竜喚び聖女は捨てられた竜騎士を救いたい!

待鳥園子

文字の大きさ
17 / 69

017 仕事中①

しおりを挟む
 私が夕食を取りに城の食堂へ行くと、ジェイドさんが珍しく一人で食事をしていた。

 ここでは王城に働く面々が食事時に集うため、広い広い食堂には数え切れないほどの机と椅子が整列して置かれている。

 いくつかの『本日の定食』の中からトレイを取り、自由に腰掛けて食事を取るのだ。

 隅でポツンと一人で食事をする彼の姿は、なんとも悲愴的に見えた。いつもは仲間と食事を取っているのに、今日はなんだか近付きがたい空気を纏っている。

 実はミレハント竜騎士団の面々が竜に来て貰えない竜騎士を全員バカにしているかというと、それはそうではない。

 ジェイドさんには同情的に接する人も居るし、元々仲の良い人だって何人か居るようだ。

 これまでに日頃の行いが悪い人であれば、これ幸いに手のひらを返して精神的に追い詰められていただろうに、そこにはジェイドさんの持つ人間性を表れているのだろう。

「……こんばんはっ。ジェイドさん」

 私はなるべく、明るく声を掛けた。

 だって、ここでこれからのことを想像して恥ずかしがっていては、何か下心がありそうでない……考えすぎかも知れないけど。

「ああ。ラヴィ二ア。こんばんは」

 ああ。整った顔に浮かぶ笑顔が、ぎこちないよ~! 無理もないけど。

 それに、ジェイドさんは一応食事は取っているものの、まったく食は進んでいないようだ。お腹がすいているはずの訓練終わりの男性なのに、これは絶対に異常事態が起こっている。

「あの……もしかして、何か、あったんですか? もし、そうなら、日にちを改めましょう」

 私だって着替えを含め色々と準備して来た分、延期になれば残念に思ってしまうものの、ご本人が精神的に参っている時に無理をさせてしまうのは良くない。

 そんな私の言葉に、ジェイドさんは首を横に振った。

「いや、すまない。こんなことを言えば、情けないんだが……」

「え……? 何か気がかりなことでも……?」

 一瞬、先ほど私に会いに来たらしい、ナタリアさんの顔が浮かんだ。もしかしたら、偶然帰りに彼に会ってしまったのかもしれない。

「俺は……何かの理由で、竜にひどく嫌われているかもしれない。それを目の当たりにすることは、つらい。ラヴィ二アに喚んでもらって、来てくれるなら良いと思うが……」

 ああ……そうか。私が可能性が高い方法を試してみようと言ったから、ジェイドさんは竜を喚べる可能性が高いと思ってくれている。

 だから、これまでに『来てくれなかった理由』を、目の当たりにして知るのが怖いんだ……。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

恐怖侯爵の後妻になったら、「君を愛することはない」と言われまして。

長岡更紗
恋愛
落ちぶれ子爵令嬢の私、レディアが後妻として嫁いだのは──まさかの恐怖侯爵様! しかも初夜にいきなり「君を愛することはない」なんて言われちゃいましたが? だけど、あれ? 娘のシャロットは、なんだかすごく懐いてくれるんですけど! 義理の娘と仲良くなった私、侯爵様のこともちょっと気になりはじめて…… もしかして、愛されるチャンスあるかも? なんて思ってたのに。 「前妻は雲隠れした」って噂と、「死んだのよ」って娘の言葉。 しかも使用人たちは全員、口をつぐんでばかり。 ねえ、どうして?  前妻さんに何があったの? そして、地下から聞こえてくる叫び声は、一体!? 恐怖侯爵の『本当の顔』を知った時。 私の心は、思ってもみなかった方向へ動き出す。 *他サイトにも公開しています

異世界に落ちて、溺愛されました。

恋愛
満月の月明かりの中、自宅への帰り道に、穴に落ちた私。 落ちた先は異世界。そこで、私を番と話す人に溺愛されました。

ご褒美人生~転生した私の溺愛な?日常~

紅子
恋愛
魂の修行を終えた私は、ご褒美に神様から丈夫な身体をもらい最後の転生しました。公爵令嬢に生まれ落ち、素敵な仮婚約者もできました。家族や仮婚約者から溺愛されて、幸せです。ですけど、神様。私、お願いしましたよね?寿命をベッドの上で迎えるような普通の目立たない人生を送りたいと。やりすぎですよ💢神様。 毎週火・金曜日00:00に更新します。→完結済みです。毎日更新に変更します。 R15は、念のため。 自己満足の世界に付き、合わないと感じた方は読むのをお止めください。設定ゆるゆるの思い付き、ご都合主義で書いているため、深い内容ではありません。さらっと読みたい方向けです。矛盾点などあったらごめんなさい(>_<)

家族に支度金目当てで売られた令嬢ですが、成り上がり伯爵に溺愛されました

日下奈緒
恋愛
そばかす令嬢クラリスは、家族に支度金目当てで成り上がり伯爵セドリックに嫁がされる。 だが彼に溺愛され家は再興。 見下していた美貌の妹リリアナは婚約破棄される。

「25歳OL、異世界で年上公爵の甘々保護対象に!? 〜女神ルミエール様の悪戯〜」

透子(とおるこ)
恋愛
25歳OL・佐神ミレイは、仕事も恋も完璧にこなす美人女子。しかし本当は、年上の男性に甘やかされたい願望を密かに抱いていた。 そんな彼女の前に現れたのは、気まぐれな女神ルミエール。理由も告げず、ミレイを異世界アルデリア王国の公爵家へ転移させる。そこには恐ろしく気難しいと評判の45歳独身公爵・アレクセイが待っていた。 最初は恐怖を覚えるミレイだったが、公爵の手厚い保護に触れ、次第に心を許す。やがて彼女は甘く溺愛される日々に――。 仕事も恋も頑張るOLが、異世界で年上公爵にゴロニャン♡ 甘くて胸キュンなラブストーリー、開幕! ---

【完結】うっかり異世界召喚されましたが騎士様が過保護すぎます!

雨宮羽那
恋愛
 いきなり神子様と呼ばれるようになってしまった女子高生×過保護気味な騎士のラブストーリー。 ◇◇◇◇  私、立花葵(たちばなあおい)は普通の高校二年生。  元気よく始業式に向かっていたはずなのに、うっかり神様とぶつかってしまったらしく、異世界へ飛ばされてしまいました!  気がつくと神殿にいた私を『神子様』と呼んで出迎えてくれたのは、爽やかなイケメン騎士様!?  元の世界に戻れるまで騎士様が守ってくれることになったけど……。この騎士様、過保護すぎます!  だけどこの騎士様、何やら秘密があるようで――。 ◇◇◇◇ ※過去に同名タイトルで途中まで連載していましたが、連載再開にあたり設定に大幅変更があったため、加筆どころか書き直してます。 ※表紙はAIにより作成したものです。 ※小説内容にはAI不使用です。 ※「小説家になろう」「エブリスタ」「カクヨム」様にも掲載しております。

【完結】番としか子供が産まれない世界で

さくらもち
恋愛
番との間にしか子供が産まれない世界に産まれたニーナ。 何故か親から要らない子扱いされる不遇な子供時代に番と言う概念すら知らないまま育った。 そんなニーナが番に出会うまで 4話完結 出会えたところで話は終わってます。

【完結】氷狼魔術師長様と私の、甘い契約結婚~実は溺愛されていたなんて聞いていません!~

雨宮羽那
恋愛
 魔術国家アステリエで事務官として働くセレフィアは、義理の家族に給料を奪われ、婚期を逃した厄介者として扱われていた。  そんなある日、上司である魔術師長・シリウスが事務室へやってきて、「私と結婚してください」と言い放った!  詳しく話を聞けば、どうやらシリウスにも事情があるようで、契約結婚の話を持ちかけられる。  家から抜け出るきっかけだと、シリウスとの結婚を決意するセレフィア。  同居生活が始まるが、シリウスはなぜかしれっとセレフィアを甘やかしてくる!? 「これは契約結婚のはずですよね!?」  ……一方セレフィアがいなくなった義理の家族は、徐々に狂い始めて……? ◇◇◇◇  恋愛小説大賞に応募しています。  お気に入り登録、♡、感想などいただければ、作者が大変喜びます( . .)"  モチベになるので良ければ応援していただけると嬉しいです! ※この作品は「小説家になろう」様にも掲載しております。 ※表紙はAIイラストです。文字入れは「装丁カフェ」様を使用しております。 ※小説内容にはAI不使用です。

処理中です...