絶対零度殿下からの隠れ溺愛は秘蜜の味。

待鳥園子

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27 嫉妬②★

◇◆◇


「待ちかねたぞ」

 パメラに手伝ってもらい身支度をして部屋へと入ったルシアに手招きをしたカミーユは、浮かない顔をしていた彼女を見て首を傾げた。

「どうした……? ここに来るまでに、何かあったのか?」

「いえ……その」

 カミーユはここまでにどうにかして仕事を片付けると言っていた通り、ひと目見ればわかるほどに疲れていて、美しい青い目の下にははっきりと隈も出来ていた。

(あ。本当だ……私のあげた、あのハンカチが)

 彼の胸元には噂話通りに特徴的なレースの縁どりのある白いハンカチがあり、彼がルシアを想ってくれていることは、それだけで理解出来た。

「どうした。何かあるのならばさっさと言え。そうして、無言のままで居られると、嫌われたのかと不安になる」

 手を伸ばした自分を無視して、距離を置いて隣に座ったルシアに向けて、カミーユは不機嫌そうに言った。

「カミーユは、私より……アシュクロフト令嬢の方が、お好きなのではないですか」

 ルシアの言葉を聞いて何を言い出すのかと、カミーユは片眉を上げた。

「ああ。城の何処かで、彼女のことを聞いたのか。なんてことはない。彼女とは、仕事で何度か会っている。この前にも説明した通り、俺がお前以外の女に会いたくて会っている理由もあるまい。双方共に君の心配しているような色気を含んだ気持ちはない」

 素っ気なく温度のない言いようを聞けば、彼の言う通り、カミーユはレイアに対し一切の感情を持っていないことが窺えた。

(けど、私とのことを秘密にすることには変わりないわ……私は、こんなにも不安だと言うのに!)

「では……どうして! どうして……私は、殿下と一緒にいられないのですか? アシュクロフト伯爵令嬢が仕事で呼び出して貰えるのならば、私だって同じように出来るはずです」

 これまでになく激しい感情を表に出したルシアに、カミーユはにやりと笑って、彼女の身体を抱き寄せた。

「嫉妬か?」

「それは!」

 耳元で囁かれ熱い吐息と共に楽しそうな質問を耳にして、ルシアは慌てて声をあげた。

「早く認めろ。どう考えても、そのようにしか見えない」

 潤んだ目で彼を見つめ、ルシアは自ら彼の唇にキスを仕掛けた。喜ぶようにしてカミーユは口づけに応え、彼女の身体をぎゅっと抱きしめた。

 手早く胸元の布を下ろされて、露わになった乳房を強い力で揉まれても、ルシアは自ら求めるように彼の舌を追い掛けていた。

 彼との口づけに夢中になり、腰の辺りを締め付けていたコルセットが解けたことに気が付いて、ルシアは吸い付いていた唇を離した。

「……っ……これ」

「気にするな。女性のドレスがこんなにも脱ぎにくいものだとは、俺もこの前まで知らなかった」

 カミーユは淡々とルシアの着ていたドレスを脱がし、秘部に手を当てて縦筋に二本指を添わせた。自らが動けば彼の指に押し付けているようになり、ルシアは無闇に動けなくなった。

「あのっ……」

「ルシア……俺はこの前、抱けると思っていた。だが、君は仕事を理由に、あっさりと居なくなってしまった。その時の俺の気持ちが君にはわかるか?」

 剥き出しになった柔らかな胸を見て、カミーユの眼差しは鋭くなっていた。今にも食べられてしまいそうな欲望を剥き出しにした眼差しにルシアは逃げ腰になった。

「わっ……私……あのですね。その……」

 今日ここに来れば、彼とある程度はそういうことになるだろうと予想はしていたものの、あっという間に脱がされてしまったルシアは逃げることすらも出来ずに困った。

「この前は勝手をしたからと死ぬほど仕事を詰め込まれ、馬車馬のように働かされ、そして、今日だ。絶対に我慢はしない」

「あんっ……ちょっ……ちょっと待ってください」

 何度も胸を甘く噛まれたルシアは、この状況からは逃げるにはもう遅いとは理解していたものの、彼の本気を感じて怖くなった。

 一旦考え込んだカミーユに裸体のままで腕に抱かれて、奥のベッドへと入った。

「最初から、こうすれば良かったな。逃げる隙を与えた俺が悪かったんだ」

 ルシアをベッドへと置くと釦を引き千切る勢いでカミーユは服を脱ぎ、彼女に覆いかぶさるように身体で囲った。

「んっ……」

 首筋に熱く濡れた舌を這わせたカミーユに、ルシアは我慢出来ずに声をあげた。

「我慢せず声をあげろ。ヒューバートが居る方が良いなら、呼んでやる。あいつは、その辺に居るはずだからな」

 ルシアはこの前のようにしてやろうかと脅したカミーユを、何を言い出すのかと睨んだ。

(シャンペル卿は、この前に会った時も紳士だったと言うのに……信じられない)

「やっ……止めてください! シャンペル卿は呼ばないでください。どうして彼に意地悪するのですか」

「それは、君も先程感じていた感情と同じだ。わかっているだろう。俺はあいつが気に入らないと思う理由がある」

 嫉妬していたことを自ら認め、さっきルシアと同じ気持ちだったのだとカミーユは言った。
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