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017 仕事中①
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私が夕食を取りに城の食堂へ行くと、ジェイドさんが珍しく一人で食事をしていた。
ここでは王城に働く面々が食事時に集うため、広い広い食堂には数え切れないほどの机と椅子が整列して置かれている。
いくつかの『本日の定食』の中からトレイを取り、自由に腰掛けて食事を取るのだ。
隅でポツンと一人で食事をする彼の姿は、なんとも悲愴的に見えた。いつもは仲間と食事を取っているのに、今日はなんだか近付きがたい空気を纏っている。
実はミレハント竜騎士団の面々が竜に来て貰えない竜騎士を全員バカにしているかというと、それはそうではない。
ジェイドさんには同情的に接する人も居るし、元々仲の良い人だって何人か居るようだ。
これまでに日頃の行いが悪い人であれば、これ幸いに手のひらを返して精神的に追い詰められていただろうに、そこにはジェイドさんの持つ人間性を表れているのだろう。
「……こんばんはっ。ジェイドさん」
私はなるべく、明るく声を掛けた。
だって、ここでこれからのことを想像して恥ずかしがっていては、何か下心がありそうでない……考えすぎかも知れないけど。
「ああ。ラヴィ二ア。こんばんは」
ああ。整った顔に浮かぶ笑顔が、ぎこちないよ~! 無理もないけど。
それに、ジェイドさんは一応食事は取っているものの、まったく食は進んでいないようだ。お腹がすいているはずの訓練終わりの男性なのに、これは絶対に異常事態が起こっている。
「あの……もしかして、何か、あったんですか? もし、そうなら、日にちを改めましょう」
私だって着替えを含め色々と準備して来た分、延期になれば残念に思ってしまうものの、ご本人が精神的に参っている時に無理をさせてしまうのは良くない。
そんな私の言葉に、ジェイドさんは首を横に振った。
「いや、すまない。こんなことを言えば、情けないんだが……」
「え……? 何か気がかりなことでも……?」
一瞬、先ほど私に会いに来たらしい、ナタリアさんの顔が浮かんだ。もしかしたら、偶然帰りに彼に会ってしまったのかもしれない。
「俺は……何かの理由で、竜にひどく嫌われているかもしれない。それを目の当たりにすることは、つらい。ラヴィ二アに喚んでもらって、来てくれるなら良いと思うが……」
ああ……そうか。私が可能性が高い方法を試してみようと言ったから、ジェイドさんは竜を喚べる可能性が高いと思ってくれている。
だから、これまでに『来てくれなかった理由』を、目の当たりにして知るのが怖いんだ……。
ここでは王城に働く面々が食事時に集うため、広い広い食堂には数え切れないほどの机と椅子が整列して置かれている。
いくつかの『本日の定食』の中からトレイを取り、自由に腰掛けて食事を取るのだ。
隅でポツンと一人で食事をする彼の姿は、なんとも悲愴的に見えた。いつもは仲間と食事を取っているのに、今日はなんだか近付きがたい空気を纏っている。
実はミレハント竜騎士団の面々が竜に来て貰えない竜騎士を全員バカにしているかというと、それはそうではない。
ジェイドさんには同情的に接する人も居るし、元々仲の良い人だって何人か居るようだ。
これまでに日頃の行いが悪い人であれば、これ幸いに手のひらを返して精神的に追い詰められていただろうに、そこにはジェイドさんの持つ人間性を表れているのだろう。
「……こんばんはっ。ジェイドさん」
私はなるべく、明るく声を掛けた。
だって、ここでこれからのことを想像して恥ずかしがっていては、何か下心がありそうでない……考えすぎかも知れないけど。
「ああ。ラヴィ二ア。こんばんは」
ああ。整った顔に浮かぶ笑顔が、ぎこちないよ~! 無理もないけど。
それに、ジェイドさんは一応食事は取っているものの、まったく食は進んでいないようだ。お腹がすいているはずの訓練終わりの男性なのに、これは絶対に異常事態が起こっている。
「あの……もしかして、何か、あったんですか? もし、そうなら、日にちを改めましょう」
私だって着替えを含め色々と準備して来た分、延期になれば残念に思ってしまうものの、ご本人が精神的に参っている時に無理をさせてしまうのは良くない。
そんな私の言葉に、ジェイドさんは首を横に振った。
「いや、すまない。こんなことを言えば、情けないんだが……」
「え……? 何か気がかりなことでも……?」
一瞬、先ほど私に会いに来たらしい、ナタリアさんの顔が浮かんだ。もしかしたら、偶然帰りに彼に会ってしまったのかもしれない。
「俺は……何かの理由で、竜にひどく嫌われているかもしれない。それを目の当たりにすることは、つらい。ラヴィ二アに喚んでもらって、来てくれるなら良いと思うが……」
ああ……そうか。私が可能性が高い方法を試してみようと言ったから、ジェイドさんは竜を喚べる可能性が高いと思ってくれている。
だから、これまでに『来てくれなかった理由』を、目の当たりにして知るのが怖いんだ……。
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