竜喚び聖女は捨てられた竜騎士を救いたい!

待鳥園子

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015 忠告①

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 私は午後からは完全に遊ぶ気でいたのだけど、ジェイドさんがその気になってくれたのなら、ここは準備を余念なく調えるしかない。

 いえいえいえ。

 これは、彼とやましいことをしようだなんて、そういうことではぜんっぜんなくて、職務上必要な接触行為であり、双方共にそれを完全に理解しつつ完全に同意の上での行為にあたり……。

「あ、あなた!」

 物思いに耽りつつ廊下を歩いていたら、なんと! ジェイドさんの元婚約者ナタリアさんがそこに居た。

 夜会に見た時にも美人だと思ったものだけれど、こうして昼日中に見てもその美貌は揺るがない。胸の大きさだけは、私の方が勝っています……それは、本当のことなので、言わせていただきますけど。

「あ……あの、ジェイドさんにご用ですか? 呼んできます!」

 もしかしたら、受付などでも彼の名前を言いづらく、探して中に入って来たのかもしれない。

 それは、わかる……自分が捨てた男に会いに来たなんて、言いづらいものね。

 そんな私の予想を覆すようにして、ナタリアさんは首を横に振った。

「違うわ。貴女に用事があったの。あの時、お名前を聞きそびれていたから、中に入らせてもらって……聖女が通るというここで探していたのよ」

「え? 私ですか?」

 竜騎士団でそんなことをしてまで、私に用事……? ジェイドさんの元婚約者の、ナタリアさんが?

 そういえば、あの時ジェイドさんは私のことを仕事先の人だと説明していたので、竜騎士団の『竜喚び聖女』であると踏んだのだろう。

 周囲の目を気にするように見回して、彼女は呟いた。

「あの……ジェイドの竜は、喚べたの?」

 あ……ジェイドさんが夜会に現れていたということは、二人の別れの原因となった、ジェイドさんの竜が見つかったのかもしれないと思ったのね。

 そうよね。

 竜が現れなくなってから、彼はこれまで公の場にはほぼ出なかったと言うし、夜会にも出るってそういうことかもしれないと思ってしまうのも無理はないわ。

 あれは、無理矢理私が誘い出しただけなのですけれど……。

「またですが、私がこれから、喚んでみせる予定です」

 ようやくジェイドさんが決意してくれた今夜に、私は見付ける。そのために、私の竜喚びの天啓があったのではないかとまで思う。

 自信満々の私の言葉に、ナタリアさんは少しだけ寂しそうな表情を浮かべて、ほうっと大きく息をついた。

「そう。良かったわ。ジェイドは、結婚には至らなかったけれど、大事な人だったから、どうなったのか心配だったの」

 そこで何故だか、不意打ちを食らったような感覚がした。ここに居るナタリアさんは、竜が来ない竜騎士ジェイドさんを捨てたはずだ。

 それなのに、どうしてか……そんな彼にまだ心を残しているような発言をするのかしら。
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