセルを蹴飛ばして遊んでいるのだ。
“なんで?今まで僕以外の人にはそういうことはしなかったのに”
「真人君やめてよ!」
“貴史君・・・”
「キンコーンカンコーン♪」
「やべ!先生くるぞ!」
急いで着席する真人君と圭太君、貴史君はランドセルをロッカーにしまい、涙をふいている。
“なんで貴史君が・・・”
貴史君はクラスで唯一僕に話し掛けてくれる優しい人だ。真人君や圭太君にいじめられる理由なんてないはずだ。
その日、真人君や圭太君が僕にちょっかいを出すことはなかった。その代わりに貴史君が二人の被害にあっていた。先生の見えないところで消しゴムのカスを投げられたり教科書にイタズラ書きされたり、それを僕は見て見ぬふりしていることしかできなかった。
皆は笑っているけど、やられているほうは本当に辛いんだってことを僕は知っている。
優しい貴史君がいじめられているのを見るのは嫌だ。でも、何かしてまた自分が被害にあうのも嫌だ。
結局僕はなにもすることはできなかった。
帰りの会が終わって誰よりも早く教室を出ていった貴史君のあとをおった。
「待って貴史君!」
「・・・」
「あの、ごめん・・・」
「・・・」
貴史君はなにも言わずに帰っていった。僕もこれ以上貴史君にどんな言葉をかけてあげればいいのかわからずゆっくり教室に戻った。
「そしたらあいつなんていったと思う?」
机に座り大きな声で話をしているのは真人君だ。
「せっかくママに買ってもらったのにだってよw」
「なんだそれww」
「ママってww」
「うけるんだけどww」
貴史君のことを話しているのだろう。窓側の席で話しているのがせめてもの救いだ。僕はロッカーから自分のランドセルを取りだし、静かに教室を出た。
外はまだ雨が降っていた。そこで教室に傘を忘れてきたことに気がついた。教室に戻ろうとしたそのとき
「虹だ!」
誰かが言った。辺りを見渡すとそこには土砂降りにもかかわらず大きな虹がかかっていた。
「1・2・3・4・・5・6・・7・8・・9色!!!」
土砂降りのなか僕は走り出した、あの虹のふもとにドレイクの秘宝があると信じて。
一心不乱に走っていた僕は気づかぬうちに森に入っていた。まわりは大きな木に囲まれいつの間にか虹も見えなくなっている。仕方ないが諦めて帰ることにした。真人君に水溜まりに突き飛ばされた昨日よりもびしょびしょで泥だらけだ。
“お母さんに怒られるかな”
そんなことを考えながら歩いていると次第に霧が濃くなってきて、自分が戻っているのか進んでいるのかもわからなくなった。そこで初めて自分が迷子だということに気がつく。
「どうしよう、僕どっちからきたっけ、心なしか暗くなってきたし今いったい何時だろう」
いつしか僕は疲れはてて歩くことをやめていた
「お腹すいたよ、お母さん心配してるかな」
雨の音意外聞こえない深い霧のなか僕は貴史君のことを思い出していた。
“なんで僕じゃなくて貴史君が二人の被害にあわなきゃいけなかったんだ。僕がもっと強かったら貴史君を助けることができただろうか”
次第に雨は弱まり辺りの霧が晴れてきた。まったく気づかなかったが森のなかでも少し開けた場所に出ていたらしい。
「虹だ‼虹のふもとだ!!!」
僕は思わず叫んでしまった。まるで噴水のように地面から9色の光が溢れ出していたのだ。
濡れた服が身体にまとわりつき、水を吸った靴のせいでうまく走れない。
それでも虹のふもとの目の前まで行くと、そこには本に書いてあった通り宝箱があった
「夢みたいだ」
宝箱の横幅は僕の身長くらいで、高さは僕の胸くらいまである。金属製でとても頑丈なつくりなので大事なものしまってあることくらい子供の僕にでもわかる。
運がいいことに鍵はかかってないようなので、僕は迷わず宝箱を開けることにした。
蓋はとても重かったが、開けるのを諦める理由にはならない。
やっとの思いで宝箱を開けると、とたんに辺り一帯は白い光に包まれ、思わず僕は目を閉じてしまった。
「なんだ!?」
目を開けるとそこは砂漠だった!!
「カチッ!」
目覚ましの音で目が覚める。
まるで目覚まし時計が止まっていないのではないかと錯覚するようなノイズ音。今日も雨のようだ。
雨の日は不思議なほど憂鬱だ。
身支度をして家をでる。この雨では流石にお母さんに言われなくても傘をもって行く。
学校について、教室のドアの前に立ったとき自然にため息が出た。しかし、扉をあけたとき僕の目の前には信じられない光景が広がっていた。
真人君と圭太君が貴史君のランドセルを蹴飛ばして遊んでいるのだ。
“なんで?今まで僕以外の人にはそういうことはしなかったのに”
「真人君やめてよ!」
“貴史君・・・”
「キンコーンカンコーン♪」
「やべ!先生くるぞ!」
急いで着席する真人君と圭太君、貴史君はランドセルをロッカーにしまい、涙をふいている。
“なんで貴史君が・・・”
貴史君はクラスで唯一僕に話し掛けてくれる優しい人だ。真人君や圭太君にいじめられる理由なんてないはずだ。
その日、真人君や圭太君が僕にちょっかいを出すことはなかった。その代わりに貴史君が二人の被害にあっていた。先生の見えないところで消しゴムのカスを投げられたり教科書にイタズラ書きされたり、それを僕は見て見ぬふりしていることしかできなかった。
皆は笑っているけど、やられているほうは本当に辛いんだってことを僕は知っている。
優しい貴史君がいじめられているのを見るのは嫌だ。でも、何かしてまた自分が被害にあうのも嫌だ。
結局僕はなにもすることはできなかった。
帰りの会が終わって誰よりも早く教室を出ていった貴史君のあとをおった。
「待って貴史君!」
「・・・」
「あの、ごめん・・・」
「・・・」
貴史君はなにも言わずに帰っていった。僕もこれ以上貴史君にどんな言葉をかけてあげればいいのかわからずゆっくり教室に戻った。
「そしたらあいつなんていったと思う?」
机に座り大きな声で話をしているのは真人君だ。
「せっかくママに買ってもらったのにだってよw」
「なんだそれww」
「ママってww」
「うけるんだけどww」
貴史君のことを話しているのだろう。窓側の席で話しているのがせめてもの救いだ。僕はロッカーから自分のランドセルを取りだし、静かに教室を出た。
外はまだ雨が降っていた。そこで教室に傘を忘れてきたことに気がついた。教室に戻ろうとしたそのとき
「虹だ!」
誰かが言った。辺りを見渡すとそこには土砂降りにもかかわらず大きな虹がかかっていた。
「1・2・3・4・・5・6・・7・8・・9色!!!」
土砂降りのなか僕は走り出した、あの虹のふもとにドレイクの秘宝があると信じて。
一心不乱に走っていた僕は気づかぬうちに森に入っていた。まわりは大きな木に囲まれいつの間にか虹も見えなくなっている。仕方ないが諦めて帰ることにした。真人君に水溜まりに突き飛ばされた昨日よりもびしょびしょで泥だらけだ。
“お母さんに怒られるかな”
そんなことを考えながら歩いていると次第に霧が濃くなってきて、自分が戻っているのか進んでいるのかもわからなくなった。そこで初めて自分が迷子だということに気がつく。
「どうしよう、僕どっちからきたっけ、心なしか暗くなってきたし今いったい何時だろう」
いつしか僕は疲れはてて歩くことをやめていた
「お腹すいたよ、お母さん心配してるかな」
雨の音意外聞こえない深い霧のなか僕は貴史君のことを思い出していた。
“なんで僕じゃなくて貴史君が二人の被害にあわなきゃいけなかったんだ。僕がもっと強かったら貴史君を助けることができただろうか”
次第に雨は弱まり辺りの霧が晴れてきた。まったく気づかなかったが森のなかでも少し開けた場所に出ていたらしい。
「虹だ‼虹のふもとだ!!!」
僕は思わず叫んでしまった。まるで噴水のように地面から9色の光が溢れ出していたのだ。
濡れた服が身体にまとわりつき、水を吸った靴のせいでうまく走れない。
それでも虹のふもとの目の前まで行くと、そこには本に書いてあった通り宝箱があった
「夢みたいだ」
宝箱の横幅は僕の身長くらいで、高さは僕の胸くらいまである。金属製でとても頑丈なつくりなので大事なものしまってあることくらい子供の僕にでもわかる。
運がいいことに鍵はかかってないようなので、僕は迷わず宝箱を開けることにした。
蓋はとても重かったが、開けるのを諦める理由にはならない。
やっとの思いで宝箱を開けると、とたんに辺り一帯は白い光に包まれ、思わず僕は目を閉じてしまった。
「なんだ!?」
目を開けるとそこは砂漠だった!!
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