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44 轟音①
ルシアは目を覚ました時に、何故か自分の身体に対し強烈な違和感を感じた。そして、自分が今居る場所がこれまで見たことのない場所であることも。
(……何処? 私、ユスターシュ邸に戻って、あの犯罪者と会って……)
見知らぬ天井を見上げ、目線を下げたルシアは、そこにある光景を見て驚きに言葉を失ってしまった。
「あらあら……ようやく起きたかしら。エリザベス・ジェイド・ワーリントン公爵令嬢」
それをルシアに言ったのは、ルシア・ユスターシュだった。これまでにも、何度も何度も鏡で見て来た自分の姿だ。
そして、見下ろせばふくよかな身体……この前会ったばかりのワーリントン公爵令嬢エリザベスのような……。
「私……何、どうして?」
自分の姿は目の前にあり、今この身体は自分ではない。震える声で疑問を言ったルシアに、酒焼けをした不快な低い声が答えた。
「ああ……お前の姿を、高貴なエリザベス様と、入れ替えたんだよ。ルシア」
そこに居たのは、ルシアの父ユスターシュ伯爵の姿を掠め取ったあの男だった。彼が攫って、ここまで連れて来たのだ。
「……魔法で? もしかして……」
カミーユも真相をルシアに教えてくれたあの時、言っていたではないか。
ルシアの両親たちユスターシュ伯爵夫妻は犯罪者に姿を取られてしまい、制限時間以内に殺されてしまったと……そして、それは禁じられた魔法の抜け道のようなもので、犯罪者の姿は半日経っても戻らなくなるのだと……。
(待って。嘘でしょう。私とワーリントン公爵令嬢の姿を入れ替え、そして、私を殺してしまえば……私は)
ルシアの両親と犯罪者たちとの間にあったこと、それがルシアとエリザベスの間で同じことが起きてしまう。
カミーユに執着があるようだったエリザベスに、ルシア・ユスターシュである姿を取られてしまうのだ。
「ええ。そうなの。私は哀れなルシア・ユスターシュ……第二王子カミーユ殿下に愛されている悲劇の伯爵令嬢よ……本当に、こんなにも細い身体なのに、胸だけは大きくて……何だか、不思議よねえ……そうなの。カミーユ殿下は、こういう女がお好きなのね」
ルシアの姿をしたエリザベスはにいっと悪く笑い、その胸を自分で揉んでいた。
(エリザベス様は私の姿を持っていれば、カミーユ殿下に愛されると思った……? だから、公爵令嬢であるこの身体を捨ててまで、こんなことを……)
自分を侮蔑して拒否したカミーユ憎しとエリザベスは、極悪な犯罪者と手を組んでしまったのだろう。
お育ちの良い彼女は、知っているのだろうか……そんな奴らと手を組んでしまっても、良いように利用されてしまうだけなのに。
「……実はルシア。ああ。もうお前は、エリザベスという名前なんだが……こちらのルシアは両親が生きていたと、証言することになるんだ。俺たちは酷い弟の罠に仕掛けられ嵌められてね。財産を掠め取られるところだったんだが、脅されていた娘の証言でそれは全て覆される」
それは、ルシアを守ってくれていた叔父マーティンを犯罪者に仕立て上げるというとんでもない作り話だった。
「やめて! ……何の罪もないマーティン叔父様を、犯罪者にするつもりなの! 酷い……どこまで、酷い人なの」
本来の名前も知らぬ犯罪者はげらげらと笑い出し、貴族らしからぬ下卑た言葉でルシアを罵った。
「ほんっとうに、馬鹿真面目な女だ。あそこで俺に会わなくても、どうにかして攫って、こうなる運命だったのさ。ワーリントン公爵令嬢は、そんなお前の姿をお望みだ。さっさと、死んで優しい両親の元へ行くんだな」
そして、彼は大きなナイフを手にルシアへと近づいた。
(いや……嘘でしょう……神様!)
(……何処? 私、ユスターシュ邸に戻って、あの犯罪者と会って……)
見知らぬ天井を見上げ、目線を下げたルシアは、そこにある光景を見て驚きに言葉を失ってしまった。
「あらあら……ようやく起きたかしら。エリザベス・ジェイド・ワーリントン公爵令嬢」
それをルシアに言ったのは、ルシア・ユスターシュだった。これまでにも、何度も何度も鏡で見て来た自分の姿だ。
そして、見下ろせばふくよかな身体……この前会ったばかりのワーリントン公爵令嬢エリザベスのような……。
「私……何、どうして?」
自分の姿は目の前にあり、今この身体は自分ではない。震える声で疑問を言ったルシアに、酒焼けをした不快な低い声が答えた。
「ああ……お前の姿を、高貴なエリザベス様と、入れ替えたんだよ。ルシア」
そこに居たのは、ルシアの父ユスターシュ伯爵の姿を掠め取ったあの男だった。彼が攫って、ここまで連れて来たのだ。
「……魔法で? もしかして……」
カミーユも真相をルシアに教えてくれたあの時、言っていたではないか。
ルシアの両親たちユスターシュ伯爵夫妻は犯罪者に姿を取られてしまい、制限時間以内に殺されてしまったと……そして、それは禁じられた魔法の抜け道のようなもので、犯罪者の姿は半日経っても戻らなくなるのだと……。
(待って。嘘でしょう。私とワーリントン公爵令嬢の姿を入れ替え、そして、私を殺してしまえば……私は)
ルシアの両親と犯罪者たちとの間にあったこと、それがルシアとエリザベスの間で同じことが起きてしまう。
カミーユに執着があるようだったエリザベスに、ルシア・ユスターシュである姿を取られてしまうのだ。
「ええ。そうなの。私は哀れなルシア・ユスターシュ……第二王子カミーユ殿下に愛されている悲劇の伯爵令嬢よ……本当に、こんなにも細い身体なのに、胸だけは大きくて……何だか、不思議よねえ……そうなの。カミーユ殿下は、こういう女がお好きなのね」
ルシアの姿をしたエリザベスはにいっと悪く笑い、その胸を自分で揉んでいた。
(エリザベス様は私の姿を持っていれば、カミーユ殿下に愛されると思った……? だから、公爵令嬢であるこの身体を捨ててまで、こんなことを……)
自分を侮蔑して拒否したカミーユ憎しとエリザベスは、極悪な犯罪者と手を組んでしまったのだろう。
お育ちの良い彼女は、知っているのだろうか……そんな奴らと手を組んでしまっても、良いように利用されてしまうだけなのに。
「……実はルシア。ああ。もうお前は、エリザベスという名前なんだが……こちらのルシアは両親が生きていたと、証言することになるんだ。俺たちは酷い弟の罠に仕掛けられ嵌められてね。財産を掠め取られるところだったんだが、脅されていた娘の証言でそれは全て覆される」
それは、ルシアを守ってくれていた叔父マーティンを犯罪者に仕立て上げるというとんでもない作り話だった。
「やめて! ……何の罪もないマーティン叔父様を、犯罪者にするつもりなの! 酷い……どこまで、酷い人なの」
本来の名前も知らぬ犯罪者はげらげらと笑い出し、貴族らしからぬ下卑た言葉でルシアを罵った。
「ほんっとうに、馬鹿真面目な女だ。あそこで俺に会わなくても、どうにかして攫って、こうなる運命だったのさ。ワーリントン公爵令嬢は、そんなお前の姿をお望みだ。さっさと、死んで優しい両親の元へ行くんだな」
そして、彼は大きなナイフを手にルシアへと近づいた。
(いや……嘘でしょう……神様!)
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